イムの娘(いむのこ)   作:槙 秀人

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04-150話:”雷迎”

 ウェイバーとナミを小さくして、抱えて舟を飛び降りた。

 

「イオリちゃん!!?」

「イオリ~!!」

 すぐさま声がした。見るとサンジとウソップが舟にぶら下がっている。ウソップの声は悲痛な叫びに聞こえる。

 

「ナミさんは?ナミさんは無事なのか!!?」

「ここよ!!」

 1/10にしたナミが2人に声をかける。

 

「上でルフィが戦ってるけど…どうする?いっしょに降りる?」

 ウソップは首がもげるんじゃないかと思うほど大きく頷いてる。サンジは目がハートになってる…

 

「小さいナミさんもステキだー!!」

 ウザいって…

 

「……で、どうする?ナミを助けに来たんなら、一緒に降りるでしょ?」

「イオリちゃんが迷惑でなかったら、お願いできるかな?」

「了解。じゃ、2人とも小さくするね」

 

 下に降りて3人を元の大きさに戻し、エルをトラ猫サイズにした頃に、アイサとピエールが駆け寄ってきた。

「ナミ!!イオリ!!」

「アイサ!!」

「とりあえず、みんなはロビン達のところに行っててよ。私はちょっと用事があるから。」

 

「イオリ、用事って…あんたまさか…」

「そりゃそうでしょ。あんなに黄金積んでる船を見逃したらあとで後悔するわよ?黄金もだけど、ほしいものもあるのよね。舟の下に、ルフィが見つけたウェイバーに付いてたのと同じ貝がいっぱい付いてたのよ! 絶滅種の”噴風貝”だっけ? あれを幾つか手に入れてメリーにつけたらどうかなぁって…」

「あ、それいいわね!!」

「でしょ? ナミ!エルの事よろしく!!」

 

 原作では”噴風貝”が200個付いているとあった。2割くらい頂いても問題ないっしょ!!

 

 

 私が30数個目の”噴風貝”を取り外したあたりで、ルフィの気配が舟から落ちるのを感じた。

 どうやら同じ手にやられたらしい。

「…しょがないわねェ…助けに行ってやるか!!」

 

「お―い、イオリ―!!いねェのか―!!!助けてくれ―っ!!!」

 

「どんな落ち方してんのよっ!!」

 ブリッジした状態で、頭は金の球の下敷きになっていた。声が聞こえるということは呼吸は出来てるみたいだけど…

 

「とりあえず、球から手を外すわよ。1/2…解除 1/100」

 ルフィの手だけを小さくして球から引っこ抜いて元に戻した。そして金の球を1/100にして取り出す。

 

「ブハーっ!!あ~苦しかった!!」

 

「あんたねェ…同じ手に引っかかってんじゃないわよ!」

「同じじゃねェぞ!!スゲェでかかっただろ!!」

 

 確かにね。最初の球は直径3mほど。今回のは直径が倍の6mはある。エネルも太っ腹ね。

 シャンディアの金の質はよさそうだからkg単価400万ベリーはいくんじゃないかしら?

 

 そうすると、最初の球だけでも数千億いくと思う。さらに直径が倍の球体は体積8倍になるから…

 …これは相場が崩れそうな勢いね。…流通量を操作しないとまずいかも?

 

「イオリ、さっきロビンのいたツルの所に戻るぞ!!エネルの勝手にはさせねェ!!」

「わかったわ」

 

「これくらいでおれを止められると思うなよ!!舟を追うぞ!!行き先はわかってんだ!!!」

 

 時間が惜しいのとルフィにはエネルとの対決の為に体力を温存しておいてほしいから、ルフィを小さくして私が運ぶ。

 

「あれ!?ロビン達がいねェ!!!ゾロもチョッパーも…」

「ワイパーも空の騎士もね。どうやら上に上ったみたいね。」

 

「そうか、ロビンが…よし、行こう」

「ナミ達も合流したみたい。それじゃ登るわよ!!」

 

 月歩で上層に抜けると空が見えた。

 

