イムの娘(いむのこ)   作:槙 秀人

153 / 385
04-142話:試練

「私達、ハメられたんだわ!!あのおばあさん言ってたじゃない。『通っていい』って。 それで通ったら『不法入国』!?詐欺よ!!こんなの!!!」

 

「まったくだぜ!まァあそこでもし、『通っちゃダメだ』って言われてても、どうせ力ずくで入国しただろうって事はおいといてよ!」

「そうか!!お金を払わないといけないなら、別の手段を考えなきゃって思ってたんだけど、力ずくで通ればよかったのね?」

「おだまり!!」

 何ってこった。ウソップと一緒にナミに怒られてしまった…。

 

「…とにかく、大変な事になりました。第2級犯罪者となってしまわれては、私達はお力には…」

 パガヤさんとコニスがとても遠くで話してる。

 

「何でそんなに離れて話すの!?」

 

 

「まあ、でもいいじゃねェか別に。追われるのには慣れてんだしよ」

 ルフィがししし!と笑いながら言う。まぁ、その通りなんだけど、私とナミはその後の言葉に驚いた。

 

「そんな事よりお前ら、何で帰って来ちまったんだ?」

「「は??」」

 

「せっかくおれ達がこれから、あの”絶対に入っちゃならない場所”へ、大冒け…いや…お前らを探しに行くとこだったのに」

 そういえば、あの島には入っちゃいけないっていわれてるんだっけ?

 

「ホンッとにあんたはわかり易いわね!!」

 と、ナミが手刀をかまえる。

 そうそう、ナミは少しだけど武装色の覇気を意識して使えるようになった。集中すれば右手の手首から先に覇気を纏う事が出来るのだ。そして今、指先に武装色を纏わせた。

 

「何が大冒険よ!だから教えたでしょ!?あの島にどんな恐ろしい奴等がいるのか!!見てないからあんたそんな事が言えるのよ!!!確かに神だか何だか知らないけど、神懸かったわけわかんない力だけは本物なのよ!!私は絶対二度と行かないからねあんな島!!!」

 

 言いながら、手刀でルフィのデコを突きながら進む。

 ルフィは『ぎゃああぁ』と悲鳴を上げながら下がる下がる。

 痛いだろうなあれ…

 

「じゃあ、おれ達行くから、お前ここで待ってろよ」

 ルフィが額をさすりながら言ってのける。

 

イ・ヤ・っ!!追手が来るもの!!出るのよこの国から」

 

「出るだと~~~!!アホ言え お前は冒険と命とどっちが大事だァ!!!」

「命よ!!!その次はお金」

 ちょっと、ナミ? 冒険より命が大事なのはわかるけど、その次がお金って?

 

「あ、じゃ、その次がおれかい??」

「うるさいっ」

 哀れ…ラブコックは武装色を纏ったナミの拳の餌食となった…

 

「でもそうだ!そういやおれ達、この空島へ来る事に必死で、下に帰る事なんて全然考えてなかった」

「……………」

 

「安全に帰れる道はあんのか!?おれ達”青海”へ帰れるのか!?」

「………今となってはもう…安全とは言えませんが…青海へ下る道はあります。その為には一度下層の”白海”へ降りて、遥か東― ”雲の果て”と呼ばれる場所へ行かなければなりません。」

「クラウド・エンド…!?」

 

 あ―なるほどね…。コニスのこの発言が青海へ帰る時の布石になってるわけね…

 たしかに”下る道”と言われれば、”雲の道”を思い浮かべるだろうけど、そんなものがあるなら空島に来る時、使えるじゃん?”下る道”というより”おりる方法”だと思うんだけど?

 まぁそれは、今考える事でもないか…

 

「はい。ですけど…やっぱり逃げる事さえお勧めはできません…空の海とはいえ、広大ですし…」

「何だよどういう事だ!!?」

 

「あいつらからは逃げられないって言いたいんでしょ。でもそれを言うならこの国のどこに居ても同じ事よ。とにかくここに居ちゃ2人に迷惑もかけるし、」

「……」

 

「居場所がバレてる!!船を出しましょう。コニス!おじさん!色々ありがとね」

 

「あ!!そうだおっさん。さっきのメシ、一品残らず全部持ってっていいか?」

「ええ勿論どうぞ」

「やったサンジ。弁当箱!!!」

「抜け目ねェなァ」

 

