イムの娘(いむのこ)   作:槙 秀人

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05-167話:アクア・ラグナ

 当然だけど、あっさりとルフィは見つかった。ゾロのほうは、まだ手間取ってるみたい。

 

「ルフィ!!そんなところで何やってんのよ!!」

 

「!イ…ニョリ!?うひろにいんのか!!?むにっ!!く!!いやーおい聞いてくれよしかし-!!あのハトの奴に飛ばされてよ-そのまま飛んでコレがうめ-コトここに…!!」

 

「…ハァ…。なんであんたはまた(・・)挟まってんのよ!屋敷に飛び込むときだって挟まってたじゃんよ!!」

 

「なにっ!!お前、知ってたのか!?」

「当たり前じゃない!!ほんとに、フザけんのもいいかげんにしなさいよ!!!あんたがグズグズしてる間に、ロビンは連れて行かれちゃうわよ!!

「!!」

 

「ロビンは、私たちの為に死ぬつもりなのよ!!?

「!!?」

 

「自分一人犠牲になって、私たちを政府の攻撃から守ってくれたの!!」

「……」

 

「このまま放っておけば間違いなく殺される!それがわかってるのに!!!」

「じゃあやっぱり、ロビンは…ウソついてたのか…!!

 

「…そうよ…」

「よかった…!!!」

 

「どうするの?ルフィ!?」

「決まってんだろ!!安心しろ…!!絶対ロビンは死なせねェ…!!!

 

「…手を伸ばして!小さくするわ!!」

「おう!!」

 ルフィが伸ばした手を取り体を小さくする。

 

「おっ、抜けた!!」

「解除!」

 

「イオリ!!ロビンは!?」

「言ったでしょ?海列車の特別便に乗るだろうって…。さっき汽笛が聞こえたから、恐らくもう出たんじゃない?」

 

「ダメじゃねェか!!お前、なんで落ち着いてんだ!!」

「あのねぇ…」

 …建物に挟まってた奴に言われたか無いんですけど???

 

「とりあえず、ゾロも救出するわよ!!」

 小さくしたルフィを持って月歩でゾロのところまで移動する。

 

「ん!?誰か来たのか?」

「イオリ!!」

 

「あんた達は揃いも揃って…まったくもー!!」

 ゾロを煙突から取り出すと、ルフィが笑い転げていた。

 

「人の事を笑える立場かァ!!」

 覇気を込めた拳で頭を叩く。言っとくけど思いっきりじゃないわよ?

 

「イッテェ!!おまえ今、覇気使ったろ!!」

 ルフィが怒ってるけど気にしない。少しくらい痛い思いをするのは当然だ。

 

「おめェに助けてもらわなくても、別に自分で出られたぞおれは…」

「鬼徹で建物壊そうとしてたでしょ?むやみやたらと街を壊すんじゃない!!」

 

「!!?なんでわかった…」

「見てればわかります!それより高台まで避難するわよ!!そろそろ高波が来るわ!!」

 

 みんなが避難を終えた頃に、ナミとパウリ―さんが合流した。

 

「イオリ!!」

 

「海列車には間に合わなかったみたいね?」

「ええ、でもその海列車にサンジ君が乗込んでたの!!」

 ナミがサンジの手紙を見せてくれた。少しだけズッコケながら余計な部分を飛ばして手紙を読んだ。

 

「…電伝虫は?」

「ここに!!」

 とナミが胸の間を指差した。

 

「大変だァ~~!!!海を見ろォ!!!」

「おい、どうした!!」

「あ!パウリ―さん!!見てください!!!潮の引き方が尋常じゃないんです!!!」

 

「…引いた水が多ければ多い程、直帰ってくる波もデカくなる。潮の引き方を見りゃあ…、高潮の規模が知れる…」

 

「とぶー」

 チムニーとゴンベが飛ばされそうになっていた…

 

「さて、今年はどれ程水位が下がるかと思えば…見なァ、チムニー、海が…まるで干上がっちまったようら…んががががが」

「わお、スッゴ~~イ!!」

「過去うん十年…あたしでもこんな光景見た事ないよ」

 

「……ここまで、潮が引くもんなのか……!!?」

「……」

「…こんなの初めて見た……!!!」

「海の音が…止んだ…」

「どれだけでけェ波が来るってんだよ…!!!裏町は完全にのまれるな……!!! 裏町には誰もいねェだろうな!!?いたら即死だぞ!!!」

 

「あっ、ココロさんだ!!」

「えっ!?ほんとだ!!ココロさん!!」

「おや、おめェは海賊娘」

「わー!!海賊のねーちゃん!!ねぇ見て!!すっごい大きな波!!」

 

「なにあれ」

 アクアラグナが町を襲う…

 

「……」

「…なんて波だ…!!!」

「考えられねェ…ここは造船島だぞ…!!!」

「ここにいてもヤバそうだ……!!」

「潮がまた引いてく!!」

「当然だ、まだまだ続くぞ!!第2波、3波と…!!今みてェなのが!!おれ達も内陸へ避難しよう」

 

「びっくりした。あれがアクア・ラグナ……!!あんた達、町の中に居たんでしょ?イオリが居なかったらと思うとゾッとするわ…!!」

 

「…これが毎年来てたらこの島はとっくに無くなってるよ。今年のは特別だ…!!!」

「おめェらも大変な年に来ちまったもんだね」

 

「あ!怪獣のばーさん!!この島にいたのか!」

「当たり前ら!あんな海の真ん中にいたら溺れて死んじまうわね、んががががが!!」

「海賊にーちゃんだ!!」

 

