イムの娘(いむのこ)   作:槙 秀人

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リク兄上等兵さん、誤字報告ありがとうございます。


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03-123話:戦争終結

「オイ!ウソップお前、しっかり歩けよ!!」

「ああ…それが 聞いてくれ…『これ以上歩いたら死んでしまう病』に」

「じゃ、そこにいろ」

 喋っているのはサンジ、ウソップ、ゾロだ。

 

 ウソップは必死でゾロに食い下がる。

 

「待てったら!!!」

 仕方が無いので、ゾロがウソップの脚を持って引きずった。

 すると前から誰かが歩いてくるのが見えた。

 

「おっ」

「いたか」

 コブラ王がルフィをおぶって現れた。当然の事ながら少し警戒しているようだ。

 

「……君達は?」

「……アッ あんたのその背中のやつ、運んでくれてありがとう。ウチのなんだ。引き取るよ。」

 頭を掻きながらサンジが言った。こちらからすれば、ルフィをおぶっている時点で敵でない事は明白だからだ。

 

「……では、君らかね?ビビをこの国まで連れてきてくれた海賊達とは」

「ア? おっさん誰だ?」

 サンジが疑問を口にしたところで、上からビビの声がする。

 

「みんな!!」

 はい!月歩にて空から参上しましたよ!! 原作通りのタイミングで合流できたみたいな感じかな?

 

「「ビビだ!」」

 チョッパーとウソップが声をあげる。

 

「パパ!!?」

 ビビはルフィをおぶっている人物を見て目を見張る。

 

「パ…パパ!? ビビちゃんのお父様!!?」

 サンジが驚いてる。でもお前… 父親の前でちゃん付けで王女を呼ぶって……。まぁいいのか、サンジだから…。

 

「あんた、国王か」

 ゾロがコブラ王に問いかける。

 

 国王は、地下宮殿での出来事を話しくれた。

 

「一度は死ぬと覚悟したが、彼に救われたのだ。」

 本人は、何も考えずに行動した結果だろうけど、本当に、とことんルフィってピースメインだなぁと思えてしまう。

 まあ、ルフィも私と同じで、自由な冒険者になりたかったわけだから当然ね。シャンクスと出会って、海賊に憧れたからこそ、海賊になったんだから…

 

「…………」

 ビビが安堵の溜息を漏らしてる。これってさぁ…きっとあれよね?違うかな?

 

 

「クロコダイルと戦ったその体で、人二人抱えて地上へと飛び出した。信じ難い力だ…」

 

「……じゃあその”毒”てのはもういいわけだ。」

「…ああ 中和されたハズだ…」

 

 念のため、さそりの毒の血清は作って持っていたりする。解毒剤を飲んだのならば大丈夫だろう。呼吸も安定してるようだし、疲れて寝てる。と、みていいだろう。ただし、解毒剤と言えど、副反応はあるだろうから、多少は熱も出るかも知れない。まぁ、2・3日寝てれば全快する程度だと思う。

 

「だが、ケガの手当てをせねば…君達もな」

 

「それよりビビ、早く行けよ。」

「えっ?」

 ゾロの言葉にビビが虚をつかれたような声をあげる。

 

「広場へ戻れ」

 ゾロが腰を下ろしながら言った。しかし、お前…傷だらけじゃんよ。深い傷ではなさそうだけど…。

 あ~失敗した!!防御では武装色、使っていいって言うべきだった!?

 コイツ、言われた通り覇気使わなかったわけね?

 なんてこった、伝達ミスだよ! 私の責任(せい)じゃん!ゴメンナサイ…

 

「そりゃそうだ。…せっかく止まった国の反乱に…王や王女の言葉もナシじゃ、シマらねぇもんな…」

 包帯だらけのウソップが続ける。それチョッパーがやったんだよね? 一回り大きく見えるから、添え木かな?って全身骨折?普通に立ってて大丈夫なの?

