イムの娘(いむのこ)   作:槙 秀人

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04-143話:黄金郷

 私が祭壇まで戻ると、空の騎士と神官が戦っていた。

 

「大丈夫、チョッパー!!」

「あっ!イオリ!!」

 私はエルを船の上に置いてもとの大きさに戻した。

 

「何が起こったのか教えてくれる?」

「あいつが現れて、船が燃えて…おれ、笛吹いたから空の騎士が来てくれて…」

 

「そうなんだ…傷は…大した事はなさそうね?」

 原作に比べて、チョッパーの怪我は軽微だった。医術だけでなく武闘も教えてもらったからかしら?それとも船に乗ってからの訓練が生きたかな?

 

「う…うん。おれは大丈夫だ! !!?」

 チョッパーが二人の戦いの異変に気づく。

 

「むっ!!?」

「かかったな…!!」

 何だ!?イヤに体が重い……!!!

 

「カハハハ、どうかしたかガン・フォール!!?」

「おのれ…!!!何をした……!!!」

 なぜだ!!体が動かぬ!!!

 

 ”帰って来てください…神様”

 

「死ぬ者に、答えは要るまい」

 

 ”そうだ。聖地は再び歌うのだ…いつかきっとな”

 

「? ?? え」

 

「剃刀っ!!」

「!!?」

 

 ガシッ!!

 

「「!!?」」

 

「そこまでよ!!」

 私はシュラの背後まで移動して、槍の柄を持って突くのを止めた。

 

「なっ!?なんだ、貴様は!?どこから現れた!!?」

「「!!?」」

 

 不思議な力を持ってる神官が私に気づいてなかった事が疑問なんだろう。

 シュラの言動にチョッパーと空の騎士が首を傾げてる。

 

「私は写真に撮られてないから知らないんでしょ?残念ね。”不法入国者(わたしら)”は6人じゃないんだなぁ!!」

「きさま…”青海人”の仲間か!!」

 

「さっそくで悪いけど、倒させてもらうわよ?」

「馬鹿め。青海人に倒されるほど、神官は甘く…」

 

 シュラが裏拳で攻撃するが私は難なくそれを躱して懐に入り込む

 

  ― ドゥッ!! ―

 

「ガハッ!!」

 

 拳を突き出すと同時に鉄塊を施す。”空木”と同じ原理で破壊力が増した一撃だ。

 シュラが吐血して意識を失い落下した。

 

「クカカカカア…カァ!!?」

 すかさず吠えた鳥(フザ)の口に手を入れてダイアルを取り出し、火を吐けなくする。

 それでも襲いかかろうとするフザを倒そうと思ったら…

 

「ガウッ!!」

「「!!?」」

 

 飛んできたエルが一撃でフザを沈めた。

 

 フザだけでなく、私とチョッパーも驚いた。いつのまにか月歩を会得していたらしい。さらに武装色まで!!?

 

 いや、教えましたけども…。

 しかし…ゾロやサンジより先に会得するってエルあなた…

 いろんな意味で恐ろしい子…

 

 既にリトルガーデンの森に王者として君臨出来るレベルに達しているのではなかろうか?

 今のエルなら恐竜だって撃退出来ると思う。

 

 これはマズイぞ!? 船では常にミニ化にしておかないとみんなが危険に晒される?

 まぁ、基本いい子だからそんな事はないだろうけど、後でいくつか決め事を作っておかないとダメね。

 

 褒めて褒めてと私の周りを月歩で走り回るので、頭をなでてやったら甲板に戻っていった。

 

 私はシュラとフザが船の上に落ちたことを確認してから、剣を抜いて空の騎士に向かう。

 

「ぬぅ!?」

 

「イオリ!!? 空の騎士は敵じゃないぞ!!」

 チョッパーが言うけど、わかってるってば…

 

「!!?」

 見ている者からすれば、剣先が空を斬っただけのように見えただろう。

 私は刀を仕舞った。

 

「どう?動けるようになったでしょ?」

「…うむ…おぬし、今何をした?なぜ我輩は動けなかったのだ?」

 

「これよ。」

 と言って、今斬った糸の束を見せる。

 

「…これは!!?」

 

「”紐の試練”だっけ? 髪の毛より細い糸なんてよく思いついたもんだわ。ここまで細いと重さも殆ど無いし、透明だから見えないものね。 あいつがあなたの回りを飛び回ってたのはこれを絡みつかせるためよ。1本1本は大したことないけど束になれば動きを封じる事も出来る。これがなければあなたが勝ったんだろうけど…。危なかったわね。」

 これに覇気を通せば、ドフラと同じ事が出来るのかしら? あ~、あれは何本も撚り合わせてるんだっけ?

