イムの娘(いむのこ)   作:槙 秀人

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05-163話:密室の大事件

  - 翌朝 -

  - ウォーターセブン裏町 -

 

「おい聞いたか、夕べの造船島の事件!!」

「フランキーよ!!こんな事するのは!!!あんな奴野放しにしておくから…!!!」

「いや、造船所を出入りする海賊達の仕業だって線も強いんだ」

 

  - 造船所1番ドック入り口 -

 

「何かコメントを!!」

「犯人は何者なんですか!!?」

「最新の情報をお願いします!」

「第一発見者は誰ですか!!?質問させて下さい!!!」

「フランキーハウス壊滅と何かつながりが!!?」

 

  - 裏町の宿屋-屋上 -

 

「ここにいたのか。せっかくイオリちゃんが宿とってくれたのに部屋に誰もいねェ - みんな揃って… 眠れてねェんだろ…ルフィは?」

「あそこ」

「………」

 

「………」

「サンジ、どこ行ってたんだ?」

 

「夜中中、岩場の岬を見張ってた……ロビンちゃんが、帰って来やしねェかと思ってよ。……どこ行ったんだろうな何も言わずに…。イオリちゃんが気配を探ってこの島にいることはわかったものの、誰と何をしてるんだか…」

「…」

 

「おれは今日は町中を探してみようと思う。もし何かあってもこの宿を落ち合い場所にしとこう」

「お…!!おれも行くぞ!!探しに!!そうか…よし」

 

「………」

「ルフィ!!」

「!」

 

「ナミさん……」

「大変なの、今町中この話で持ちきりで……!!ルフィ…!!」

「!?」

 

「昨日の夜、造船所のアイスバーグさんが…!!!」

「アイスのおっさんが……!?」

 

「ええ、撃たれて今、意識不明だって…!!」

「……」

 

「誰だいそりゃナミさん」

「昨日、造船所で私達がお世話になった人よ。造船会社の社長でウォーターセブンの市長」

 

「そりゃまたずいぶんと大物が…」

「この都市ではこの上ない大事件よ。イオリが情報を集めに行ってる。」

 

「 - あんなにみんなに慕われてるおっさんが…ちょっと行ってみる」

「待ってルフィ、私も行くから」

 

「おれ達はじゃあ、ロビンちゃんを探しに行くぞ。お前は?」

 

「……いや、おれはもう少し…。成り行きを見てる…」

「…?」

 

 

  - 造船島ガレーラカンパニー本社兼アイスバーグ自宅 -

 

「アイスバーグさんの容態は!?」

「事件について何かわかった事を話してください。」

「死なないでアイスバーグさーん!!」

 

 情報収集に来てみたものの、ここじゃあ何もわかんないわね…

 ふむ…。昨日見つけた大きい気配が3つ…この建物の中に居る。

 建物の一室に、3つの気配がある。そこに大きな気配の主が2つ…。小さいのがカリファで、もう一つがルッチかな?…って事はもう一つの気配がアイスバーグさんか…

 

 さて…

 

 私は伝電虫を取り出すと連絡をとるべく番号を回した。ほどなく相手が出る。

 

『はい、ガレーラカンパニー』

 

「もしもし」

『あっ!!ユナ様ですね、申し訳ございません。こちらから連絡するべきだったのですが』

 

「はい…本日の商談の件なのですが、今朝の新聞を見て無理だという事はわかっていたのです。W7(ウォーターセブン)には、先日着いておりましたからお気になさらずに。あの…もし、ご迷惑でなければお見舞いに伺いたいのですが…」

 

『め、迷惑だなんて、とんでもございません。今、どちらのホテルにいらっしゃいますか?お迎えに…』

 

「今、御社の入り口のすぐ近くまで来ているのですが、記者の方々が多くてどうしたものかと…」

『えぇっ!!?す…すぐお迎えにあがります。お待ち下さい!!!』

 

 船大工の中にはうるさい連中がいるのは知っているので、清楚な格好を選んだ。会わないかもしれないけど…

 カリファが迎えに来てくれて、会社の中へと招かれた。

 途中、新聞記者達が騒いだり、シャッター音が聞こえたけど、ユナはもう顔バレしてるからどうでもいい。

 ※一応ユナには連絡して、ここに来る事は言ってある。近くだから、私が行こうか?とも言われたけれど、最近忙しそうなので大丈夫だと言って断った。

 

 ってあれ?さっきまで居た筈なのに、ルッチとかカクの気配がしない…

 ルフィ達のほうへ行ったのかしら?まぁ問題ないでしょ!!

