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「今夜!?」
「そう」
「ここ出るのか…」
お風呂から上がった後、私たちは寝所としている部屋で、この国からの出航について話し合っていた。
「ま、おれも妥当だと思うぜ。もう長居する理由はねェからな。」
「…そうだな。海軍の動きも気になる。」
「…」
「ルフィ!お前が決めろよ」
「よし!も一回アラバスタ料理食ったら行こう」
「すぐ行くんだよバカ野郎!!」
ゴゴゴン!! 全員に殴られるルフィ。
「ぐあ…!!!」
一方、アラバスタ城内では…
「どうしましょうイガラムさん……!!」
「すぐに彼らに伝えねば…!!」
「ああ勿論だ。しかし、これは大変な事になってきた。 無事にこの島を出れるとよいのだが…」
「なんという手回しの早さ…!!!」
チャカとペル、イガラムの3人が騒いでいる。原因は新たな手配書だ。
「この額ならば、『海軍本部』の”将官”クラスが動きだす…!!」
『麦わら』 モンキー・D・ルフィ 懸賞金1億4千万ベリー
『
『海賊狩り』 ロロノア・ゾロ 懸賞金 7千万ベリー
「…もう後には退けんぞルフィ君…!! 君達は…”七武海”の一角を落としたのだ!!!」
イガラムが寝所へと走る。
「大変ですぞ!!!」
ドアを開けると、窓の外を眺めるビビだけが居た。
「…!? ビビ様…!!」
「……」
「彼らは…!!?」
「なあに?イガラム…そんなに慌てて…」
イガラムの手には3枚の手配書が…
「ルフィ君達は…どこへ…!!?」
「海よ? 海賊だもん」
~ ~ ~ ~ ~
「ん―…快適だ」
「砂の国ともお別れか…おれ様を筆頭に大変な戦いだったなァ。…おいルフィいつまで食ってんだ!」
「アラバスタ料理は最高だぞ。サンジ、今度作ってくれよ。」
「ああ、おれも興味があってな。テラコッタさんにレシピをもらってきた。香辛料も少しな。」
ゾロ、ウソップ、ルフィ、サンジが話してる。
「……ナミ?……」
「………」
ナミがずっと俯いているのをチョッパーが心配してるけど…
「ナミ!!肉一コやろうか?一コだけ!」
ルフィも心配してるみたい。ルフィが食べ物をすすめるなんて余程の事なんだけど…
「…ナミさん。…ビビちゃんの事だろう…?気持ちはわかるよ…でも…考えたって始まらねェ。…そりゃ、あれだけ仲良くしてたんだもんな。…だけどホラ、顔を上げなよ…」
サンジも心配してる。
ウソップとゾロも神妙な顔してるけどさ?
あんた達なにか勘違いしてません?
「私…諦める…。ビビの為だもんね…10億ベリー」
― ドカァン!! ―
まるでコントのような音が鳴り、私とナミ以外の全員がズッコケました。
ズッコケながらもウソップは、ナミにツッコみ入れていた。
「っったりめェだァ!!!!」
「金の話かよ!!!」
ゾロとルフィが怒鳴ってますけどねぇ…
私に言わせりゃ勘違いしたあんたらが悪いんだよ!
「うわー!!ウソップが落ちたァ!!」
超カルガモから落ちたウソップを剃刀で拾い上げ、元に戻した。
「って、おめェは何落ち着いてんだァ!!」
え~、何で助けてあげたってのに、私が怒鳴られなきゃならないの?
「なによもう!せっかく助けてあげたのに…」
もう、落ちても助けてやんねーかんな!
「ナミ!!てめェ紛らわしいマネしてんじゃねェぞ」
「? なに騒いでんの?あんた達。ビビの事なら心配したって仕方ないでしょ?」
宮殿では…
「カルー!!カルーはおるか!?」
「クエ~~?」
「ムダよイガラム」
「なぜです。せめて自分達の立場を教えてやらねば…!!」
「カルガモ部隊に送らせてるから…いくらカルーでも追いつけないわ。 ― それに同じよ」
「何がです!?」
「
「しかし……ア…ああ…そうです…そうでした。明日は国中にあなたの声をお聞かせせねば」
「わかってる。おいでカルー。一緒に寝よ」
「クエ」
部屋を出るイガラム。
「…」
「イガラムさんっ 我々は…何をすれば…」
「ん~~どうも腑に落ちん ……あっさりしすぎている…」
「何です…!?」
「ん~~~…」
「……」
部屋の外からビビの言葉を聞いていたペルは、一人だけ落ち着いていた。
恐らく、ビビ様は彼らが去るときに何か話をされたのだろう。
ならばもう…何も心配する事などない。
レインディナーズからここまでという短い間ではあったが、私は彼らが信頼出来る者だと断言できる。
もしも、ビビ様が彼らと共に行かれるとしても、心配などは不要だろう。
「ペル、お前は何を笑ってるんだ?」
「いや、別に…」
「「?」」
「静かね…カルー…こんな静かな夜は…久しぶり…」
カルーはすやすやと眠っている。
「ここには夜中に食べ物を求め彷徨う船長さんも、夜な夜なトレーニングを始める剣士も…、寝ぼけて枕を投げてくる航海士も……誰もいない」
*--*--*--*--*
”電伝虫? 誰から…?”
