イムの娘(いむのこ)   作:槙 秀人

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04-146話:シャンディアの村

「イオリ!!感電…って!?…」

 

「エネルは自然系の能力者よ。たぶん雷の…ね。とりあえず2人の手当てをしましょうか!治療道具を持ってくるわね。」

「雷…!!そんなの人間が敵うわけないじゃない…!!」

 

「ほほーう!!!」

「ほっほほーう!!!」

「!!?」

 

「ほっほほーう!!!」

 

「何よ!!誰あんた達!!」

 

「ほっほーう!!!」

「……!!」

 

「『何よ』じゃなーい!!よくも兄貴を!!」

「おれ達は『副神兵長』!!!よくもサトリの兄貴を~~~!!!」

「ほっほほーう!!」

 

 医療道具を持ってデッキに戻ると、丸っこいのが2人増えていた。入ってすぐ出て来た感じなんだけど、凄いタイミングで現れたわねこいつら…

 しかし…

 歌って踊って…ウザイわね!しかも、こいつらまで私の事、ガン無視かいっ!?あったまくんなァ!!

 

「なァに!?兄貴って…!!知らないわよ!!」

「『知らない』じゃなーい!!おれの名は『ホトリ』!!」

「おれの名は『コトリ』!!三つ子の兄がお前らにやられたのだ!!ほほーう!!」

「だから知らないっつってんのよ!!」

「許さ~~ん!!!」

 

「ピエール!!!」

 ピエールがガン・フォールの槍を投げる。

 

「……!!」

 ナミは天候棒を構えた。

 

「さっさと片付けてエネルを追わねば…!!あやつ、我輩の部下達を皆殺しにもしかねんっ!! 我輩、これしきの傷でこやつらなぞに負けやせぬ!!引いておれ娘っ!!」

「いやよっ!!たまには私だって。こいつら…!!守ってあげなくちゃ!!!」

 

「……よかろう!!まず”貝”を見極めよ!!」

「ええ!!」

 

「ほっほほーう!!」

 

 おっ!!神官の1人をチョッパーが倒したみたい。1対1で勝つなんて成長したわね!!

 さて…

 

「お前達、覚悟しろ!!」

「ほほっほーう!!」

 

 ― ゲンッ!! ー

 ー ガンッ!! ー

 

「「!!?」」

「いい加減にしろっ!!…どいつもコイツも無視しやがって!!」

 

 失礼な副神兵長は速攻で倒させてもらった。何のことはない。武装色をまとった拳でぶん殴っただけ。

 こいつら見聞色が使えなかったら雑魚と変わんないじゃんよ!!

 ガン・フォールが驚きの表情を浮かべてる。

 

「…おぬしには、”貝”の見極めなど、不要なようだな…」

 

「なぁんだ。こいつら弱かったんじゃない!」

 

「そんな事はなかろう。こやつらもマントラを操る。神官には及ばぬまでも決して弱くなど無い。おぬしの仲間が強いのだ。…イオリと言ったか。もしやおぬし…いや、よそう。おぬしらにこれ以上、頼るわけにもいなぬでな…」

 

 恐らく、エネルをも倒せるのではないかと言いたかったんだろうけど…

 

「それはどうかしらね?頼る頼らないの問題じゃないと思うわよ?ルフィはあなた達を友達だと思ってるからね。あいつは仲間や友達を傷つける奴を許さない。必然的にエネルと戦うことになると思うけど?」

「……」

 

「ちょっと!!どこ行くの変な騎士!!」

 

「すまぬが我輩エネルを追う!!!我輩の部下達の命の危機なのだ!!!いや、ともすれば… この国の危機やも知れぬ!!!いくぞピエール!!」

「ピエ~~!!!」

 

「……」

「…とりあえず、二人の手当をしようか…」

「そ、そうね。」

「ん!?なんか来るわよ?」

 

「えっ!!今度は何!?何何!!?」

 ボウンッという音が鳴り、ラッパの音が響く。ナミが黒こげの2人を盾にして身を隠した。

 なにしてんだろうなこの娘は…まったく…

 

「あれ?コニスとパガヤさんだ。もう一人…誰かいるみたいだけど?」

 

「あ!!へそ!!ナミさん、イオリさ~ん!!!」

「え? コニス!!おじさん!!!何でここにいるの!!?ていうかラッパうるさい!!!

