船に戻って、女部屋へと移動。ナミも一緒に部屋へと入った。
アラバスタに上陸して以来、ナミがこの部屋に入るのは初めてである。アラバスタから持ち込んだ私とナミの荷物は私が小さくして持っている。出航前に積み込んだに荷物のほとんどは倉庫に置くモノだったからね。急いでいたこともあり、着替えもまだなのよね。
「そういえば、着替えありがとう。」
「どういたしまして。ところで下着のサイズはどうだった? ちょっと心配してたんだけど…」
「えぇ、ピッタリよ。」
「それはよかった。」
「なに、イオリ。ロビン姉さんにも造ってあげてたの?いつの間に?」
「!?…も?…造ってあげた? …えっまさか、あれはあなたが!!?」
「ちょっとナミ?バレちゃったじゃないのよ!まったくッ!しかも仲間になった途端に即効で?ルフィじゃあるまいし!! まさか、ナミにバラされるとは思わなかったわよ…」
「ごめん、ごめん…でも、いいでしょ。仲間なんだから。」
「うん。まぁね…」
「……」
知られたくない事もあるので、ナミに”
今、ロビンと二人きり。
「アラバスタでちょっと調べた風に言ったけど、あなたの事は、実はずっと前から知ってたの。私は以前、政府の文献を読む機会にめぐまれて、あなたのことは詳しく調べて知ってるの。20年前にオハラでの出来事も知ってる。だから、ずっと気になってたの。上手く言えなくて申し訳ないんだけど…。二つ名は簡単には変えられないと思うけど、少なくとも私は、オハラの事を『悪魔』なんて思ってない。だから当然、『悪魔の子』だなんて思ってないからね?」
「…」
「ってか、なによソレって思ったわよ!古代文字が読めることはそんなに悪い事? 歴史を紐解くのは悪い事じゃないわ!過去を知って、そこから学んで、これからの事を考える。それが考古学でしょ? だったらそれは良いことじゃない!! 自分達に都合が悪い事は何でもかんでも悪事にするなんておかしいわよ!!だから私は世界政府が行って来た事が大っ嫌いなのよ!! ……あっ、ごめん。一人でアツくなっちゃった……」
やばいな私、世界政府の話になるとすぐカッとなっちゃう。ちょっと暴走気味だ…
「ありがとう…。でも、確かに古代文字を読める事は罪になるわ。今回のアラバスタの件もしかり。」
「確かにね…アラバスタの地下宮殿のポーネグリフにはプルトンが眠る場所が書かれてたんだものね?でも、まさかあの国に無いなんてね?クロコダイルが知ったらどんな顔をしたか見てみたかったわ!」
「!!?」
ロビンが私に険しい顔を向ける。
「…なんでそれを!? あなたが何でその事を知っているの?」
「えっ、だって……あのポーネグリフは見た事あるもの。」
事も無げに言うとロビンが驚いてる。見たこと?内容を知ってる事?
まぁ両方だろうけどね。
「さっきバレちゃったと思うけど、私のもう一つの姿は『ユナ』。彼女はアラバスタの王女と友達なのよ。国王とも面識があってね。そして私は見聞色で相手の思考が読める。ここまで言えば判るでしょ?」
「…私が見る前に、…あなたは既に見ていたと?」
「うん。そういうこと。私も歴史に興味があってね。今の世界の前はどんな世界だったのか? とか、空白の100年に何があったのか? とか …それらを純粋に知りたいと思ってるの。ポーネグリフを解読すればそれがわかる。そう言われてるでしょ?」
「どちらかといえば、古代兵器の場所を示している。というのが常識だと思うけど?あなたの考えはオハラのものと…つまり私と同じだわ。」
常識っていうか情報操作だろうけどね。
「でも、ロビンに渡した写真の石に書かれてたものにも、地下宮殿のものにも、そんなものは書かれてなかった。ロビンがこれまで見つけたものにも書いてなかったと思う。というより、私は『
「ちょっ…ちょっと待って!! それじゃぁ、私はずっと無駄な事をしてきたっていうの?あなたは私に言ったわよね?ポーネグリフに関する情報が他にもあるって……。それも…『真の歴史の本文』ではないというの?」
「うん、違う。私が知ってるポーネグリフはあと4つあるけど、どれも『真の歴史の本文』じゃないわ。」
ガクリ・・・
ロビンが項垂れる…やはり、無駄なのか…知ることは出来ないのか…オハラは…負けたの?
