イムの娘(いむのこ)   作:槙 秀人

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04-155話:最終楽章

「何…!?島を飛び出して行っただと?」

「ええ…オーゴンはイオリ殿に渡せましたが、彼らにきちんとした礼が言えませんでした…」

 

「なんという事だ…我々にどれ程の感謝の気持ちがあると思っているのか……」

 

「………」

 

「 ― まったくだ。人の気も知らんで……」

 

 

「ずるいじゃないかアイサ…みんな大騒ぎだよ。恩人に逃げられたって…」

「ふふふ!!」

 

「一人だけ別れを済ませるなんて」

「だって、ルフィ達が誰にも言うなって。青海にもあんな強い戦士達がいるんだね!!あたいもあんな風になりたいな。空を走ったり、体がぐーんとのびるの。」

 

「……アイサ…今日は揃えるだけにしよう。髪伸ばしなさい…きっと似合うわ」

「…え?」

「女の子なんだからかわいくしなくちゃ!」

「かわいく?あたいが~~?」

 

「あんた達はもう…武器なんて持たなくていいんだから…」

 

「今日はラキ、おしとやかだ ひひっ」

「ホラもう、動かないでアイサ…」

 笑うアイサの足元には小さな電伝虫が置かれていた。

 

 

「………」

「大戦士カルガラ…シャンディアの役目は…果たされたそうだ…。あんたの願いも親友に届いたはずだ…もう後の世代に血を流させる事はない…。戦いは終ったんだ… ― だが誇りは失わない……!!だからまだこの先も見守っていてほしい… ― シャンドラの灯はもう二度と絶やさないと誓う!!」

 

 

「我輩は”空の騎士”!!フリーの傭兵である!!酋長、おぬしが適任であろう。この都市は元々おぬしらのものなのだ」

 

「…何を今さら…。そんなもの理由にならん。みなこの戦いで身にしみた筈だ…。”大地”は誰にも所有できない。我々は戦士の一族…国を統べるガラではないよ。エンジェル島をイオリ殿が救ったときに気づかされたのだ。我々は空に生まれ、我々の村を故郷だと思っている事にな。シャンドラの遺跡には鐘楼と鐘を置き、毎日それを鳴らすことが出来れば、我々は…それでよいのだ。」

「……」

 

「『神』とは支えだ!国の名は『スカイピア』都市の名は…『シャンドラ』。 ― これらを一つにできるのは、この国の戦いにいつでも苦悩し続けてきたあんたしかおらん。あんたこそが中立の者だ!”空の騎士”ガン・フォール!!もう一度神の座につき、まだ傷跡の深いこの国を支えてほしい。ワイパーも納得しておる。イオリ殿が説得していた。」

 

「…あの娘…そんな事まで、いつの間に?」

 そう言えば、エネルの電撃から、我々を守ってくれたのだったか?

 あの力…あの者にこそ、その座はふさわしかろうに……。

 いや…

 この国の神の座などに収まるような器ではない…か……。

 

「おれ達からも頼みます。ガン・フォール様っ!!」

 

「おめェならおれ達も納得だ!!!」

「おお」

「ガン・フォール!!」

 

「神様!!帰って来て下さい!!」

「………」

 

「やっと存分にカボチャ栽培を楽しめると思うた所へ……」

 

 

 ~ スカイピアの下層”白海” ~

 

「黄金!黄金!!黄金、ゴン!!」

 

「ついにおれ達は、大金持ちだぞ!!何買おうかっ!!?でっっっけェ銅像買わねェか!!?かっこいいぞおめェ」

 

「バカ言え何すんだそれで。ここは大砲を増やすべきだ!!10門買おう!!」

 

「イオリちゃ~ん!!おれ、食料庫も鍵付きにした~~い!!」

 

「おれはなァ!おれはなァ!!本を買って欲しいんだ!!他の国の医学の本読みてェんだ!!」

 

「酒!」

 

 ああ、うざい…

 そうだった。忘れてたけど、財布の紐は私が握ってるんだっけ…

 

「ちょっと待って待ってあんた達、お宝の山分けはまずここを降りてからよ!ねえイオリ!?」

「ん…ああ、そうね。」

 

「あんたらの好き放題買い物したら何も身にならなそう…」

 わーギャーと騒ぐルフィとウソップを遠目に、チョッパーの顔をムニュっとしながらナミが言う。

 

「確かにね…」

「本かってくらはい」

 

 話を聞いている限り、ルフィの銅像は当然却下するとして、ウソップの大砲については、狙撃手が一人しかいないのに、そんなに装備してどうすんねん?って感じ。10門なんて人数より多いじゃない!それに、別に買わなくても、必要なら他の海賊から奪えばいいのよ!なのでこれも当然却下する。

 食料庫の鍵付きは基本的に賛成なんだけど、パックダイアルをかなり手に入れることが出来たので場合によっては食料庫自体が不要になるかもしれない。なのでこれは保留。

 チョッパー希望の医学書くらいかしら?他国の医学書については、各国の支社にでも手配しておこうかな?酒も一緒に…。

 お酒はゾロの希望だけど、みんな飲むんだし、いろんな種類があってもいいわよね?

