「ヒナ嬢っ!!!やつらの船ですっ!!!サンドラ河上流よりっ!!!」
「戦闘準備」
黒檻のヒナによる、『麦わら一味捕縛』作戦が開始される。
~ アラバスタ宮殿 ~
「イガラム私っ!!! 海賊女王になるのっ!!」
「アァアァ」
イヤな夢を見て、イガラムが飛び起きた。すぐさまビビの寝所に向かう。
「ビビ様ァ~~~!!!」
ドアを開けて飛び込むと、そこには着替え中のビビが居た。
「……あら、イガラムおはよう。どうしたの汗だくよ?」
「コラコラッ!!アンタ何勝手に入って来てんだい!!ビビ様は今、お召し替え中だよっ!!」
侍女とテラコッタさんが、イガラムを邪魔ものを見る目で見ていた。
「…………は…はへ?あァ……いえその…お…お早うございます」
「うん。何か用?」
「……いえ」
「出てきなっつってんだろアンタァ!!!」
「……………!!」
テラコッタさんに叩き出されるイガラム。
「……イタタ……… おや、国王様そこにいらしたので? おはようございます」
「ああおはよう。テラコッタさんは恐いなイガラム」
自分と同じくタンコブを拵えた国王がそこに居た。
「アンタ何しとったんだ!!!」
「ん~~っちょっと締めすぎじゃない?テラコッタさん」
「こういうモノです!王女の正装とは…… ― もう、広場は人でいっぱいですよ」
「ホント?」
「ビビ様のスピーチは10時からだと言ってあるのに、全くみんな気が早くて… …まあでも、それもわかりますけどね…。なにせ…2年も待たされた「立志式」…」
「………」
「本来あなたが14歳で済ませなければならなかった式典です。」
「……でも私…そんな大した事は………」
「…ええ…言えなくてもいいんです。みんなにあなたの成長を見せてあげれば、それでいいの。 『立志式』はあなたが大人になった事を祝う式典ですから。 この時期にあえて、これを行う王の気持ちもお察しあれ」
「………………」
「そうそう…今日のビビ様のスピーチは、電伝虫と拡声器を使ってアラバスタ全土に放送するとか…」
「イガラムさん…港で戦いが始まったと報告が…」
「…そうか…」
「……こうなってしまっては、もはや我々が手を出すわけには…」
「問題無いと思いますよ?彼らは我々が心配するほど弱くはありません。」
何せ…一人、規格外の方がいらっしゃいますから…
「「?」」
~ タマリクス沖 ~
「撃て撃てぇ!!!」
「まったくジョ~~ダンじゃナ~イわよ~う!!!」
「くっそ~~~!!砲弾で来い!!! 跳ね返してやるのに!!」
「ムダ口はいいから、ちゃんと防ぐ!!!」
海軍からは鉄の槍が打ち込まれている。
「来たァ!!!」
ドドドと砲撃の音がして、鉄の槍が飛んでくる。
「ウソップ、チョッパー!、そっちは大丈夫?」
「こっちの面はまかせろっ!!」
「まかせろ!!」
「にゃろ!!!」
「……く……!!!」
「オラァ~~!!!」
船の左片面にはウソップとチョッパーが私の作った大型の盾でカバー。
そしてもう片面を私たちで守る。
ぶっちゃけ、このために作った盾だからね。『角質の粒子』で、2枚作っておいたのよ。
私だったら一枚でも片面いけると思うんだけど、けっこうな重さだから二人に動かすのはムリっぽい。
もう少し大きく(1枚で片面を覆えるくらい)作っとけばよかったかも?
結果、片面は自力で守るしかなくなった。
しかもなぜか、攻撃されるのはメリー号だけだ。これはあの二人のしわざかな?