「おれも一つ頼みが!おっさんエンジニアなんだろ?船の修理の為の備品、少しわけて貰えねェか」

「ええ構いませんよ。…ではもう一度ウチへ」

 

「ちょっとどこ行くの?」

「メシ貰ってくる。野郎共、先に冒険準備を整えとけ!!」

 

「ぬ!! アイツ…!! 完全に行く気でいるわ!! ホント怖いのよ!!?」

「知るかよ。おれァどっちでもいい。おれに当たるな」

 

「チョッパー!あんたは私の味方よ、”ねェ…?”」

「え?」

「オドすな… わかってんだろ!?ルフィを説得できねェんじゃ全員でデモでもおこそうが聞きゃしねェ」

 

「いいわよ。じゃ私行かない」

「あァ そうしろ」

 梯子を下ろしておいたので、チョッパーは梯子で登ってきた。

 

「それで?…実際にその”神”を見たあなたの意見は?」

 ロビンが私に聞いてきた。

 

「ナミには悪いけど、そんなに怖い相手でもなさそうっていうのが感想かな?まだ”神”の姿は見てないけどね。みんなが集まったら話したい事もあるし…。たぶん、ロビンもナミも”神の島”に行きたいって言うと思うんだけどな?」

「そう。それは楽しみ。」

 

「そうしろってアンタ。私、追っ手に殺されるじゃない!!」

「あァ…じゃ、そうしろ。 ぐ―………!!」

 ゾロは船に乗った途端に寝た。

 

「ロビン!!2人でルフィを倒さない!!?」

「ムリよ」

 

 

「………フフフ…追っ手…!?……くだらん…神や神官は動かざる山に同じ。聖地にて裁かれる愚者を待つのみだ…。お前達は導かれるのだ……禁断の聖地『神の島』へ!!!」

 

 

 

  ― ガシィ!! ―

 

 突然巨大はハサミが船の両脇を挟んだ。そうかと思うとものすごいスピードで動き出す。

 

「キャー!!!」

「わああああっ!!!」

 

「ちょっと待って!!!何これ、何なの!!?」

「アァアアアアアア!!!」

「どこかへ連れてく気だおれ達を!!!」

「!!」

「おい!!!全員船から飛び降りろ!!!まだ間に合う!!!」

 

「だって船は!!?船持っていかれたら」

「心配すんな!!おれが残る!!!」

「そんな!!あんた1人残ってどうなるの!!」

「……いいえ。そんな事もできない様にしてあるみたい」

「!!?」

 

「大型の空魚達がホラ…」

「!!!」

 

「口を開けて追ってくるわ………!!」

「………」

 

「飛び込んでも勝ち目はなさそう…」

「エビをやっつけたらどうだ!!?」

「何をしてもきっとムダね。おそらくもう…始まっているのよ。」

 

「『天の裁き』か……。追っ手を出すんじゃなくおれ達を呼びよせようってわけだな。横着なヤローだ」

「じゃあ、またあの島へ!!? ……!!! ルフィ~~~!!ウソップ………!!!サンジ君!!!」

 

「がうっ!!がうがう!!」

 エルが何か言っている。すぐさまチョッパーが通訳してくれた。

 

「『私が乗せて逃げようか?』って言ってるぞ!!」

「そ…そうよ!!エルは海の上を走れるんだもの!!みんなをのせて逃げられるわ!!」

 

 確かに逃げられるかもしれない。みんなを小さくしてエルに乗ればいいんだ。

 ってか、みんなが船内に入ってくれればメリーを小さくして私が持っていってもいいのよね?

 でも…

 

「このままでいいのよエル!どのみち『神の島』には行くことになるんだし。連れてってくれるなら手間が省けていいくらいなんだから。」

 

「「はぁ?」」

 ナミとゾロとチョッパーが疑問の声を上げる。

 

「こんな状況になっちゃったけど、とりあえず話しをしようか?」

 

「なに落ち着いてんだおめェは!!」

 

「慌てたら敵の思うツボでしょ?相手を喜ばすような事はしたくないだけよ。」

「…なるほど…それもそうだな」

 

「話しって…?航海士さんがその島に行きたいって思う話?」

「…なによそれ!あの島に私が行きたいって?バカなこと言わないでよ!!」

 

「そうかしら?あの島がジャヤの片割れだとしても?」

「「は??」」

 