 

「……ええ、だったらみんなの事も…」

 

「ビビちゃん、わかってんだろ? オレ達ぁフダツキだよ… 国なんてもんに関わる気はねェ…」

 タバコをふかしてサンジが『にっ』と笑う。こういうときのサンジは本気でカッコいいと思う。

 普段からそうしてりゃもっとモテるだろうに…

 

 ちなみにサンジのケガは、本当に大したことが無いみたい。武装色…で防御していたわけでは無いんだろうけど、もしかして…私との模擬戦(と言っても、サンジは防御だけなんだけど…)で素の防御力が鍛えられたのかも?

 

「おれはハラがへった」

「勝手に宮殿へいってるわ。ヘトヘトなの」

 チョッパー、ナミが続く。

 

「それじゃ、私は国王とビビを広場まで送ってくるわね? まだ残党が居ないとも限らないし。」

 まぁ、上層部が壊滅した秘密組織の残党が、いまさら何をするわけでもないだろうけど、自暴自棄になった奴が居ないとも限らないからね。一応念の為だ。ペル達がいるところまで護衛すれば十分だろう。

 

「…まかせるわ。」

 ナミがさすが、という感じで私に言う。

 

 原作よりは怪我や疲労が少ないとはいえ、みんなは既に限界っぽい。

 早く見えないところまで二人を移動させないと休めないわよね?

 ほんと、みんなして見栄っ張り…

 

「うん。すぐ戻るから…。さぁ、行きましょう。」

 私は、国王とビビを即してすぐに角を曲がった。

 

 みんなが倒れる気配がしたので、そっと雨の当たらないところに移動しておく。念動力でね。

 ふぅ…。なにげに体力使うなぁ…

 

 広場から少し離れたところでは、クロコダイルが海軍によって捕縛されていた。

 そして広場では、イガラムとコーザによって、全ての真相が語られたところだった。

 

 

「おれ達は…とりかえしのつかない事をしたんだ……」

 

 数年に及ぶ戦いだったんだ。放送を鵜呑みに出来ない人達もいたわけだし…。

 一度は止まったものの煽られれば動かざるを得なかったのは致し方ない。

 戦っていた相手は、本当の敵ではなかった。反乱軍、国王軍、共にうなだれている。

 

「リーダー…」

 ビビはかける言葉も見つからないみたいだ。

 けど、国王はそのまま広場の中央へと進み入っていく。

 

 そして、歩を進めながら話し出した。

 

「悔やむ事も当然……やり切れぬ思いも当然。」

 

「! 国王…!!!」

 

 みんな気づいたみたいだ。うなだれた顔を上げて国王に視線が注がれる。

 

「失ったものは大きく、得たものはない。」

 

「国王様!!!」

「…国王…」

 

 コーザも顔を上げた。

 

「 ― だがこれは前進である!! 戦った相手が誰であろうとも、 戦いは起こり 今終わったのだ!! 過去を無きものになど誰にもできはしない!!! ……この戦争の上に立ち!!!生きてみせよ!!!! アラバスタ王国よ!!!!」

 

「!!!!」

 

  ― 敵わぬ……… ―

 

 国民にかける言葉もなかった重臣達が、国王の言葉に感銘を受けている。

 きっと、この場にいる誰もが同じ想いだろう。国王に対する信頼が高まっていくのがわかる…。

 

 さすがは国王。でも…

 

 先の言葉はちょっとちがうと思う…

 

 

「得たものは……あるわよ」

 ビビのとなりで、私はひとり呟いた。涙を流しながら、ビビが私に顔を向ける。

 

「ここに居る人…だけじゃない。みんなが…国を想って戦ったんだもの。」

「…」

 

「クロコダイルはその想いを利用した訳だけど…、簡単に利用できるからって笑ってたけど…。でもそれって、実はすごい事だと思う。 これだけの人が、国を愛してるって事なんだから… ビビにも見えたでしょ?国を想うみんなの気持ち…心がさ。」

「…」

 

「国王は、『国は人だ』って云ってるんだから、きっと…それは『宝』だろうね。」

 にっこりと笑いかけた私に、ビビは涙を流しながら何度も何度も頷いていた。

 

