イムの娘(いむのこ)   作:槙 秀人

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04-147話:”還幸”

 回収しきれていなかった気を失った負傷者を回収してまわる。とりあえず、全員回収完了した。

 でも…今更どこかにおいてくるのもなぁ…

 どこが安全なのかもよくわからん。面倒だけど持ち歩くか…

 

「さてっと…」

 

 ~ ~ ~ ~ ~

 

「私の予想は生き残り5人…!!あと5分でその3時間が経つ。つまり今、この場に6人も居て貰っちゃあ困るというわけだ。神が”予言”を外すわけにもいくまい?」

 

「7人だけどね?」

「!!?」

 小さくつぶやいたら、ナミが驚いたように私を見た。

 

「イオリ!!あんたいつの間に?」

「正確には9人だよね?あのヘビの中に2人いるんでしょ?」

「そ…そうよ。」

「みんなの気配が集まってたんで来てみたんだけど、エネルが居たから物陰に、ね…」

 

「ところで…青海人。お前達には聞きたい事がある。仲間か知り合いに、『ウナジョ』なる者は……()らんだろうな?」

 

「!!?」

「ウナジョ…って?」

 

「そいつが何だってんだよ!?」

「……」

 

「質問に答えよ!!…居るのか、居ないのか……どちらなのだ!?」

 

「…残念だけど、知らないわ!」

 

 あ~…あれか?もしかして、アイサに気配を晒したあの時か?

 私の気配を感じ取ったのかしらね? 違うかな?

 

「それは…重畳……」

 エネルがホッとしたような顔をしている?

 実は私もホッとした。 あっぶねェ~!!

 このヤロー!せっかくナミとロビンを誤魔化せたのに、名前言おうとすんなよな!!

 

 

「さて、誰が消えてくれる?…そっちで消しあうか、それとも私が手を下そうか…」

「………」

 

 全員が、自分はイヤだと主張する。そして…

 

「お前が消えろ」

「!」

「……!!」

 4人がエネルに向かって言い放つ。

 

「不届き!!ヤハハハハハハ…!!…この私に!?消えろと…!?」

 

「あいつ、雷なんでしょ?敵うわけないじゃない。イオリだって…」

「そうでもないわよ!」

「えっ!?」

 

「さすがはゲームの生き残り共…だがお前達、誰にものを言っているのかわかっているのか?お前達はまだ…”神”という存在の意味を理解していない様だ…!!!」

 

 

「………!!」

「ヤハハ…スカイピアの幸福を望む老いぼれに、ひたすらに”故郷”を望む戦士……。黄金を狙う青海の海賊共。…悩み多きこの世だ…子羊が何を望もうと構わんがこの国にはそもそもの間違いがある…!!」

 

「……くだらぬ事を言っておるヒマがあったら”神隊”の居場所を答えよ!!!貴様の目的は一体何だ!!!」

 

「”還幸”だよ!ガン・フォール」

 

「”還幸”……!?」

「…そうだ。私には還るべき場所がある。私の生まれた空島では”神”はそこに存在するものとされている」

「…」

 

「”限りない大地”と人は呼ぶ…!!!そこには……見渡す限りの果てしない大地が広がっているのだ。それこそが私の求める”夢の世界”!!!私にこそふさわしい大地!!!”神の島”など…こんなちっぽけな”大地”を何百年も奪い合うなどくだらぬ小事!!…いいか!お前達の争いの原因はもっと深い…根元にある。よく考えろ…」

「……」

 

「雲でもないのに空に生まれ、鳥でもないのに空に生きる。空に根づくこの国そのものが!!!土台不自然な存在なのだ!!!土には土の!!人には人の!!神には神の!!還るべき場所がある!!!」

「!?」

 

「……まさか貴様!!」

 

「『まさか』という程の事ではない。私が”神”として自然の摂理を守るだけの事。 ― そうだ!!!全ての人間を…この空から引きずり下ろしてやる…!!!」

 

「え…!!?」

「!」

「何…!!!」

 

「国を消す気か!!!」

「それが自然…」

 

「思い上がるなエネル!!!”神”などという名はこの国の長の称号にすぎぬのだぞ!!!」

「今まではな……」

 

「人の生きるこの世界に”神”などおらぬ!!!」

 

「…元…神・ガン・フォール ヤハハハ…… ― ”神隊”を心配していたな…… 6年前…我が軍に敗れ、私が預かっていたお前の部下650名……」

「…………!!!」

 

「今朝ちょうど私の頼んだ仕事を終えてくれたよ…… ― この島の中でな…… ― そしてさっき言った筈だ。今この島に立っているのは、ここにいる6人のみだ。残念な事をした。」

 

