イムの娘(いむのこ)   作:槙 秀人

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05-162話:決闘!!

「約束の10時だ。ウソップが来るぞ」

「お前ら、船から下りて来るなよ」

 ルフィが船から下りると程なくしてウソップが現れた。

 

「来た!!」

「ウソップ~~!!!」

 

「イオリ…今更だけど、何とかならない?」

「ならないわね。私が何か言ったところで、ルフィが自分の考えを曲げることは無いわ。それは恐らくウソップもね…。うるさく言ったら余計に頑なになるだろうし。一旦、二人のやりたいようにやらせてやるしか無いわね!!」

「…」

 

 

「怖気づかずによく来たな…どんな目にあっても後悔するな!お前が望んだ決闘だ!!」

「当たり前だ。お前こそ殺す気で来いよ!返り討ちにしてやる!!もうお前を倒す算段はつけてきた!!!手の内を知らねェ今までの敵と一緒にするなルフィ!おれとお前は長ェ付き合いだ。お前の能力はよく知ってる。」

 

 

「止められねェのか!?ウソップひどいケガなんだよ!!」

「見てられねェなら部屋にいろ」

 

「聞いて驚くなよルフィ」

「!」

「おれには!!!8千人の部下がいる!!!命が惜しけりゃ今すぐ降参しろォ!!!」

 

「ええ~~~!?8千人も!!?すげ-」

「お前…部屋に入ってろ」

 

「お前にそんな部下はいねェ事くらい知ってる!!!」

 

「”ウソ~~~ップ呪文(スペル)”!!『全ての歯の間にカミソリがはさまった』!!

 

「ギャ~~~~!!!」

「お前…部屋に入ってろ…」

 

「ゴムゴムの~!!!」

 ルフィがウソップに向かって走り出す。すると…

 

「ウ…ゲホ!!!」

 ウソップが口から血を吐いて倒れた…ように見せた。

 

「………!!!」

 ルフィの気が逸れ、攻撃態勢が緩む。

 

「ウソップ!!!」

「うわ~~~~!!ほら!!やっぱりもう体が-!!」

 ナミとチョッパーが叫び声を上げる。

 

「必殺、ケチャップ星!!!」

「!!?」

 

「何だ、敵に同情か!!?」

「!!!」

 

「”閃光貝”」

「う…!!!」

 カメラのフラッシュのような閃光でルフィの目がくらむ。ウソップの攻撃は止まらない。

 

「必殺!!卵星!!!星!!!」

「あう!うわっ!!くせェっ!!腐ってる。くそっ!!!この野郎マジメにやれェ!!!」

 

「ばかばかしいか!?大マジだぞルフィ…!!これがおれの戦闘だ!!!ホラそんな大口開けてると火傷すんぞ!!必殺タバスコ星!!!」

「!! うぷ!!!辛エ~~~~~~~っ!!!」

 ルフィが口から火をふいて倒れた。

 

「のたうち回るのも気をつけろよ!足元にはすでに”まきびし地獄”だ!!!」

「……!!?うわああ!!!痛ェっ!!!」

 

「………!!」

「ウソップのペースだ……!!!」

 

「……」

 たとえば、ウソップが突然現れた敵だとしても、血を吐いて蹲ればルフィは心配して攻撃の手を緩めたと思う。ウソップの事を知っていようがいまいがルフィのそういう所は変わらない。そういう意味では、策は成功していると言える。けど、そこまでだ。

 地力が違う以上、原作通りのやり方じゃ、ウソップに勝ち目なんてない。

 

「ルフィ!!お前を倒してメリー号は貰っていく!!!どんな手を使ってもな!!!」

「ウゥッ……!!!ゲホゲホ!!!ハァ…、くそ…!!くせェし辛ェし…!!痛ェ…」

「言ったろ、おれはお前に効かねエl攻撃はしねェぞ!!!一瞬もスキは与えねェ!!必殺!!手裏剣流星群!!!」

「うわ!!!」

「!!ウゥ!!!」

 

 あれに覇気を込めれば大ダメージだっただろうに…。

 本気で勝つ気があるのかね?

 

 たぶんウソップも、私と同じように、この決闘に勝っても負けてもルフィが船を自分に譲ってくれるだろうと思っていると思う。

 

 

「………」

「ハァ……ハァ…」

 

 シュー…

 

「え?煙!?」

 ルフィが、近くに置かれた貝から煙が出ていることに気づく。

 

「風貝だ!!卵のせいで匂いにきづかなかったろ?そこにガスが充満してるなんて」

「!!!」

 

「ガス」

「まさか……!!」

 

「悪ィな!!くらえ!!!」

「!」

 

「火炎星!!!」

「!!!」

 

 - ボッカァァン!!! ー

 

 爆音が響き、ルフィを中心に辺りが吹っ飛んだ。

 

「うわああ」

「何て爆発だ!!!」

 

 爆風は激しく海まで揺れた。波しぶきが船に降り注ぐ

 

「ルフィ、ウソップ……!!」

 心配そうに、ナミが呟く。

 

 船首のメリー号の顔が泣いているように見えるのは気のせいだろうか?

 

「いやだ…こんなの……」

「ルフィ~~~~!!ウソップ~~~~!!!」

「……」

 

 

「お前は……これくらいじゃくたばらねェ……知ってるぞルフィ…」

「必殺…」「ゴムゴムの!!!」

「炸裂サボテン星!!」「銃乱打」

 二人同時に攻撃をしかけた。ルフィの拳にサボテン星が当たり炸裂した球から針が飛び出す

 

「うわああああっ!!!痛!!」

「三連火薬星!!!」

「!」

「ゴムゴムの銃!!!」

「ぶはっ!!!」

 ルフィの拳がウソップを捕らえた。攻撃が止んだと見るやルフィはたたみかける

 

「バズーカ!!?」

「”(ダイアル)”だ。貰ったぞ…お前の衝撃」

「!!」

 

衝撃(インパクト)!!!!」

「!!!」

 

衝撃貝(インパクトダイアル)……!!」

 

「うああああっ!!!」

 ルフィは飛ばされた。けれど、ウソップにもダメージが…

 衝撃貝は工夫しなければ諸刃の剣…

 

 ふむ…あとで工夫の仕方を教えてあげようか?

