イムの娘(いむのこ)   作:槙 秀人

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04-144話:検索組と脱出組

「ふ~~食った食った~ 明日は黄金!!晴れるかな」

「そりゃ雲の上だからな」

 ルフィの能天気な発言に、ウソップが応える。

 でも、ここは高度10000mだから、この上にも雲は出来ることがあるのよ?晴れじゃなくなるかどうかは知らんけど…

 

「夜も更けたわ。用のない火は消さなくちゃ。敵に位置を知らせてしまうだけよ」

 

「バカな事を…聞いたかウソップ。あんな事言ってらァ…火を消すってよ」

「仕方ねェさ。そう言ってやるな。ロビンは今まで闇に生きてきた女…知らねェだけだ。」

 

「! ? ……どういう事…?」

「…気にしなくていいから…」

 困惑顔のロビンに言ってあげた。コイツらの戯言を真面目に聞くのは無駄である!精神衛生上もよろしくない。

 

「キャンプファイアーするだろうがよォ普通!!!」

「キャンプの夜はたとえこの命尽き果てようともキャンプファイアーだけはしたいのが人道(じんどう)

「「うおおおおおおおおおおおお…」」

 orz状態で震えるルフィと地面を叩くウソップ……

 

「バカはあんたらだ!」

 ナミの意見には全力で同意したい。私は激しくうなずいた。

 

「いい加減にしなさいよ!!!この森がどれ程危険な場所かって事くらいわかってるでしょ!?」

「知らん」

 

「神官もいる!!ゲリラもいる!!それ以前に夜の森はただそれだけで危ない所なのよ!!猛獣だって化け物だっているかも知れない!!」

「化け物も~!!?」

「がう?」

 化け物という単語にチョッパーが、猛獣という単語にエルが反応したらしい。

 もとの大きさに戻しておいたら雲ウルフは近づいてこないかも?

 ちなみにエルの大きさは全長1.5m。拾って(?)から一回り大きくなった。

 

「オイ!!ルフィ!!!組み木はこんなもんか?」

「はい!」

 ゾロとサンジが背の丈を超える組木を完成させていた。

 

「あんたらもやる気満々か!!!」

 

「落ち着いてよナミ。そもそも神官や神は見聞色が使えるんだから、どのみち私たちの事はばれてるの!だったら、楽しんだ方がよくない?」

 キャンプやるって言った時と同じセリフをかさねてみました。

 

「そうだよナミさん。それに、むしろ猛獣は火が恐ェんだから」

「後ろ後ろ!!!もうなんかいるわよ!!!!」

 松明を持つサンジの後ろの暗闇には、光る無数の目があった。

 

 

 ぎゃーっはっはっは…

 

 キャンプファイヤーは前夜祭というか、既に宴になっていた。

 

「ウオウオ~!!」

「おウォウォウォウォウォウォ~~~~~~~!!」

 

「アッハッハッハッハッハッハ!!」

 狼までもが酒を飲み、炎の周りに輪になって踊っている。

 

「ノッて来いノッて来い!!黄金前夜祭だ~~!!!」

 ウソップが、リズムに乗って太鼓をたたく。

 

「いただくぞお宝~~~~~~!!」

「黄金!!」

 ひゃっほー!!

 

 

「雲ウルフも手なずけたか……フフ……エネルの住む地でこんなにバカ騒ぎをする者は他におらぬぞ…」

 

「にぎやかでいいでしょ?」

 ずっと何か考え事をしていた空の騎士が後ろから現れた。

 

「そういや、まだちゃんと礼を言ってなかった。ありがとよ……」

「シチューがまだあるみたい。いかが?」

「いやいや、もういっぱいである。」

 ゾロとロビンが声をかける。原作とは異なり食事は一緒にとったからセリフも異なるわけね。

 ぶっちゃけキャンプファイヤーのくだりの時なんて、うちの馬鹿さ加減に目を見張ってたからね。恥ずかしいったらありゃしない。

 

「おお!?変なおっさん!!いっしょに踊ろう!!」

「踊ろう!!空の騎士!!」

 

「おう!!そうだおっさん。コニスちゃんはどうした!?無事か!?」

「うむ。親子共、我輩の家におる。安心せよ」

「そ~~か、よかった。それが心配でよ」

 