「!!!? ……おぬし…」

 

「別に好きで手にかけたわけではない……私のこれからの目的を話してやったら…ヤハハハ、血相かえて挑んできたのだ…」

 

「……エンジェル島に…家族のおる者達だぞ……!!!」

「そうだな…早く家族も葬ってやらねば…」

 

「貴様悪魔かァ!!!」

「ヤハハハ」

 空の騎士がエネルに襲いかかった。

 

「!!?」

「1000万…、2000万…」

 

 私は自分を小さくして、剃でガン・フォールに近づき、武装硬化を施した。そして元居た場所まで移動する。ナミ以外の誰も気づいていない。

 

「”2000万V””放電”!!!」

 

「変な騎士!!!」

「ジジイ…」

 

「ガン・フォール、この世に”神”はいる…私だ」

 

「悪魔の実か……」

「おそらく…”ゴロゴロの実”…!! 数ある能力の中でも…確かに…”無敵”と謳われる能力の一つ ”雷”の力」

 

「やっぱり…イオリの言う通り…。ねぇイオリ。さっき何をしたの?」

「放電の前に空の騎士の体を武装色で武装硬化したの。ダメージはかなり軽減されたはずよ? まあ至近距離で頭だったから気絶しちゃったけどね。」

 

「えっ!何、武装色って、雷も防げるの?」

「武装色は能力者の能力を無効化できるって説明したでしょ?同じ雷でも自然の雷を防ぐほうが難しいのよ。そういう意味では武装色に対してはナミの天候棒の方が戦闘力が高いかも知れないわね?」

 

「さて、丁度”予言”の時間……これで5人だ!!!ヤハハハよくぞ生き残った!!これから私が旅立つ夢の世界”限りない大地”へお前達を連れて行こうじゃあないか!!!」

「!!?」

「…何だと」

 

「私はこれよりそこに紛れもない”夢の国”を建国しようというのだ。その地に住めるのは選ばれた人間のみ!!!」

 

「………何言ってんの…!?あいつ…」

「…」

 

「こんな数時間のサバイバルも耐えきれない今までの部下共では居て貰っても国のレベルを下げるだけなのだよ!!!」

 

「それをもし断ったら……?」

「!」

「ロビン…!!」

 

「断る…?なぜだ。私の決定だぞ。ここに居ればこの国と共に奈落の底へ落ちてしまうのだ」

 

「確かに…あなたの能力ならそれもできるのでしょうけどむやみにこの国を破壊しては、あなたの欲しがる物も落としてしまうのでは?」

 

「…”黄金の鐘”か…」

「……」

「ヤハハハハ!!心配には及ばん。すでに目安はついている…お前のとった行動を思い返せば考えられる場所は一つ」

 

「!!!…え………」

「黄金…」

「黄金の鐘」

 

「……きっと、お前と同じ場所を私は思い描いている……!!以外そうだな。 ― その条件を使えば、うまくおれを出し抜けるとでも考えたか?おれを甘く見るな………!! 浅はかなり!!!」

 

「!!」

「ロビン!!!」

「おれは打算的な女が嫌いでね」

 

「!!? !!!」

 私は、ガン・フォールの時と同じように、ロビンにも攻撃の軽減措置を行った。さすがに触れれば気づかれる。ロビンがビックリしたように横目で私の事を見た。

 

「うそ…」

「……!!!」

 

 倒れるロビンをゾロが抱きかかえる。

 

「…女だぞ」

 

「……見ればわかる」

 ゾロがエネルに斬りかかる。

 まったくも~!なにをみんなして…熱くさせられちゃてるのかなァ!

 エネルの思う壺じゃんよ!!

 

「…んん…いい腕だ」

「イカレてんのかてめェは!!!」

 

 おやおや、ワイパーまで?

 

「”燃焼砲”!!!」

「ヤハハ…」

 

「”雷光”!!!」

 ― ピシャァッ!!! ―

 ゴロゴロゴロゴロ!!!

 

「!!?」

 

「へぇ…」

 

「く…」

「う!!!」

「ヤハハハ!!」

「…バカな…バズーカの業火をかき消した……!!?」

 

 相手は雷。ヤツにとっては造作もない事だろう

 

「…まだわからんか。お前達の扱えるエネルギーなど、私にとっては無に等しいのだ!!!」

 

「雷鳴が轟くなんて…!!空気が音速で膨張した証拠…!!それほどの…”光熱”!!!エネルギーのスケールが違いすぎる…あいつは本当に雷そのものなんだ……!!ってイオリ。なんであんたワクワクした顔してんのよっ!!」

「えっ!?だってスゴいじゃないさ!」

 ユナが会ったけど、能力は見てなかった。ここにきて、最初に”神の裁き(エル・トール)”を見たけれど、あれよか今のがすごいじゃんよ!!

