イムの娘(いむのこ)   作:槙 秀人

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04-141話:神の島

「……でっっ…かい………コレ何?? 地面があるわ。」

「…やっぱりね。」

 

 今、ナミと私の目の前に、とても大きな島がある。島雲ではない。土の大地である。地上ではちょっとお目にかかれないような大木の森がある。

 1本でも、大型ガレオン船がつくれそうな大きさだ。

 

「えっ!? やっぱりって?」

 私はナミに”記録指針”を見せた。

 

「…これは予備のやつだけど…」

 ナミが小さくなった指針を覗き込む。

 

「ホントだ!この島を指してる!!」

 言いながらナミが自分の”記録指針”も確認する。

 

「スカイピアに到着した時、目の前に雲の島が広がってたけど”指針”はあれを指してなかった。”指針”を奪われる程の強力な磁力を雲が持っているはずは無いからね。実は最初から、大きな大地があるんだろうとは思ってたのよ。でも…思った以上にでかいわね…・」

 

 小さくなってるから余計にそう思うのかも知れないけど、ジャヤよりでかいんじゃないかしら?

 

「それにしても、何なの、この木の大きさ…樹齢何年の木なのよ!しかもこれ全部…」

 少し離れているというのに、枝葉が邪魔で木の先端が見えない。

 

 そう言えば、ジャヤの森にはみんなで行っていないので、どんな木が生えていたのか知っているのは私だけ。

 とりあえず、木の葉は何枚か持ってきた。同じ木である事を確認する為に…

 クリケットさんにあの家の事を確認させてもらって、空にジャヤの片割れがあるんじゃないか? と、推測していたからである。

 原作知識で知っていた…というのもあるけど、たぶんあの家の話を聞いたら、推測する事は出来たと思う。

 

 ドォン…

 

 私がゴチャゴチャ考えてたら、爆発音が響き、いくつもの気配がここに近づいてくるのを感じた。

 

「!? 何かの音がする…声も…!? イオリ、戻ろう!気味が悪いわ」

「!!?」

 しまった!殺気が私たちに向けられてなかったから、気づくのが遅れた!!

 ”わかってた”のに…… 何やってんの私!!

 

「騒がないで聞いてナミ。後ろに仮面のヤツが居る!」

「えっ!?」

 背後で”ジャキン”と音が鳴り、ナミが驚き振り返る。

 

 島の奥からは、1人…それを追う4人と2匹の気配…。仮面の男は、その4人に向けてバズーカーを放った。

 

「…!!?」

「…」

 今度は島のほうでドサっと音が鳴り、ナミが再び振りかえる。

 

「何?何??」

「追われてた人よ。1人を4人が追っていた。仮面のヤツは追ってた奴らに向けて撃ったみたいね。」

 

「!オイ…!!頼む!助けてくれ…!!それに乗せてくれ!!!…船に…!!乗り遅れたんだ…!!!礼ならいくらでも…」

「乗るって…でもこれ1人乗りだから…!!」

 

「うわ!!」

「……え??」

 

「ゲリラ… え!?」

 

 カッ っと、何かが光ったかと思うと、”ドオオオ…ン!!”と大きな音が鳴り、逃亡者の居た場所に落雷が落ちた。そして地面が崩れ落ちる。

 

「…ハァ…ハァ」

 落雷が近くに落ちるなんて経験は、なかなかできるもんじゃない。ナミの呼吸が荒くなる。

 

「くそ…!!!エネルか!!! よくも”ヴァース”を!!!」

 

 さらにもう一発、今度はゲリラを落雷が襲う。

 

 ― ズドオオオ…ン!! ー

 

「くっ!!! …………………!!!」

 

「……ハァ…ハァ…」

 

「…仮面のヤツは行ったみたいね。ナミ!ちょっと、あそこに隠れましょう!!」

「えっ?…うん!!」

 私はナミを誘導して崖の下のくぼみに移動した。そして息を殺す。

 

「”水貝(ウォーターダイアル)”を早く!!」

「消火しろ!!」

 

「……今の男、誰かと話していた様だが…?」

「ゲリラだ。今逃げた」

「命を乞うていたんだろう」

「フフ………」

 

 ワン!!ワン!!

