04-130話:密航者
「もう追って来ねェな…海軍の奴ら…」
「「「ん―…」」」
「つき離したんだろ!?」
「「「ん―…」」」
海は凪、数羽のカモメが空を飛ぶ。海軍を引き離してしばらく…
ゾロが問いかけるも、
「あのなァ…何だよその気のねェ返事は…」
「「「さみしー……」」」
ゾロと私以外、全員めそめそと脱力しております。しかも号泣しとります。
「めそめそすんな!!そんなに別れたくなきゃ、力づくで連れてくりゃよかったんだ」
「ちょっと、ゾロ? こういう状態の時にそういう言い方すると口撃くらうわよ?」
「あァ?」
「うわぁ野蛮人……」
「最低……」
「マリモ……」
「三刀流……」
チョッパー、ナミ、サンジの口撃がゾロを襲う。
最後のルフィのはよくわからんけど
「待てルフィ!三刀流は悪口じゃねェぞ!!」
案の定、ウソップがルフィにツッコみを入れる。
「四刀流……」
「増えてどうすんだよ!!…いいか、ナットウがあるだろ、ナットウにお前腐ってるとか言ってもよ…」
ウソップによるルフィへの説得?が続く…
「ね?」
「……わかったよ。好きなだけ泣いてろ!」
ゾロが呆れて言い放つと扉が開いた。
― ガチャ… ―
「やっと島を出たみたいね…ご苦労様」
「ああ …?」
ゾロが2度見で彼女を見る。
「!!!?」
「!!!」
「……!!?」
突然現れた、B・Wの元副社長に、船上は騒然となった。
そんな最中、ロビンの足元からエルが飛び出し私の肩に乗った。
「組織の仇討ちか!!?相手になるぞ…」
「何であんたがここにいんのよ!!」
「キレーなお姉サマ~~っ!!」
「敵襲~~!!!敵襲~~っ!!!」
「ああああああああっ 誰?」
ゾロ、ナミ、サンジ、ウソップ、チョッパーが叫ぶ。
そういえば、ロビンがメリー号に来たのはリトルガーデンの前だから、チョッパーは会った事ないんだっけ。
「あ!…何だ。お前じゃねェか!!生きてたのか」
ルフィはやっと誰だか気づいたみたい。名前は覚えてないみたいだけど?
「そういう物騒なもの私に向けないで! って前にも言ったわよね?」
「あっ」
「うわ!!手!!?」
ロビンに向かって攻撃態勢を取ったナミのタクトとゾロの剣があっさりと落とされる。さすがだわ。
「あんたいつからこの船に?」
「ずっとよ。 下の部屋で読書したりシャワー浴びたり…」
ナミが詰問する。話しながらロビンはデッキの物置から折りたたみの椅子を取り出した。どうやら潜り込んでからこの船をくまなく調べたらしい。何処に何があるのかわかってる様だ。
「何のつもりよB・W!!」
「……」
「あなたね? いろいろと準備してくれたのは」
ニコニコとロビンを見ていたら、声をかけられた。
「まぁね。ちょっと煩わしかったから出てきてくれて助かったわ。」
「がう」
なんとなくエルが機嫌よくロビンに向かって鳴いた。ロビンもエルにニッコリと視線を返す。
「そのコはあなたの飼い猫?」
「ええ、”エル”っていうの。この子は猫じゃなくて虎よ?」
ロビンが少し驚いた顔を見せた。たぶん、ロビンも私の能力は知らないのだろう。あとで小さくしている事を教えればいいかしら?