 

 ナミは呆れたように私を見た。さっきまで恐怖で青ざめていたけど、それは吹っ飛んだらしい。

 

「……やれやれ……これから共に”限りない大地”へ旅立とうと言うのに… 何もそう殺気立つ事もあるまい……」

「……」

 

「誰がそこへついてくって言ったんだ!?お前の言う”夢の世界”にも興味はねェしな!!!」

「ヤハハ」

 

「ダメよゾロ!!!相手が悪すぎる!!!」

「体に教えねばわからんのだろう…”神の定義”……!!!」

 ゾロがエネルを斬りつけた。

 惜しいわね。武装色を纏っていれば、今の一撃で倒せたのに…

 

「…!!!」

「お前達がどう足掻こうと太刀打ちできない圧倒的な力……そこで覚える”絶望”」

 

「ん!!?」

 エネルがゾロの剣を無造作に掴む。自然系ならではだね…。ゾロもビックリしてる。

 

「全ての希望が絶たれる事は”死”に同じ……」

「く……」

 私も少しびっくりした。力負けしないどころかエネルがゾロを押している。原作より強くなっているはずのゾロをだ!

 やはり、地力をかなり鍛えたようだ。

 

 バリリッ!!!

 

「うあァ!!!」

 電撃をくらって、ゾロが刀を離して膝から崩れ落ちる。

 

「ゾロ!!」

 

「人にとって…死は最大の”恐怖”!!!だから人は地に顔をうずめ神に慈悲を乞う!!」

 ガン!! っとゾロがエネルに踏みつけられた。

 

「!!!」

 

「仕方のない事さ。生物は恐怖の前にひれ伏すようにできている。本能というものだ」

「ゲホッ!!!」

 

「え」

 ワイパーがバズーカを捨ててエネルに組み付いた。途端にエネルの気配が小さくなった。

 

「…何のつもりだ…自ら殺されに……?」

「…」

 

「…!? ん?!? 何だ…」

 そういえば、ワイパーのスケートには、海楼石が仕込まれてるんだっけ…

 

「”海楼石”ってモンを、知ってるかエネル!!!」

「!」

 

「おれのシューターにそれが仕込んである。脆いもんだな能力者なんて…」

「……!!!」

 

 ゾロがエネルの足元から脱出する。

 

「成程…力が入らん……!!」

「……」

 

「くたばれ!!」

「…やめておけ!!…知っているのだ”排撃”だろう…その体もただでは済まんぞ!!何が不満だ!!お前も大地がほしいんだろう!!」

 エネルが狼狽えている。海楼石については知ってるみたいだから触れるのが初めてという事では無いのだろう。能力を封じられてしまっては、”神”の真似事も出来ない訳だ。

 そういえば、シュラは倒してしまっていたから、排撃貝を使うのは、初めてなんじゃないかしら?

 

「黙れ!!死んで本望、お前を道連れにできるのならな…!!!」

「!!!やめろ…」

 

「”排撃”!!!」

「!!!?」

 

「……」

 エネルの心臓が止まってる?いや、もしかして…自分で止めた?

 

 

「まさか……倒したの……!?」

「……」

 ワイパーは、ツメが甘いわね。トドメを刺すか、海楼石をつけたまま縛り上げるなりしないと…

 せっかく倒したのに意味がないじゃない!!

 

「ロビン……!!変な騎士……!!」

 ナミがロビンに駆け寄る。

 

 ー バリッ!!! ー

 

 エネルから電撃が発せられた。

 

 ちなみに今、私は小さくなってナミの肩というか後ろ髪の中にいる。この後の展開を知ってる(・・・・)からね?

 

「!!?」

 

「電撃で自分に衝撃を与えたみたいね。」

 つまり、心臓は止まっていても意識はあったという事だ。

 

「え……まさか、自分の心臓をマッサージして…」

 エネルが立ち上がる。

 逆にワイパーは膝を折った。排撃貝の反動も大きいだろうけど、それ以上に倒したはずのエネルが復活した事による、精神的なダメージのほうが大きい。絶望…とまではいかないまでも、心が折れかけている…、

 

「人は…神”を恐れるのではない。”恐怖”こそが”神”なのだ」

 

 

 

《あとがき》

 『ウナジョ』とは…

  リリスがユナの事を『ユナ嬢』と呼んでいたのを、

  エネルが聞き間違えて覚えた名前。

  さすがのナミも『ウナジョ』から、エネルがユナに会っていたと、

  気づく事は出来ませんでした。

  聞き間違えてくれて良かったと、イオリは安堵してました。

 

 

 

 

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