「…さっきのおぬしらの話を聞いておった…この島の先の名をジャヤというそうだが… 何ゆえ今…ここが”聖域”と呼ばれるか……わかるか?」

「?」

 

「……おぬしらにとって…ここにある地面は当然のものなのだろうな……」

「…ん?そりゃそうだろ…」

 

「……だが、空には…これはもともと存在し得ぬものだ。”島雲”は植物を育てるが生む事はない。緑も土も本来、空にはないのだよ」

「………」

 

「…我々はこれを”大地(ヴァース)”と、そう呼ぶ…空に生きる者達にとって永遠の憧れそのものだ」

「………」

 

「そういえばおぬし、いろいろと知っておるようだな。神官のシュラを倒した事といい。マントラがどういうものかも知っておるようだしな」

 

「あなたの事も知ってるわよ?ロジャーから話を聞いた人から伝え聞いてる。ガン・フォールっていうのは、確か”神”だったんじゃなかったっけ?」

 たぶん、クロッカスさんも会ってるのよね?

 

「なんと…おぬし、ロジャーを知っておるのか?」

「青海でロジャーを知らない人はいないわよ。彼は”海賊王”って呼ばれていたの。」

 私とガン・フォールはロジャーの事や覇気の事についてしばらく会話を交わした。そして…、キャンプファイヤーも終わり就寝となった。

 

 

 

「何が一緒にだ…いくつだてめェは。勝手に言って来い…」

 

 ゾロを誘ったが断られ、ウソップは一人湖へと歩いた。

 

「!?」

 

  ― コーン…コーン… ―

 

 木槌の音が響く…。

 

 音は祭壇…つまり、湖の中央から聞こえている。

 意識を集中してみると気配を感じる事が出来た。これはあれだ…下の海で感じたメリーの気配と同じモノだ!

 

 

 ”何の音だ……?船には誰もいねェハズだけどな…霧が深くてよく、見えねェや…”

 ウソップが目を凝らして覗き込む。

 

 私は背後からウソップの肩に手をあてた。もちろん、口を塞ぐ準備も忘れない。

 

「ギャ…モガッ…!!

「シーッ!静かに…」

 

「い…イオリ!!?…船に誰かいるぞ?」

「そうみたいね」

 

 突然、木槌の音が止んだ。そしてニコッっと、木槌を持った影が微笑んだ…ように感じた。

 

 ウソップも感じたんだろう。声にならない叫び声を上げて気絶した。

 まぁ、なんてだらしない…

 

 その後、影が作業を続けるのを私は静かに見守った。

 しばらくすると、作業を終えた影がもう一度微笑んだ。私がその影へ微笑み返すと影は静かに消えた。

 そして私はウソップはそのままに、寝床に戻った。

 

 しばらく後、ゾロがウソップを見つけたのは原作通りの事である。

 

「何やってんだ?コイツ。小便しに行くっつって…こんなトコで寝てやがる…… しょうがねェ奴だな………」

 

 ~ ~ ~ ~ ~

 

「見ろ!!言ったとおりだろ。ここに誰かいたんだ!!!見たんだおれは。イオリ、お前も見たよな? やっぱりあれは夢じゃなかった!!!」

「……」

 

「G・M号が……修繕されてる……!!」

 

「確かに…折れきったマストまでちゃんと直ってる」

「……だが、言っちゃ悪ィが下手くそだな」

「いいやつがいるもんだ」

 

「……おれァてっきり…オバケかと………」

「……しかし、こんな辺境で誰が船を直してくれるってんだよ。この”神の島”には、おれ達以外に敵しかいねェ筈だぞ……」

 ナミ、サンジ、ルフィ、ウソップ、ゾロが口々に呟く。

 

「でも、フライングモデルじゃなくなってるな、ウソップ」

「そこなんだ。それを考えてた。何でこれを直しえくれた奴は…メリー号の元の姿を知ってるんだ? トサカがなかった事も、羽やしっぽがなかった事も…」

 

「長鼻君の言う通り、イオリも見たの?」

 ロビンが聞いてきた。ロビンは探索組で私は脱出組。一旦ここで別れることになるから、疑問を解消しておきたいんだろう。

 