 島雲を青海で再現出来たら、雲貝もいろいろ用途が考えられるんじゃないかしら?

 

「なんと…助けに来て、逆に助けられるとは…面目ない。」

「そんな事ないわよ。ずいぶん助かったと思うわよ。ねぇ、チョッパー?」

 

「そうだぞ!空の騎士が来てくれなかったら、おれ、やられてた。」

 

「チョッパー!!あなたの治療もしないとね?私が治療するから、あなたは『空の騎士』の治療をお願いね!!」

「うん、わかった!!」

 

 私がチョッパーの傷の手当をして、チョッパーがガン・フォールの手当をする。その後、チョッパーと一緒に倒れているシュラとフザも治療した。おそらくシュラは2、3日、目を覚まさないだろう。

 

「イオリ…なんで、敵のこいつらまで治療するんだ?」

 治療するように促したのは私なので、治療しながらチョッパーが聞いてきた。

 

「チョッパー、あなたは医者でしょう?医者の本分は…なんだと思う?」

「!!?」

 

 一瞬戸惑った顔を見せるチョッパー。私は首を傾げて答えを即した。すると何かに気づいたようだ。

 

「!!…患者を治療する事だ!」

 

「その通り!戦ってる最中ならばともかく、もう決着は着いてる。患者に敵も味方もないでしょう?」

「うん!そうだな!!」

「……」

 私たちのやり取りを聞いていたガン・フォールは何かを考えているようだった。

 

 治療が終ったシュラとフザは小さくして、同じく小さくしておいた檻に入れておく。

 

「…なんと…おぬし、悪魔の実の能力者か?」

 

 それを見ていた空の騎士が驚きの声をあげた。

 

「私は縮小人間。なんでも小さくできるのよ?」

 

 ~ ~ ~ ~ ~

 

(メリー)号のマストがねェぞ…!!どんな奇抜な改造を施したんだあいつ」

「そんなわけないでしょ!!?敵襲の痕よ!!」

 ゾロのボケにナミがツッコむ。ボケというか天然?

 

「お帰り。家の片割れはあった?」

 

「あったわよ!…あれ?変な騎士も居るの?」

「イヤ、我輩、”空の騎士”である。」

 

 あっちも来たみたいだ

 

「おォ!!?ホラ見ろ!!G・M号だ!!!あれが祭壇だァ!!」

「お」

「あ」

 

「………」

 

「あ~~~~!!ナミさ~~ん、ロビンちゃ~ん、イオリちゃ~ん!”恋の試練”を越えてきたよホホ~~~っ!!」

「恐かったか!?お前ら!!このキャプテン・ウソップが来たからにはもう安心だ!!!」

「何だ…試練ってあれだけだったのか………」

 口調から分かるだろうが発言はサンジ、ウソップ、ルフィの順である。

 

「あっちも元気みたいね…一安心」

 

 

「マストが…無え……!!!」

 祭壇に戻り、船を見たウソップが呆けたようにつぶやいた。

 

「……あ……あ、あの…ウソップごめんよ。おれ必死で戦ったんだけども…色んなトコ燃やされて」

 

「お前、ケガは大丈夫なのか?」

「え!? う…うん。イオリに治療してもらった…から…」

 

「燃えるヤリとはヤベェ野郎だったな…!!燃やされたのがお前じゃなくてよかったよ!!だはは!! 船の事は後で考えようぜ」

 

「…………は……!! おれはもっと頼れる男になるぞ!!!」

 

 

「おい、チョッパー!!”変なおっさん”どこだ!!ケガしてるんだろ!?」

 

「いや、それほど大したケガではない。かえって世話をかけた。」

 あれ?ルフィには”変なおっさん”って言われても気にしないんだ?

 

「―― タダでくれた笛一コの為に戦ってくれたんだろ?」

「空の騎士が来てくれなかったら、おれも船ももっとやられてた。」

 ゾロが問い、チョッパーが応じる。

 

「いや、我輩もおぬしらの仲間に助けられたのだ!礼にはおよばぬ。」

 そしてガン・フォールが答えた。原作では意識を失っていたけど、大けがしなくてよかったわよ。

 

「色々聞きてェ事もあるが…まずは、野営とメシの準備が先だ。船もこの状態。日も落ちて来てるし、エンジェル島に帰るのは明日になりそうだからな。」

 サンジが言う。

 

「じゃあ、湖畔にテントでも張りましょうか?もしもの時は船の上より戦いやすいだろうし。」

 

「うおーっ!!やったー!!!キャンプだ~~~!!! 宴だ~~!!!」

「えェ!?おい、ちょっと待てよ。ここは敵陣だぞ!!キャンプって…」

 テントと聞いてルフィが喜ぶ。ウソップは少し顔を青くしている様だけど?

