イムの娘(いむのこ)   作:槙 秀人

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04-133話:空島の気配

 ロビンと話を終えてデッキに出ると、ナミはちょっと途方に暮れてる感じに見えた。

 

 あっ、しまった!! ウエイバーは手に入れられたけど、マシラとの出会いのフラグを折ってしまったんじゃない?

 ジャヤの永久指針を手に入れられないじゃんよ!!…と思ったんだけど……

 

 ~ サールベージ、サルベージ……

 聞こえてきました音楽が…

 

「……?」

「サ~~~ルベ~ジ~~、サルベ~ジ~~♪ サ~~~ルベ~ジ~~、サルベ~ジ~~♪」

 笛とシンバルの伴奏?付きで、音がどんどん近づいてくる。

 

「何だありゃ…」

「………」

 

「全体~~…止まれっ!!!」

「アイアイサー!!!」

 

「船が沈んだ場所はここかァ!!?」

「アイアイサー!!園長!!!」

「園長!? つまりそいつァおれの事さ!!! 引き上げ準備~~~!!! 沈んだ船はおれのもんだァ!!! ウッキッキー!!!」

「ウッキッキィ~~~!!!」

 

「また妙なのが出てきたわ」

 

「…ロビン、悪いんだけど…ルフィの口塞ぐ準備しておいてもらえる?」

「えっ?…ええ……」

 

「おい、お前らそこで何してる。ここはおれのナワバリだ」

 

「ナワバリ?」

 

「そうとも…この海域に沈んだ船はすべておれのものだ。てめェら手ェ出しちゃいねェだろうな…!!んん!!?」

 

「なんだお前ら、沈んだ船なら…モガッ……」

 ロビンはすぐさまルフィの口を塞いでくれた。誤魔化すというスキルが無いルフィは間違いなく、余計な事を言ってくれるだろうからね…

 

「おまえはだまってようか」

「ゴメンサイ。」

 にっこりと微笑みかけるとルフィは謝って、そして黙ってくれた。すごく沈んだ感じになったので、とりあえず干し肉を与えておく。

 

 そんな事をしている間に話は進んでいたらしく、サルベージが開始されていた。

 ルフィ達は潜ってないので、見学する意味は無い気がするけど?

 あーいいのか。そういえば、目的があったんだっけ!それじゃあ目的を果たすとしますかね。

 

「あの船に”永久指針”とかあったりしないかしら?」

 隣にいるロビンにしか聞こえないほどの声で呟く。

 

「そうね、探ってみるわ。もらっておいて損はないものね?」

 ロビンがちらりと私を見ながら微笑んだ。

 ジャヤへの永久指針を手に入れるのはロビンにまかせてよさそうだ。

 せっかくなのでサルベージでも見学しようかな。

 

 こいつらのサルベージの方法ってのが面白い。よくもまあ、口であんだけの空気を送り込めるもんだ。 肺活量ッパねぇ~。

 

 浮き始めた後は機械で継続して空気を送り込む。漏れる分の補給って事なのかな?

 マシラも船の上にいる。誰も沈没船には乗ってない状態だ。

 

 そして海中に巨大な影が現れる…

 

「ねェ、船の下に………」

「ああ…なんかいる……」

 ナミとウソップも気づいたようだ。

 

 引き上げられてる船が巨大な亀にパクリと咥えられた。とうぜんマシラの船が引っ張られて動き出す。

 誰も気にしちゃいないけど、私はメリー号を操船してマシラの船と並走させている。

 原作と違う状況なのでメリー号は引っ張られないからね?

 

「なんだと~!!おれの船が!!!」

 

「なにコレ~~!!?コレなに??なに大陸!!?」

「で…で…でぇけぇ~~」

「すげェ~~~」

「ウォォ!!!なんじゃありゃあ!!」

 

「うわぁあっ」

 マシラの船のすぐ横に巨大な亀が姿を現していた。

 

「ねえちょっと!!ホース切ったほうがいいんじゃない?」

 私は隣の船に声をかけた。

 あいつが潜ったら間違いなく海に引きずり込まれるわよ?

 

「お…おぉ、野郎共!!!ロープを切れ!!海に引きずり込まれるぞ!!!」

 そんな騒ぎを繰り広げていると、突然、パッ…っと、辺りが暗くなった。

 

「へ?? …………!!!」

「何!!?」

「!」

 とっぷり… と…完全に日の光が遮られている。

 

「何じゃコリャア~~~!!?」

 

 ふ―ん…これが”積帝雲”の影ってわけか!!どりゃどりゃ…

 

 私は予備の”記録指針”を取り出して、横にしてみる。すると指針は真上を指した。意識を集中してみれば、10kmくらい先にけっこうな人数がいるのがわかる。

 

「夜になった………!!?」

「ウソよ…まだそんな時間じゃないわっ!!」

「……」

 

