イムの娘(いむのこ)   作:槙 秀人

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05-168話:もう一つの海列車

 《 ゴミ処理場裏レンガ倉庫 》

 

 大きな倉庫の鉄の扉を開く。錆付いているのか、『ギイィ…』と音をたてた。

 

「へー地下かァ!!」

 

「この倉庫も8年は放置されてる。海列車に至っちゃ12年以上手つかずら。もう動かねェかも知れねェな。んががが」

「おい!それじゃ困るぞ!!!」

 

「大丈夫よ。アイスバーグさんが整備してくれてるみたいだから!」

「!!?」

 

「なんらおめェ…覇気でも使えるみてェらな?」

「さすが、よくご存知で!!」

 

「なるほろな…正面の扉が開いてるねェ!」

 

 しばらく進むと線路が見えた。線路の上には列車が乗っている。

 

 

「うおー!!!……!!あった!!!かっこいいぞ-!!!」

 

「………言っとくがまともなモンじゃねェよ!」

「でしょうねェ…。まともなモノが何年もこんなところで眠ってるワケないもの!」

 

「そうさ、こいつの名は『ロケットマン』。とても客など乗せられねェ…”暴走海列車”ら」

”暴走海列車”!?

 

「サメのヘッドは洒落でつけてあんらがね」

「速そ~~~!!!」

「スゴーイ!!」

 

 機関室からアイスバーグさんが出てきた。

 

「ホントだ!!アイスのおっさんだ!!!」

 

「麦わら…よく無事だったな。海賊娘の言った通りだ…。ココロさんが連れてきたのか!」

 

「命はあったようらねアイスバーグ。おめーここれ何してんらい…?」

 

「…ここにいるって事は、あんたと同じ事を考えたのさ。 バカは放っとけねェもんだ」

「んががが」

 

「使え!整備は済んだ。水も石炭も積んで今、蒸気をためてる」

「おっさん!準備しててくれたのか!!」

 

「喜ぶのは生きてられてからにしろ。この『ロケットマン』は『パッフィング・トム』の完成以前の”失敗作”だ。どう調整しても蒸気機関がスピードを抑えられず暴走するんだ。命の保障などできねェ!」

 

ああ!!!ありがとうアイスのおっさん!!!よ-し!!行くぞお前ら乗れ-!!ば-さん、ナミが来たらすぐ出してくれ!!!……ん…おっと」

 

「ルフィ大丈夫か!?さっきから足元ふらふらしてるぞ」

「血を流しすぎたんだろ?」

「あァ、ちょっとうまく力が出ねェ…」

 

「肉でも食えばすぐに治るんだろうけどね?」

 なんか、だんだんデタラメな体になってません?

 歯や骨が折れても牛乳飲めば治るっていうのもどうなのさ?

 はっ!!もしかして……!!?

 

「イオリ!!お前、なんか食い物もってねェか?」

 

「ない事も…ないけど……」

「くれっ!!」

 

「非常食程度じゃ、今のあんたの胃袋には追いつかないわ!ちょっと待ってなさいよ!!」

「「??」」

 

 

 ナミが大きな荷物を持ったおじさん2人と一緒にやって来た。

 

「ごめん、遅くなった!!」

 

「ナミ!!おい何やってんだお前!!早く乗れバカヤロー!!!」

 ルフィ、あんた…何を文句言ってんのかな?

 せっかくナミがあんたの望むモノを集めて来てくれたのに…

 

「わっすごい。これも”海列車”!!?」

「…いやあ、こんな所にもう一隻あったとはおどろいた!」

 

「どこ行ってたんだ!!時間がねェっつったの誰だよ!!」

「よいしょ!」

「その荷物なんだよ!?」

 

「肉とお酒」

「「!!?」」

 ルフィとゾロがビックリしてる。だからさっき、ちょっと待てって言ったのよ?

