イムの娘(いむのこ)   作:槙 秀人

166 / 385
04-154話:我ここに至る

 400年の永きに渡るスカイピアの戦いが終り……国をあげた喜びの宴はイオリの予想した通り、連日続いた。

 

 ~ 真夜中… ~

 

 ( おい、ナミ!!みんなを起こせ )

 

「ん…なに?」

「し~~っ!!」

 

 ( 黄金を奪って逃げるぞ… )

 

「え!?黄金があるの!?」

 

「ばかっ!!!声がでかい!!!」

「あんたの方がでかいわよ!!!」

 

「うるせェな眠れやしねェ!!」

「グヘ~~~~~~~ッ!!!」

 

「………」

「お!もう朝かっ」

 

「でかいっていうお前の声がでけェだろ!!!」

 

「ナミさんおはよー!あれ!?朝じゃね―っ!!!」

「なァに?」

「ウソップが殴った~~~!!!」

 

 

「なんだなんだ?」

「青海人がまた騒ぎ出したぞ?」

「ほんとに宴が好きだな青海人は…」

 

 

「 ― じゃそういうわけだ」

 

「滅多に来れねェ空島だ!思い残すことのねェように!!」

 

 ~ ~ ~ ~ ~

 

「酋長!!!黄金の鐘が見つかったんだ!!」

「何!?」

 

「倒れた”巨大豆蔓”に引っかかってて…!!今、みんなで引き上げてるところだ!!」

「本当か」

「力あるものは東の海岸へ着てくれ!!早く!!!」

 

 

「…イオリの言った通りになったわね。」

「私たちも行きましょうか。小さくすれば引き上げやすいだろうしね?」

 

 

「もう一度!せーの うおあああっ!!」

「引け~~~っ!!」

「ぐお~~~~!!」

「せーの!!」

 

「はーっ!!チキショーまだ手が足りねェか」

「先祖の都市シャンドラの誇りだ!!なんとしても……!!」

「そうだ!!気合いれろー!!」

 

「もう一回いくぞ!!せーの!!」

「!?」

 

「…………!!」

 

「引くぞ~~~!!」

 シャンディアの集団に神兵達が加わって、鐘楼が引き上げられている…

 

「……」

 宴をして、仲良くなったのかしら?でも……協力して事を成そうとするなんて…

 

「手伝うまでもないみたいね…」

「そうね…。むしろ、手伝わないほうがいい気がするわ!」

 

 

「上がった…」

「すごい!これがオーゴン!!」

 

「美しいものだな」

「大地にのせよう、そこは不安定だ!!」

 

「見るからに誇らしい……!!」

「だが横の柱が一本折れてしまったな」

 

 *--*--*--*--*

 

「ほらここを見ろこれが”歴史の本文”…」

「我等の先祖が…都市の命をかけて守りぬいた石…!!」

「一体何が書かれているんです酋長…」

 

「……知らずともよい事だ……我々はただ ― 」

 

「真意を心に口を閉ざせ」

「!」

 私とロビンは、大地に乗せられた大鐘楼へと近づいた。

 ロビンが酋長のセリフの続きを発し、酋長が驚きこちらを向いた。

 

「我らは歴史を紡ぐ者…大鐘楼の響きと共に」

 

「おぬし…なぜその言葉を」

「シャンドラの遺跡に…そう刻んであったわ。あなた達が代々これを守る”番人”ね」

 

「………?」

 

「まさか…読めるのか!?その文字が……!!!」

 

「?」

 

 空の者達が首を傾げる中、ロビンが歴史の本文の前に立つ。

 

「…神の名を持つ”古代兵器”『ポセイドン』…そのありか…」

 

「!!?」

「……!!古代兵器!!?…なぜそんなものについてなど……!!」

 

 ロビンが首を振る。でも失望はしてないみたい。

 私を見て肩を竦めてみせる。

 

「…おいアンタ!その横に彫ってあるのは同じ文字じゃないか?」

「「え?」」

 

「……・・!」

 私もロビンに駆け寄り、その文字を見た。

 

「我ここに至りこの文を最果てへと導く 海賊、ゴール・D・ロジャー」

「………!!!」

 

「海賊王…!!? 彼がなぜ…この文字を扱えるの……!!?」

 

「……?ロジャーと書いてあるのか?」

「知ってるの?」

 