だからだろう。ボンちゃんもこちらの船に乗って防御を手伝ってくれている。
「ちょっとあんた達なんとかしてよ!!」
「8隻相手じゃ手数が違いすぎる!!守るのに精一杯で攻撃できねェ!!」
「白兵戦ならこっちの分があるってのに!!」
「追おうが逃げようが…コイツら絶対にこの陣形を崩さねェ!!」
「ウソップ、ちょっと貸して!」
私はウソップの持ってる盾をロープで船に固定した。あまり長い時間は船に負担がかかりそうだから持っててもらったけど、少しくらいなら大丈夫でしょう。
「ウソップ…あいつら(ジャンゴとフルメタルの船を指さし)撃っちゃってっ!」
「お…おう、まかせろ」
「黒折部隊名物『黒ヤリの陣』てめェらごときに破れるかァ!!! アホ―!!!ア~~~ホ~~~っ!!!」
「おいおいっ!!催眠術師!!お前海賊だろうが!!!」
「左の奴誰だっけな……」
「ここで会ったが100年目だ!!あの忌々しい暴力コックとその一味…!!!今日ここで沈めてやる!!! おれはパワーUPしたんだぜ」
「さァこの輪をじっと見ろ!今日こそおれが変じゃねェ事を証明してやる!!!ワ―ン…」
― ボウン!! ―
「ぐあァ」
ウソップの撃った砲弾がジャンゴの船に直撃する。
「兄弟!!」
― バキッ!! ―
「ぐあァ」
そして、メインマストが折れて、フルメタルの船を直撃した。
よっしゃ!原作通り!!
「あーあー」
2隻が沈むのを見て、ルフィが呟く…
「あーあー」
撃ったウソップ本人が、2隻同時に沈んだのを見てびっくりしてる。
「ウソップ、お前かァ!!スゲェな!!!」
「よ…よォし!!計算通りだ。おれにかかりゃあんなモンああだぜ!!」
これで、私が居なくてもなんとかなりそうな感じよね?
「鼻ちゃんスゴイわ!!やったわねい!!南の陣営が崩れたっ!!! あそこを一気に突破よう!!!」
「ボン・クレー様大変です!!」
「ナ~~~ニよ―う!!!」
「”黒檻”です」
「ウゲッ!!」
「何なんだ!!?」
「”黒檻のヒナ”この海域をナワバリとする本部大佐よう!! 厄介な奴が出てきたわ!!!さっさとトンズラぶっコクわよう!!」
「ハッ!!Mr2・ボン・クレー様!!!」
*--*--*--*--*
「ずいぶん手こずってるようね……」
「我らの”黒ヤリの陣”で囲っていたのですが……」
「…なかなか骨のある連中みたいじゃない…… 船を横につけたら、あなた達は下がってなさい。 足手まといになるから…ヒナ迷惑」
「はッ!!」
*--*--*--*--*
「何やってんのアンタ達ィ!!!逃ィ―ゲルのよう!!! あの南の一点を抜ければ被害を最小限に逃げ出せるわ!!!このまま進めば必ずやられるわよう!!?」
「行きたきゃ行けよ。私たちはダメだ。」
「ダメだってナニが!!?」
「ボン・クレー様急いで下さい。私たちだけでも逃げましょう!!」
「”東の港”に12時…!!約束があるの。回り込んでる時間はないわ。つっ切らなきゃ。」
「ハン!!…バカバカしい!!!
命はる程の宝でも港に転がってるっての!?勝手に死になサイ」
「仲間を、迎えに行くんだ!!!」
”仲間の為!!?”
~ ~ ~ ~ ~
「私に聞きたいことがあるみたい?」
「!!?」
突然背後に現れた気配に、ヒナは驚愕した。
「
振り返ると、今捕縛しようと向かう船に乗っているはずの海賊がそこに居た。
「いつの間にっ!?」
「今さっきよ? 剃刀で…ね。」
驚いた。どうやらこの女海賊は六式を使えるらしい。頭が回るだけでは無いということか…
しかしここは自分の船。しかも相手は一人だ。すぐさまヒナは落ち着きを取り戻した。
「わざわざ出向いてくれるなんてね。ちょうどいいわ。捕まえてあげる。」
腕を伸ばし、それにイオリをすり抜けさせる。オリオリの実の能力によりイオリは錠で捕縛された。
はずだった。
”ガチャンッ!”