 今の国王の言葉で、結束はより強固なものとなっただろう。

 きっと、この国は強くなる。これまでよりも、ずっと。

 

 私も、少し協力できるといいな。友達として…ビビの為に…

 

「それじゃ、私はルフィ達の所に戻るわね。みんな疲れてるだろうから。」

 そうビビに告げて、私はその場を後にした。

 

 

 ~ ~ ~ ~ ~

 

「なにか用でもあるのかしら?」

 数人の海兵が、ルフィ達が倒れている通りの入り口に立っていたので聞いてみた。

 たぶん見張りよね?そんで、たしぎに捕縛の許可を取りに行っている。と…

 

「「紅髪(くれない)!!?」」

 お~!いいじゃん”くれない”って響きがさ!はじめて呼ばれましたよ!ちょっとカンドー…って、それは今は置いといて…

 何でか知らないけど、驚いて道を開けてくれたので、特に気に留めるでもなく横をすり抜けて仲間のもとへと向かう。

 

 さて、どうしましょうかね? ミニミニの能力はもうスモーカーには見せちゃったし、見られても別に問題ないか。

 

 私はポケットからバックを取り出すと元の大きさに戻した。中にはこんなときの為の(というかその為に用意した)簡易ベットが10個ほど並べてある。

 そして、仲間を小さくしてそのベットへと移していく。

 広場に行く前に、こうやって持って行っても良かったんだけど、みんな見栄っ張りだから、ビビの前ではやらないでおいたんだ。私ってば気が利くよね?

 

 1/100にすれば、みんな2cmほどになる。たいした大きさじゃない。

 きっと、遠巻きに見てる海兵には小さくした仲間は消えたように見えたんだろう。

 『き、消えた!!?』

 とか、漏れ出た声が聞こえてた。まぁ別に気にしない。

 

 全員をベットに移したところでバックを閉じてそのバックも小さくする。そして私はもう一度海兵の脇をすり抜けた。

 

 たしぎは…こっちか

 

 

「…これは命令です…!!」

「…曹長!!限られたチャンスです。奴らが意識を取り戻しては我々の力では…」

「今…あの一味に手を出す事は、私が許しません!!!」

 

 別に捕まえちゃってもいいのにね? そうしたら救出するだけだし。

 あぁ、でも面倒だからこれでいいのか?

 

「な…なぜですか!!?全員揃って今…!! 格好の餌食なんですよ!!?」

 

「ちょっといいかしら?」

「!!?」

 海兵の肩に手を当てて後ろから声をかけた。たしぎは…。

 メガネが片方割れたからつけてないんだね。私の顔、わかんないんじゃない?

 

紅髪(くれない)?」

 声と、髪の色…かな。よかった気づいてくれたみたいだ。あれ?海兵がいなくなったわね?

 ……速いなあいつ…。今の一瞬で、たしぎの後ろまで移動してやんの。

 

「私の事忘れてない? 全員揃って……じゃなくて悪かったわね。」

 なるほどね。さっきの見張りは私もあそこで気を失ってると思ってたのね?だからビックリして道を開けてくれたわけだ。うん、納得。

 

「たしぎ。悪いんだけどこれ、上司(スモーカー)に渡しといてくれる?」

「!…手紙…!!?」

 たしぎは驚いて、というか訝しげに手紙と私を交互にみてる。

 

「別にたいした内容じゃないわ。あなたにも関わる事だから読んでもらってもかまわないわよ?ただしちゃんと渡して頂戴ね? それこそ会ったらすぐにでも…。それじゃあね!」

 それだけ言って海兵がいない方へと歩き出す。

 

「ちょっ…待ちなさい!」

 あれ?見逃してくれんじゃないの? まぁ別にいいけどね。どの道止まるつもりはないし。

 

 当然、海兵が追ってくるけど…残念ね。

 

 角を曲がったところで私は王宮へと飛んだ。

 

 今度は聞こえなかったけど、きっと『消えた!』って騒いでるだろうな。

 

 

 

 

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