イムの娘(いむのこ)   作:槙 秀人

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05-157話:フォクシー海賊団

 ― ドッカァ―…ン!!! ―

 

 何かが落ちた音が響く。

 

「敵かも知れないぞ!!そこに隠れてろよ!」

「ヒヒン」

 チョッパーが、白い馬?に言ってから、音のした方へと向かう。

 

「どうしたんだ!?」

「……それがよ…竹を割ったら精霊が現れた」

 チョッパーが駆け寄りルフィに聞くと、ルフィがとんでもない事を言ってのけた。

 

「精霊?」

「だって、竹を割ったら現れたんだ。……おい…お前何か喋れ」

「……」

「!………」

 

「勿論覚えてるとも。久しぶりだな。元気だったかお前ら」

「!?」

 

「え?…誰か知り合いか?」

 

「おれ知らねェ!」

「おれも」

「ああ、道理で見た事ねェツラだと思った」

 ルフィとチョッパーが知らないと言うと、『久しぶりだな』と言ったおっさんが手のひらを返した。

 

「テキトーだなおい!!何者だおっさん!!」

 

「おれの名はトンジット。とにかく礼を言おう。お前らだなおれを竹馬から突き落としてくれたのは」

「竹馬? あっ!!本当だ!! でもてっぺんが見えねェ程長~~え竹だったぞ」

「 ― そう。そのてっぺんにおれはいたのだ!!」

 

「何だ。竹を割ったから出てきた精霊じゃなくて、竹馬折ったから落ちてきたおっさんなのか。 何でそんな長い竹馬に乗ってたんだ?」

 

「昔から竹馬が好きでな…この島の長い竹を使って世界一長い竹馬に挑戦したわけだ!!! するとどうだ…登ったはいいが恐くて降りられませんでした!!!」

「バカかおっさん」

 

「その期間、10年…」

「大バカか!!!」

 

「10年もずっと竹馬に乗ってたのか!?」

「そうだ。それにその間、竹は成長を続けるもんで…ますます降りられなくなったのだ!! あ~~~~恐かった」

「10年分の感想がそれか」

 

「まあ竹馬と同じ様に背の高い木が多いこの島だ。何とか果物で食いつなぐ事ができた。」

「軽くスゲェ話してるぞ。気の長ェ話だな…」

「長ェといやあおっさん。この島の生き物は何でどいつもこいつも長いんだ。木も動物も!」

 

「他所から来るとそう思うだろうな。理由はある。この島は見ての通り大草原が広がっており、みんなのびのび生活してるから長いんだ!!」

「すげえ、言い切った!!」

 

「例えばあれは…ダッ~~~~~~~~クスフント、カ~~~~~~モノハシ」

「のばしただけじゃねェか!!」

 

「猛獣もいるから気をつけろ。見ろあれはユキヒョ~~~~ウだ」

「ヒョウ!?」

「噛みつかれるなよ」

 

「ガルル…・」

「何であれだけ横長なんだよ!!!」

 ウソップの視線の先には、顔が横に長いヒョウがいた。

 

「ウチへ来い。お前達には恩がある。もてなそう」

「やった」

「おお!!」

 

「この村では家畜から絞ったミルクが常用飲料だ」

「村なんかどこにあるんだ?」

「家畜も」

 

「ああっ!!村がねェ……!!家畜達もいねェ!!」

「何を今更…いくら10年過ぎたって村がなくなるか?」

 

「ああいや…まあそれはゆっくり話そう。それよりもてなそう。ミルクなら蓄えがあったはず…」

「……」

「ミルクの蓄えって…おっさん竹馬に10年も……」

 

「 ― このチーズがお口にあうか」

「目をそらすなお前!これ10年前のミルクだろ!!!」

 

「 ― そうか、じゃあまあ適当にくつろいでくれ。ところでさっきの話だが」

「え…おっさんこのチーズ食えるのか?」

「やめとけって!!」

 トンジットは話しをしながらさっきのチーズと言ったモノをパクパクと口にした。

 それを見たルフィが手を伸ばそうとするのをウソップが叩いて止める。

 

「バカな大丈夫だ。ただの10年物のチーズだ。おれはおめェらと違ってこの島でのびのび生きてきたから胃袋の出来が違うんだ。―まったく最近の若ェ奴らは体が弱くて…

…医者を呼んでくれ」

 

「言わんこっちゃねェだろ!!!アホか!!!」」

「医者ァ~~~!!!おれだ―っ!!!]

