イムの娘(いむのこ)   作:槙 秀人

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エクスプローラさん、誤字報告ありがとうございます。


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04-140話:スカイピア

「うおおおお~~~!!!」

「やっほーっ!!!」

 

「どうなってんだこりゃ………!!!」

「雲が帯状になって、まるで川みてェだ…!!」

 ”突き上げる海流”に比べれば大したことはないけれど、高低差3千メートルをグネグネと曲がりくねった川をかなりのスピードで登っていく。

 

「自然にできたものとは思えないわ」

「自然じゃねェだろこんなもん!!」

 

「何か書いてあるぞ!!!」

「出口だ!!!」

 

「神の国 スカイピア!!?」

 

「出口じゃねェよ!! 入口だ!!!」

 光が差し込む丸い穴。そこを抜けると…

 

「!!!」

 パァァァァ…っと目の前がひらけた。

 

「島だ…!!!」

「”空島”だ~~~!!!」

 

 木々や、建物が雲の上に建っている。きっとあれが”空島”なんだろう。

 私は収納貝に仕舞って置いた”記録指針”を取り出してみた。

 

「…」

 やっぱり、指針は目の前の島とは違う方向を指している…

 アッパーヤードがなければ記録指針が空島を指すことは無かったんだろう。

 

「うほ―!!!この島、地面がフカフカ雲だ!!!」

「ギャ~~~!!!空島~~~!!!」

 ルフィ、ウソップ、チョッパーはすぐさま船を下りて上陸を果たした。

 

「おい、碇はどうすんだ!?海底がねェんだろここは!!!?」

「んなモンいいだろ、どうでも。早く来てみろフカフカだぞこの浜辺は!!!」

 ゾロが至極当然の事を聞いたのに、ルフィが返してきたのはとても船長の言葉とは思えない発言だった…

 

「どうでもって、お前……」

 しかたがないわね。ここは副船長の出番かな?

 

「浜辺が近いんだから、この辺にもフカフカ雲があるんじゃない?そこに刺しとこうよ!」

「ん?ああ、そうだな。そうするよ!…しかし、たまげたなこの風景にゃ…まるで夢だ……」

 

「全くだ………それに、アイツらのハシャギ様ときたら…ハハ、しょうがねェな」

 サンジが言いながら靴を脱いで裾を捲っている。

 

「ひゃっほ~~~う!!!」

 そして甲板からジャンプして回転しながら飛び降りた。

 

「「おめェもだよ!!」」

 図らずも、ゾロと私のツッコミは重なっていた。

 

「ジョ~~ジョジョ~~」

「痛い痛いっ、ごめんごめんっ!!」

「!?」

 

「…………もう、」

「ジョ~~~」

 サウスバードが飛んで行く…

 

「イタタ…逃がすの忘れてた………」

「人も住んでるみてェだ。別に生きていけるだろ」

 

「碇は?」

「イオリに言われて刺したよ。例の…フカフカの雲がこの島の基盤らしい」

 

「…ねぇ、”スカイピア”って…」

 ロビンがナミに問いかける。

 

「ええ…イオリが持ってた地図やルフィの見つけた地図にあった名前よ!空から降ってきたあのガレオン船は200年も前にここに来てたのね。あの時は正直こんな空の世界、想像もつかなったけど」

 

 ナミが船から飛び降りた。ザブッと浜辺に降り立つ。

 

「ほら!!…ハハ。体感しちゃったもの!!疑い様がないわ!!」

 ナミがルフィたちのもとへと向かう。

 

「……あなた達は?」

「…? ああ、行くよ」

 

「航海や上陸が………冒険だなんて、考えた事なかった」

 

 ― ザブン… ―

 

 ロビンも飛び降りてナミを追う。

 

「……?」

「不思議に思って当然よ。私たちには想像もできないだろうからね?」

 不思議そうにロビンを見るゾロに私は話しかけた。

 

「何がだよ?」

「彼女はこれまでずっと追われて生きてきたのよ。高額賞金首だったから、たぶん仲間からも狙われてた。この船みたいに、普通にしてる事さえ出来なかったんだと思う…」

 

 そう。原作知識だけどね…

 

