「「”空島”!!?」」
「 ― って何よ!!!」
「浮いてんのか島が!!!」
全員がロビンの言葉に驚いている。3人組(ルフィ、ウソップ、チョッパー)は喜んで、ナミは少し怒っているように感じるけれど…
「あの船やガイコツはそこから落ちて来たのか!!」
「けど、空に島らしきモンは何も見えねェぞ?」
ウソップとゾロが空を見上げながら言うけれど、今は空には普通の雲しか見えない。
「そうじゃないわ…正確に言うと浮いているのは”海”」
「……」
ロビンは確か、行った事はないのよね?
海が浮いているという認識は正しい。理屈はわからないし、あったとしても理解できないけど、『悪魔の実』なんてモノがある世界ですもの、なんでもありっしょ?
雲だから浮いてる。角質の粒子を含んでいるから雨になる事なく上空に存在し続けている。だから船も乗る事ができるし、”島”も乗る。
「海が!!?」
「ますますわかんねェ………」
理解できなくてもそれが実際に存在する以上、認めない訳にはいかない。そういうもんだと受け入れるしかないのです。はい…。
「おおおおおおお!!!」
ルフィとウソップが目をキラキラさせて雄たけぶ。
「空に海が浮いてて島があんだな!!?よしすぐ行こう!!!」
「…何もわからないうちから勝手な事言って…」
ロジャーもこんな感じだったんだろうなァ~… レイリーさん
「野郎共!!!上に舵をとれ!!!上舵いっぱーい!!! ……ぷ……!!!うぷ」
ロビンがルフィのクチを塞いでくれた。
ありがとう!もう少しで蹴りをいれるところだったよ。
「とりあえず上に舵はとれねェよ船長」
サンジが呆れた感じで言ってる。
「正直、私も”空島”については見た事もないし、たいして知ってるわけでもない…」
「そうでしょ!?有り得ない事よ!!島や海が浮かぶなんて!!やっぱり”記録指針”が壊れたんだわ!!」
「いやいや…」
何を言ってるんだろうねこの娘は?この海で散々常識を覆されただろうに、なんでまだ常識に捕らわれるかな?
「いいえ航海士さん…。今考えなきゃいけない事は”記録指針”の故障箇所ではなく、空へ行く方法よ」
「!」
ロビンの言う通りだよ。もっとも…別の記録指針を手に入れるって方法もあるけど、さっきのルフィを見ちゃったし、そもそも私的には行かないといけないのよね?
「何をやってんだよあいつらはまた…」
空から落ちてきた船の上を、ルフィとウソップが走り回っている。それにゾロが気づいて呟いていた。
「探検だって……」
ゾロの問いにチョッパーが答えた。
まったくルフィは、ほんとにもう…
その船もうすぐ沈むわよ?あんた、カナヅチなのに…
「この船がたとえどんな怪奇な事態にのみ込まれようとも…たとえどんなパニックに陥ろうとも…”記録指針”だけは疑ってはいけない。これは
「はい、これ。」
私はナミに、あるの地図を手渡した。
「なによ、これ?」
「ガイモンの島。覚えてる?あそこの宝箱に入ってた地図よ?それ!!」
「”スカイピア”って?」
「何かの文献で読んだことがあるんだけど、”空島”が存在するのは確かな事よ?ロジャーの船でクロッカスさんも行った事があるって言ってたし…」
「えっ!!空島なんて、ほんとにあるの?」
「らしいわよ? ほら、ここ読んでみて。」
私は地図に書かれた落書きの様な文字を指さした。
「『
「そういう現象があるんじゃない?」
「こんな名前の現象なんて、ろくなモンじゃないじゃない!!」
そんなに怒らなくたって… まぁ気持ちはわからんでもないけど?