 

 チョッパーがおっさんを診察する。

 

「…食あたりです」

「わかるわ!!」

 ルフィは腹を抱えて笑っていた。

 

 *--*--*--*--*

 

「遊牧民?」

「おっさん面白ェよ~~~ あっひゃっひゃ…」

「そう、おれ達は移住を繰り返す気ままな遊牧民族」

 

「それでたった10年の間に村が消えちまったのか……」

 

「ここは『ロングリングロングランド』という島だ。ようこそ!この島はそもそも長いリング状の島なんだが普段は海によって10の島に区切られている。 ― だが年に一度だけ、潮が大きく引く日があり、島々はその日、数時間の間だけ一つの島として本来の姿を取り戻す。おれ達はそこを狙って3年に一度、島から島へと移住をくり返すのだ」

 

「は―ん…じゃ、村の移動に取り残されたわけだおっさん」

「間抜けでいい!!おれ、おっさん好きだ!!」

 

「一つの島に3年なら、1周してここへ帰ってくるのは約30年後。おっさんが竹馬に乗ってた年月を引いてもあと20年近くは皆と会えねェわけだ」

 

「……そうなるな。せめて一頭のウ~~~~~マがいれば…1年おきに島を渡ってみんなを追えば、5年もあれば追いつくだろうて」

「ウ~~~~~マ?」

 

「そうだ。この島で最も美しい動物さ。草原をかける姿など何とも優雅で…島から島への移動にはコイツがいなきゃ始まらん。力もあって大きな荷物も運べる。人の足で島を渡っていてはすぐに潮が満ちて移住どころではないからな」

 

「船で行けばいいじゃねェか」

 

「おれ達ァ航海術など持ってねェ。それに…この島で記録をためてもログホースはとなりの島を指しはしねェ。10の島はそもそも一つの島だからな。―いいさ。20年ここで待つとも」

 

「……淋しいぞ……?」

 

「あれ?もしかしてウ~~~~~マって”馬”か?」

「ん?あ、そうか!馬か、馬ならいたな!!」

 

 

「おお……!!!シェリー!!!お前…!!!おれを…待っててくれたのか!?」

「ヒヒーン!!」

 

「おおシェリー!!何て可愛いやつだ!!懐かしいなシェリー!!見ねェ内にずいぶん長くなりやがっておォ……!!よしよし」

「ヒヒ~~~ン♪」

「お前…何年も一人ぼっちで淋しかったろうな…!!ありがとうなァありがとう。もう二度と離れねェぞ!!」

 

「そうか!あの馬ここでずっと竹馬のおっさんを待ってたのか。いいやつだな」

「きっと竹馬のおっさんが大好きなんだ」

 

 ~ ~ ~ ~ ~

 

「ワッハッハッハッ」

「ヒヒーン♪」

 

「しっかし速えぞあの馬!おれも乗りて~~!!」

「ホントに優雅に走るもんだな」

 

 はしゃぐシェリーをほほえましく見ている3人だが…

 ― パア―…ン!!! ―

 

「!!?」

 

 銃声が響き、シェリーが倒れた。

 

「え…」

「何だ!?」

「……!?」

「馬―っ!!!」

「おっさん!!!」

 

「う…!!おいシェリー!!どうした!?どうしたんだ!?」

「ヒヒン!!」

 シェリーがびっくりした顔でトンジットを見る。

 

「おい大丈夫か!?」

「銃声が聞こえた!!撃たれたのか!!?」

「……!!」

「ヒヒーン!!」

 

「ホイホイホイホイ!!」

「フェッフェッフェッ!!!」

 

「ん!?」

 

「その馬はおれが仕留めたんだ!!!おれのもんだ!!!さわるんじゃねェ!!!」

「!」

「そーよそーよ!!その馬はオヤビンのものよ!!」

 

「…!!!お前ら誰だァ!!!」

 

「このおれが誰かって?この顔を知らねェとは言わせねェ!!!」

「無礼ですねあいつら!」

「フェ―ッフェッフェッ!!!」

 

「くそっ!!犯人はあいつらか!!」

 チョッパーとウソップが駆け寄ると、シェリーは立ち上がった

 

「「「えっ!!?」」」

 

 フォクシー達も含めて、その場にいる者が皆が驚いていた。

 そうなんです!弾は当たってないんだよ!!