 

 

「始めまして。F-RONPのユナと申します。御加減はいかがですか?」

「ンマー、はじめまして。寝たままで失礼。あなたのお噂はかねがね聞いてる。すまなかったな。商談のはずが見舞ってもらう事になるなんて…」

 

「お気になさらず…まずはお近づきになれただけで良いのです。商談はまた、次の機会に…。ところで、さきほど皆さんが出て行かれましたけど、何かあったんですか?」

「それが、今回の犯人が」

「カリファ!!」

 

「失礼いたしました」

 

「ごめんなさい余計な質問でした。私、言いたいこと黙ってられない性質(たち)で…」

「ンマー、そうじゃないと会社のトップになんてなれないでしょう?」

 

「そうですね。でも周りからはうるさがられてますよ?」

「…おれも同じだと?」

「さあ?」

 

「フフ…お二人は気が合いそうですね。社長、ユナ様から頂いたお花を飾りますね。ユナ様、ごゆっくり」

 カリファが出て行く。

 

「外で、こんなものが配られてました。」

 私は特報の号外をアイスバーグさんに見せた。そこには4枚の手配書が印刷されている…

 

「ンマー、いつの間に!?」

「私は、麦わらの一味を存じているのです。彼らはピースメインの海賊なんですよ。あなたを襲うなんて考えられません。何かの間違いでは?」

「…昨日、あいつらの船はもう直せないと言った…。その腹いせだと言う者もいる。」

 

「あなたも、そう思うの?」

「…いや…」

 

「やっぱり、ニコ・ロビンかしら?」

「えっ!!?」

 

「最近、一味に加わったって聞いてるわ。彼女が加わったことで一味に変化があったのかも…。それに、あなたは昨晩彼女を見たんでしょ?襲撃犯の二人のウチ一人が彼女だったって!」

「!!?…誰に聞いた」

 

「情報ソースはわかりませんけど、これに書いてありました。あなたが見たと言うなら、そこに彼女はいたのでしょうね…」

「…」

 

「でも、相手が2人で…前から2発、後ろから3発……。あなたは彼女にも撃たれたの?」

「…いや…そこまではわからん…。2発…撃たれて、倒れた後に背中を撃たれたらしいからな…」

 つまり、2発撃たれて気を失った…という事か…

 

「そうですか…。もう一つよろしいかしら?アイスバーグさん、あなたはCP9というのをご存知?」

「!!?」

 アイスバーグさんが驚いた顔を見せる。

 

「おれが知ってるのは『CP1~CP8』だが?」

 

「私も会ったことはありませんけど、『CP9』というのはある特権を持っているとの事です。」

「特権?」

 

「あくまで”正義”の名のもとに…という事らしいですが、『殺し』を許可されているという”うわさ”です。」

 

「バカなッ!!正義と名のつく殺しが…」

「あなたは知ってるはずでしょう?『正義』というものがどういうものか、身をもって体験したはず!!」

 

「…詳しいようですね?そういえば、F-RONPは政府と太いパイプがあるとか…」

「世界各地に支社がありますからね。社員の安全確保の為に情報収集は欠かせません。」

 

「…なるほど…しかし、なんだってそんな話を?…!!まさか…」

 

「今回の件…彼らが絡んでるのだと、私は考えています。」

「…」

 

「複数人がここに潜り込んでいる可能性があります。ここ数年で、付近に飲み屋が出来たとか、店主が変わったとかいう話はございませんか?」

 

「…5年前に、ブルーノという男がバーを開いた。うちの社員のたまり場にもなっている。それがどうかしたのか?」

「では、そのバーが開いた頃に、ここに入社した方で、仕事がお出来になる方は?」

 

「ンマー、5年前は当たり年だったからな。ルッチ、カク、パウリ―が同期になる。ああ、カリファも一緒だな」

 

「…この島出身の方は?」

「パウリ―がそうだ。」

 

「では、そのパウリ―さんを除く4人の方が怪しいですね」

「!!?」

 

「戻ってこられるようです。この話はこの辺で…。ごめんなさいね。突拍子もない事ばかり言って…」

「それも性分なんですか?」

「ええ。黙ってられない性質なので…フフ…」

 

「「ハハハ…」」

 

 ほどなくカリファが戻ってきた。

 

「楽しそうですね?」

「ンマー綺麗な花ね。ユナさん、ありがとう!」

 

「それでは、私はこれで失礼しますね。」

「 - 少し、お休み下さいアイスバーグさん…」

「ああ、そうさせてもらおうか…」

 

「ユナ様」

「では、お大事に…。商談は、全快した後に改めて…」

「……」

 

 部屋を出たところでカリファに声をかけた。

 

「カリファさん。私、あたなにもお願いがあるのですけど?」

「はい、なんでしょうか?」

「採寸させてくださる?」

「!!?」

 

 *--*--*--*--*

 