 

「問題ないわよ。そもそも神官や神は見聞色が使えるみたいだから、どのみち私たちの事はばれてるわ。船の上だろうが、湖畔でキャンプをしようが一緒よ。だったら楽しんだ方がいいじゃない?」

 

 

 

「よーし…え―みんな。色んな報告ご苦労!!それぞれの情報で色んなことがわかってきたな。」

 ウソップが仕切ってる。と言っても、ちゃんとみんなは話しを聞いてるんだろうか?

 

「 ― で、そのマントラって何なんだ?」

「イオリちゃんが使う、見聞色みてェに動きを読みやがるんだ」

「空島では見聞色の事を”心綱(マントラ)”って言うらしいわよ?捕らえた神官と戦った感じからすると、私みたいに思考まで読めるわけじゃなさそうだったけどね。それに完全に相殺出来てたみたいだから、私のほうが強力みたいだし。」

 

「相殺?」

「覇気の説明をする時に話したと思うけど、同じ系統の覇気は、その力を打ち消す事が出来るのよ。同等かそれ以上なら相手の覇気を無効化できる。たぶんやつらは私の動きを読むことは出来ないと思うわ。」

 

「へぇ~、なんだ。もっと真剣に取りくんどきゃよかったな!!」

 オイこら!なんだその言い方は!!おめェには散々説明したろうが!!

 

「なんにしても、ヤツらが見聞色を使えるってのは厄介だな…」

 

「今回はともかく、先々の事を考えたらみんなにも本気で覇気を習得してもらおうと思ってるわよ?今のところ、ちゃんと意識して使えるようになったのはナミだけなんだもの…」

 あと、エルもかしら?

 

「何ィ!!おいナミ!おめェいつの間に…」

 ナミがちょっと得意げな顔をする。そりゃそうだ。武闘派3人がまだちゃんと身につけれていないんだから…

 

「ナミの場合は、しょっちゅうルフィを叱ってたから、ダメージを与えるためにっていうのが習得が早い理由だろうけどね?武装色については、みんなも使えて来てるんだからもう一歩ってところでしょ? ナミもまだ完全にコントロール出来てるわけじゃない。今のところ手首より先、限定だからね。」

 

「でもちゃんと、集中してやってるわよ?そのうち、武装硬化っていうのにも挑戦するんだから!」

「「こりゃ、うかうかしてられねェな」」

 

「お~い、話を聞けェい!!何と言っても今回の目玉情報はコレだっ!! この島は何と、猿山連合軍が探し求めていた”黄金郷”だったのだ!!」

「マジで―っ!!?」

「さっき言ったでしょ!!」

 

 

「黄金かァ。こんな冒険待ってたんだ!!」

「そう来なくっちゃ。話が早いわ!!」

 

「コラコラ ルフィ!!お前さっきのゲリラの忠告、忘れたのかよ!!」

「神が怒るぞ!?」

 

「フフ……面白そうね……!」

「まァ海賊がお宝目前で黙ってるわけにゃいかねェよな」

 

「敵も充分………!!こりゃサバイバルって事になるな」

 

「これで財政難ともおさらばだ。」

 

「よ~~~し、やるか!!!黄金探し!!!!」

 

 

 

 ナミが何かを書いているので覗いてみると、スカイピアの地図だった。

 

「ふ~ん。その×印のところに家があったのね?」

「そうよ。イオリの考えてた通りだったわ。今、スカイピアの地図をジャヤの地図に縮尺をあわせてるところ。おおよそだけどね。」

 

 

「サンジ!!いろいろ取ってきた」

 チョッパーとゾロが帰ってきた。

 

「お!ごくろうさん」

 

「クルミにアロエ。バナナにニンニク」

「ねずみにカエル」

 

「よしシチューにブチ込め」

 

「……」

「ちょっと待てェ!!今おかしい食材あったわよ?」

 サンジの言葉にナミが驚いて文句を言う。カエルとねずみは下処理せずに鍋にぶち込むのはどうかと思うわよ?…と考えながらサンジに頷いて見せた。

 

「だよね~~うっかりしてた…ニンニクはイヤ?」

「違う!!!そこじゃないっ!!!」

 ナミは文句を言ってるけど、私はズッコケてしまった。

 …あっ、ロビンも帰ってきた。

 

「わ、ロビン。その青いの何!?宝石!!!」

「……フフ、キレイでしょ?だけど違うわ」

「へえ!!塩の結晶か。よく見つけたなロビンちゃん」

 

「湖岸にあったのよ。あれば便利かと思って…」

「そりゃもう!!サバイバルにあっちゃ、命をつなぐ塩分さ!!」

 

