イムの娘(いむのこ)   作:槙 秀人

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リク兄上等兵さん、誤字報告ありがとうございます。


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03-122話:バクダン

「イオリさん!」

 私がビビと合流した時には、既にみんなで狙撃者というか砲弾を探している最中だった。

 

 まぁそりゃね。まだみんなは見聞色が(ちゃんと?)使えない。チョッパーの鼻で火薬の匂いを探そうにも、ここら辺一帯に火薬の匂いなんて充満してるんだから、探しようがない。

 

「ごめん、遅くなっちゃって!」

「よかった。イオリさん、大変なの!!」

 ビビから、広場めがけて砲弾が打ち込まれるという話しを聞いた。

 

「あとどれくらい時間あるの?」

「えっと……あと、5分くらいよ!」

 

 バクダンを探す。原作では時計台…の時計板の中だったわよね?

 でも、ハズレは引きたくないので、ちゃんと探すとしましょうか。

 

 私は、意識を集中して、この町を立体的に見て気配を探ってみた。

 なんだ、やっぱりあそこみたいね…

 

「ビビ、上のほうに2つ…怪しげな気配があるわ。」

「上のほう?」

 私は、時計台を見上げる。

 

「あの時計台なんだけど、上の方の階って広かったりする?」

「あっ! そうか、秘密基地っ!!」

 

 砲撃の時間まで、あと4分。ちょうどウソップが通りかかったので、捕まえた。

 

「ウソップ! 止まって(ストップ)!!」

 

「なんだ、イオリじゃねェか! おめェがいねェから、狙撃手探すのに手間取ってんだそ!!」

「ごめん。後で話すわ。それより今は狙撃手でしょ?」

 

「……見つけたんだな?」

「うんっ!!」

 ウソップの問にビビが答える。

 

「よし、みんなを呼ぶぞ!!」

 ウソップがごぞごそと、携帯のがま口から道具を取り出す。

 

「必殺っ!!! ”赤蛇星”!!!!」

 真上に向かって赤い煙幕を放つ。要するにのろしだ。

 

 

「ほんとうにそんなところにいるのか?イオリ、ビビ!!?」

「そこ以外に考えられないわ!!!」

「そこに怪しげな気配もあるから、間違いないわ!!」

 ウソップがごそごそやり始めてから、私は『時計台の下に集合』というメッセージを地面に書いていた。

 ついでに看板も…

 

「おい、おめェ、そんなのいったいどっから出した?」

「小さくして持ってるのよ!こういうときの為にね。」

「そうか、さすがだな! っておい!”こういうとき”なんざめったにねェだろっ!?」

「いいじゃないのよ!役に立ったんだから!」

 

「そ…そんな事より、急ぎましょう!」

 別に遊んでたワケじゃないわよ。だってウソップがツッコむんだもんしょうがないじゃない!

 

「私が運ぶわ!」

 小さくした二人を抱えて、私は剃で時計台の下まで移動した。

 途中、海軍たちがB・Wのピニオンズと戦ってくれている場面に遭遇したけど、すぐに通り過ぎちゃったから、気づかれてもいないだろう。たしぎが見えたけど今はどうでもいい。

 

 あと2分。原作では1分切ってたから、まだ少し余裕があるのかな?

 

 どうしましょう? まだみんな集まってないみたいだけど…

 待ったほうがいいかしら? それとも行っちゃおうか?

 

 少し迷っていたらサンジとナミとチョッパーの気配が近づいて来るのがわかった。途中で合流したみたい。

 ちゃんと『時計台の下』って書いておいたから、サンジも時計台を登っていない。

 

 あれ、ゾロは? あ~あ…階段登ってるねぇ…。ゾロだけは原作通りになっちゃったな。

 だよねェ~~。あいつには、のろしなんて意味ないもん。でもまさか…のろしを見ながらも迷子になってたのか?

 そういえば、リトルガーデンで、巨人の所までもたどり着けなかったって聞いたけど…

 方向音痴じゃなくて、何か別の病気なんじゃないの?

 

「おーい、ビビちゃーん、イオリちゃーん!」

「ビビ、狙撃手は見つかったの?」

 

「えぇ、時計台よ!」

「2分じゃあんなところまで登れないわよ!!」

「ペルさえ来てくれればと思ったんだけど…!!」

「階段で行くしかねェだろ、入り口は…」

 

「階段で行くより、月歩で行ったほうが早いわよ。誰が行く?たぶん、エージェントがいると思うけど…」

 なんか、無視されてるみたいでイヤだったから、サラッと言ったらサンジ以外のみんなに振り向かれた。

 

「イオリ!? あんた居たの!?もう、どこに行ってたのよ!!」

 ナミさんナミさん? おかしいでしょ? のろしの下のメッセージも看板も私の字だったじゃないのさ!