「ちょっとイオリ、何よ!あんたまさか…」
ナミが私に詰め寄ろうとしたが、ロビンの言葉に遮られた。
「モンキー・D・ルフィ」
「ん!?」
「あなた、私に何をしたか…忘れてはいないわよね…?」
「?」
「な…ナニっておい、ルフィてめェキレーなお姉さんにナニしやたったんだオォ!!?」
頭の上にクエスチョンマークを浮かべたルフィの胸ぐらを掴んでサンジが詰め寄る。
「おいお前!!ウソつくな!!おれはなんもしてねェぞ!?」
「いいえ、耐え難い仕打ちを受けました。責任…とってね」
「!?」
「? ?」
「あれは…誰で…何なんだ??」
「出てゆきなサーイ 海軍を呼ぶゾ―!!」
サンジに首を絞められながらルフィが責められてる。
ウソップはマストの影からずっとなんか言ってるし…
「意味わかんねェ奴だな。どうしろっていうんだよ」
「私を、仲間に入れて」
「……!!」
「??」
「は!!?」
ビックリするルフィにデレデレのサンジ。ウソップとナミは怒って、ゾロはため息をつく。チョッパーはマストにつかまって疑問顔。私とエルはニコニコ顔。なんともカオスな状況だ。
~ 回想 ~
「早くそれを…飲ませてあげなさい…」
「!」
「クロコダイルから受けた毒を中和できる…」
「……」
「このガレキに埋もれても、ゴムならあるいは…助かるかもね」
「…………」
”記されていないわ ここには歴史しか記されてない”
”なに?”
「なぜ……嘘をついた」
「…知っていたの…?イジワルね…」
「その石にはこの国の歴史など刻まれていない…!! お前達の欲しがる”兵器”の全てが記してあったハズだ…!! …そのありかも… クロコダイルにそれを教えていれば… あの時点で 国はあの男のものになっていた。違うか?」
「興味がないの…国や人間が死のうが…生きようが… 私にはそんな事どうでもいい。
もとよりクロコダイルに”兵器”を渡す気もなかった。」
「わからんな…ならばなぜここへ来た」
「”予想”と…”期待”は違うものよ。私が求めていたものは…”
「!?」
「世界中に点在する”歴史の本文”の中で唯一”真の歴史”を語る石…!!!」
「”真の歴史”……? …どういう事だ…!!」
「…もういいの…20年…探し続けてこれ以上の”歴史の本文”の情報はない。…ここが最後の希望だった。 そして……ハズレ…ここでこのまま死ぬならちょうどいい…この道で生きて行く事に私は疲れた… ―ただ”歴史”を知りたいだけなのに…」
「…!!!」
「私の夢には ― 敵が多すぎる…」
えっ!!?
言って、ロビンは驚いた。今の言葉と逆の事を言われた事に気づいたからだ。
私の…夢の…『味方』!!?
…あの子は一体…
「!!! 聞くが…もしや…!!!語られぬ歴史は…紡ぐ事ができるのか…!!? その記録が”歴史の本文”だと言うのか!!?」
― ならばなぜ我々は ―
「!!!」
「え!!?」
いつの間にか目を覚ましたルフィが起き上がり、2人を抱えて上を見る。
「よし、登ろ」
「まさか…」
「…ちょっと待って!!私にはもう生きる目的がない…!! 私を置いて行きなさい!!!」
「? なんでおれがお前のいう事聞かなきゃいけねェんだ…!!!」
「「!!?」」
~ 回想 おわり ~
「死を望む私を、あなたは生かした…。それがあなたの罪…。私には行く当ても帰る場所もないの。だから、この船において。」
「何だそうか、そらしょうがねェな。いいぞ!!」
「「ルフィ!!!!」」
ルフィの回答にゾロ、ナミ、ウソップが怒りの声を上げる。
「心配すんなって!!こいつは悪い奴じゃねェから!!!」
満面の笑みでルフィが言い放つ。反対意見は聞き入れてもらえないだろうな。
「そうよ、イオリあんた、いろいろ準備って何!?」
ルフィへの反論は諦めたのか、ナミは私に突っかかって来た。
「彼女の着替えを用意したり、ベットを準備したりとか…かな?」
「はぁ?何それ、いつの間に?」
すごい剣幕で言うナミに私は肩をすくめてみせた。
「ルフィが寝込んでた時よ。本当はメリー号を小さくしてアルバーナに持っていこうかと思ってたんだけど、彼女が入っていくのが見えたからね。いろいろ準備をしてから、そのままにして帰ったのよ。言ったでしょ?『少なからず彼女には興味を持ってた』って。」
「…」
「実は私はね…、彼女が仲間になってくれたらいいなァ…って思ってたのよ!!」
「…な…なに言ってんのイオリ…!! アイツはビビの敵だったのよ?」
「ビビの敵はクロコダイルでしょ?彼女は自分の目的の為に奴に協力していただけよ? 交渉とはいえ、私は彼女からいろいろとB・Wの情報をもらってるし、さらに言えば、ルフィがクロコダイルから受けた毒を中和してくれたのは彼女なんだからね?そもそも彼女から実害はうけてないじゃない?イガラムだって生きてたんだし…。」
原作と違いロビンがやった事と言えばコブラ王を拘束したくらいだ。傷を負わせたのはクロコダイルだし。 アラバスタでのロビンの存在はむしろ私たちにとってメリットしかなかったんだよね?