 

「チョッパー、その子が足を挫いたり折れたりしてないか見てやってよ!」

「イオリ!!?」

 

「お前の顔なんか知るか!!!ぶっ飛ばしてやる!!!」

 ルフィの怒りはおさまっておらず、原作通りフォクシー達にタンカを切っていた。

 

「まあまあ…、シェリーは無事なんだから!それに、あいつ等には関わらないほうがいいわ。」

「イオリ!お前なんでここにいるんだ!?」

 

「いやん!オヤビンっ!!落ち込まないで!!うそですよ。きっと知っててわざと知らないと…」

「おれを知らない………」

「ぷっ!!ぷぷぷぷぷぷっ!!」

「こら!!笑うなハンバーグ!!」

 

「あ!?」

 相変わらず私の言うことを聞かないルフィ。まったく…

 

「おれの名は…」

 

「フォクシー海賊団船長、銀ギツネのフォクシー。懸賞金2400万ベリー。自称:欲しい物は全て手にいれる男…だったかしら?」

 フォクシーの自己紹介を遮って、セリフを横取りしてあげる。

 

「うっ!!?」

「それと、両脇にいるのが戦闘員ポルチェとハンバーグ……。私たちは『デービーバックファイト』なんてものを、やるつもりは無いから、さっさと消えてくれません?一応、忠告しておくけど…もし今、私が言った事を無視してルフィにゲームを申し込んだ場合、私はそれを『戦闘の意思』とみなし、あんた達を全滅させる!!」

 

「「「!?」」」

 

「あんたが『くれない』ね? さすが、参謀って称されるだけあるわね。懸賞金も付いてない、私達の事まで知ってるなんて…」

 

「別に…知ってたわけじゃないわ。あんた達の頭の中を覗いただけよ!!」

「「はぁ?」」

 

「あ~、私たち8人の総合懸賞金(トータルバウンディ)の話なんてどうでもいいわ!!そもそも間違ってるし…」

「なっ!!?…どうして…なんで?」

 

「さっき私が言ったこと聞こえてた?なんならこの場であんた達3人、潰してやろうか?」

 

「ぷぷぷぷっおれ達を潰す?何言ってんだあのメスブ…」「ダメッ!!」

 

 あっれぇ~?何を言おうとしたのかな?あのスカーフ巻いたサルは…?

 

「……」

 

 ん? どうしてルフィとウソップは顔を青くして後ろに下がっていくのかな?

 チョッパーまでおっさんとシェリーを引きずって…

 まあいいや。今はそれよりこいつらだ。

 

「ハンバーグ!!あんた今何言おうとした?船で麦わら一味の事話したわよね?私の話聞いてなかったの?」

「へェ~何の話?興味あるなぁ!!ねぇポルチェ、教えてよ!」

 3人のところまで剃で移動。驚いているところに満面の笑みを浮かべて質問した。

 

「えっ!!?いや…あの…その…」

 なんでそんなに顔を青くしてのかしら?私は笑顔で質問してるだけなのに?

 

 

「あ~あ…あいつら、やっちまったな…」

 

「おい、なんだあいつは…おめぇらの仲間か?いつの間にあんなとこまで?しかし…めっちゃ笑顔で話しかけてるな?」

 

「おっさん!!死にたくなかったら今はあいつに近づくな!!」

「恐ェ~よ~~~イオリ恐ェ~~!!」

 

「ん?ちょっと待てよ『デービーバックファイト』って…そうか!!この島の近くで会ったあの船…あいつらにやられたんだ」

 

「ウソップ?なんだその『デーなんとかファイト』って?」

「ゲームで勝った方が相手の仲間を自分の仲間に出来るんだ。」

「なんだそれ?おれそんなのヤだぞ!!」

 チョッパーがウソップに抗議する。

 

「もしかして…イオリは、あの変な頭のヤツの事知ってたのかな?」

「…たぶんな。だからきっとゲーム開始の決定権を持つ船長のルフィがいるここに来たんだ。前にイオリに手配書の束を見せてもらったんだけどよ、あいつは懸賞金リストを全部覚えてるみてェだからな。おそらくあのキツネ野郎もなんかの能力者だろうぜ。もっとも…もう、どうしようもねェけどな…」

 

「そうだな…イオリの”口撃”に耐えれるヤツなんていねェからな!!」

「…やべぇ…また思い出しちまったぜ…」

 

 

 ~ その頃、メリー号では ~

 

「何だお前ら…!!」

「………」

「やるんなら降りて来い!!」

「何のつもり…!? 船のゆくてを封鎖された!!」

 

「さっさと出て来い相手になるぞ!!!」

 

「我々は”フォクシー海賊団” 早まるな。我らの望みは…”決闘”だ!!!」

 