「見た…というより感じたっていうのが正しいかな?メリーに気配があるって前に言ったと思うけど、その気配が人の形になった…。そんな感じだったわ」

「?」

 ロビンが首を傾げる。言ってて何だけど、この一味で現在、私の言ってる事を理解できる者はいない。優越感に浸るどころかちょっと悲しい…

 もっと真剣に覇気の修行をやらせておくべきだったかも知れない。

 

「ホラホラ!あんた達、何サボってんの!? 『脱出組』は昨日の後片付け!『探索組』は冒険準備!」

 

「よ―し!!おれが食料の振り分けをやるぞ!!」

「ルフィ…それだけはおれがさせねェ!!」

 

「それより船を下へ降ろさなきゃ。」

「じゃあ、私が(念動力で)降ろしとくわ!」

 

「何で知ってるんだ? なぁメリー… 誰だったんだありゃあ…」

「…」

 

 

「さてと、地図を見て!『探索組』のルートはこうね。南へまっすぐ。この”右目”に何らかの遺跡があるハズだから。まァ、敵もろもろに気をつけて、黄金持って来て!!」

「簡単に言いやがって」

 

「何だお前。黄金黄金言ってるくせに来ねェのか?」

「そうよ。だってコワイじゃない」

 

「その間、私達はメリー号でこの島を抜けるわ。こっちも危険よ。なるべく早く遺跡付近の海岸へ行くから、そこで落ち合いましょう!そしてそのまま空島脱出。これで私達は『大金持ち海賊団』よ!!好きな物買い放題!!」

「やった~~~!!!」

 

「見ろ、今日は快晴だ」

「雲の上だからな」

 

「ゾロ、ゴーグルこっちにしなさいよ!レンズがサングラスになってるからオシャレでしょ?」

「お、いいねェ。」

 それとなくゾロのゴーグルをサングラスにしてみた。もちろん閃光貝対策である。きっと役に立つでしょう。

 

「じゃあ、東の海岸で無事会おうぜ!!!」

「おーし。そんじゃ行くかァ!!!」

「おお!!!」

 

 探索組:ルフィ、ゾロ、チョッパー、ロビン

 脱出組:ナミ、ウソップ、サンジそして私

 二手にわかれての行動開始だ。

 

「ねぇ、ナミ…。私、こっちでよかったのかしら?」

 探索組は原作通りなんだけど、脱出組には私が加わっている。

 原作を見るに、探索組のほうが大変だという事はナミもわかっているようで、戦力的には脱出組のほうが少なかった。

 

「戦力的に考えたらこうなったのよ。大丈夫よイオリ。いくらあの二人だって南にまっすぐ行くだけなんだから。」

「…そうだといいけど…」

 甘い……。あいつらを甘く見すぎてるわよナミ!!

 まあ原作通り、あっというまに全員はぐれるんだろうからどうしようもないかもしれないけど…。

 最悪、私が捜索・回収するハメになる事は覚悟しておかないとね。この島程度の広さならどこにいるかわかるだろうし…

 

 今回の組分けはナミが行った。探索組は原作通りだ。黄金をたくさん回収するのであれば、私は探索組だと思ってたんだけどな?

 聞くと、あの二人は小さくしなくても見つけただけ黄金を回収してくるでしょう。

 力だけはバカみたいにあるんだから…との事。

 うん、納得…。

 

 

「風よし!!舵よし!!ん―実に快適。巡航は順調だ。しかしノロイなコリャ。 おい航海士!なんとかしろ」

 

「なんともなりません。キャプテン・ウソップ。”雲の川”は起伏が激しいから、ダイアル船の動力しか頼れないんだもん」

 

「ぬぬ!!頑張れカラス丸!ああ、それとサンジとイオリ。お前らは常におれ様の護衛にあたれ。キャプテンはこの森恐いんだ」

「黙れ。おれが守るのはレディのみだ」

「めんどうだから却下!!」

 ウソップの戯れ言にサンジと私が答える

 

「そうだ、”変な騎士”のお薬の時間よね?チョッパーどこに置いてくっていってたっけ」

「我輩、名をガン・フォールという。ガン・フォール」

 

「あァ、薬なら冷蔵庫の横の棚の上だよ。頼むね。」

 

 

 

 

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