「……それはまぁ…確かに…」
ナミは納得はしてないようだったけど、とりあえず黙った。
まぁ、ナミはロビンにすぐに懐柔されちゃうんだけどね?
デッキではウソップによる取調べが行われていた。
「8歳で『考古学者』そして”賞金首”に」
「考古学者!?」
「そういう家系なの。その後20年ずっと政府から姿を隠して生きてきた。子供が一人で海に出て、生きていけるわけもなく…色んな”悪党”に付き従う事で身を守ったわ。お陰で裏で動くのは得意よ? お役に立てるはず。」
「ほほう、自信満々だな…何が得意だ?」
「暗殺」
「ルフィ!!!取調べの結果、危険すぎる女だと判明!!!」
ルフィとチョッパーはハナハナの実の能力で遊んでもらっていた。
「聞いてんのかおめェら!!!」
ウソップが2人にキレている。
「軽くあしらわれちゃって情けない。どうかしてるわ!!今の今まで犯罪会社の副社長やってたその女はクロコダイルのパートナーよ!!?ルフィやイオリの目はごまかせても私はダマされない。…妙なマネしたら、私がたたき出すからね!!」
「フフ……ええ…肝に銘じておくわ」
「ナミにはムリだと思うけど?」
そもそも私はごまかされるつもりなんてありませんけど?
「ちょっとイオリ?」
「そういえば、クロコダイルの宝石、少し持ってきちゃった」
ロビンがテーブルの上に麻袋を置いた。”ジャラッ”という音が鳴り、重さを伺わせる。
「いやん!大好きよお姉様っ!!」
すぐさまナミが駆けつけてロビンにピッタリとひっ付いた。
「おいおいおいおい」
「ナミがやられた!!」
「悪の手口だ…」
と言って、ゾロとウソップが2人揃って私に視線を向ける。
「こらっ!!何でそこで私を見んのよ!!」
言ったら視線を逸らしやがった。なんて失敬なやつらだ!!