 この船では女部屋で寝ているけど、これまでの船ではデッキで過ごしていたらしい。

 船内に入れば逃げ場を失う事になるからだ。ゆっくり眠る事さえ出来なかっただろう。

 

「……」

 たぶん…ゾロはロビンの事を(仲間として)認め始めている…

 

「きっと、楽しいんだろうなぁ…。さて、私たちも行こうか?」

「ん…ああ…」

 

 

「は~~~っ!!!ここは何なんだ!!!冒険のにおいがプンプンすんぞ!!!」

 

「う~ん ここなら海軍も追ってこないし羽を伸ばせる!!! ビーチなんて久しぶりっ」

「港ばっかとまってたからなァ!!」

「これがビーチか……」

 ナミはいつの間にやら上半身がビキニ姿になっている。

 チョッパーはゴロゴロ転がりはしゃいでる。

 

 

「お!?何だ、変な実がなってるぞ」

 ヤシの木のような木にヤシの実のような実がなっている。ルフィはそれを採ってかじりついた。

 

「ハガ!!」

 ガキィン!!という音がして、ルフィの歯が欠ける。

 

「………!? 何らコレ…」

 

「おい、ウソップ。木の実やるよ」

「いてェなてめェ、よし、そこで待ってろ!!」

 

「本当に雲か!?これが」

「フッカフカ! 確かにこれは気持ちいいわね!」

「がう!!」

 足元でエルもご機嫌で飛び跳ねている。ちなみに船の上と同じくトラ猫サイズのままである。この浜辺ではスーにも会うから怖がらせたくないからね?

 

「ナミさんお花~~~」

 

「ねぇチョッパー見てあれ。何だろ」

「ん?」

 

「わっ……!!このイス、雲できてる!! やっぱり雲で造形する技術もあるのかしら」

「うお ―でもフカフカ雲とは別だな! まふっとしてるぞ」

「ナミさんお花~~~~!!」

 

「ん?何の音だ?」

 ポロロンと、何かの楽器の音が聞こえる。

 

「スー!!スー!!」

「お!何だコリャ、きつねか?」

 

「ありゃ何だ!!?」

 

「おい、あそこに誰かいるぞ!!!」

「また…!!ゲリラか!? 笛!!笛は!?」

 

「待て、違う!!……天使だ!!!」

「天使!!?」

 

「へそ!!」

「あ!!?」

 ニコリとわらいながら、挨拶してきた女性に対してルフィが何故かショックを受けている。

 まぁね…基礎知識がなければビックリするわよね?

 空島で”へそ”っていうのは、日常的な挨拶の言葉なのよ。もしかしたら、スカイピア独自かもしれないけど…

 

「青海からいらしたんですか? スーこっちへおいで」

「…下から飛んできたんだ。お前、ここに住んでんのか?」

 

「はい。住人です。ここは”スカイピア”のエンジェルビーチ。ふふっ…それコナッシュ。飲みたいんですか?」

「ん?」

 

「上の皮は鉄の様に硬いから噛んでもだめですよ。これは裏から」

 といって、木の実の裏の中心をナイフで取り外す。そして、そこにストーロをさしてルフィに渡す。

 

「はい、どうぞ」

 

「んんんんめへへへえ~~~!!!ヤバうま ジューシィイイ」

「何ィ!!?そんなにか!!?おれもおれも」

「私はコニス。何かお困りでしたら力にならせてください。」

「おい、これも開けてくれ!!」

 

「ああ、それが君の視線で心に火傷を…」

「…………!! 邪魔」

 サンジの耳を引っ張りナミがコニスの前に陣取った。

 

「知りたい事がたくさんあるのよ。とにかく私達にとってここは不思議な事だらけで……」

「はい、何でも聞いてください。」

 

「おい、海から何か来るぞ!!!」

「ナメクジだ!!!」

 

「あ、父です。」

「コニスさん、へそ!!!」

「ええ、へそ 父上!!」

「イヤ、何言ってんだおめェら!!」

 

「あれはなに!?あの乗り物!!」

「よく見りゃカッコイイなアレ!!!」

「あ……”ウェイバー”の事ですか?」

 

「はい、すいません。止まりますよ」

「あ」「あァ」

 止まると言ったのに、つるんとすべって、陸地に乗り上げ、木に激突した。

 

「…」

 