「ちょっと待っててね。夜までには出来ると思うから」

「そんな…私、そんな高価なものを頂くわけには…」

「綺麗な人は、もっと綺麗にならなきゃ!!私はその手助けをするのが楽しいんだから!遠慮しないで頂戴!」

 カリファと夜に会う約束をして、私は会社を後にした。

 

「まだ、ルフィとナミは一番ドックか…」

 という事は、まだ宿までは手が回ってないわね…

 

 私はユナの姿のまま宿をとり、昨日の宿へと飛んで、荷物を小さくしてまとめて、収納貝へ入れた。そして、屋上で寝ているゾロの元へとやって来た。

 あ、やべっ!!顔だけでも元に戻しておかないと…

 

「おめェ…最近、女モノの恰好が多いんじゃねぇか?」

 キャリアウーマンスタイルで失礼します。着替えるの忘れてたわ…。ダメじゃん私!

 ちなみにスカートはひざ下。パウリ―対策してました。

 

「お気に召しませんかね?」

「別に…そういうわけじゃねェけどよ…」

 あんた、また顔が赤いわよ?実はこういうの好みだったりして?

 

「寝るんなら、宿で寝てたらいいんじゃない?」

「いや、どのみち今晩は宿に泊まるどころじゃねェだろ?もうしばらくここで寝てる」

「まぁ、いいけど…じゃ、私はルフィ達と合流するわよ?」

 

「くぅ…」

「…もう寝てるし…」

 いいや!後で合流する際に迷子になられても厄介だ。持って行こう!

 私はさっさと着替えると、ゾロを小さくしてポケットに入れた。

 

 

「いやあああああ~~ぎゃ!!!」

 

「おし、着いたぞ」

 

「………!!!着いたぞじゃないわよっ!!!死ぬかと思ったじゃない!!!」

「仕方がねェじゃねェか!バレたら大変だからエレベーター使えねェって言ったのお前だろ!!」

 

「だからって飛び降りることないでしょ!あの船大工じゃあるまいし!! ハァ…ハァ… …ま、いいわ降りられたから」

「いいならブツなよ!!!」

 

「気をつけたほうがいいわよルフィ。現在覇気はナミが一番使えるんだから!」

「「イオリ!!」」

 

「何処にいたのよ!!あんたがいれば、恐い思いしなくて済んだのに!!」

「フランキーって奴と会ったり、船大工に襲われたりで、すげぇ大変だったんだぞ!!」

 

「情報収集が手間取ったのよ。ほらこれ!」

 と言って、号外をナミに渡す。

 

「え!?ちょっと何これっ!!」

「船大工に襲われたって事はこの話は知ってるんでしょ?今、町中で写真の3人を探してるわよ。」

 私は似てない似顔絵だからだろう。探す対象にはなっていない。

 

「もしかして、宿もやばいんじゃない!?」

「そろそろ手が回るでしょうね。でも安心して!とりあえず荷物は小さくして持ってきたから!」

 

「よかった!!さすがイオリね!!」

 

「ただ、アクア・ナグナっていう高潮が来るらしいわよ?」

「高潮!!?…それで…こんなに空が荒れてるのね…」

 

「だから荷物は私が持ってようかと思うんだけど、いいかしら?不安なら宿に移すけど?」

「例の収納貝?」

 

「空島で追加でいくつか手に入れたのよ。あれなら安心でしょ?そうだ、ゾロも連れてきたんだった」

 私はポーチから小さな箱を取り出した。中にゾロが寝ている。摘み上げて下に下ろして、元の大きさに戻す。

 

「う~ん、なんだルフィとナミじゃねェか!!」

「呆れた…あんたずっと寝てたの?」

 そこに、チョッパーが合流した。

 

「チョッパー、お前よくここがわかったな」

「におい」

 

「ああ」

「おい、そうだサンジは?」

 

 チョッパーがサンジと一緒にロビンに合ったらしい。そしてロビンに言われたことを私たちに伝えた。

 

「本当に言ったのか!!?ロビンがそんな事!!!」

「………」

 無言のままチョッパーが頷く。

 

「………」

「………」

 

「全員……覚悟はあったハズだ……」

「「!?」」

 ゾロの言葉に私以外の3人が驚く!

 

「かりにも…”敵”として現れたロビンを船に乗せた - それが急に恐くなって逃げ出したんじゃ締まらねェ」

「………」

 

「落とし前つける時が来たんじゃねェのか?…あの女は、”敵”か”仲間”か…」

「……」

 

「イオリ!おめェは何も言うな!!今回はおれ達の”覚悟”が試されてんだ!!」

「わかったわ。とりあえず私の意見は置いといて…。まずは、状況と事実を整理しましょうか!」

 

 

 

 

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