「!!?」

「何だ!!どうしたイオリ!!?」

 

「…デスピアが復活してる!!壊れたと思ったのに…見なさいよ。また雷雲が広がってるわ…」

「あんにゃろ~、天気悪くしやがって…」

 

「ロビ~ン!!」

「え!? イオリ?…ルフィは?」

 ロビンに問われて、私は手の中のルフィを指差す。

 

「うわぁぁぁ!!ルフィが小さくなってる~~~!!」

 そういえばアイサには言ってなかったっけ… 原作でのロビンポジになっちゃったわね

 ロビン、アイサ、ナミ、ウソップ、サンジがそこにいた。他の面々はまだ気絶してるみたい。

 

「ロビン!!この蔓のてっぺんに”黄金の鐘”があるんだな!!?」

 ロビンが私の事を見る。私は小さく頷いた。

 

「ええ、この蔓の頂上付近の空にあるはずよ!」

 

「エネルはその鐘を狙ってるんだな!!?」

「そうよ。彼は”黄金の鐘”を手に入れたらこの国を滅ぼすと言っていたわ。」

 

「おしっイオリ!!行くぞ!!!」

 行くぞって…あんたねェ…私に持たれてるだけじゃんよ!!

 まあいいか。こいつの体力温存の為だもんね…

 

「ちょっと待てェ!!」

 ウソップが待ったをかける。

 

「おれ達も早く逃げねェと死んじまうぞ!!メリーは約束の場所にあるんだろ?早く逃げよう!!」

「悪いけどウソップ。逃げるって何処に?」

 

「何処にっておめェ…」

「空を見なさいよ!あいつはあの雷雲を使ってスカイピアを消し去るつもりよ。」

 

「なおさらやべェじゃねェか!!なおさら急がねェと…」

「この空島で、エネルが壊せない物があるとしたら、この”神の島”だけよ!この島が唯一安全な場所なのよ!!それに…今から逃げても間に合わない!!」

「…」

 

「ここから生きて帰る方法はただ一つ!!」

「!!?」

 

「エネルを倒すことよ!!」

 まぁ、みんなを小さくして、私が持って逃げるって手もあるけど、そんな事になるくらいなら、私がエネルを倒すわよ!!

 

「わ…わかった!!もう、四の五の言わねェ!!イオリ!エネルを倒せるんだろうな?」

ルフィ(コイツ)を信じなさい!!」

 

「…ルフィ!!任せたぞ!!」

「おう!任せとけっ!!」

 

「ロビン、登ったところ悪いんだけど、島雲よりも大地の方が安全よ!みんなで下に降りていて!!」

「わかったわ。」

「それじゃルフィ、行くわよ!! 剃刀!!」

 

 

「ナミ…空島、失くなるの……!!?」

「…大丈夫…あいつらを信じましょう」

 

「…雷が…」

「え…」

 雷雲から無数の雷が落ちだした。

 

 ドォン…!!!

 

「!!? なんてでけェ雷…!!こんなのにやられたら空の塵になっちまう!!!」

「みんな!!急いで!!!早く下に下りましょう!!」

 

「よ…よよよし!!わかった!! 急げロビン、こいつら早く…」

 

「ワイパー…」

「!!…剣士さん」

「変なおっさん!!」

 下ではみんなが目を覚ましていた。

 

「よかった気がついた!!おい、時間がねェんだ歩けるか!?」

 

「始めおったか…」

「急ぎましょう。ここは危険よ」

 

「ワイパー!!」

 

「エネル…お前になぜ……!!全てを奪う権利があるんだ…!!?」

 

「チ!!チキショー~~!!容赦ねェぞやっぱり逃げよう!!もう何もかも終わりだァ!!!」

 

 マクシムの甲板ではエネルが待ち構えていた。甲板に下りて、ルフィを元の大きさに戻す。

 その際、最初の金の球を武器だと言って右手に装着させた。

「…なるほど…『シュクショウ』とはそういう事か。きさまも能力者というわけだ。戦闘ではあまり役に立たなそうだがな」

 