”「ボンちゃん」という…方です。”
「『ボンちゃん』…誰だ?」
「誰も知らねェぞ…」
「 ― ですが、友達だと言いはるので……」
「Mr2じゃない? 確かあの人、”ボン・クレー”って名前じゃなかったっけ?」
そういえば…ロビンは大丈夫なのかしら?いきなり動き出したんだろうからビックリしたんじゃないのかな?
「…まァ…話してみよう」
「ワナかも知んねェぞやめとけ」
『モシモシィ!!?モッシィ!!?がーっはっはっはっは!!!!あァちしよォ~~う!!! あ・ち・シ~~~~~!!!』
「…………」
ガチャン
と、サンジが切った。
『アッ』
すぐさま電伝虫が鳴る。
「何だよ!!!」
サンジが電伝虫のベルに怒鳴っている。すると、受話器をルフィが取った。
「おう、オカマか!? おれ達になんか用か?」
『あら!?その声は”麦わら”ちゃんね~い!?アンタ強いじゃな~い!!?あちしびっくらコイたわ!!そーそー”Mr2”ってあちしの事呼んじゃダメよ。電波が海軍につかまったらあちし大変だから!!』
「今、自分で言ったぞ」
「用件を言え」
『あ…そうそうアンタ達の船あちしが貰ったから!』
「フザけんな!!!」
そうだよね?貰ったって言われたらそうなるよね?
ボンちゃんもさぁ…ちゃんと言葉を選びなさいよ!
「この野郎ジョーダンじゃねェぞ!!今どこだ!!」
『アンタ達の船の上ェ~~~』
「よりによってコイツ……!!!」
『違~うの、違~~うのよう!!! あちし達……友達ジャナ~イ?』
「サンドラ河の上流にいる…信用できると思うか?」
「一度は友達になったんだけどな…」
「お前ならまたなれそうで恐ェよ」
「でも…どのみち行くしかないと思うわよ?」
「そうだな、船を取られてる。おれ達をハメようってんなら…そん時ァブチのめすまでだ。」
「そうと決まりゃ、さっさと仕度だ…」
私たちが荷造りしている間、ビビはずっと下を向いて考え込んでいた。
そして、荷造りが完了しようとする辺りで、ビビが悲痛な声を出す。
「ねえみんな」
「ビビ!?」
「…ねぇみんな…私…どうしたらいい…?」
ナミが散々悩んだ挙句、ビビに提案を聞かせる。
「よく聞いてビビ。『12時間』猶予をあげる。私達はサンドラ河で船を奪い返したら、明日の昼。12時ちょうど!!『東の港』に一度だけ船をよせる!!おそらく停泊はできないわ…。あんたがもし…私達と旅を続けたいのなら、その一瞬だけが船に乗るチャンス!!その時は歓迎するわ!!海賊だけどね……!!」
「君は一国の王女だから、これがおれ達の精一杯の勧誘だ」
「来いよビビ!!絶対来い、今来い!!」
「やめろってルフィ!!」
「行くぞ」
「何だよお前ら、来てほしくないのか!?」
「そういうんじゃねェだろ。ビビが決める事なんだ!!」
「……」
ロープをつたって、みんなが下に降りる。最後は私だ。
「ビビ…」
そっと、ビビを抱きしめた。
「…イオリさん?」
ビビがカブりを振る。そして別の名を呟く…
「ユナ…」
じゃあね…。
心の中でつぶやいた。
ビビの出す答えは知ってる。原作知識だけど…。
でも私たちは友達だから。
…また…遠くない未来に必ず…ここに来るから…ね!