 

「ちょっ…ダメです!!降りてはダメです!!」

「離せ~~!!!」

「これ以上奥へ踏み込んでは生きて帰れませんよ!!!ここもすぐに出る約束でしょう!!?」

 

「誰!?その子」

 

 

「青海人っ!!排除してやる!!あたいはシャンドラの戦士だ!!!」

「だから何なの。私とやんの!?」

 

「まあっ!大変っ!!お2人共まるコゲだわ!!すぐに手当てを」

 

「とにかくすいません。今我々が来た道に進路を!!”雲貝”で新しく作った川です。直接白々海へ出られます。敵に見つかる前にっ!!」

「だったらもっと静かに登場してよ!!」

 

「そうだ、あなたにお渡ししたい物もあるのです!!」

 

 ねぇねぇ、パガヤさん?急いで逃げるって感じの事行ってなかった?

 

「わぁっ!!これ、壊れてたウエイバー?ちょっと乗っていい?」

「はい。直しておいたのでお渡しします。」

 

 しかし…ナミも緊張感が無いというかなんというか…。返してもらったウエイバーで遊んでる…

 

「…お見事。」

「ナミさんすごいです!!」

 

「…確かにお返ししましたよ」

「ええありがとう。すごく気に入った!!段違いのスピードね……!!」

 

「ええ”噴風貝(ジェットダイアル)”は数百年前の絶滅種でして、私も驚きましたよ。お預かりしたウェイバーにこれが搭載されていようとは… しかしさて、これからどうしましょう。みなさんがご一緒ならスカイピアの果てまでご案内するつもりだったのですが」

 

「ん~…、とにかく船は約束した海岸へつけなきゃ。無事だとは思うのよね。あの4人が揃ってれば敵もないわよ…」

 

「”4人組”なんて島にいないよ」

「え?」

 

「多くても2人組…4人で動いてる奴らがいたらわかるもんあたい!」

 

「”心綱”…神や神官が使えるってやつね…」

「生まれつき使えるんだあたいは!!…だから恐いんだ…”声”が消えていく恐さがあんた達にわかるもんか……!!!」

 

「へ~、この子もマントラ使えるんだ?」

「!!? だ…誰だお前!!?どっから出てきた!!」

「「?」」

 

「相殺してるからね? 見えなかったんでしょ。ほら!」

 と言って、相殺をやめてみる。アイサが驚いた顔をしたので相殺を再開する。

 

「私も生まれつき使えるの。制御できるようにならないと怖いのよね?」

「お…お前……!!?」

 

 

 

「また泣くの」

 ナミが呆れ顔でアイサに言う。

 

「泣いてない!!!バカ青海人!バカ!!」

 

「アイサさんは…ウェイバーが壊れたらしくて、空魚に襲われているところを私達が通りかかって…」

 

「何するつもりだったのよ」

 

「知らない!!…でもじっとしてられないじゃないかっ!!!…ラキ…みんな…」

「……」

 

「ルフィたちは森に入って早々にばらばらになっちゃったみたいでね。個別に動いてたわよ?さっきチョッパーが神官を倒したみたいだし…」

 

「チョッパーが!?すごいじゃない!!それで、みんな無事なの?」

 

「それがねェ…ルフィの気配だけ、感じられないのよねぇ……」

「えっ!!?」

 

 

 ~ ~ ~ ~ ~

 

 

「ちょっと…!!ダメよ!!!」

 アイサが川に飛び込む。ナミがそれを追って飛び込んだ。

 

「待ちなさいったら!!!」

「何だよ!!はなせ!!あんたには関係ないだろっ!!」

 

「関係ないけど!!見殺しにできないじゃない、あんたみたいな子供っ…!!」

 ナミは子供に弱いもんねェ…

 

「あたいは戦士だ!!」

「わかったから子供の戦士」

 

…!!!