「でも、ルフィは行く気満々みたいよ?」
「あいつはほっときゃいいのよ! って、あんたまさか……!!?」
「当然でしょ?船の進路を決めるのは船長なんだから。どのみち行くしかないんだし、あきらめなさい。」
ナミが長いため息を吐いた。リトルガーデンのときよりは落ち着いてる気がするのは、きっと逞しくなったからなんだろう…
「ナミ、ちょっと”記録指針”貸して」
「? いいわよ。はい」
”記録指針”を横にしてみる。なるほどね…通常は水平にして使うけどこういう時は横にするわけだ。
「…なにしてんの?」
「なんで”記録指針”が球体なんだろうってずっと思ってたのよね。こういう事なんだね。」
横にした指針をナミに見せる。磁石は真上というより斜め上を指していた。
記録指針は台座の反対側…球体の天井から磁石が棒で固定されている。吊るされているのではない。
横にすると上下の方角を指してくれるみたいだ。
「グランドラインにある島は海上だけじゃないんだわ。縦方向に島がある事もあるのよきっと…。だから指針は丸いんだなって納得してたところ。で、今は空島に指針が向いてるからそれがどの方角なのかな?って思ってね。」
「壊れてるんじゃないの?」
「いいえ。それについてはロビンの意見が正しいと思うわよ。だってほら、」
と言って取り出したのはクロッカスさんにもらった予備の”記録指針”
「クロッカスさんにもらった”記録指針”も同じでしょ?2つ同時に、しかも”同じ様に”壊れるなんて事は考えられない。」
「じゃあ空島が?」
「しかも、”記録”が書き換えられたって事は、かなり近くにあるんじゃないかしら?」
*--*--*--*--*
「棺桶開けて、何やってるんだ?あいつ」
ロビンがガイコツの頭部を復元しているのをマストの影からチョッパーが覗いてる。
「何かわかんのか?」
「さァ…」
ゾロの問いかけに、ロビンが答える。
「趣味悪いわよあんた」
ナミはチョッパーと一緒になってつぶやいた。
「死者と美女ってのも、またオツなもんだな~」
サンジが煙草をふかしながら興味深々に骸骨のパズルを組み立てるロビンを見ている。
「おお、復元完了………!!」
「ここにあいてる穴は人為的なもの…」
「…ははーん、そこを突かれて殺されたってわけかコイツは」
「いいえ、これは治療の跡よ…”穿頭術” でしょ?船医さん」
「……うん、昔は脳腫瘍をおさえる時、頭蓋骨に穴を開けたんだ。でもずっと昔の医術だぞ…!?」
ロビンの問いにチョッパーが答える。けど、チョッパー、スゴイわね。おそらくドクトリーヌから教わった知識じゃないと思う。いろんな医学書を読んだんだろうな…
「……そう。彼が死んでからすでに200年は経過してるわ。歳は30代前半。航海中、病に倒れ死亡。他の骨に比べて歯がしっかり残っているのはタールが塗り込んであるせい。この風習は”南の海”の一部の地域特有のものだから、歴史的な流れから考えて、あの船は過去の探検隊の船」
「…………」
ロビンが自分のカバンから本を取り出してページをめくる。
昔の記事を集めた冊子のようものだ。
「…あった! ”南の海”の王国ブリスの船『セントブリス号』…208年前に出航してる。」
「落ちてきた船と同じだわ!!」
「そういや、こんなマークついてたな」
「少なくとも200年、この船は空をさまよってたのね…」
「骨だけでそんな事まで割り出せるの……!?」
「遺体は話さないだけ。情報は持っているのよ。探検隊の船なら色々な証拠や記録が残っていた筈だけど…」
「ええ…でももう船は海に沈んで…」
「ルフィ!!しっかりしろー!」
「ぶわっぷっばぱすぺて~~~」
「あんた達何やってんのよォ!!!」
「おいみんな!!! やったぞ!!! すげェもんみつけた。これを見ろ!!!」
「!!?」
「”空島”の地図!!?”スカイピア”…」
「な!!!な!!!」
「イオリっ!!これって…」
「そっちのほうがちゃんとした地図みたいだけど、同じでしょ? これと…」
二つの地図を並べてみる。
”スカイピア”という名前、そしてその形…
「なんだそれ、イオリ、おまえそんなの持ってたのか?」
「ガイモンの宝箱に入ってたって、あんたが私に渡してくれたモノよ。」
「あーあれか。なんだ、空島の地図だったのか!」
「らしいわね。」
「やったぞウソップ~~~っ!!!チョッパー!!! ”空島”はあるんだ~~~!!! 夢の島だ!!!夢の島へいけるぞォ!!!」
「夢の島ァ!!?」
「騒ぎ過ぎよ。これはただの”可能性”にすぎないわ。世の中にはウソの地図なんて、いっぱいあるんだからっ!」
ナミも本気で言ってるわけじゃない。というより、私の話から空島はあると思ってるんだろうけど、ウソであってほしいというのが本音なんじゃないかな?
