イムの娘(いむのこ)   作:槙 秀人

134 / 385
 短めです。






03-124話:侵入者

 ルフィに地下宮殿から連れ出された後、ロビンはエルマルの港まで移動していた。

 移動には、バンチを使った。

 これが最後の仕事と理解しているのか、パンチはロビンを下ろすと身に着けていたモノを全て外し、海に消えた。

 パンチを見送った後、ロビンはメリー号に忍び込んでいた。

 

「とりあえず、シャワーでも浴びておこうかしら。」

 女部屋があり、そこにから着替えを拝借する。

 箪笥は複数あったが、服のサイズは1つだった。

 女性は2人居たはずだと思ったが、体のサイズは同じという事だろうか?

 

 ベットは2つ置かれていた。王女が乗っていたのだから数が合わない気もするが、しかし、置かれている場所を見る限り、3つ並べられていた様にも見て取れる。

 

「……」

 考えるのは後にしよう。とりあえず服を着替えたい。傷の手当もしたいし…

 女性部屋に救急箱がある事を確認して、ロビンはバスルームへと移動した。

 

 シャワーを浴びていると、人の気配を感じた。すぐに消えた為、気のせいかとも思ったが…。

 

 バスルームから出てみると、拝借したものとは違う服が置かれていた。

 やはり、人の気配がしたのは気のせいではなかったようだ。

 

 まず、目に飛び込んだのは、綿毛のようなものが入ったビニールだ。

 メモが貼り付けてある。

 

 ”この綿毛を傷に当ててみて”

 

「……何のまじないか分らないけど…。」

 

 ロビンは書かれているとおり、ビニールから綿毛を取り出して、傷口に当ててみた。

 すると…

 

 ― パァッ ―

 と、光ったかと思うと綿毛が消えた。傷も一緒に…

 

「!!?」

 驚いた。

 何が起こったのか分らなかったが、少なくともこれを置いた者に悪意はないだろう。

 何しろ、一瞬にしてクロコダイルから受けた傷が全快したのだから。

 

 驚いてもばかりいられない。まずは服を着よう。

 

 下着も上下、新品がそろえられていた。しかもこれは…

 

「F-RONPの……しかもこれっ、オーダーメイドじゃない!?」

 

 またも驚かされていた。天竜人が騒いだことで有名になったブランド品だ。身に着けてみればサイズはピッタリ。

 間違いなく自分の為に造られたものだとわかる。

 

「いつの間に!?」

 上下ともにサイズはピッタリだった。採寸された覚えなどまったくないのだが?

 それにしても…

 なるほど確かに、噂に違わぬ着心地だ。

 

「ありがたく、使わせてもらうわ。」

 誰にともなく、ロビンは呟いた。

 

 同じブランド品のワイシャツとパンツも揃っていた。なんだか至れり尽くせりだ。

 

 さて、寝床を探しておかないと…

 

 さっきの気配からすると、別にそのまま乗り込んでしまっても問題はなさそうな気もするが、一味全員が納得してくれるとも限らない。この国を出てから顔を出したほうが良いだろう。

 

 再び女部屋に戻ると、ベットが3つに増えていた。寝具も一式揃っている。

 

「……」

 

 その寝具は、明らかについ最近用意されたものだとわかる。

 

「ここに居て…いい…みたいね…。」

 寝床も確保できた…と。

 

 ― キィ… ―

 

 突然、後ろでドアが開く。

 

「!!?…まぁ、かわいい…」

「がう!」

 小さなトラ猫が台車を引きながら入ってきた。その上には袋が置かれている。

 

 開けてみると、5日分の食料と、今さっき身に着けたのと同じ下着が2組。そして色違いの服が入っていた。

 

「考えてることが、完全に読まれてるみたい…」

 なんだろう、この気持ちは?

 不安と…、苛立ち……?

 

「一体、なんのつもり!? 何でこんなことをするの!!?」

 虚空に向かってロビンは叫んでいた。自分でも珍しいと思う。しかし…

 

 ここまでされると逆に不安になる。歓迎されたことなどこれまで一度としてなかったのだから……。

 

「あなたは……誰なの!?」

 今度は静かに呟いた。もちろん答えるものなどおらず…

 

「がう?」

 足元でトラ猫が首を傾げるだけだった。

 

 ロビンの脳裏には、地下から自分と国王を救い出した少年と、変装していた、本当は赤い髪の少女の姿が浮かんでいた。

 

 

 ー 何でおれがお前の言う事聞かなきゃいけねェんだ…!!! ー

 

 ー 私はきっと、あなたの夢の ”味方” になれると思うわよ? ー

 

 

 最初の1日は、ソワソワとして過ごした。

 

 残りの数日は慣れてきたのか、いつもの調子に戻っていた。

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。