イムの娘(いむのこ)   作:槙 秀人

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04-153話:宴

「鳴った」

「うん」

「聞こえたかな、おっさん達に」

「ええ…きっと」

 

「今、空島の真下にジャヤがあるわ!!…3人揃って、鐘を聞いたみたいよ?あんたの姿(影)も一緒にね?」

 

「「…イオリ!?」」

 声をかけると、2人は驚き、そろって私の方を向く。

 

「お疲れさま、ルフィ!やったわね!!」

「なんだおまえ、そんな格好して……」

 

「ちょっとミスっちゃってね。服を燃やされちゃったのよ!」

「よかった!やっぱり無事だったのね!!」

 ナミが抱きついてきた。心配かけたわね。

 

「言ったろ?こいつがやられるわけねェって!!ししし…!」

「…あんただって、心配してたくせに……」

 

「…それじゃ降りましょうか。みんなが待ってる!」

「うん」

「おおっ!!」

 

 二人とウェイバーを小さくして月歩で降りる。と、途中でルフィが騒ぎ出した。

 

「おいイオリ!あっちだ!!あっちに向かえ!!!」

 

「「はぁ?」」

 みんなのところでもメリー号でもない場所を指差すルフィに、私とナミは呆れ顔になった。

 

「腹減った!あっちに食いモンの匂いがすんだ!!」

 

「……どうする、ナミ?」

「そうね…みんなもお腹すかしてるんじゃないかしら?」

「了解!!」

 恐らく神官達の食料庫だろう。雷で建物の一部が破壊され、中から飛び出して焼けた食べ物の匂いにルフィが反応したらしい…。

 う~ん…こいつの五感は一体どうなってんだ?全て野生の仕様ってか?

 

「凄い量ね…」

「どうしましょう?」

 原作では、大きな風呂敷で持ち出していた食料だけど、全部合わせると、あの数十倍の量の食料がそこにあった。1/100にしたとしても、原作くらいの量があるんじゃない?

 

「おれは食うぞ!!」

 といいながら、既に食べ始めているルフィ。ここにある食料を使えば、この後の宴の分はなんとかなるんじゃないかしら?

 

「そうだわ!コニスが船に居るみたいだから、連れてくるわね。これ置いて行くから、詰めれるだけ詰めといてよ。戻ってきたら手伝うから!!」

 私は小さくして持ってきたいくつもの箱を取り出し、元の大きさに戻してそこに置いた。

 

「ずいぶんと持ってきてたのね…」

「本当はお宝を見つけて入れるつもりだったんだけどね?それじゃ、行ってくる!」

 

 コニスをつれて戻って、ひとしきり再会を喜んだ後、食べ物を詰め込んで、みんなの元へと急いだ。

 ルフィが道すがら食べて行きたいというので、かなりの量の食べ物を小さくしないでルフィに持たせた。

 バランスが悪いので、コニスとナミで支えるハメになってるけど、私がそれ以外の荷物を持っているので問題ない。

 

「おーい!!!」

「ああ!!! んナミさあ~~~ん、んイオリちゃあ~~~ん、んくォ~ニスちゃあ~~~ん」

「ルフィ!!」

 

「イオリちゃん!なんで上着を着ちゃったの!!?」

「船に戻って来たからね。」

 

 船に戻ったときに服を着替えて来たからか、サンジがブーたれてる。

 さすがに下着姿はハズいのよ!!

 まぁ、サンジはナミがTシャツ着ただけで文句を言うくらいだもんね?

 

「みなさん…ご無事でよかったァ わああああん!!私…心配で…だけど何もできなくて…」

 

 そんな事は無いと思う。私たちに対してはそうかもしれないけど、コニスの頑張りがなければ死者が出ていた可能性すらある。この国のみんなは、あなたに感謝しているはずよ?

 

「コニスちゃん、そんなにおれの事…」

「違うだろ!」

 

「ルフィ!ナミ!!イオリ!!!」

 アイサが駆け寄る。

 

「お前らそれ、食料か? どうしたんだ」

 

「森の中で神官達の食料庫見つけたの」

「まだあったぞ!」

 

「そういやコニス…オヤジは?」

「え…」

 

「あっ!!」

 パガヤさんがこっちに向かって歩いてる。

 

「…それが…その…!!私をかばって…」

 

「……」

 

「エネルに…!!」

「!」

「まさか」

「………!!」

 

「………………・・」

「コニスちゃん…」

「コニスさん…」

 

「コニス…………」

 

「「っておめェの話だよっ!!!」」

「生きててすいません!!!」

 ナミ、ウソップ、ゾロ、サンジ、ルフィの5人の突っ込み…見事に揃ったわね。

 おじさんも間髪居れずに返してるし…

 

 ゾロがコニスに聞いた時、後ろから気配を感じたのよね…

 私だけでも無事を喜んであげましょう。

 

「無事で何よりです。」

「イオリさん…すいません。」

 

 

「下層の白海に?」

「父上~~!!」

 

「ええすいません。気がついたらたたき落とされていまして…。今ちょうど、”雲の果て”へ向かい下層に降りていた人々も白々海に続々ともどってきている所で…。 ― しかし、エンジェル島がかなり壊されてしまっているので、みな、この"神の島”へ向かっているのです。」

「…」

 

 雷迎も完全には防げなかったし、万雷でもかなりの被害が出てしまった…。全てわかっていながら…なんとも力不足よね。

 

 

 その頃…

 

「おお」

「…これは…!!?」

 

「イオリ殿という方が、ケガ人が横になれるようにとベットを出してくださって…」

「あやつが?…随分と大きいベットのようだが…」

 