「みなさん、おケガはないですか」

「「おめェがどうだよ!!!」」

 

「ねェルフィ。あんた、ああゆうの、ガレオン船で見つけなかった!?」

「ああ、見つけたな」

「あれが”ウェイバー”だったんだ……!!ノーランドの日誌で読んだ、風がなくても走る船…!!!」

 

「お友達ですかコニスさん。」

「ええ、今知り合ったんです父上。青海からいらしたそうで」

 

「そうですか、それは色々戸惑う事ばかりでしょう。ここは”白々海”で、すいません。」

「え!?いやそんな」

 

「申し遅れましたが、私の名は「パガヤ」ですいません。」

「いやいや、こちらこそ」

 

「そうだ、ちょうどいい。今漁に出ていたのですが、”白々海”きっての美味中の美味!!

 ”スカイロブスター”など捕れましてね。家にいらっしゃいませんか。”空の幸”をごちそうしましょう」

 

「いいのか!!!行く行く!!!」

「空島料理か。おれも手伝わせてくれ!!」

 

「その前に聞いていい?これ、どんな仕組みなの? 風を受ける帆もないし…漕いでたわけでもない。何で海を走ってたの??」

 

「…まあ、”ダイアル”をご存知ないのですか?」

「”ダイアル”!?」

 ナミが私を見る。

 

「イオリ、知ってる?」

「TD(トーン・ダイアル)なら、ナミも知ってるでしょ?」

「えっ!?もしかして、あれって元は、空島のモノだったの?」

 あっ、ヤベ……

 

「そうらしいわよ?」

 私は動揺したのを悟られないように普通に返す。

 

 ナミさんナミさん?何で私の事をそんなジト目で見ているの?

 空島は別にココ(スカイピア)だけじゃないんですけどね!!

 あ~あ…

 お前、空島来た事あるんかい!!って感じて見られてますねェ……

 

 やっべェ~……完全にこの事抜け落ちてたわ……

 そもそもナミにユナとの関係がバレるって想定してなかったもんなぁ……

 ロビンからも同じ感じで見られてますね。

 ビビが悪いんだ!!って言っても後の祭りか。さて、なんて言い訳しましょうね?

 いや、言い訳なんて考えちゃダメだ!!

 

 悪いとは思ったけど、私はコニスの思考から、数年前にここを訪れたという観光客の事を読み取った。

 

「コニスさん?ここには観光に来る人もいるのよね?」

「はい。たまにいらっしゃいますね。そういえば、何年か前にダイアルを大量に買われて帰られた方がいらっしゃいましたね。」

 良かったわぁ~!!たまたまでもそんな人が居てくれて!!

 よし、この流れで乗り切ろう!!

 

「ユナから聞いた話だけど、F-RONPにダイアルが持ち込まれて、それを養殖して売り出したらしいわよ?」

 一応みんなが居るからね?

 私がユナって事は(正確に言えばちがうんだけど…)女性陣にはバレてても、男どもには教えたくないという事を、二人もわかってくれている。なので、こういう言い方をするのは大丈夫!!

 ナミとロビンから疑いの表情が消えた。しかしまだ、ここで気を抜いてはいけない!!

 あくまでも平常心を保っていないとダメなのよ!!

 ここでホッとしたり、喜んだりすると、たちまちバレてしまう事もある!!

 

「そうなんだ。私はてっきり、ユナ様がここに来た事があるのかと思っちゃった。まぁ、大企業の会長が”突き上げる海流”とかで飛んでくる何てこともないか。」

 まぁ、自力で飛んで来たけどね?

 

「たしかに…。彼女がそういう航海をしたならきっと、新聞とかにも載ったんじゃないかしら?そういえば、ダイアルの入手経路についてはあまり話題にならなかったわね。持ち込まれたというなら納得だわ。」

 二人が納得してくれたようだ。

 

 あっぶねェ…よかった。乗り切った!! 他に、なにかやらかしてなかったわよね?

 

 ~ ~ ~ ~ ~

 

「アクセル?これか? 踏めばいいんだなこれを」

 ルフィが操縦方法を聞いているけど…ぜ~ったいに無理だと思うわよ?