でも、その発言に、ルフィ、ウソップ、チョッパーがものスゴイショックを受けた顔してますけど?
「あ……ごめんっ あるある…きっと…あるんだけどっ 行き方がわかんないって話してんのよ!!!」
「航海士だろ、何とかしろ!!!」
「何とかなるもんとならないもんがあるでしょ!?」
「関係ねェ!!空にいくんだ!!!」
「怒ってるナミさんもカワイーなぁ…」
ルフィはナミによって沈められた。やっぱり、武装色を一番最初にモノにできるのはナミなんじゃなかろうか?
「…ラチがあかないわ!とにかくこれじゃ船の進めようがない…!!だって指針は”上”を向いてるんだもん。今必要なのはロビンの言う通り”情報”よ!!あんなでっかい船が本当に空へ行ってたんなら、この船が行く方法だって必ずある!!!何とかしてさっきの船に残ってるハズの記録を引き出しましょう!!この地図(と言ってガイモン島の地図を指差す)に書かれてる『突き上げる海流』っていうのがきっとカギなんだと思うわ。」
「でも船はもう完全に沈んじまったぞ」
「沈んだんならサルベージよ!!!」
「よっしゃぁぁぁぁぁ!!」
釣竿もって張り切るウソップ&ルフィ
「出来るかァ!!」
ゾロがツッコみを入れている。
「サルベージって何だ?」
「沈没船の引き上げ作業よ …あの船はムリね。大きすぎる」
「そうだわ、イオリ!アンタあれ引き上げれない?」
「水中なら持ち上げれると思うけど、もう見えなくなっちゃったからねぇ…」
「覇気で見ればいいんじゃないの?」
「あのねェ…見聞色は相手の気配を見るものだから、
「…!?なに、どうしたの?」
「…船の…気配がわかる…」
「え?」
どういう事? 今気づいたけど、メリー号にも気配を感じる…!?
これはまさか…!!?
「まぁいいや…とにかくやってみようかしら?…サンジ、ボートを出しといて!!」
「了解!」
・
・
・
― ザッパァ!! ―
沈没船が海上に姿を現した。
「ちょと行ってくる!さすがにあれをずっと持ち上げてるのは辛いから、小さくしてボートに乗せてくるわ。」
私はボートで浮かべた船に向かった。
「1/100」
小さくしたけど、ボートに乗せるのがやっとの大きさだ。海面にぶつかった衝撃での損傷も激しい。人で言えば瀕死の状態…いや、沈没してしまったのだから船としては死んだも同然か…
半分残ったマストとかはもう不要なんだけど、なぜか壊す気にはなれなかった。
船と同じく、小さくしたメンバーで中を探索。ウエイバーはルフィが見つけたし、他にもガラクタがいっぱい… 宝箱は全て空。記録類も何もなかった。
ナミも一緒に行って探したので諦めもついたようだ。
取り出しためぼしいものはデッキに置いて、あとで選別しようという事になった。
ルフィが駄々をこねたので、鎧とか剣とか、ある程度のものはもとの大きさに戻した。
そして、船を再び沈めることに…
「…ごめんね…」
「誰に謝っているの?」
船が沈むときには少なからず海面が揺れる。メリー号から少し離れたところで、ボートから船を下ろした。そして元の大きさに戻す。
なぜかついて来たロビンに言われ、私は苦笑した。
「…なんとなく…ね…この船に謝ってたの…」
「あら、甘いだけじゃなくて、ロマンチストなのね?」
「……さっき、はじめて気づいたのよ。船にも気配があるって事に… それにしてもずいぶんとトゲのある言い方だけど…私、なんか気にさわることでもした?」
「…いいえ、むしろその逆。気にさわったのならごめんなさい。慣れてないの…。」
「…少し話しがしたいわね。言っておきたいこともあるし。」
「そうね。私も聞きたいことがあるわ。」
私はロビンと話をする事にして、メリー号へと戻るのだった。