「じゃあ何なんだ!!」

 ルフィ、ゾロ、サンジはカメの様子を見ていた。さっきまで閉ざされていたカメの口は、何かに気を取られて半開きになっている。

 

「…ナミ、これ見て…」

 私は静かにナミに横にした”記録指針”を見せた。

 

「真上を指してる? えっ? ちょっと待って…!!」

 ナミはすぐさま自分の”記録指針”も同じ様に横にしてみた。

 

「…もしかして…空島が今、真上にあるって事?」

「うん。8~10kmくらい先に、かなり多人数の気配も感じる。…まず間違いなく村か街があるわね!」

「…!」

 ナミが真上を驚きの表情で見つめる。そんな中、他の面々は別の方角を向いていた。

 

「?」

「……ア…アア…!!不吉な………!!!突然来る夜は怪物が現れる前兆!船を沈められちまう………!!! は…早くロープを切れェ!!!」

 

「ボ!!…ボ…園長!!!あ…あ危なーい!!!」

「アア……ア」

「………!!!」

 

「あ…」

「…………………!!」

 目の前に現れたのはオーズ級、いや、もっとデカいかもしれない程の巨大な影。

 背に羽を付け、槍を持っているのが5つ…

 ここにいる全員が驚いてる。(私は除くが…)巨大カメまでもが驚愕顔だ!

 オモシロッ!!

 

 まぁ確かに、知らなかったら恐いかもね?知っててもビックリする大きさだもん。

 

「怪物だああああああ」

 オールを漕いで、その海域から全速力で離脱する。一応私も手伝った。

 ちなみにマシラは自分の船に乗っているのでここには居ない。

 

 

「…あり得ねェ…」

「…ハァハァ…」

「ああ…あのデカさはあり得ねェ…」

 

「…今日は何かがおかしいぜ………」

「巨大ガレオンが降ってきたと思ったら」

「指針を空に奪われて………」

 

「妙な猿が現れて船を引き上げる」

「でも船ごと食っちゃうデッケーカメに遭って」

 

「夜が来て…」

 

「最後は巨人の何十倍もある”大怪物”」

 

「「「ふう…っ」」」

 私とロビン以外の全員が、精神的疲労の為にへたり込む。

 

「ねぇちょっと!イオリは何でそんなに落ち着いていられるのよ!?」

 へたり込んだまま、ナミが私に聞いて来た。

「なんで私が落ち着いてるかっていうと、見聞色が使えるからよ。」

「「…は?」」

 

「なによそれ。」

「”あの巨人”には気配が無かった。つまり、実体じゃないって事…。たぶんコレだと思うわよ?」

 と言って、甲板に写る影を指差す。

 

「影?」

「そう。たぶん”空島”に居る人の…ね」

 

「そうか!だからあの船のやつらが『突然来る夜は怪物が現れる前兆!』って言っていたのね?」

「あの場所以外ではあの影を見ることは出来ないだろうからね?」

 

「そういえばさっき、あの夜の場所の真上に ”空島”があるって話してたわね?」

 私とナミの会話を聞いていたんだろう。ロビンが聞いて来た。

 

「なにっ!イオリ、そうなのかっ!!?」

「たぶんね。」

 ロビンの問いかけに、ルフィが乗っかり聞いてくる。

 

「よし!戻ろう!!空島行くぞ!!空舵いっぱーい!!」

 すかさずナミの鉄拳が飛び、ルフィは鎮め…もとい沈められた。

 

「でも、どうするのよ?あの場所に”空島”があるってわかってもなんにもならないわ! 結局何も手がかりが無いんだもの…」

 

 階段を登り、上の方で腰掛けてナミは深いため息を吐いた。

 下ではルフィがタコを見つけ、たこ焼きやろうと言い出している。

 

「大変そうね…」

「大変なのはこれからよ。これで完全に行き先を失ったわ!!」

 

「なぁ、イオリ。お前、空島までこの船飛ばせねェか?」

 

 サンジにタコを渡した後、ルフィが私に聞いてきた。

 

 なるほど、ルフィ!鋭いわね。そうすれば確かに行けるかも知れないけど…

 

 …でもそうするとモンブランと会えなくなっちゃうんだよなァ…。

 

 そもそも、私の超能力に頼るなら航海なんてめんどくさいと思う。

 海賊なんてやってられるかァって事になちゃうのよね。

 却下だ却下!!

 

「やってみないとわからないけど……さすがにムリだと思うわよ?」

 

「そうか…いい考えだと思ったんだけどな。じゃあしょうがねェな!」

 

 こういう諦めがいいのもルフィの長所かな?そもそも他力本願はあまりスキじゃないみたいだから、簡単なら頼もう程度の考えだったんだろうけどね。

 まぁ、さすがに1万メートルも上空まで念動力で船を持ち上げるのは無理だと思う。私一人で月歩で行くのも体力的につらいんじゃないかしら?