「よくわからないのですが”巨人族用”と言われておりました…」

 作業場には25m四方、厚さ1mほどのベットがいくつも置かれていた。本来は5~10枚重ねて使うのだという事らしい。

 

「とりあえず皆無事です。神様!!!」」

「我輩は…もうそんな者ではない。命があるならよいのだ。本当によかった……。お前達、6年間もこんなところで…すまぬ!!もう全て終ったのだ…!!家族に会えるぞ!!」

 

 神兵の家族が”神の島”にやってきて6年ぶりの再会を果たす。ガン・フォールは静かにそれを見つめていた。

 

「神様…エネルは青海人に敗れたと聞きました。しかし…本当に戦いは終ったのでしょうか」

「……」

 

 *--*--*--*--*

 

「酋長…」

「400年の亀裂は…そう簡単に埋まるものだろうか?」

「神の軍団は消えたが………」

 

「みんな、無事?」

「「!!」」

 

「イオリ殿!!」

 

「言われたとおり避難の準備をしていたおかげだ。」

「それはなにより!」

 

「エンジェル島を守ったのはおぬしじゃろう? よくぞ無事で…」

「ごめんなさい…。あなた達の村も”万雷(マンカラ)”で、かなり破壊されちゃった…力及ばず。ホント、面目ないわ…」

 

「何を言われる!村を見てきた者から聞いた。カルガラの像は無事だし、テントも半分以上残っている。この地が先祖の故郷だが、我々は皆、空で生まれた。あの村を故郷と思う物も多い。…改めて礼を言わせもらおう、ありがとう!!」

 

「そう云ってもらえると、頑張った甲斐があったわ。そうそう、うちの船長が日が暮れたら宴をしたいって言ってるの。…出てくれるでしょ?」

 

「宴?」

「ええ、飲んで謳って踊って騒ぐのよ!酋長にはその前に会ってもらいたい人もいるしね?」

 

 

「ふ―…食った食った!」

「すっかり夜だな…」

「どうする?船に戻る?」

 

「ナミ、お前何言ってんだ?」

「どうしたの?」

 

「ウソップ…あんな事言ってるぞ」

「人間失格だな…」

 

「何なのよっ!!…そういえば、イオリは?」

「なんか遺跡でシューチョーと変な騎士のおっさんを合わせるとか言ってたぞ?」

 

 

「ここは - ?」

「シャンドラの遺跡内である」

「ガン・フォール…! 貴様!!”空の者”……!!」

「あっ、まだ動いちゃ……」

 ワイパーはコニスに手当てを受けていた。

 

「安静にしていろ。負傷者に区別はない。」

「!!酋長…!!…黄金の鐘楼は…!? おれ達にはまだアレを守り抜く使命が…」

 

「急ぐなワイパー!少しばかり成り行きを待て…」

「?」

 

「遠い過去に、たとえどんな壮絶な戦いの理由があったとして…。今生きる我々にはこの空が故郷…」

「酋長! ウ……」

 ワイパーが反論しようと立ち上がろうとして苦悶の表情を浮かべる。

 

「聞け…ワイパー!少なくとも大地は…何者も拒んではいない!!」

 言いながら酋長が外が見えるように入り口の幕を開く…

 

「…そうだとも。少なくとも…!!人々は今、誰一人」

「「戦いなど、望んではいない」」

 

「!!!」

 

 巨大な篝火、響き渡る太鼓や笛の音、踊る人々、湧く歓声に笑い声……

 

 スカイピアの住人も、シャンディアも、そして青海人も関係なく……

 

「宴だ~~~!!!」

 ルフィの声が聞こえる。

 

「麦わら……」

 ワイパーは、宴の輪の中に笑う仲間達の姿を目にした。自然、彼の顔にも笑顔がうつる。

 

 

「ねぇイオリ…」

「うん?」

「あなたは、エネルに勝てる力があったんでしょう? それなのに戦わなかったのは何故?」

 

「エネルはルフィがぶっ飛ばすって言ってたからね……」

 

「…結果として、シャンディアと青海人がスカイピアを救った事になったわ。この島をめぐる争いに、大きく影響する結果よね?」

 

「争いにはならないと思うわよ?私にはわかってたのよ。シャンディアが拘わっていたのがなんなのか…」

「えっ?」

 

「彼らの先祖はどうか知らないけど……今、ここにいるシャンディア達は全員空で生まれたの。彼らにとっての故郷は雲隠れの村…。つまり空島なのよ。この島に拘っていたのは”鐘を鳴らす”事と守るべき”鐘楼”だったって事…」

 

「…でも…その鐘楼は、青海に…」

「落ちてないわよ?黄金の鐘は倒れた巨大豆蔓に引っかかってる。ってか引っ掛けた。あれは遺跡にあるべきものだと思ったからね?」

 

「!! もしかして……、あの時?」

 ”メッチャ重いわね…”

 

「まぁね…。ホント、重かったんだから! それに、ロジャーが見たっていう”歴史の本文”。ロビンも見たいでしょ?」

「え…ええ、それはもちろん!」

 

「宴が終ったら…ってこれ、たぶん数日続くんだろうけど、そしたらシャンディアの誰かが見つけて、引き上げることになると思うわ。それまで楽しみにしててよ!」

 

「イオリもまだ見てないの?」

「うん。まぁ、だいたいの内容は、クロッカスさんに聞いて知ってるけどね?」

 

「そう…あっ、言わないでね。自分で確認するから!」

「はいはい。」

 

 

 

 

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