「あっ…」
ビビから離れ、私は月歩でみんなの後を追う。
~ ~ ~ ~ ~
明日の昼12時…東の港なら…カルーの足で4時間…ここを8時に出れば間に合う…
自分が海賊になるなんて…考えたこともなかった…
そんな人生の選択なんて、この期を逃したら、もう一生有り得ない。
そういえば、ユナが昔…
”海賊とかになっちゃうかもね?” って言ってたっけ…。
あの時私は…
”…海賊って…犯罪者にわざわざなるの?” って言ったんだっけ。
あの時は…海賊=犯罪者って思ってた…
でも…今なら…
クロコダイルのようなモーガニアではなく、ルフィさん達のようなピースメインの海賊になら…
なってもいい…
なってみたい… そう思う…
でも…
王女である事をつまらないと思った事はないし、反乱は終っても…国はまだ大変な時期…
「…私が行くなら…あなたも行くわよね…ねぇカルー……あなたは…どうしたい?」
~ ~ ~ ~ ~
「ん待っっっっっっってたわよアンタ達っ!! おシサシブリねいっ!!!!」
ボンちゃんが見張り台の上に乗って迎えてくれたけど、見事に全員がスルーしていた。
「さァ着いたぞ………」
「よ―し荷物を下ろせ。ありがとなお前ら」
「クエー グエー クエエ」
「お前達ともここでお別れだ…」
「気ィつけて帰れよ」
「王とかちくわのおっさん達によろしくなァ!!!」
「クエ~~~~ッ!!」
「元気でなァ~!!!」
「また…!!…また!!いつの日か必ず会おうなァ~~!!! ― ってちょっと待てやァ!!!」
無視されっぱなしのMr2が割り込んできた。
それにルフィが答える
「何だよ!!」
「何だよじゃナーイわよ―う!!! そーゆー態度ってヨクないんジャナ~~イ!!?ダチに対して!!」
「ダチって何だよ。お前、敵だったんじゃねェか!ダマしやがって」
「ダマしてないわよーう!!あちしも知らなかったのよーう!!! ―でもまァ…もういいジャナイそんな事」
「オイ横にずれろ」
荷物を運ぶゾロがボンちゃんのすぐ脇を通る。
「あ、ゴメンねい B・W社は滅んだの。あちし達はもう敵同士なんかじゃない…」
「敵同士じゃなくても何でお前おれ達の船に乗ってんだよ」
「はふー、コノスットコドッコイ」
「何だと!!?」
「いィい!? あちしが今この船に乗ってなかったら、この船はドゥーなってたと思ってんの!?」
「海軍に奪われてたかもね」
ナミが横槍を入れる。それを聞いてルフィは驚いていた。
「かもねじゃないわ!!確実にやられてた!!今この島がドゥーいう状態にあるか知ってる!!?海軍による完全フーサよ!!!封鎖っ!!!スワン一羽も逃げられない」
「…じゃあお前…海軍からゴーイングメリー号を守ってくれたのか…?」
「なぜだ!!」
「何で!?」
ルフィが、ウソップが、チョッパーが、驚愕しながらボンちゃんに問いかける。
「友達、だからよう」
「やっぱりお前はイイ奴だったんだァ!!!」
「ジョーダンじゃなーいわよーう!!」
「ジョーダンじゃなーいわよーう!!」
結局、ゾロが思った通りにも一度友達になったルフィ達…
私は少し呆れながら肩を組んで踊る4人を見ていた。
「荷物まだある?」
「いや、これが最後だよ」
ナミは完全にスルーしてる。サンジも同様だ。会話は聞いてるみたいだけど…
「 ― つまり、Mr2…海軍の「海岸包囲」によってお前らも島を出られなくなり… 味方を増やそうと考えたわけだな?」
ゾロが冷静にツッコンだ。
「ドキっ!!」
「ボンちゃーん!!」
「そうよ!!?こんなときこそ!!!こんな時代だからこそ!!!つどえ!!!友情の名の下に!!! 力を合わせて戦いましょ~~う!!!」
「「「うおおおおお!!」」」
「……もお」
「よろしくお願いしまーす」
Mr2の船から声がした。
「いたのかよっ!!!」
ゾロがツッコみを入れていた。
ゾロはああいってたけど、仲間を増やそうと思ったからと言って、メリー号を海軍から守ってくれた事は事実である。
だからだろう。4人で踊っていてもそれほど怒っていないのは…
もっとも、ロビンが乗り込んだ後であれば、小さくして、収納貝に入れて置くって手もあったんだけどね?
何故そうしなかったかと言えば、ルフィとボンちゃんに友達になっておいてほしかったからである。
だから私も呆れながらも何も言わないでいるのです。
明日は、いよいよアラバスタともお別れだ。
さて、どうなりますやら…