「そうでもないわよ?」

「ほざけ…そうだ!!ヤハハハ…ここにいろ…面白いものを見せてやろう…」

「んあ!!?消えた」

 

「!!…エネルの奴…雷雲の中を移動してるんだ…」

「ん!?」

 

 パアァァ…ッとエンジェル島の真上辺りが明るくなった。

 

「!?なんだ…」

 

「…エネルだわ…あのヤロウ……雷雲を集めて…丸くしてる!!」

「何する気だ?」

 

「雷の塊よ…あれを落とそうとしてるみたいね…」

「そんな事してどうすんだよ?」

 雷に触れた部分の雲は消滅していた。小さな穴なら塞がるけれど…

 

「恐らく…島雲と海雲は………消滅する!!」

 エネルは故郷を自分の雷によって消滅させたはず…それを効率よくやる為のモノが”デスピア”なのだろう。

 

「!!?何だってェ!!」

 

 あれだとエンジェル島を丸々消し去る程の大きさだ…あんなのを落とされたら…約束を守れない!!

 指をくわえて見ていたら、神の島の反対側にある、シャンディアの村も危ないわ!!

 くそっ!!あんなヤツの思い通りになんてさせるもんか!!

 

「ルフィ!私…行って来る!!」

「おい!待てイオリ!!」

 ルフィの声を聞かず、イオリは剃刀で移動した。

 

「ヤハハハハ…天は我がもの、思い知るがいい…!!方舟マクシムと私の力があればこれだけの神業を成せる!!!”雷迎”」

 エネルが丸く固めた雷雲を島に向かって落とした。

 

 あれは雷の塊だ!一瞬で小さくしないとダメだわね。…やれるか私?…違うわね…やれるかじゃないわ!やらなきゃね!!

 

「1/100!!ぐっ…あぁァッ~~~!!!」

「!!?」

 

 

 ”雷迎”がエンジェル島とぶつかり、爆発を起こしてスカイピアに巨大な穴をあける…

 

 

「何だ今の爆発は…!!しかもまだ”雷の雨”は続くのか…!!? もう、生きて帰れる気がしねェよ…!!!」

 

「ね、ねぇ航海士さん?今の丸い雲…島に落ちる前に少しズレて……急に小さくならなかった?」

 

「…まさかイオリが!?…ウソでしょう? だってあれ、もの凄い気流と”幕放電”の巣窟なのよ!!あんなのに触れたらいくらイオリだって……」

 

「イオリちゃんがどうしたって?」

 

 

 *--*--*--*--*

 

 

「何だと!!イオリがヤラれちまったのか!!?」

 

「そうだわ、アイサ!!イオリの声聞こえない?」

「…わかんないよ。イオリの声は最初っから聞こえないもん…」

 

「そうか、相殺!…でも、アイサが聞こえないって事は無事ってことなんじゃない?」

 

「一瞬で殺されてなければいいけど…」

「ちょっと、恐いこと言わないでよロビン!!…私、行って来る!!」

 

「行くってどこに!? おい、ナミ!!危ねェって!!」

「ナミさん!!」

 

「もし…もしもイオリがやられちゃってたら…ルフィを連れ戻すわ!!ムダでも逃げなきゃ!!ここにいたらみんな殺されちゃう!!」

 

 

 

 

「ヤハハハ…!やはりデスピアの作り出した雷ならダメージを受けるらしいな!」

「…なんだ、もっと…悔しがってるかと思えば…私にちょとダメージを…与えたのがそんなにうれしい…の?」

 

「口の減らない女だな!…体がしびれてうまく動けぬくせに…。まぁいい。今のは試し撃ちだ…。鐘を手に入れたら、もっと大きな”雷迎”でスカイピアごと消し去ってくれる!! その前に……」

「!!?」

 私を目掛けて雷雲から無数の雷が降り注ぐ。あたり一面が煙に包まれた。

 

「ヤハハハハ…神に逆らうと神罰が下るのだ!!思い知ったか小娘が!!」

「……」

 

 

 

 

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