「まだ確証は無いんだけど、ジャヤでサウスバードを捕まえに行った時に見た木と、あの島に生えてた木は同じ木だと思うのよ。大きさはまるで違うけどね。そして、これはクリケットさんに聞いた話なんだけど、あの家は建てたものじゃなくて、もともとあそこにあったんだって。吹きっさらしだったのをベニヤ板で塞いだだけみたい。」

 

「…その話のどこらへんに私があの島に行きたくなる部分があるのよ!」

 

「ちょっと待って!それじゃ、イオリはその”神の島”がジャヤの一部だって言いたいの?」

「えっ?」

 

「あの島に、クリケットさんの家の片割れがあれば確実でしょ?だから探しに行きたかったのよ!!」

 

「…もしも、あの島に家があったら?」

「”神の島”には黄金が眠ってるって事になるんじゃない?」

「!!」

 ナミの目がベリーになった。

 

「それは、確かめないといけないわね!!」

 

「ロビンは、航海日誌を全部読んだんでしょ?」

「え?…ええ…」

 

「日誌にはジャヤの住民が、あるモノを守っているって書いてあったわよね?黄金都市シャンドラは古代の都市。さて、そこで守られてたものって何だと思う?」

「!!? まさか…」

 

「確かめたいでしょ?」

「…そうね。是非!!」

 

「オイオイ、なんだよ。おれらにもわかるように説明しろ!」

「”神の島”がジャヤの一部だとしたら、黄金と歴史が眠ってるかも知れないって事よ。」

 

「黄金と…歴史…ねェ…」

 

 

 そして、私たちを乗せたメリー号は祭壇のような場所に降ろされた。

 

「何なの!ここは何!!?」

 

「とりあえず、行ってくらァ」

「? 行くってどこに…」

 ゾロが湖に飛び込んだ。

 

 サメと戦いながら一度海面に出て来たけれど、再び水中へと消える。

 

「……!!」

 

「ギャ~~~~!!ゾロが食われたァ~~~!!!」

「………食べられたんならくもが赤く染まる筈」

「何コワイ事言ってんの!?ロビン!!」

 

「大丈夫。気配の強さは変わって無いから。」

 

「あァウザってェ!!!」

 ゾロが空サメを殴り飛ばした。

 

 

「ハァ……ハァ……まいったな。これじゃ岸へも渡れねェ…一体どこなんだここは……」

 

「間違いない事は、”神の島”の内陸の湖だって事。まるでここは生け贄の祭壇ね…」

「まだ空サメがうようよいるぞ」

 

「えらいトコに連れて来てくれたもんだあのエビ………」

「あんた、サメ殴り飛ばしたわね。剣士のくせに」

「ゾロは強いな―」

「……ここで飢えさせる事が天の裁きかしら」

 

「そんな地味な事するもんなのか?神ってのは」

「さァ…会った事ないもの」

 

 メリー号の損傷は、原作よりかは酷くない。竜骨には武装硬化を施していたので、空島に来てからの損傷は軽微だけど、ココに運んでくれたエビはメリー号の事を全く気にせず高速で移動した。あちこちにぶつかったので、船底にはいくつか亀裂が入っている。祭壇から降ろした場合、浸水は避けられないだろう。

 

「船底がこのあり様じゃ船を降ろすわけにもいかねェし、とにかく船を何とか直しとけチョッパー」

「え!?おれ!?わかった」

 

「直しとけって…あんた何かする気?」

「どうにかして森へ入る。とりあえずここは拠点にしといた方がいいと思うんだ。きっとルフィ達がおれ達を探しにここへ向かってる。言うだろ『道に迷ったらそこを動くな』」

 

「「おまえが一番動くな!!」」

 図らずも、ナミとハモった。まぁ言ってもきかないだろうけど…

 

「この島には神がいるんだろ。ちょっと会って来る」

「やめなさいったら!!あんな恐ろしい奴に会ってどうすんのよ!!」

 

「…さァな。そいつの態度次第だ」

「ゾロ……神様より偉そうだ」

 

「神官だってこの島にいるのよ!?とにかく”神”は怒らせちゃいけないもんなの!!世の中の常識でしょう!!?」

「えっ!!?そうなの!?」

 

「あんたまで…」

 

「悪ィがおれは、”神”に祈った事はねェ。信じてもいねェしな。だから何の義理もねェ」

「うお~~~~!!」

 チョッパーが尊敬の眼差しでゾロを見る。

 

「ああ神様。私とコイツは何の関わりもありません。」

 

「……あのつるが使えそうだな」

「あ…ホントね。いい考え」

 

「なんだ!?おまえも行くのか」

「私もいくよ?」

 

「航海士さんも行くんでしょ?この島がジャヤの一部か確認するために」

「そ、そうだったわ!!」

 

「ええ!!?ナミも行くのか?あんなに怖がってたのに……」

「事実を検証しに行かないといけないのよ!」

 ナミの目は、絶賛ベリーに変化中… まさに現金なヤツだよね?