ロビンの負の感情が見て取れる。
「ロビン、私の話しちゃんとを聞いてた? 私は、『真の歴史の本文』なんて”石”は存在しないと思ってる。って言ったのよ? 『真の歴史の本文』が存在しない。とは言ってないし、思ってない。」
「?」
あっ、ロビン泣いてたのか…。うん。ごめんね。説明が長ったらしくてさ。でも大事なのよねこのくだり。
「そもそも、ポーネグリフって全部あの大きさなのよ? 文字の大きさもだいたい同じみたいだし。そこに空白の100年の事とか、その前やその後の話しなんて書ききれると思う?」
「…どういうこと?」
「そもそも、なんで破壊出来ない石に書いたものが世界に点在してるの?古代兵器は3つしかないのにそれ以上にポーネグリフは存在すると云われてる。不思議に思わない?」
「…それは…石には情報を持つ石と、場所を示す石があるから…でしょう?」
「情報っていうのは何?古代兵器や真の歴史?でも真の歴史なんて見た事ないし、さっきも言ったとおり歴史を書くには文字が少なすぎる。」
「……それは……そうだけど……それに何か意味があるの?……あなたは、その理由がわかるの?」
「推測なんだけどね…」
と言って、私はバックからカードを取り出した。全部で8枚。
カードの上には4×4→16文字の意味が通る語句が書かれている。
「例えば…この1枚1枚がポーネグリフだとしましょうか…。それぞれに何が書かれているかは判るわよね?」
1枚、また1枚と、ロビンに手渡す。
「…え、えぇ……」
ロビンは1枚づつ、書かれた文字を読んでいる。そして、読み終わったカードを手のひらの上で重ねる。
「さて、裏に番号が書かれてるんだけど…」
と言って、ロビンの持ってるカードを取って裏返す。
「番号に添って、左から並べてみてよ」
「!?」
「気づいたみたいね?」
ロビンは急いでカードを並べ、すべてのカードを裏返す。途端、ロビンの顔が子供のように輝いた。
「…す…すごいっ!!」
「あくまでも、まだ推測の域を出ないけどね。でも、こういうことなんじゃないかと思うのよ。こうすれば歴史を記すのに文字が足りないってことは無いでしょ?」
と、ロビンの顔が再び曇る。
「…だけど…そうするとポーネグリフを全て探し出さないといけない事になるわ。とてつもない時間が必要になる…」
「まぁ一人じゃムリでしょうね…」
「……私では…無理…という事…ね?」
「…と、思うでしょ?」
「!!そうじゃないの?」
「
「!?」
「いろんな意味があると思うのよね。」
「…それが?」
「その一つに、ポーネグリフがあるんじゃないかって…私は思ってる。」
「…!!…つ…つまり…」
「希望的観測もだいぶ入ってるけど、ラフテルに、ポーネグリフが集まってるんじゃないかな~って…ね…」
「…ひとつなぎ…さっきのカード!……ポーネグリフ…!!!」
「ラフテルに到達したのは、ロジャーが最初じゃないと思うのよ。たぶんそれよりずっと以前から歴史の探索は始まっていたんじゃないかってね。そして思うの。ロジャーが呼び掛けたのは、大海賊時代の幕開けなんかじゃなくて、数珠つなぎの財宝、つまり”真の歴史の本文”を完成させる為に、世界中からそれらを集める事なんじゃないかってね。まぁ、それは私の勝手な思い込みかもしれないけれど…。それに、私の考えがあたりだとしても、私たちが完成させられるとも限らない。けど何も確かな事がわからないなら壮大な夢を見たっていいでしょ?」
「私がこれまで見た物を届ければ…たとえ完成しなくても、完成に近づく…。そういうことよね?」
「そうだと思うわ。」
「フフッ、地下宮殿で死なずに済んでよかったわ。本当に…今、心からそう思う。ルフィに感謝しなくちゃ。もちろんイオリ。あなたにも。」
自分で謎を解き明かしたいとは思うだろうけど、ロビンだって先人の意思を受け継いでるわけで…
この先もそれが脈々と続いていくなら、そのバトンを渡す一人に加わることは考古学者にとって喜びに違い無い。
生きる意味にもなるだろう。
「ところで、あなたはポーネグリフが読めるのね?」
「……さぁ、どうでしょう?って言ってもしょうがないか。うん。まぁ解読は出来るわよ?時間がかかるけどね。」
「どういうこと?」
「ヒエログリフとかヒエラティックって言葉、知ってる?」
ロビンが首を横に振る。まぁ、この世界のモノじゃないから知らなくて当然でしょうね。
「古代文字と今の文字を対比する表の事なんだけどね。古代文字は複雑だからね。同じ文字でも並び方で意味が違ったり読み方が違ったりするじゃない? 私はロビンみたいに古代の言語を理解してるわけじゃなくてその対比表が頭の中にあるの。それと照らしあわせて文字を変換してるってわけ。だからロビンのようにちゃっちゃと読めるワケじゃない。写真を取っておいたり、書き写したりして時間を掛けないと解読することは出来ない。」
「なるほど…あの写真は、その為のものだったわけね?」
「まぁね。でもそれだけじゃないわよ?さっきのカードの仕組みから言えば書き写して並べないと文が読めないからね。」
「…それじゃぁ、私がこれまで見たものも書き起こしておいたほうがいいのかしら?」
「まぁ、書き起こして置いたほうがいいかもね?それを取っておくかは別としても、書くことで頭の中のポーネグリフが鮮明になるだろうし。」
「…そうね。暇を見つけて書いてみるわ。書いたら…見る?」
「ロビンに任せるわ。私はロビンと一緒にラフテルまで行くつもりだから。」
「…そう。……なんだか…」
「ん?」
「…なんだか…くすぐったいわ。」
ロビンが笑った。きっと心からの笑顔だろう。私は年下だけど…この笑顔を守りたいと思った。
きっと…
彼女はやっと、8歳の場所から歩き出したのだろうから……
歴史の本文については、ホールケーキアイランド編にて、タマゴ男爵がいろいろと言っていますが、
あれも本当の事なのかが微妙な感じと思っています。
なので、勝手な解釈で歴史の本文について書いていますが、これはあくまでもイオリの考え。
あたりでもあたりでなくても、ロビンの生きる目標が出来るのであればそれでいいと思って言っています。