「そうだナミ!!サンジとウ…サンジは!?」

「そうね、話すことが色々あるわ。ゾロも聞いて!!」

「!」

 

 ナミが事の顛末を話した。

 

「考える事は何もねェじゃねェか!!すぐ船出して追いかけよう!!!」

「 - それ以外ねェな」

 

「…その船が…私たちには無いのよ…」

 

「おい!ロープのやつ、船貸してくれよ!!いや、船より”海列車”はもう出ねェのか!?」

「!」

 

「…”海列車”ってのはこの世にパッフィング・トム1台きりだ。かつていた伝説の船大工チームが力を合わせてこそ完成したあれは奇跡の船なんだ」

「……」

 パウリ―さんが教えてくれた。その言葉を聞きながらココロさんは酒瓶を煽っていた。

 

「じゃ船貸してくれ、この町で一番速ェ船!!」

「いい加減にしろてめェら!!!たった今海で何を見た!!?」

 

「そうだぞ今海に出られるわけねェだろ!!」

「バカか!!!」

 

「例年来るアクア・ラグナでさえそれを越えた船はいねェんだ。崩壊する裏町を見たろう?今までのアクア・ラグナじゃビクともしなかった頑丈な町だ。今船を出せば最大のガレオンで挑んでも一発で粉々にされるだろうな。死ぬとわかって船を出させるわけにはいかねェ!!!」

 

「……」

 

「朝まで待て。嵐が過ぎたら船くらい貸してやる。おいお前らも避難所にでも行ってろ。もう人探しは終ったんだ。」

 

- もし、朝まで待ったとして、私達の目的は果されるの!?

「!」

 

「エニエス・ロビーって私…知ってるわ。政府の島だと聞いて思い出したの…」

「……」

 

そこは”正義の門”がある場所じゃないの!?

「……」

 

「?」

「何だそりゃァ」

 

「政府所有の”司法の島”エニエス・ロビー そこにあるのは名ばかりの裁判所…!!!エニエス・ロビーへ連行される事そのものが罪人の証とされ、罪人はただその誰もいない裁判所を素通りしてやがて冷たく巨大な鋼鉄の扉に辿り着く。それは『正義の門』と呼ばれ、罪ある者がくぐればもう二度と日の光を見ることはできない絶望の扉。なぜならその先にある港から海に出て到達できる場所は二つしかないから。一つは世界中の”正義の戦力”の最高峰『海軍本部』。もう一つは拷問室と死刑台が立ち並び世界中で暴れまわっていた凶悪な囚人達が幽閉される深海の大監獄『インペルダウン』。エニエス・ロビーは罪人に何の慈悲も与えず、ただそこへ送り込むだけの形だけの裁判機関!! そうでしょう!?」

「……」

 

「賞金首のロビンにとってはどこへ運ばれようとその先は地獄よ!!!こうしてる今もロビンは刻々と”正義の門”へ近づいて行ってるのに!!!朝までなんて待てるわけないじゃないっ!!!!

 

「 - そこまでわかってんなら一つ教えとくが…例えば海が今、平穏でお前らが船を出せたとしても、そこへ行くべきじゃねェ。お前ら自身、海賊だって事を忘れるな。エニエス・ロビーは『世界政府』の中枢につながる玄関だ。当然それに相当する戦線が敷いてある。 - どんな海賊もあの島へ連行された仲間を取り返そうなんて考えねェ…どうなるかわかるからだ……お前ら『世界政府』の中枢にケンカでも売る気か!!!

 

「そうだぞお前ら!!もうやめとけ!!アクア・ラグナで朝まで船は出せねェ。」

「追いかけても殺されちまう!!お前らこそ助かる可能性0だぞ!!!

 

「ルフィ」

 一歩進み出たルフィにナミが声をかける。

 

「じゃあ船は、奪っていく!!!おれ達は今、海へ出る!!!」

 ルフィの怒りと共に大波が押し寄せた。

 

「!!?」

 

「な……」

「や…やる気かあんにゃろ!!」

「あーびっくりした…」

 

「波まで怒った…」

 

「仲間が待ってんだ!!!邪魔すんなァ!!!」

 

「他の海賊がどう考えるかなんて関係ないわ!私たちは仲間を助け出すだけよ!もしそれが、あんたの言うように『世界政府』にケンカを売る事になるっていうのなら、迷わずケンカを売ってやるわ!!

「…」

 

「船が出せないっていうのなら、走ってでも追いかけてやる!!

「何言ってんのイオリ?いくらあんただって無茶よ!!」

 

「船を奪ったところで、さっきみたいな波が来たら壊されるのがオチなんでしょう?だったら私が死ぬ気でみんなを運んだほうがまだ可能性があるでしょう?その後の戦闘では戦力にならないかも知れないけど、そうなったってかまわない!!

 

「どんな無茶しようってんだ。おめェら、どうあっても止めてやるぞ!!」

「パウリ―さんっ!!」

 

「待ちなおめェらァ!!!」

「!!?」

 

「ココロさん」

「悪ィのはおめェら、麦わらァ!パウリ―の言う通りらバカたれ…」

 

「うるせェな、ばーさんには…」

 

「『関係ねェ』なあァ…まァ聞きな…まったくおめェら放っときゃ死ぬ気らね。いいかい、あのアクア・ラグナを乗り越える船がこの世に存在するとしたら、伝説の男が造った”海列車”だけら…」

 

「だけど、それは今ここにねェからおれ達は船で…」

「死ぬ覚悟があるんなら…ついてきな!出してやるよ”海列車”

 

 

 

 

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