「ロジャーはガン・フォールの事を親友と言っていた。そう聞いてるわ。」

 私が言うと、ロビンは驚いて空の騎士の顔を見た。

 

「そうなの!?」

 

「…20年以上前になるがこの空にやってきた…。あやつの名が刻んであるのか?」

 

「 ― ええ、どうやってこの鐘に辿り着いたのか、それはわからないけど…」

 ロビンがもう一度、ロジャーの書いたであろう文を読み返す。

 

「…『文を導く』って……イオリ!!」

 私は静かにうなずいた。まだまだ確証はもてないけどね…

 

「……」

「酋長さん。この”歴史の本文”はもう…役目を果たしているわ」

 

「……役目を?」

 

「そう…。世界中に点在する情報を持ついくつかの”歴史の本文”は、きっとそれを繋げて読む事で、はじめて”空白の歴史”を埋める一つの文章になる。繋げて完成する今だ存在しないテキスト。それが”真の歴史の本文”。海賊王ゴール・D・ロジャーは確かに…この文を目的地に届けている。  ― だからもう…」

 

「では…我々は…もう…戦わなくていいのか…? そうか…」

 酋長の目からポロポロと涙が落ちる。

 

「先祖の願いは………!!果たされたんだな……!!?」

「酋長」

「酋長!!」

 シャンディアたちが酋長の周りへと集まり、酋長は泣き崩れるように膝をつく。

 

「……ええ…」

 またロビンと目が会い、二人で大きく頷きあった。ロビンの思いはラフテルへと向かっているのだろう。

 

「時におぬしら…オーゴンをほしがっていたな。青海では”大地”より価値があるのだと… この折れた鐘楼の柱をどうだ、鐘の方はやれんが…」

 

「あァそれはいい考えだ。もともとあんた達には何とかして礼をしなきゃならんのだから!」

 

「いいの?それはみんなが喜ぶわ!ねぇイオリ?」

「ええ、そうね!それにしても、ものすごくデカイわね…」

 

「よーし!!じゃあみんなこれを青海人達の船へ運ぼう」

「そうだ、エネルを倒してくれた礼だ!!」

 

「しっかり運べ!!重いぞ!!」

「この国の恩人に贈るんだ!!」

「布を巻け!!もちづらい」

「でけェなしかし……」

 

 う~ん、このままもって行ってもらうと、置いていくことになっちゃうからなぁ…

 

「ちょっと待って!!どのみちこの大きさのままじゃ船に乗せられないから、私が持って行くわ!」

 そのまま乗せたら、船が沈んじまうって!

 エイタに計算してもらったら、この柱…約3万7千tですってよ?

 いやいや、どんだけ力持ちが集まってんのよ空島は!?

 あぁでも、それ以上の重さだった黄金の鐘を引き上げれたんだから、当然か…

 

 えっ!私?

 だって、超能力、鍛えたもん!!今なら、”神の島”だって持ち上げらるもんね!!

 

”超能力以前に、あなたの力がどんだけ?って話では?”

《エイタうっさい!》

 

「持って行くってあんた…」

 

「1/100!!」

「「「えっ!!?」」」

 

 柱の大きさは直径が8m、長さが40mほど。1/100にすればちょっと太いけど、長い定規くらいの大きさになる。それでも重さは37kgくらいある。信じらんねぇ…

 

「あ…あんたも能力者だったのか!!」

「まあね。 これはありがたく貰っておくわ! ああそれと、お願いがあるのよ!」

 私はエネルの船からこっそり切り取っておいた黄金と、持っていた手配書を渡し、コイツが現れたら私からだと言って渡してくれと頼んだ。

 もちろん、この国の人は私たちの友達だという事も一緒に伝えてくれと、念を押したうえで…。

 

「女よ… ― あの麦わらの小僧だが、かつてのロジャーと似た空気を感じてならぬ」

「……」

「我輩の……気のせいか…?」

 

 私がロビンのところへ戻ってくると原作通りの会話が聞こえてきた。

 

「彼の名はモンキー・D・ルフィ。私も興味が尽きないわ。」

「……」

 

「”D”…成程、名が一文字… 似ておるな…!!!ははは…」

 

「そう…それがきっと…歴史にかかわる大問題なの…ね?」

「…さぁ…どうなんでしょう…?」

 ロビンに同意を求められたけど曖昧に答えた。 だって…ねェ?