 ユナは月歩で行ったと聞いているけど、私には枷があるからね。

 

 超能力(チカラ)を使うなら、メリーとみんなを小さくして瞬間移動が一番楽だと思う。このチカラ(瞬間移動)については教えるつもりは無いけどね。

 

「……はい」

「えっ、”永久指針”……!!これ…」

 

「 ― さっきのおサルさん達の船から盗っといたの。一応。」

「………うっ…!!!…わたしの味方はあなただけっ…!!!」

 

「…相当苦労してるのね……ちなみにイオリと相談した結果よ?彼女もあなたの味方!!」

 

「”ジャヤ”」

「……きっと彼らの本拠地ね」

 永久指針に書かれている文字を見てナミとロビンが呟いた。

 

 そろそろたこやき出来たかしら?あぁ、でもレディ限定のがあるんだっけ?

 

「ジャヤ? お!そこいくのか」

「アホウ!アンタが決めるんでしょ!!?」

 

「オーシ、ジャヤ舵いっぱーい!!!」

「ジャヤ~~舵~~いィっぱ~~い!!!」

「………」

 

「ナミ、どっちだ」

「面舵」

「チョッパー手伝え」

「うん」

「ジャヤ速前進~!!!」

 

「はっ!! おい!!ちょっと待てよ…このままそのジャヤって場所へ行くとしたら、そこでまた”記録”は書き換えられちまうんじゃねェか?つまり”空島”へは行けなくなる。」

 ウソップが気づいてルフィに告げる。

 

「ええ!!?」

 チョッパーも驚いてる。

 

「ジャヤ舵やめだ~~~!!! おいナミ!!こりゃどういう事だ」

 ルフィがナミに文句を言ってる。けどお前さぁ…

 

「何よ!ジャヤへ行くってあんたが決めたのよ?」

「あっ、ホントだ……でもこうなるとは思わねェじゃねェか!!」

 

「思わない方が悪いんじゃない。”記録指針”って始めからずっとこういうものよね?」

「あっホントだ。 よーし!!よく聞けよ。おれは船長だからおれが進路を決めるぞ!!! おれは”空島”へ行きてェんだ!!!」

 

「ええ、いいわ。それで、どうやって行くの?」

「そりゃ、人に聞くのが一番だ!」

「そうだな、ジャヤで聞いてみよう」

 ナミの問いにウソップが答え、それにルフィが乗っかる。

 

「 ― だったらジャヤへ」

「よーしジャヤ舵いっぱーい!!」

「まて! 一緒じゃねェかァ!!!」

 ナミとルフィとウソップの掛け合い…何をコントみたいな事をやってんだか…

 

「行ってすぐ”記録”が貯まるわけじゃないわ。ジャヤへ行って次の”記録”が貯まる前に島を出たら?」

 

「「うん、じゃあそんな感じで」」

「多少、運も必要ね」

 ロビンの助け舟に、ルフィとウソップがタコ焼きを食べながら掴まった。

 ナミが締めてるけど、それじゃあ念のため予備の”記録指針”は、収納貝の中に入れておこうかな?

 大丈夫だと思うけど一応、保険って事で…

 

「よォし、野郎共いくぞ!!! ”肉の国”ジャヤへ!!!」

「おう!!!」

 

「夢見てんじゃないわよ」

 

「ナミさん、イオリちゃん、ロビンちゃん!!『レディ限定未だかつてないタコ焼き』できたよォ~~」

 

 やったねっ!!特製タコ焼きいただきます。さて、ハチのたこ焼きとどっちがおいしいかしら?

 この味は覚えておかないとね!!

 ちなみにエルもレディ限定のたこ焼きを食べましたとさ…

 

 船は一時、謎の土地ジャヤを目指す。

 

 

 さて…黒ひげどうしようかな?

 

 新しい手配書は私もまだ手に入れていない。ルフィの懸賞金は7000万だ。ベラミー越えてるけど億超えじゃないから、黒ひげに遭っても問題ないと思う。

 

 モックタウンの酒場に行くなら私も一緒に行こうかな?そうすれば酒場でバカにされたときに奴らを返り討ちにしてやれる。

 奴らの言い分は全部論破できると思うし…。

 

 そうすればルフィたちが無駄なケガすることも、ナミが荒れることもないわよね?

 それに、私が行くならナミは大人しく船にいるかもしれないわね。

 

 でも、行く意味はあるのかしら? 結局のところあいつ等は何も知らないのよねェ……

 

 あァ~そうか…!あいつらが何も知らないって事を知ってるのは私だけなんだっけ…

 何でそんな事知ってるんだって聞かれても、原作知識なんて答えられないから、結局行くしか無いのか…

 

 ハァ…

 

 

 

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