珍しく、リリスが会社を訪ねて来た。
アポなしだけど、私の部屋に通してもらった。
何やらすごく落ち込んでいる様子。その手には、とある小説本を持っていた。
その小説の作者はもちろん(?)イオリ。
つまりは元の世界のベストセラー。言ってしまえば要するに盗作本である。
小説のタイトルを見て、ユナは、
《そう言えば、今は空島に行ってるんだっけ?》
なんて事を考えていた。
「どうしたの?ずいぶん浮かない顔をしてるけど?」
「この小説が、めっちゃ面白いのが悪いんじゃ!!」
いやいや、面白かったんならいいじゃんよ?
「面白かったからつい、同じモノを作ってみたんじゃが…」
「同じモノ?」
一体何をつくったってのさ?
「これなんじゃがな…。まぁ、わしが落ち込んどるのはこれとはまた、別のものが原因なんじゃけど……」
と、リリスがポケットから取り出したのは、緑色の丸い石。ペンダントになっていて、表面にはUの文字のような紋章?が書かれている。
カンのいい方ならもうお分かりだろう。
小説のタイトルは『天〇の〇ラ〇ュ〇』。
リリスが作ったモノというのは『〇行石』だ。
はっきり言って、これが単なる石なら問題ない。
けれどこの子はベガパンク。これが単なる石のハズがない。
しかもさっきの言いようからして、問題なのはこれとは違うモノなのだろう。
「…まさかとは思うけど、別の『もの』っていうのは…、城の方とか?」
「……」
無言のまま、頷くリリス。
図星かいッ!!
えっ!マジで? マジであれ作ったの?
「それはそれで凄いと思うわよ?」
そういえば、反重力装置は開発してたんだっけ?
えっ!?もしかして…
そのペンダントを持ったら本物と同じく飛べるとか?
「ねぇねぇリリス、もしかして…、そこに行けたりしたりする?」
私が目を輝かせながら聞くと、リリスはとてもすまなそうな顔をした。
「いや…作ったんじゃがな…。それはその…実はもう…無いんじゃ……」
「?」
「だって、実際にそこに行ったら…やりたくなるじゃろ?思いっきり、叫んでみたくなるじゃろう?」
「やりたくなるって…えっ!…まさか…!!?」
「………」
顔を背けながら、リリスはゆっくり頷いた。
小説通りに作りやがったという訳だ。
コイツの事だから、細部までこだわって、何もかもを忠実に再現しちゃった訳だ。
そして、そこに行ったら、名場面? の通りにやりたくなっちゃったわけね?
まぁ、気持ちはわからんでもない。
「バ〇ス!!」
ー ビクッ!! ー
私が言うと、リリスが驚いたように私に視線を向ける。
「じゃろ?」
じゃろ? じゃねぇわ!!
おめェ、それ作るのにいくら注ぎ込んだ?
時間だってかなり費やしただろうが!! あ゛ぁっ?
せめて、公開するなりなんかして、費用回収してから壊さんかい!!
ってか、滅びの呪文で滅ぶように作んじゃねェよ!!
くそう…私も見たかった。私もそこに行ってみたかった!
そこで『バル〇!!』って叫んでみたかった!!
リリスはリリスで、壊した事はもちろん、作った事すらも他の猫から非難されたらしい。(たぶん、私と同じ事を思った猫もいるはず…)
そもそも彼女の本来の仕事は資金調達である。
なのに、何を無駄遣いしてるのだと責められたとの事。
「今日はとことん飲むわよ!」
「もちろんじゃ!」
2人でやけ酒飲みました。
空島編なので?
ちょこっと書いてみました。