 

「おいおい、その犬を黙らせろ」

 

「しかし、エネル様もどういうおつもりだ。自分でカタをつけるとは。我々は何の為に…」

「………」

「時間切れという事だろうよ」

「時間切れ?」

 

「次の”不法入国者”がすでにこの国に侵入している。」

「……!」

「またか」

「青海人6人を乗せた船だとアマゾンのばあさんから連絡があった」

 

「!…青海人6人って……まさか…」

「私たちの事でしょうね…」

「ちょっと…”不法入国”ってなによ?まさか入国料払わなかったから?」

「たぶんね…」

 

「…そんな…!?ちょっと待って…、あのおばあさん、あんたとロビンが船の中に居るときに写真撮ってたわよ!…だから6人…? じゃあ、わたしたちも、今の人みたいな目にあうの!!?」

 

 私たちは気づかれないように声をひそめて話していた。奴らの”心綱”は、私の見聞色で相殺してるから、姿を見せない限り見つからない。恐らくエネルも気づいていないはずだ。

 

「たった6人とは手応えがない。」

「首6つか。割り切れんな。”4”では」

 

 

「だいたい、何だったの今の雷……!!!コイツら誰!!?ここ何!!?」

「とりあえず、ヤツらが引き上げたら、一旦みんなのところへ戻りましょう。」

「…そ、そうね。」

 

 神官たちが引き上げて、気配が遠ざかった事を確認してから私たちは島を離れた。

 

「大変だ……!!早くみんなに知らせなきゃ」

「…」

 ナミがウエイバーを飛ばして船を泊めたビーチへ急ぐ。

 ほどなく船が見えて来た。コニスの家に行っていた筈だが全員の気配がそこにある。

 

「あっ!!見てイオリ!!」

「うん。もうすでになんか来てるわね。しかもけっこうな人数が…」

「マズイ!!さっきの奴らの仲間かしら。…お願いだから下手に手を出したりしてないでみんな!!」

 

 

「先にいっておきますが、我々ホワイトベレーは神官直属にある部隊。反論は罪を重くしますのでご注意を。 ― ところでそこのウェイバー。見た所壊れていますが、もしあなた方がやったのならば、第10級の犯罪。青海人による空島での器物損壊罪に当てはまり…」

 

「いえいえすいません。これは彼らの元々の持ち物でして…」

「そうだ、おれのだぞ」

「元々の?怪しいですね。青海にウェイバーは存在しない筈。もしこれが空島での窃盗となると罪は第9級犯罪」

「うっさいなーお前、ぶっ飛ばすぞ」

 

「ちょっと待って!!!」

「!」

 

「ああっ!!ナミさん、イオリちゃん。無事だったんだね!!」

 

「ルフィ!!その人達に逆らっちゃダメよ!!!」

 

「だってよコイツら」

「逆らうなって、オイ、ナミ!!じゃあ600万ベリーの不法入国料払えるのか!?」

 だってとルフィが云い、理由をウソップが教えてくれた。

 

「……よかった、まだ罰金で済むのね…600万ベリーって…」

「ちょ…ナミ!?」

 ナミが怒りを露わにして、アクセルを吹かす。

 

 ― めきっ!! ―

 

「高すぎるわよ!!!」

 

 そして、ホワイトベレーにウェイバーごと突っ込んだ。

 ぶつかる前に私は飛び降り、ルフィの横で元の大きさに戻る。

 

「………!!」

 

「「オ イ」」

 船の上ではゾロとウソップが華麗?なツッコミを入れていた。

 

「ぐあ!!!」

「隊長~~~~~!!!」

 吹き飛ばされたホワイトベレーは壁に激突。部下達の悲痛な叫びが聞こえる。

 

「ハッ!!!しまった!!理不尽な多額請求につい……!!!」

 ナミが正気に戻ったようだ。

 

「あ、おじさんウェイバーありがとう。 楽しかったわ!」

「いえいえ、どうもすいません。そんな事よりあなた方大変な事に…!!」

 

 私のとなりでは、ルフィが腹をかかえて笑ってる。

 

「さァ、逃げるのよルフィ、イオリ!!」

「わ!!何でだよ。お前ケンカ仕掛けたんじゃねェのか!?」

「今のは事故よ!事故!! ”神”とかってのにかかわるとヤバイのよホントに!!」

 ナミがルフィの手を引いて船へと走り出す。

 

「待て~い!!!……逃げ場などすでにありはしない!!!我々に対する数々の暴言、それに今のは完全な公務執行妨害。第5級犯罪に値している…!!!”神・エネル”の御名において

、お前達を”雲流し”に処す!!!」

 

「”雲流し”そ……そんな!!!」

 

「何だそれ”雲流し”って。気持ちよさそうだな」

「良くありません!!逃げ場のない大きさの島雲に船ごと乗せられて骨になるまで空をさ迷い続ける刑です。死刑です!!!」

 

「成程…それで何もない空から船が…」

「何だ?」

「例の空から降ってきたガレオン船。200年前にその刑を受けたんじゃないかしら」

 

「…………!!!」

 ウソップがあのガイコツを思い浮かべて震えてる。

 

 お前なァ…!! だ・か・ら!!恐れる事なんてないんだってば!!