「!!?」
イオリを捕まえていた錠が床に落ちる。
「無駄よ。あなたに私は捕まえられない。」
「なっ!?」
イオリにしてみれば造作も無い。自分を縮小するだけで、錠は簡単に外す事が出来るのだから。一瞬で、部分縮小をしている為に、見ている者からすれば、ロックしたはずの錠だけが床に落ちたように見えるだろうが…
「もう…何よ!!聞きたいことがあるみたいだから、わざわざ来てあげたのにさ。まぁいいわ。一応答えておくけど、『単に手柄を譲る為』よ。他に意味は無いわ。…これで、いいわよね?」
周りの海兵は話か見えてないようだった。ヒナはヒナで目を丸くしてる。
普段ならば、『おどろいたわ、ヒナ驚愕』などと軽口を叩くところだが、驚きのあまり言葉が出てこない。
「それから、何で私がこんなことをわざわざ言いに来たかっていうと、そんなささいな疑問の為に追い回されるのは迷惑だからよ? ここで捕まえられなかったらスモーカーよろしくあなたまで、私らを追って新世界までくるつもりだったでしょ? わざわざ疑問を解消しに来たんだから、そんなことはしないでよね!」
次いで言われてしまい、さらに言葉に詰まる。何もかもお見通し…!?
「それじゃ、私は戻るから。」
言って、彼女が月歩で宙に舞う。そして剃刀で移動。
「あっ、待っ…!」
ヒナが言葉をかけたときには、もうイオリは敵船に戻っていた。
ヒナは考える…
でもなぜわざわざそんな事を言いに来たのだろう?それも言葉通りなのだろうか?
今のやりとりからするに、彼女は見聞色が使える。それも普通の見聞色でなく、思考を読むという上位版が…である。
それは海軍にとって脅威となるに違いない。
しかし…
ヒナは自身の考えに苦笑した。彼らが悪者とはどうしても思えない自分に気づいたから…。
スモーカーが言っていた。『悪名上げてどんどん駆け上がっていく。』
彼らが上げたのは、はたして悪名だったのだろうか?と…
「フッ… スモーカー君以外で気になるヤツなんて…。はじめてだわ…」
ヒナは、自嘲気味に呟く自分の声を聞いていた。
~ ~ ~ ~ ~
「ボン・クレー様……!!?」
「―」
「……ここで逃げるじゃ、オカマに非ず!!!」
「!?」
「?」
「命を賭けて
「…………!!!」
「いいか野郎共及び麦ちゃんチーム、あちしの言う事よォく聞きねい!!!」
「ヒナ嬢!!! 奴ら2船に別れました!!『あひる船』が南下!!!」
「『あひる』はどうせ囮でしょ?」
「いえ…それが………!!! 麦わらの一味は全員『あひる船』に乗っています!!!
ヒナ嬢!!囮は『羊船』のほうです!!!」
ヒナが双眼鏡で確認すると、確かにMr2の船に麦わらの顔が見えた。
羊船はその場に泊まっている…
「……… 追いなさい、すぐに!! もう一度陣を組むのよ!!」
が…、そう言いながらもヒナはそれがワナだと判っていた。
「3分経った…!!いくわよ、全速前進!!」
メリー号が動き出す。
「が―っはっはっはっはっはっはっはっはっ アンタ達のお探しの”麦わらのルフィ”ってのは…… あちしの事かしら!!? なんてねい」
「!?」
「ヒナ嬢!! 『羊船』が東へ抜けます!!」
「……」
「が―っはっはっはっはっはっはっはっは!! ヒッカカッたわねい…
あちし達は”変装”のエキスパート そして、麦ちゃん達の友達………!!」
「!!?」
”男の道をそれるとも、女の道をそれるとも、踏み外せぬは人の道
散らば諸友 真の空に
咲かせて見せよう オカマ道”
「かかって来いや!!」
「…………!!!ヒナ屈辱」
部下の手前…そう言わざるを得なかったが、ヒナは別段悔しいとは思わなかった。
『
「ボンちゃん!!」
「おれ達…お前らの事、絶っっ対!! 忘れねェがらなァ~~~~!!!」
ルフィ、ウソップ、チョッパーはわかるけど、サンジまで号泣してるよ…
確かに友情を築いたのはサンジなんだけど、あなたオカマ嫌いじゃなかったっけ?
メリー号は、ほぼ無傷だから、別に陽動は必要なかったんだよねェ~。
だけど…
ボンちゃんには悪いけど、ここで捕まってもらわないと今後に影響するのよね?
ちょっとの間だから我慢しててちょうだいよ!!
”散らば水面に いとめでたけれ 友の華”
その後、Mr2を捕らえてスモーカーに電話した時、『麦わら一味』が逃げた事を彼には嬉しそうだったので腹が立ったのだが…、
それは、自分に対しても向けられた腹立たしさだった。