 

 ~ ~ ~ ~ ~

 

「イオリとロビン…遅ぇ~ぞ~~…」

 

「しかしがらんとしてるな。ゲリラとか天使ちゃん達はどこ行ったんだ?」

「いねェ方がいいだろ。見つかったら追っかけ回されるぞ。なんせこんなに黄金を奪って逃げようってんだ!!」

「まあ、船でナミとコニス達が出航の準備はしてるが」

 

「かったりィな…イオリが一緒ならここで待つことねェだろ。おれも船に乗ってるよ。先行くぞ!」

 

「バカ!!やめろ!!」

「ばか!!!」

「ばかマリモ!!!」

「マリモばか」

 

「てんめェら言わせておきゃ!!!」

 

「ばーか」

「てめェ一人で森入ったら3歩で迷子だろ置いてくぞ!!?」

 

「おい、見ろイオリとロビンだ!!!」

 

「お~い!!イオリ~!ロビ~~~ン!!急げ急げ!!逃げるぞ黄金奪ってきた!」

「アホ!!言うな!!後ろみろよ!みんな一緒に帰ってきてる」

「やべーぞ!!」

「ギャ~~~!!大勢いるぞ!!!」

「コリャ一気に帰ってきたな」

 

「船に乗れ!!もうここにはいられねェ!!ほら見ろ大漁っ!!!金持ちになった!!!袋にパンパン」

 

「……」

「…どっから見つけてきたんだろ?あれ…」

 原作知識で知ってるけど、聞いてないので知らないふりをしないとね?

 

「ん?おい、まさか! あいつらもうここを出る気じゃ…」

「おい待てお前ら!!待ってくれ!!!」

 

「ほら見ろバレたぞ!!!」

「逃げろ~~~!!!」

 

「おーい!!待て君達!!」

 

「待て待て待てと呼ぶがてめェら!!」

「おォ!!言ってやれウソップ!!」

 

「命を賭けて!!!はるばる来たこの空島の!!!世に伝説の”黄金郷”!!!誇り高き海賊様がっ!!手ぶらでオチオチ帰れるかってんだァ!!」

「……」

 あれあれ?ここってまだ前半の海よね?ウソップが口上まがいをやっている?もしかして、これも前振りだったのかしら?

 

「イオリちゃ~ん、ロビンちゃ~~ん、急げ捕まるぜ~~!!!」

 

「捕まるって何の話だ!?おれ達は礼を…」

「おい、あんたら!?彼らにもちゃんと礼を言いたいんだ!!止めてくれ!」

 

 ロビンと私は顔を見合わせた。

 

「ふふっ…必要ないみたい」

「だね!」

 

「ええ!?そんな!!」

 

「ロビン、走ろう!!」

「ええ!!」

 

「逃げろ~~~~っ!!」

 追われていると思っているはずなのに、一味の面々の顔には笑顔があふれていた。

 

「待てェ~!!待ってくれェ~~~!!」

 

 

 

 




 算数の時間です。
 本日は、手に入れた金の価格を計算します。

 円周率:3.14
 金重さ:24K純度100% → 純金の密度 19.32g/cm3
 金の売り相場:gあたり4,000 ※円とベリーは同じと考えます。
        尚、相場は原作がジャンプに乗った頃のものとします。

 ルフィが手に付けていた金の玉は、およそ直径3m
 球体の体積は、「4×(円周率)×(半径の3乗)÷3」
 14,130,000cm3
 重量に換算すると、272トンを超えます
 金額換算すると、約、1兆919億

 しかもこれ、エネルをぶん殴って砕け落ちてます。 あ~もったいない!!

 でもでも、回収している金の玉は直径がその倍の6m
 球体の体積は直径が倍になると8倍になるので、
 約、2,184トン、約、8兆7357億 です。
 間違いなく、相場が崩れますね。

 さらにさらに、黄金の柱、直径8m、長さが40m
 円柱の体積は、半径×半径×円周率×長さ
 で、計算しますと…
 約、38,825トン、約、155兆3018億 です。

 ヤバっ!!

 ちなみに、イオリは柱の事はみんなに内緒にする事に決めています。
 球体の大きさについても(誰も見ていないので)、正確には誰にも話していません。



  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。