 

 ~ 1時間経過後… ~

 

 ゾロ達がフォクシー海賊団と遭遇して1時間…さすがに遅いと気になったのか、フォクシーの部下と、ゾロたちが様子を見にやって来た。

 

「「!!!」」

 

 状況を察したゾロたちはルフィ達と合流。フォクシーの部下達はというと…

 

「「!!?」」

 ハンバーグと同じく、ポルチェに言われた事を理解していない者が数名、異様な光景を見て慌てて割って入った。

 

 その行為は自殺行為以外の何物でも無い…

 彼らはものの見事に流れ弾を食らった。そしてそのまま3人と一緒に地獄に落ちる羽目になる。

 

 それを見た他の連中はポルチェが言っていた事を正確に理解し、そして戦慄した。

 

 どこから出回ったのかは不明だが、その光景はまことしやかにささやかれた。

 その女に微笑みを向けられて一言でも注意を受けたなら…、誰であろうと正気を保っていられない。

 女の言葉はよどみなく、途切れる事なく、目の前の生贄の生気を吸い尽くすまで続くと伝う。

 もう誰も…余計な手を出す者はいなかった。

 

 

 ~ さらに1時間経過… ~

 

「いいですか?これからはちゃんとTPOをわきまえるように。暴言は相手をちゃんと見て、考えたうえで行わないと、痛い目に会うからね?わかりましたか?」

 

 力なくうなだれた”7人”がコクコクと首を縦に振る。

 

 あれ?3人じゃなかったっけ…?

 

「よろしい。それじゃこれでお終い。はい、ちゃんと言われたとおりにして頂戴!」

「……はい…わかりました。…どうも…ゴメイワク…おかけいたしました…」

 

 フォクシーの部下達は、ようやく開放された船長達を囲んでスゴスゴと帰っていった。

 

「…イオリおめェ…ムチャクチャあいつら躾けしまくってたぞ?」

 ルフィだけでなくゾロやナミにも呆れたような視線を向けられた。

 

 ちゃんと自制してたつもりだったんだけど、時計を見ると2時間が経過してた。

 途中1時間半ほど記憶が飛んでいるのは…まあご愛嬌だ。3人が7人になってたのも大した事じゃない。

 うん、きっと問題ない………と思う……多分…。

 

”………”

 

 ウソップとチョッパーはちょっと怯えているけれど…

 ロビンは目を点にしている。ナミがなにか説明しているようだ。

 

 サンジは…固まってる。あれ?なんか前にもこんな事があったような???

 

「そうだ、シェリーの足は?」

 

「…だ…大丈夫だ!!折れてねェし、挫いてもいねェって…なぁチョッパー!!」

「うん…シェリーが突然フワって浮いて足を動かされたって言ってた。イオリがやったんだろ?」

 

「銃弾は止められなかったからね。弾が当たらないようにシェリーの方を動かしたのよ」

 

「なぁイオリ。結局あいつは何だったんだ?」

 ルフィが聞いてきたので、ウソップを見ると『デービーバックファイト』についての説明をしてくれた。

 (実は、私があいつらに注意している間にも、一度説明したらしい。)

 

「私たちも船であいつ等の仲間に話しを聞いたわ。ルフィの事だから決闘を受けちゃうかもって、半ば諦めてたんだけど…まさかこんな事になってたなんてね。」

 

「勝負しても負けなかったけどな!!」

「「「受ける気だったんかいっ!!」」」

 

「あったりめェだ!!あのヤロウ、シェリーを撃ちやがったんだ!!イオリがいなかったら危なかったんだぞ!!」

 

「成程ね。それで決闘を受ける気満々だったワケね。まぁ、何にもなくても受けたんでしょうけど…」

「失敬だな!!お前!!」

 

「あいつらおめェの事、トラウマになるぞ?」

「間違いねェよ…。下手すりゃ立ち直れねェかも…」

「そうだとしても同情する事ァねェだろ?」

 ゾロ、ウソップ、サンジがつぶやく。

 

「あっ!…しまった!!」

「何よ!!どうしたのイオリ!!」

 

「あいつら、もういなっくなっちゃったかしら?」

「そりゃそうだろ!『さっさと消えろ』っておめェが言ったんだろうが!!」

 

「失敗した…お宝逃しちゃったわ…」

「あっ!!そうか、もったいない!!」

 

「「…」」

 私の言葉に、ナミが残念そうに呟いた。当然ほかの面々は呆れ顔である。

 

 ノロノロの出番終了……

 

 

 

 

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