 雲流しされたところで簡単に青海に戻れるんだから!!

 

「引っ捕らえろ!!!」

「ハッ!!!」

「!」

 隊員?が弓をかまえる。よく見ると矢の先端には小さな貝がついている。

 

「逃げてください!!敵いません!!!」

 

「よしなさいお嬢さん。それは犯罪者をかばう言動に聞こえますよ」

 

 …まあ、コニスはそういうつもりで言ったんだろうけど、私に言わせればあなた達を心配しての言動とも取れるんだけどね?

 

「撃て!!!”雲の矢”!!!」

「!?」

 

「ナミ!!!邪魔だ。船に行ってろ!!!」

「きゃ!!…うんっ!!!」

「私も一緒に船に戻るわよ?」

「おう!」

 私はナミを抱えて剃刀で船に戻る。

 

「何だアレ?うおっ!!雲!!?」

 

 ルフィが矢を避ける。その矢からは雲が吹き出している。そして…

 

「!!?」

 

 隊員たちが、その雲の上をスケートで移動する

 

「な―るほど!!」

 

 ルフィは手を伸ばして木をつかみ、隊員の攻撃をあっさりとかわした。

 

「面白ェモン持ってんなァお前ら!!」

「何!?」

「何だアイツは…!!?」

 

「えェ!!?手が…のびた」

「なァんと!!!」

 

「ゴムゴムの…」

「?」

 

「まさか…悪魔の実…!!!」

「花火!!」

「!!?」

「ぐわああああ!!!」

 

 一瞬にして、ルフィを襲ったホワイトベレーは全員沈んだ。

 いつのまにかゾロとサンジも海岸に行っていた。海岸にいた他の連中を始末したようだ。

 しかしこの子ら…ほんの数時間でよくもこの高所の環境に順応したものね…

 

「ところで、イオリ、ナミ…ウチの船の今の経済状況は?」

 ゾロが聞いてきた。

 

「残金、100万ベリーってとこね。払えなくはなかったけど、入国料は手痛い出費だったって事!!」

「100万!?…そんなにねェのか?」

「そうよ!たぶん、2ヶ月もたないわ」

 まぁね。ちゃんと分配してるからこその金額だけどね?空島で、けっこう稼げると思っていたからでもある。

 

「何でそんなに少ねェんだ!!?船長として一言言わして貰うけどな……おめェらもう少し金の使い方ってもんを考えて」

「「「お前ェの食費だよ!」」」

 ルフィの戯言を、私とナミにサンジも交えてハモって止めました。ルフィはガーン状態になってる。でも真面目な話、ちょっと考えないとダメかもね?もう少し、一味の資金を残すべき?

 ちなみに分け前は、私がそれぞれの金庫に入れていたりする。渡すと使い切っちゃうヤツがいるのでね?

 

「あっ!!」

「何よ、イオリ!!」

「そういえば、ベラミー一味から巻き上げたお宝の事、すっかり忘れてたわ…」

 ありゃぁ……普通に入国料払っといてもよかったかも?

 まぁ、原作通りだからいっか!!

 

「えっ!!何それ!?私聞いてないわよ!」

 

 

「よーし、とにかく戦いの方はおれの指示した”フォーメーションB”成功だ」

「ホント!?」

 後ろでまた、ウソップがチョッパーに法螺吹いてるけど…。害はなさそうだから今回は目をつぶってやろう。

 

「……あのホワイトベレーを」

「やっつけちゃった…………!!青海の人はここでは運動能力が落ちるハズなのに…」

 

「ハ…ハハハ、バカ者共め……」

「!」

「我々の言う事を大人しく聞いていればよかったものを…。我々ホワイトベレー部隊は、この神の国の最も優しい法の番人だ。彼らはこう…甘くは無いぞ………!!」

「!」

 

「……」

「これでもはや第2級犯罪者。泣こうがわめこうが………ハハハハハハハ…」

 

「……」

 

「”神の島”の神官達の手によって、お前達は裁かれるのだ!!!へそ!!!!」

 

 

 

 

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