「アロエとニンニクは半分貰うんだ。火傷薬と消毒薬が作れるからな。空の騎士に効くよ。」

「へェ カエルは」

「カエルはいらねェ」

 

「オイコラゾロ!!ヒマだろ。ちょっと手伝え」

 

 

「あのな、おれの刀はこういう事の為にあるんじゃ…」

「黙ってやれ。コックに逆らうと餓死すんぞ」

 

 熱く焼かれた石を、ゾロが二本の刀で持ち上げる。そしてそれをなべの中に ドボン!!と落とした。

 ジュ~~!!という音があがり、石が沈むとシチューが沸騰する。

 私に言ってくれればもっとスムーズにできたと思うんだけどな?

 

「ええ!!?石まで食うのか!?うまいのか!?」

「食うかよ。”焼石シチュー”だ。焼石の熱でシチューを煮るのさ。シチューはいいんだぜ。食料の栄養分を無駄なく摂取できる。」

 

 

「…よし、できた!!」

 ナミが縮尺をそろえた地図を完成させたらしい。さて、昔のジャヤの姿を拝むとしますか。

 

 

 

「じゃあ、みんな! 明日、どう行動すべきか!!作戦会議を始めるわよ!!」

「おォ!!」

 

 食事をしながらの作戦会議が始まった。

 

「んまいですね~~!!このシチューはまた」

「おめェはさっき、空サメ丸焼きで一匹食ってたろ」

「まァあれはつなぎだな 空島弁当もまた、んまいですね~~」

 

 

「いい?まず、ノーランドの絵本のおさらいよ。彼が初めて”黄金郷”を発見したのは400年前。それから数年後、再びジャヤを訪れたときには…もうジャヤに黄金遺跡はなかった。  ― つまり、その数年の間にジャヤの片割れであるこの島は上空にやってきた。」

 

「”突き上げる海流”に乗ってか」

 

「ええ、それしか考えられない。海底での爆発位置は毎回違うとクリケットさんが言ってたから」

 

「あの規模だもんな…島も飛ぶぞ。」

 

「 ― でもよ、ジャヤの森とこの森が同一とはとても思えねェが」

 サウスバードを私が捕まえたからあんたら森に入ってないもんね?遠くから見ただけだからなんもわからんだろ。

 

「イオリとも話してたんだけど、それは…きっと”海雲”や”島雲”を作る成分のせいね。イオリが持ってきてたジャヤの木の葉とこの森の木の葉を比べてみたんだけど、大きさは異なるものの種類は同じだったの。この空島を包む環境は動植物を異常な速度で育む力があるみたい。そう考えると森にのみ込まれた文明にも納得がいくわ」

 

「おれ達、みんなを待ってる時にこんなにでっかいサウスバードを見たぞ。よくわかんねェけど、空の騎士を”神様”って呼んでた」

 

「神!?」

 

「じゃ、何だ。このおっさんブッ飛ばしたらいいのか!?」

「いいワケあるかァ!!このスットンキョーが!!!」

 

ルフィ(あいつ)の発言は気にしなくていいわよ?天然なだけだから。」

 私は、ガン・フォールを見ながら言った。

「……」

 

「 ― とにかく、ノーランドの航海日誌に書かれていた、”黄金郷”についての情報を思い出して!」

「黄金を見た」

「っっタリめェだ!このスットコドッコイ!!!」

 

「それも”巨大な鐘形の黄金”だって言ってたな。…あとサウスバードがいて…」

 

「……日誌の……最後のページに理解できない言葉があったわ。ノーランドが死ぬ間際に残したという文章。『髑髏の右目に黄金を見た』って……」

 

「それよ!!これ見て!!ロビンがジャヤで手に入れた地図と、スカイピアの古い地図の比率をあわせたの。おおよそだけどね…海岸の家をくっつけると、ほらっ!! これが400年前のジャヤの姿っ!!!」

 

「うお!!!」

「………ドクロに見える!!!」

 

「………」

「………!!」

「どう?」

「スゲェ!!」

 

「……じゃ、『髑髏の右目』ってのは…」

「この場所ね!」

 ウソップの問いにナミが地図を指さして答える。

 

「ノーランドが言いたかったのは島の全形の事よ!!だけど今、島は半分しかないんだもの。この謎が解けるわけがなかった。」

 

「…そうか、そういう事だったのか………」

「成程ね……!!」

「お宝~~~!!!」

 

「明日は真っすぐにこのポイントを目指せばいいのよ。その間、船も放っとけないから、2班に分かれて動きましょう!!間違いない!!この場所で莫大な黄金が私達を待ってる!!!!」

 

 

 

 

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