 ちなみに、今考えたのは、分け前以外の必要経費の事である。

 分け前で買うにしろ、ルフィに銅像は買わせない。買ったところで飾らせない。品位に関わるからね。

 

「みなさん!前方をご覧下さい。見えました。”雲の果て”です!」

 

「へ~!あそこから降りられるのか~っ!!」

 

「あ~降りちまうのか~おれ達!」

「いざ降りるとなると……確かに…名残り惜しいな」

「このまっ白い海ともお別れだ」

「空島、楽しかったな~恐かったけど」

 ルフィ、サンジ、ゾロ、チョッパーが呟く。

 

「 ― あの門抜けたら……”雲の川”で一路青海って具合か……」

「……」

 

「また来れるかしら”空島”…!!」

「ここばかりはな ― …」

 

「ではみなさん!!私達はここまでですので!」

「お元気でみなさん!!」

 

「送ってくれてありがと!!」

「コニスちゃん体に気をつけて!!」

「何から何までありがとうな!!コニスもおっさんも白いのも元気でな!!!」

 

「ええ!!ではすぐに帆をたたんで船体にしがみついていて下さい!!」

 

「おい!!おっさんの言う通りに!!だいぶ高速で行くみてェだ!!」

「……」

 

「そりゃ7000mの坂道だもんな!!急げ!!」

「おう!!!」

「黄金も部屋へ運んじまえ!」

 

「坂道…ねぇ……」

「???」

 

 私の独り言にナミが首を傾げている。ロビンは何かに気づいたようで私の側に寄って来た。

 さすがはロビン。察しがいいわね。

 そうよね?最悪私にしがみつけばなんとかなるんだから、その判断は正しい。

 

「ジョ~~~~ッ!!!ジョ~ジョ~ジョ~!!」

「ん?」

 

「ぎゃー!!!」

 ルフィが鳥に襲われた。

 

「何だ何だ!!!」

 

「ジョジョージョージョ!!」

「おれを忘れるなって」

「あ…空に一緒に連れて来ちゃったサウスバード!」

 

「 ― さて…船長! 次の島への記録もバッチリよ!!」

 

「んん、そうだ!!ここ降りたらまた新しい冒険が始まるんだ!!!」

 ルフィが仲間を見渡した。

 

「野郎共そんじゃあ……!!!青海へ帰るぞォ!!!」

「「おお!!!」」

 

「みなさん落下中、お気をつけて!!」

 

「落下中??」

 

「…そりゃそうでしょ? ”雲の果て”なんだから…」

「「!!?」」

 

「「おめェ!!わかってたんなら早く言えェ~~~!!!」」

 

 スポーン!!とメリー号の下になにもない空間が広がる。一味のみんなは口々に叫び声をあげた。

 ちなみにロビンは私の隣に居る。とりあえず腰に手を回して支えてます。

 

「へそ!!!」

 私は二人を見上げて手を振った。ロビンも一緒に。

 

「いきますよっ!!空島名物『タコバルーン』!!」

 ポ~~~ッ!!!

 

 コニスがタコ笛を吹くと、雲からタコが飛び出した。

 

「…!!!ぎゃああ タコォ~~~!!!」

 タコが足をのばして、メリー号に取りついた。

 

「コノヤ…」

「うが」

「ア!!!」

 そして体を風船のように膨らませ、船を支える…

 

「なんなん…」

「…え」

「おい見ろすげーぞコレ!!」

 

「!?」

「え!?」

「バルーンだっ!!」

 

「減速した……」

 

「うわ~面白ェ~~!!!」

「何だコリャ!!」

 

「お…おれァおれァもう…ついにあの世に逝ってしまうのかと…」

 まったくウソップは…一味のみんなもそうだけど、私の能力の事すっかり忘れてるでしょ?

 

 カラァ―…ン!!

 鐘の音が響いた!!

 

「「!」」

 鐘楼の周りに、かなりの人数が集まっているのを感じる。私たちを見送ってくれているのだろう…

 

 カラァ―…ン!! カラァ―…ン!! カラァ―…ン!!

 

 ふと見上げると目に映る空

 夢か現か、雲の上の神の国

 遥か上空1万m… 耳を澄ますと聞こえる鐘の音。

 今日も鳴る 明日もまた鳴る

 空高々に鳴る鐘の音が、

 さまよう大地を誇り、歌う

 

 カラァ―…ン!! カラァ―…ン!! カラァ―…ン!!

 

「うっはっはっはっいいなコレ…」

「ああ い~~い気持ちだ~…」

 

 

 

 





 ~ 空島編 完結 ~
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