 

「……!!!どうだ畜生ォオオ!!!」

 だが、ルフィは倒れない。

 

「!!」

 ウソップの表情が苦痛に歪む。今のが取っておきだったのだろう。

 

「ゴムゴムの銃弾!!!」

「!!!!」

 

「………!!」

「ウソップ-!!!」

 ウソップが倒れた。

 

「……勝負あったな」

 ゾロが呟く。

 

「バカ野郎…!

お前がおれに!!勝てるわけねェだろうが!!!」

 

 そんな事はない。ウソップは必殺の策を使わなかっただけだ…と私は思う。

 何が、”どんな手を使っても”だ!!結局どっちも本気を出しきれてないじゃない!!

 そもそもウソップは、なんでここを決闘の場に選んだ?

 ルフィを海に落とせば、その時点でウソップの勝ちは決定してただろうに…

 

「……」

 ルフィがウソップに背を向けて歩き出す。

 

「………」

「いやだ……もう……!!」

 ナミが泣いてる。

 

「…メリー号は、お前の好きにしろよ」

「………!!」

 

「新しい船を手に入れて…この先の海へおれ達は進む!!!」

「……」

 

「じゃあな……ウソップ 今まで…楽しかった」

 

「ウソップ~~~!!!」

「おいっ!!行くなチョッパー!!!」

 

「……!!何でだよ!!!ただでさえボロボロの体なのにあんな目にあって…!!」

「ケンカや試合じゃねェんだ!!!」

 

「だから何だ!!!おれは医者だ!!!治療くらいさせろォ!!!」

「……!!!」

「!!!」

 

「決闘に敗けて、その上…同情された男が、どれだけ惨めな気持ちになるか考えろ!!!」

「!!!」

 

「不用意な優しさがどれ程”敗者”を苦しめるかを考えろ!!!」

「………!!」

 

「あいつはこうなる事を覚悟の上で決闘を挑んだんだ」

「………」

「!」

 

 ルフィがメリーの下まで来た。ナミはまだ泣いている。

 

「重い…!!!!」

 

「 - それが、船長だろ…!!!」

「……!!」

「…そうね…」

 ゾロの言葉に私が相槌をうつ。

 

「迷うな!お前がフラフラしてやがったら、おれ達は誰を信じりゃいいんだよ!!!」

 

 ぴょん、とチョッパーが船から飛び降りた。

 

「なるほどね…手当てをするんじゃなく、医療用品を分けてあげるのか…」

「……」

 チョッパーの行動を私が補足したらサンジがため息を吐いた。

 

 さて…原作ではゾロが言ってたけど、副船長は私だからこれは言っとかないとね!宿も取った事だし…

 

「船を空け渡しましょう!」

「ああ、おれ達はもう…この船には戻れねェからな」

 私の言葉にゾロが続いた。ルフィ、チョッパーが泣いている。

 

 私たちが、荷物をまとめて宿へと移動し終える頃には、日付が変わっていた。

 

 *--*--*--*--*

 

 ウソップが甲板に大の字で寝ている。

 

「………」

 

「…まったく…」

「!!?」

 私はため息を吐きながら甲板に降り立った。

 

「事の顛末は聞いたわ。なんだってそんなに熱くなったのよ。私は修練場であなたに言ったわよね?一味にとってあなたは絶対に必要なんだって…。どうせどこぞの誰かに金の番も出来ない奴とかなんとか言われたんでしょ? 別にいいじゃないのよ!!」

 

「…おめェにはわかんねェよ……弱ェやつの気持ちなんか…」

 

「そんなの当たり前じゃない!!たとえ私が弱くたってあなたの気持ちなんてわかんないわよ!」

「!!?」

 

「見聞色で思考を読んだとしても、気持ちまで完全に理解なんて出来ないんだからね?そもそも自分の気持ちだって本当にわかってるかどうかなんて怪しいもんでしょ?」

「……」

 

「ねぁ、ウソップ…今更遅いかもしれないけど、出来ない事を出来るように努力する事も大事だと思うけど、その時その時に自分に出来ることを考えるのはもっと大事だと思うわよ?」

「……」

 

「船長が認めた事だからあなたが一味を抜けた事については何も言わない…。ただ、一味を抜けるって事は簡単な事じゃないの。」

「…」

 

「だから、戻るときにはそれなりの筋を…仁義を通しなさいよ?」

「!!?なに言ってんだおめェ!!おれは…」

 

「黙って聞いて!!一味にとってあなたは絶対に必要なんだって言ったのは本心だし、今でもそう思ってる!だから当然のことながら戻ってきてほしいとも思ってる。それは覚えておいてよ?」

「……」

 

「ただし、迎えには来れないし、ほかのメンバーにもさせないわ!これでも私は副船長なのよ。今やってる事がギリギリのラインって事は理解して!これ以上踏み込んだら…、私たちのやってる事が『ごっこ』になっちゃうからね!!だから…あとは、あなた次第!!」

「……」

 私とウソップは、しばしの間見つめ合った。

 全く色気は無いけれど…

 

「……それじゃぁね!!」

 私は剃刀で、その場を後にした。

 

 

 

 

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