 しかもサンジが私の名前呼んでたよね? まぁいいけど…

 

 それに私、遊んでたわけじゃないわよ? 集まってくる部隊を8つも止めたり、ウェザリア行ったりと一人で頑張ってたんだから!!

 

「…まぁ、それは後でいいでしょ? で、誰が行く?」

 今は時間が無いんだってば! 悪いけど話を進ませてもらう。

 

「私が行くわ!」

 ビビが志願した。まぁ、原作よりはましだけど、みんなボロボロだもんね。じゃあ二人でいこうかな。

 

「よォ!! 探したぞ、お前ら!!!」

 ぜぇぜぇと息を切らしながら、屋上にゾロが現れた。

 

「そこでなにしてる」

 

「こっちのセリフじゃァ!!」

「何でお前がそこにいるんだー!!!」

 

「それがよ、海軍の奴らが北へ行け北へ行けって言うからひとまずここに登って…」

 

「”北”と”上”はぜんぜん違うぞ!!? でも…とにかくでかした!!そっから上に行って」

「ダメ…」

「え!!?」

「あそこからじゃ時計台の中には入れない。あそこへ行くには一階の奥にある階段が唯一の到達手段なの」

「でも…ゾロならあの塔の壁を壊して…」

「そんな衝撃に耐えられる砲弾とは限らないわ!!」

 

 あー、どうでもいいからそのやり取り。もう先に行っちゃっていいですか?

 

「あ~もう!! 時間無いっつてんのにっ! ゾロ!あんたちょっとこっち来い!下にいなさい!!」

「「えっ?」」

 私は念動力でゾロを宙に舞わせて下へと素早く移動させた。

 

「うぉっ、なんだっ!!?」

 もちろん地面に激突なんてさせない。ゆっくりと脚から着地させました。

 

「「!!?……あぁ、念動力ね…」」

 はい。念動力です。まったくもー!余計な体力使っちゃったじゃないか!

 

「いくよ、ビビ!」

 もう待ってられません。1分切っちゃったじゃんよ!まったく!せっかく余裕があったのに!!

 

 本気でゾロの迷子はなんとかしないと…ってムリか。

 

 私はビビを抱えて月歩で文字盤のちょっと上まで移動した。さて、どうやって入ろうか?

 そういえば、原作では文字盤が開いてからすったもんだがあったんだっけ?

 外から入る入り口とかないのかな? なんて、ごちゃごちゃと考えてたら、ほどなくして時計台の文字盤が開いた。よかった。おろおろせずにすんだわ。

 

「ゲーロ ゲロゲロゲロ ゲロゲロ!!」

「オホホホホホホホ」

「ねー聞いてMr.7 あたし知ってんの!これってあたし達の最終任務なの!」

「オホホホホ そういうスンポーだね オホホホホ」

「ゲーロ ゲロゲロゲロ」

「今30秒前ってスンポーだね オホホホホ」

 

「ビビ、突っ込むわよ!」

「うん!」

 言って、剃刀で時計台に飛び込む。

 ビビには導火線を頼んで、私は二人の相手。一瞬で終っちゃったけど、問題ないよね?

 

 砲撃の時間まであと20秒ほど。そして時限装置がブラス数十秒だっけ?

 

 

 導火線を消して、ビビがホッとしてるかと思ったけど、なんか様子が変だ。

 そうだよね。ここって音が反響するから、『カチッ、カチッ…』って時限装置の音が響いてるんだもの。

 

「…」

「気づいた?ビビ!」

 砲台の中の砲弾をビビが覗き込んでる。たしか時計の針が見えてるはずだ。

 

「…イオリさん、これって…」

 私も一緒に覗き込んだ。砲弾の大きさは原作通り2mほど。秒針が動いてる。あと1分ってところか。

 

「やっぱりね…こんなことだろうと思ってたわよ。なにせ相手はクロコダイルだからね?時限式みたいよ、これ。」

 

 

 その頃、下では……

 

「………止まったのか…!?」

 ウソップが時計台を見上げて呟いていた。

 みんな、ビビが顔を出さないのをおかしいと思って見上げていた。

 

「私が対処するから、みんなにも教えてあげて!予想の範囲内って事も一緒にね。」

 砲撃の時間が過ぎた。

 きっと地下宮殿でクロコダイルが得意げに国王に種明かししてる頃だろう。

 

「みんな!!」

「ビビ!!!!」

「『砲弾』が”時限式”なの!!」

「!!?」

「なっ!」

「……」

「…!!」

「「何だとォ~!!?」」

 

 あらま、原作どおりの反応だこと… いや、今はそんな事考えてる場合じゃないや。

 対処しないと…

 

 まず、10cmほどの鉄の箱を取り出しましてっと…

 

 

「でも大丈夫!!」

「「…!!?」」

 

「イオリさんが予想の範囲内だって!!今、対処してるっ!!」

 

「「……!!!」」

 

 なんだろう?