 

 

「…ウン!!ア~~…ウウン!! ア-アア-…」

 ゾロがターザンの雄叫びをあげてつるでスイングした。

 

「それは何…言う決まりなの?」

 ナミが呆れながら呟く。

 ロビンも続いた。そしてナミの番

 

「……ちょっと高いかも」

「50mくらいよ。失敗したら死ぬわ」

「そんな事言わないでよ!! うっ………!!」

 ナミがスイングする。

 

「わあっっ!!!速……速すぎ!!!止まれない~~!!!うぶっ」

 ロビンが手を咲かせて受け止めた。

 

「度胸あるじゃない」

 

「ハァ…ハァ…!!ご迷惑おかけします。」

「いいえ……本当に大きな森……」

 

 そして私の番なんだけど…

 

「……」

 

「イオリ、早く来なさいよ!!」

「月歩!」

「あっ!!」

 私はナミの隣に着地した。

 

「ちょっと!何で言ってくれなかったのよ!!」

「えっ?だって…ロビン以外はみんな知ってることじゃない?」

「…そ…そうだけど…・・」

 といってナミは頬をふくらませる。

 

「…イオリは空中を歩けるの?」

「まぁね。海軍(?)の体術、六式の一つ『月歩』って技よ。」

 

「じゃあチョッパー。船番頼むぞ!!」

「よろしくね!!」

「すぐ戻るから」

 

「おう!!みんな気をつけて行けよ!!!無事に帰って来いよ」

 ちなみにエルは私のポケットの中で熟睡してる。

 

「ナミはゾロ達がいるから大丈夫かな。おれは怖くて行けないもんなァ。みんな勇気があってすげェなァ。おれもその内、勇敢になれるかな…!! ……とにかく、おれは今やれる事をやろう!危険な森で1人で船番なんて、信頼されてる証拠だ……!!そうだ!!おれは1人でこの危険な場所に…」

 

 大工道具を出して、チョッパーは船を修理しようと動き出した。が、

 

「はっ…………一番危険なのはおれだっ!!!」

 みんなが見えなくなった後にその事実に気づいたのだった。

 

 

 

 

「井戸が…そんなにおかしいか?」

「ええ…樹の下敷きになるなんて考えられない。自然と文明のバランスがとれていないのよ」

 

「…まァ何にしてもこの雲の川を攻略しねェと……この森を歩き回る事はできねェな… 神に会うどころじゃねェぞ」

 

「文明はこの樹の成長を予測できなかった。…こんなケース初めて見たわ」

「この島が、ジャヤだとしたら説明がつくんじゅない?理由は定かじゃないけど、この雲の成分とかが、生物の成長になんらかの影響をあたえているとかね。ほら見てよ。ジャヤの木の葉とこの木の葉…」

 私はジャヤで拾ってきた木の葉と、ここの木の葉をロビンに差し出した。

 

「大きさはまるで違うけど、形が同じね…よく見れば表面の模様も…この木の大きさを見なければ、同じ木の葉と判断出来るわ。イオリの言うとおりかも知れないわね。」

 

「おいナミ!!上から何か見えたか!?」

「………神の住む島…アッパーヤード…」

 

「おい、何とか言ったらどうなんだ!?神はいたか!?」

「…何か見えたの?」

 

「家の片割れはあった?」

 月歩でナミの隣まで行って聞いた。

 

「見て、あそこに…」

「おおっ!!」

 

 双眼鏡でナミの指す方向を見る。島の端にクリケットさんの住む家と同じ様な建物が見えた。

 

「イオリの言う通り、この島は…」

「!!?」

 

「どうかしたの?」

「……今、ホイッスルが聞こえた気がする…」

 

「えっ!?」

「まさか…、チョッパーか?」

 

「島の確認は…、3人にまかせるわ! 私は一旦船に戻るわね!!」

「…わかった。」

 

「イオリ、チョッパーをお願い!!」

「任せて!!」

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。