「ああ恋よ!漂う恋よ 僕はただ漆黒にこげた体をその流れに横たえる流木…雷という名のあなたの美貌に打たれ激流へとくずれ落ちる僕は流木… おやつです!!」
「まぁ、ありがとう」
サンジはあくまでもラブコックだ。まぁ予想の範囲だけどね。
「あれは当然ああだしな」
「ああ、あれはもう最初からナシの方向で」
「おれ達が砦ってわけだ」
「まったく世話のやける一味だぜ!!!」
「ウソップ―!!」
「ア!!?」
「チョッパー」
ルフィが麦わら帽子から手を生やしてチョッパーの顔真似をしてる。真似されたチョッパーも爆笑中。
「ぷぷーっ!!!」
ウソップも引き込まれて、大笑いしだした。
「うひゃはひゃ」
「ギャハハハハ」
「………」
ゾロは怒るというか呆れたような感じでウソップを見ていた。
「…いいわね。…いつもこんなに賑やか?」
「…ああ、こんなもんだ」
「そ」
フフッっと笑うロビンを見てゾロは顔をゆがめた。
― ポン ―
と、私は疑いのまなざしでロビンを見るゾロの肩を叩いた。
「あん?」
「大丈夫よ。ルフィが言ってたでしょ?悪いやつじゃないって…」
「…おめェはそれを信じてんのかよ?」
「もともと私は、彼女に仲間になってもらいたい派だからね。」
「…ずいぶんとカタをもつじゃねェか。そういやおめェはアイツの事詳しいんだっけな?」
「まあね。でも、ゾロは他人の評価よりも自分で判断して納得したいんじゃなの?…それでいいと思うわよ?」
「……」
「航海士さん、ところで…”記録”は大丈夫?」
「西北西にまっすく!平気よロビン姉さん!」
「…お前…絶対宝石貰ったろ……」
「サンジ、おやつまだかァ!!?」
「ちょっと待て!!」
「ナミ、次の島は雪が降るかなァ」
「…あんたまだ雪見たいの」
ルフィの問いに、記録指針を見ながらナミが答える。
「アラバスタからの”記録”をたどると次は確か”秋島”よ」
「秋かァ!!秋も好きだな~!!」
― コツ コツ… ―
「ん? 雨?」
「雨じゃねェ…」
― パラ パラ… ―
「あられか…?」
何を言ってるんだか…よく見なさいよ!どう見たって木片じゃないさ!!
「違うな、何か降って来…… え?」
見上げると、空から大型ガレオン船が落ちてくる。メリー号の10倍くらいはありそうだ。ロビンを含めた全員が驚きと、そして疑問の声を上げていた。
― ドン!! ―
という衝撃で海が揺れる…
「!!!!」
「うううわあああああ」
「掴まれ!!船にしがみつけ!!!」
「何!?これ何!!? ねェ何!!?」
「夢っ!!そうさこれは夢っ!!!」
「夢!??よかったァ!!」
「まだなんか降って来るぞ気をつけろ!!!」
「舵きって舵を!!!」
「きくかよ、この波で!!!」
「ったく、しょうがないわね!!」
「「うぉうっ!!」」
「イオリ!!?」
念動力でメリー号を浮かせた。このままだと転覆しかねない。
とりあえず、この波がおさまるまでがんばろうかな?
しかし、結構重いわね……
「…なぁに? これは…あなたが?」
「まあ…ね…! 結構、集中力と体力を…使うんだけど…ね…」
ロビンが問いかけてきたので答えたけど、なにげにつらい。
これは、今後の為にも能力を鍛えておかないとダメだわね。
「ウソップ??」
ルフィが静かになったウソップを気にしてる。どうやら原作通り目を瞑っているらしい。
てめェは現実逃避なんかしてねェで、ちゃんと状況判断しろや!!ある意味おめェの役目だろが!!
あ~ぁ…骸骨がウソップ直撃コースで落ちて来てくるよ。
「案ずる事なかれ。こうやって落ち着いて目を閉じて―そしてゆっくりと瞼をあげると、 ほーらそこには静かな朝…ぎゃーっ 人骨!!」
「バカ!!投げないでよこっちに!!」
「まだ落ちてくるぞー!!」
「マジか!?…みんな!船を移動するわよ!!落ちないように何かにつかまって!!」
・
・
・
波が落ち着いてきたので、念動力を解いた。
「ふぅ~っ…あー重かったぁ!!」
「イオリ、ご苦労様。助かったわ!」
「何で…空から船が降ってくるんだ…!?」
「奇っ怪な…!!」
「空にゃ何もねェぞ…」
「あ!!!」
「どうしたナミさん!!?」
「どうしよう ”記録指針”が…!!! 壊れちゃった!!上を向いて動かない…!!!」
「違うわ! より強い磁力をもつ島によって新しい”記録”にかきかえられたのよ!! 指針が上を向いているなら”空島”に”記録”を奪われたという事!!!」
「「!!?」」
よかった…原作通りで…
私は一人、ホッと胸を撫でおろした。もちろんみんなには気づかれないようにではあるけれど。
実は勝手にメリーを移動したから心配してたのよね!!