 下にいる面々は全身から力が抜けていくのを感じていた。

 

 ビビが喜んでいるのは、きっと良いことなんだろう。

 でも…

 

 続いて発せられたビビの言葉に、一同は脱力感を否めない。

 

「…なんだか…力が抜けちゃった…」

「…あぁ…そう…だな…」

 あれほど恐れていた七武海のクロコダイルが ”取るに足りない” 相手と思えるのは何故だろう?

 ヤツは本当に彼女の『手のひらの上で踊らされていた。』

 そう思えるのはきっと気のせいではない。

 

「……イオリが……」

 どこか遠くを見るように、ウソップがつぶやく。

 

「…イオリが…味方で良かったと…『心底』思っちまうのはよぉ……、おれだけじゃ…ねぇよ…な?」

 ウソップの搾り出した言葉に、みんなは静かに頷いていた。

 

 

「1/100!」

 砲弾の大きさはおよそ直径2m。砲台ごと小さくしました。

 

「これで、砲弾の大きさはおよそ2cm。爆発の威力は50mってところかな? さて、これをさらに…」

 と言って、砲台から砲弾を取り出す。取り出した砲弾を用意しておいた金属の箱に入れて。

 

「蓋をして、1/100! これで砲弾の大きさは0.2mm。」

 その威力は50cmだ。あり? 体積は100万分の1なんだから威力はもっと削れてるのかな?

 計算めんどい。まあいいや…

 

 もっと小さくしてもいいけど、時間が無いから、これくらいでいいっしょ!

 でも金属片が飛ぶのはちょっと危ないな。掴んでようっと。

 

「鉄塊、アーンド、武装硬化!!」

 両手のひらに鉄塊と武装硬化を施し、小さくした金属の箱を包む。念のためビビに背を向けて。

 

 程なくして『ポン』という音と共に手の中で箱が破裂した。

 手を開くと、小さくした箱と砲弾の欠片がぱらぱらと床に落ちた。

 

「はい。おしまい!!」

 

 ビビが、下のみんなに終ったことを伝えた。

 いつの間にかペルが来てたみたいで、ビビが抱きついてた。

 

 ペル…。再三に渡って活躍の場を奪ってごめん。でもまぁよかったわよね?

 大怪我しなくって。

 

 原作では結局死なずに済んでたけど、どうなるかなんてわからないもの。

 

 

 原作ほど大きな争いは起きてないにしろ、戦いは続いている。放ってはおけない。

 そろそろクロコダイルがぶっ飛ばされる頃だろうし、このタイミングでいいと思う。

 ビビの声を皆に届けてもらうとしましょうか。

 

「はい、ビビ。これどうぞ。」

 と言って取り出したのは、例の国内放送の電伝虫。

 まだ放送設備は生きてるだろうから、スイッチを入れれば話せるはずだ。

 

 この放送が”合図”にもなってることだしね?

 

「戦いをやめてください」

 ビビの声が国中に響き渡る。と同時に、クロコダイルが宙を舞う。

 

「オイ、あれ…!!!あれを見ろ!!!」

「………」

「!!」

 

「「クロコダイル…!!?」」

 

「……何んであんなトコから飛び出してくんのかはわからねェが…!!」

「……そうさとにかく…!!」

 

「「あいつが勝ったんだ…!!」」

 

 そして、雨が降りだす。

 

 タイミングはバッチリだね。ありがとうウェザリアのおじいちゃん達!!

 

「今朝、放送で流れた私とクロコダイルの会話は全て本当の事です!!だからもうこれ以上、戦わないでください!! 今降っている雨は…!! 昔のようにまた降ります。悪夢は全て…終りましたから!!!

 

 イガラムも戻ってきたみたいだ。コーザも生きてる。

 放送が真実だった事。クロコダイルが敗れた事で、B・Wの残党も、これ以上任務遂行を続けても意味のない事を悟ると思う。

 これで、戦争は終結するだろう。

 

「イオリさん!みんなの所に!!」

「私たちの?」

 もちろん。と言わんばかりで頷くビビ。だってどっちかわからなかったんだもん。

 まぁ私と一緒に行くんだから、広場じゃない方だよね?

 

 時計台に上った時と同様にビビを抱えて、私はみんなの気配のするほうへと移動した。

 ペルは広場に行ったみたい。イガラムの事、心配してたもんね。

 

 

 

 

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