「にらんでも恐くないもん」

 

「…!!大丈夫でしょうか!?」

「平気平気。ホラ暴れたってムダよ。乗って」

 ナミがアイサをウェイバーにつかまらせてる。

 

「離せ~~みんなを助けるんだ~~~!!!」

「ブツわよあんた!ウチの船員でさえ、もう2人やられてんのよ!!?」

 

「……」

「どうしたのよイオリ!!」

 私が目を細めてあらぬ方向を見ていたからか、ナミが下から声をあげる。

 

「早く船に乗った方がいいわ!!あまりに大きくて気づかなかったけど、それ……生き物みたいだから!!」

 と言って、私が後ろに見える錦模様の太い物体を指差すと、それが何なのか気づいたのだろう。アイサの顔が見る見る青ざめた。

 

 ー ザバ… ー

 

 大蛇が顔を上げた。どうやら水を飲んでいたらしい。

 

「ゲップ」

「え??」

 

「……」

「ええ!!?」

 なんだかイライラしてるみたい?

 

「ジュララララララララ!!!」

 

「きゃああ~~~~!!!何なのこのデカさ!!!」

 

「!!? この気配……まさか!!?」

 

「ウガッ…ジュララララララララァ~~!!!」

「いやあああ~~~~っ!!!」

 大蛇に追われて、ウェイバーに乗ったナミとアイサが森の中へと進み入る。

 

「ああっ!!ナミさんそっちは森の中!!!」

「ジュララララララララァ~~ッ」

「あああぁぁぁぁぁ」

「ナミさーん!!!」

 

「……ど…ど、どうしましょう。」

「………!!」

「森へ入ってってしまった…」

 

「あの…大蛇の中にルフィが居た…と思う…」

「えっ!?大蛇の中って…ルフィさんが食べられてしまったのですか?」

 

「どうしてなのかはともかく、あのヘビが暴れてるのはもしかして…中であいつが暴れてるからかもしれないわ!!」

「「!!?」」

 

 本気で頭が痛くなって来た。なんだってあいつはこんなにトラブルを起こすんだろう?しかもみんなを巻き沿いにするようなトラブルを…

 

 覇王色なんかではなく、こういう所がアイツの大物たる所以のような気がするぞ?あぁ、でもいいのか…。あの蛇の中にお宝がたくさんあるんだもんね?

 そういう意味ではお手柄なのかしら?

 

「ともかく…船を約束の場所まで移動させてもらっていいかしら?何をするにしてもまずはそこから始めましょう!」

「えぇ、わかりました。」

 

 

*--*--*--*--*

 

 

  ― 神の島”北東の海岸…

 

「すいません。ここでよろしかったですよねイオリさん。待ち合わせている海岸は。」

「ありがとう。助かったわ。」

 

「さて、これからどうしましょうか?」

「2人には、船番を頼めると助かるんだけど…」

 

「イオリさんは何をされるおつもりなんですか?」

 

「アイサは声が消えたって言ってたけど、まだみんな生きてるみたいなのよね…。戦いはみんなに任せて、私は弱った人たちを助けて回ってみようかと…」

 

「青海の方がどうしてそんな事まで? 無茶です!!」

「大丈夫よ。私だって強いんだから!!」

 

「そういえば、ガン・フォールさんが言ってました。青海人に一人、底知れぬ強さを持つ者が居ると…。あなた方の中ではルフィさんがそうだと思っていたのですが…」

 

「そうなんじゃない?でも私も一味の中では強いほうなのよ?一応世間的には一味の中で、ルフィの次に強いってことになってるしね!」

 

「でも…」

「コニスさん。ここはイオリさんにお任せしましょう。」

 

「……わかりました。イオリさん。くれぐれも気をつけて下さいね。」

「うん。ありがとう。それじゃ、船と2人をよろしくね!」

 

 私は月歩で飛び出した。チョッパー以外のメンバーは無事みたい。チョッパーはやられちゃったみたいだけど、命に別状はなさそうだし。

 とりあえず近場から拾っていこうかな?