 力加減ってもんを知らないあんたには……

 

「わっ!!」

 思ったとおり、目いっぱいアクセルを踏み込んだルフィは、大きな爆音をあげてすっ飛んでった。

 

「うぅわわあ、おお!!?走ったぞ!!!」

「わあ!!やったァ!!」

 チョッパーが喜んでる。自分も乗りたいからだろうけど、そんな簡単なものじゃないんだよねェ…

 

「うが!?アガガ!!わガガ!!はばば!!? 何だこのゆれは…!?止まらねェ!!!ふぎ!!」

 

「こけた」

「ああ」

「この上ない大転倒だな」

 

「ああ大変、おケガはないかしら!!?」

「何て事だ、すいません。ウェイバーをお貸ししてすいません。」

 

「 ― そういや、能力者にこの海はどうなんだろうな……」

「そうか、普通の海とはちがうからなァ。もしかして浮くかもしれねェ」

 サンジとゾロがのん気に話してるけどさァ…

 

「いやいや、ムリでしょ? そうでなくてもルフィはカナヅチなんだし、ウソップで確認済みじゃない!!この海は浮力が少ないんだから、まちがいなく沈むわね!!」

 キッパリ断言させていただきました。二人とも白海でのウソップを忘れたの?

 

「あぷ…」

「沈んだ」

「ダメか」

 だから…、ムリだって言ってるのに…

 

 

「危ねェな!!下へ突き抜ける寸前だったじゃねェか!!」

「おめェがアホな事言ってるから出遅れたんだろ!!!」

「足が…片ホー雲を抜けた…」

 まぁ、いざとなればサンジは月歩が使えるだろうから(たぶん)、落ちてもなんとかなったろうけどね?

 

「いえ、私が初心者にアレをお貸ししてすいません!!」

 

「何でおめェまで飛び込むんだよ!!!」

「空島コワイ空島コワイ」

 ルフィを助けようと海に飛び込んで溺れたチョッパーをウソップが助けていた。

 

「”ウェイバー”の船体は、動力を充分に活かす為、とても軽く作られているのです。 小さな波にさえ舵を取られてしまうので、波を予測できるくらい海を知っていなければならなくてすいません!!」

「…」

 っていう事は、もしかして…

 噴出貝だったらもっと頑丈な感じで乗りやすく作れるかしら?

 

「そんなに難しいのか!?おれも乗ってみたいのに~~」

「子供の頃から練習して、私も乗れたの最近なんです。訓練すれば10年程で」

「長ェよ!!!ものすげェ根気いるぞ!!!」

 

 *--*--*--*--*

 

「おーい!!」

「?」

 海の上からナミが叫ぶ。ちなみに私は今、小さくなってナミの肩に乗っている。

 

「乗っとる!!!!」

「サイコー!!」

 

「何と…!!!すごいですね。信じられません…!!!」

「んナミさん、君がサイコー!!」

「………!!!何で、乗れるんだ!?あんなのに!!!」

 

「確かにコツが要るわねこれは。デリケートで。あんたにはムリよルフィ!!」

 うんうんと、私は心の中で頷いた。そもそも航海術すらろくすっぽ覚えなかったヤツに、波を予測なんて事ができるはずも無い。

 

「おいナミ!!!おっさん家にすぐ行くから早く降りろ!!アホ~!!早くおりろア~ホ~」

「当たんな」

 

「先行ってて!!おじさん、もう少し遊んでていい!?」

「ええ、どうぞ気をつけて下さい!!」

 

「イオリもいいでしょ?」

「うん。でもホントにすごいなナミ。私も乗ってみたいからナミに教えてもらおうかしら?」

「いいわよ。イオリならすぐに乗れるようになるんじゃない?」

「そうだといいな。」

 

「でも、本当に夢見たい!風向きも気にせずこんなに自在に走れる船があるなんて!! 普通の海でも使えるのかしら…!!」

「使えるんじゃない?ノーランドの日誌にも書いてあったじゃない? 彼らは空島に来てないんだから青海で遊んでたんだと思うわよ?」

「そうか!そうよね。ルフィの見つけたヤツはさすがに壊れてるだろうけど、何とか手に入れて帰りたいな”ウェイバー”!!」

「いろんな種類があるって言ってたから、きっとこの島のどこかで売ってるのよ!あとでコニスに聞いてみない?」

「そうね!!」

 

 

 

 

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