ルフィに地下宮殿から連れ出された後、ロビンはエルマルの港まで移動していた。
移動には、バンチを使った。
これが最後の仕事と理解しているのか、パンチはロビンを下ろすと身に着けていたモノを全て外し、海に消えた。
パンチを見送った後、ロビンはメリー号に忍び込んでいた。
「とりあえず、シャワーでも浴びておこうかしら。」
女部屋があり、そこにから着替えを拝借する。
箪笥は複数あったが、服のサイズは1つだった。
女性は2人居たはずだと思ったが、体のサイズは同じという事だろうか?
ベットは2つ置かれていた。王女が乗っていたのだから数が合わない気もするが、しかし、置かれている場所を見る限り、3つ並べられていた様にも見て取れる。
「……」
考えるのは後にしよう。とりあえず服を着替えたい。傷の手当もしたいし…
女性部屋に救急箱がある事を確認して、ロビンはバスルームへと移動した。
シャワーを浴びていると、人の気配を感じた。すぐに消えた為、気のせいかとも思ったが…。
バスルームから出てみると、拝借したものとは違う服が置かれていた。
やはり、人の気配がしたのは気のせいではなかったようだ。
まず、目に飛び込んだのは、綿毛のようなものが入ったビニールだ。
メモが貼り付けてある。
”この綿毛を傷に当ててみて”
「……何のまじないか分らないけど…。」
ロビンは書かれているとおり、ビニールから綿毛を取り出して、傷口に当ててみた。
すると…
― パァッ ―
と、光ったかと思うと綿毛が消えた。傷も一緒に…
「!!?」
驚いた。
何が起こったのか分らなかったが、少なくともこれを置いた者に悪意はないだろう。
何しろ、一瞬にしてクロコダイルから受けた傷が全快したのだから。
驚いてもばかりいられない。まずは服を着よう。
下着も上下、新品がそろえられていた。しかもこれは…
「F-RONPの……しかもこれっ、オーダーメイドじゃない!?」
またも驚かされていた。天竜人が騒いだことで有名になったブランド品だ。身に着けてみればサイズはピッタリ。
間違いなく自分の為に造られたものだとわかる。
「いつの間に!?」
上下ともにサイズはピッタリだった。採寸された覚えなどまったくないのだが?
それにしても…
なるほど確かに、噂に違わぬ着心地だ。
「ありがたく、使わせてもらうわ。」
誰にともなく、ロビンは呟いた。
同じブランド品のワイシャツとパンツも揃っていた。なんだか至れり尽くせりだ。
さて、寝床を探しておかないと…
さっきの気配からすると、別にそのまま乗り込んでしまっても問題はなさそうな気もするが、一味全員が納得してくれるとも限らない。この国を出てから顔を出したほうが良いだろう。
再び女部屋に戻ると、ベットが3つに増えていた。寝具も一式揃っている。
「……」
その寝具は、明らかについ最近用意されたものだとわかる。
「ここに居て…いい…みたいね…。」
寝床も確保できた…と。
― キィ… ―
突然、後ろでドアが開く。
「!!?…まぁ、かわいい…」
「がう!」
小さなトラ猫が台車を引きながら入ってきた。その上には袋が置かれている。
開けてみると、5日分の食料と、今さっき身に着けたのと同じ下着が2組。そして色違いの服が入っていた。
「考えてることが、完全に読まれてるみたい…」
なんだろう、この気持ちは?
不安と…、苛立ち……?
「一体、なんのつもり!? 何でこんなことをするの!!?」
虚空に向かってロビンは叫んでいた。自分でも珍しいと思う。しかし…
ここまでされると逆に不安になる。歓迎されたことなどこれまで一度としてなかったのだから……。
「あなたは……誰なの!?」
今度は静かに呟いた。もちろん答えるものなどおらず…
「がう?」
足元でトラ猫が首を傾げるだけだった。
ロビンの脳裏には、地下から自分と国王を救い出した少年と、変装していた、本当は赤い髪の少女の姿が浮かんでいた。
ー 何でおれがお前の言う事聞かなきゃいけねェんだ…!!! ー
ー 私はきっと、あなたの夢の ”味方” になれると思うわよ? ー
最初の1日は、ソワソワとして過ごした。
残りの数日は慣れてきたのか、いつもの調子に戻っていた。