 

 

 

「 ― しかし、弱りましたね。我々が船番をやる事になるとは…彼らが戻るまでなんとしても、この船を死守しなければ…!!威嚇にラッパを鳴らしましょうか。」

「そうですね父上っ!心強いですから!!」

 

 

 

 シャンディアと神兵を、小さくしては一応分けてベットに寝かせる。その際”貝”を外す事は忘れない。

 念のため神兵は牢屋の中だ。神官のシュラとサトリ3兄弟はベットに寝かせ、縄で手足を固定した状態にして、別々の牢屋に入れた。

 ゲダツは青海に落ちたみたいだからこの中には居ない。50人ほど集まったところで、気配を探るとあとは上層部になりそうだった。

 

「さて…シャンディアの本拠地にでも行ってみますか…」

 

 

 ~ ~ ~ ~ ~

 

 

「…何者だ?」

「あなたが酋長?」

「……」

 

「”神の島”で倒れた戦士たちを運んできたの!!」

 14台のベットを取り出し、元の大きさに戻す。

 

「何と…!?ブラハム、ゲンポウ…」

 

「「貴様がやったのか!!」」

 武器を構えて私を囲むシャンディアの戦士たち。なるほど…神の島に行ったのは精鋭達ってわけか…

 私が否定するより先に酋長が声をあげた。

 

「待て!この者がやったのならば、わざわざここに運んでなどくるものか!!お前たち、仲間を助けてくれた恩人に対して礼を失しておるぞ!!」

 

 

 

 

「……」

「世話をかけたな……。何を見ておる?」

 

「これって…カルガラの像?」

「「!!?」」

 

「ノーランドの航海日誌に書いてあったのよ。…ジャヤで出会ったカルガラっていう大戦士について…」

「ノーランドだと!!」

 

「今、青海のジャヤ……”神の島”の片割れにね…そのノーランドの子孫が居るの。子供の頃からウソツキの子孫ってバカにされて…。それがイヤで故郷を飛び出して…。でも、偶然ジャヤに到着して…。それで今、黄金郷があるか無いかを確かめようと無茶しているの。」

 

「…無茶?」

「ノーランドは黄金郷は海に沈んたのかもしれないって言ってたみたいなのよ。彼はその言葉を信じて、命にかかわる病気になるほど海に潜るなんて無茶を繰り返してる。…友達なのよ!だから、鐘を鳴らしたら、ここに黄金郷があるって事を教えてあげられる。そしたらきっと喜ぶだろうなって……」

 

「…そ…その子孫の名は、なんと…」

「モンブラン・クリケット」

「!!!」

 

 おっ、ゾロが最後の神官を倒したみたいだ。って事はそろそろ全員がシャンドラに集結する頃かな?

 でも…ルフィとアイサの気配がしないなぁ…… まだ胃の中って事かしら?

 

 …それよりも…

 

「それじゃ、そろそろ私も行かないと…」

「また…神の島へ行くのか?」

 

「ええ、あの島に仲間がいるの! ああ、そうだ!言い忘れるところだった。」

「何だ?」

 

「アイサは私の仲間と一緒だから安心して。それと、この島から脱出する準備をしておいたほうがいいわ!エネルはこの島…いいえ、この国を消し去るつもりみたいだから!!」

「!!?」

 

「一応止めるつもりではいるけど、正直、阻止できるとは約束は出来ない!!」

「……わかった!ありがとう。気をつけてな!!」

 シャンディアたちに見送られ、私は剃刀で”神の島”へと向かうのだった。

 

 

 

 

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