 

「「文句言ってごめんなさい!!!」」

 謝りながらも食べ始めるルフィ。ゾロも瓶を抱えて笑ってる。

 

「水路から海へ飛び出して、線路さえつかめれば一旦は成功だが…」

「大丈夫ら。操縦ならアタシの方がベテランらよ。おめェはここれゆっくり体、休めてな」

「面目ねェ…」

「チムニー達がその辺れ遊んでるハズらから世話頼んどくよ!」

 

「麦わらァ~!!!」

「!」

 

「「フランキー一家!」」

 

「あいつら…」

「この忙しい時に…」

 

「……!!頼む!!!おれ達も連れてってくれェ!!!!エニエス・ロビーへ行くってガレーラの奴らに聞いた!!!アニキが政府に連行されちまったんだ!!!追いかけてェけど、アクア・ラグナを越えられねェ!!!!」

 

「相手は世界政府らよ」

 

「誰だろうと構うかァ!!!」

「アニキを取り返すんだ!!!」

「あたしらアニキの為なら命だって惜しくないわいな!!!」

「お願いだよ!」

 

「!」

「……」

 

「冗談じゃないわ!!!あんた達が今まで私達に何をしたかわかってんの!!?」

「!!」

 

「恥をしのんで頼んでる!!アニキを助けてェんだ!!!」

 

 私はチラッとルフィに視線を向ける。 あ~ぁ……ルフィの口角が上がってる。

 仲間を想う心意気なんてモノを見せられて、ルフィが無下にするわけなんてないもの。

 

「乗れ!!!急げ!!!」

「!!!?」

 だよね~…

 

「……!!!麦わらァ……!!!」

「ウウ…」

 

「ちょっとルフィ!!!」

 ナミが怒って詰め寄るけれど、ルフィは笑ってその怒りを逸らした。

 

「ま、いいよ」

 

「すまねェっ!!!恩にきる!!!」

 

「きっと…こういうのが器の大きさなんだろうなァ…」

「どうせこうなるだろうとは思ってたがな…。まぁ、戦力が増えたと思えばいいだろ?」

 ポロっと口から出た、私の言葉にゾロが返して来た。

 

「そうね。最悪、陽動にも使える駒が増えたと思えばいいんだし?」

「おまえなァ…」

 

「ん?」

「…まぁいいが…」

 

「追加3名…あらあら、4名と1匹になったわね。」

「…??」

 

 

「でも、その車両じゃなくていいんだ!!」

「!?」

 

「おれ達ァおめェらに合わせて『キングブル』で海へ飛び出すからよ!!」

「車両の後ろにつかまらせてくれればいいんだ!!!」

「よろしく頼む!!!じゃ、後で!!!」

 

「………んがががが、ほいじゃ行こうか」

 ココロさんが列車を出発させる。

 

さァ海賊共!ふり落とされんじゃらいよ!!!ウォーターセブン発エニエス・ロビー行き!”暴走海列車”『ロケットマン』!!」

 

よし!!!出航!!!行くぞォ!!!全部奪い返しに!!!!

 

 

「水路を出るよ!!!『ロケットマン』!!!全員覚悟決めなァ-!!!」

「!!!」

「うほ-!!!」

 

「うお-!!!」

「「飛び出た~~~!!!」」

 

「バヒヒ-ン!!バルル…」

「よォし”海列車”が出てきた!!」

「こっちも出撃だ野郎共ォ~~~っ!!!」

「ウオオオオオ~ッ!!!」

 

「飛べ-っ!!!ソドム!!!ゴモラァ~~!!!」

「バヒィ~~ン!!」

「オオオオ…」

 

「何だありゃ!!?何か飛んできた~~~!!!」

 

「バヒヒ~~ン!!」

「バルルルァ~~~!!!」

 

「麦わらさーん!!!フランキー一家総勢50名!!お世話になりま~~す!!!」

 

「うは-!!でっけーヤガラブルだァ!!!」

「キングブルさ!!荒波も走る最上ランクの”ブル”ら!」

 

「そういえば、あいつらどうやってついてくる気?まさか、あの鉤爪つけた丸太で…?」

「「!!?」」

 

「連結砲、撃て-!!!」

 

 ー ドドウン!! -

 

 

「やっぱりか!!」

 

「うわあ-っ!!」

 

 ー ドゴオォン!! -

 

「畜生あのヤロー共…!!!」

 

「よろしく!!!」

 

 ー ガッシーン!! -

 

「無茶すな-!!!」

 

「さて線路は…だいぶ波に流されてるね。らが開発から”海列車”を見てきたアタシをナメんじゃらいよ!!あそこらね…!!」

 

 

『運転室より緊急連絡!!これから線路をつかむと急激に速度が上がるよ!!軽傷で済むようにしっかりしがみついてな!!!』

 

「とりあえずケガはするんだ…」

 

「このスピードだったら、客を乗せても問題ないもんね…きっと、もの凄い加速なんじゃない?『ロケット』って言うくらいだもんね!」

「!!?」

 

「行くよ-!!!」

「もう少し!!ばーちゃんもう少し右~~!!」

「ニャーニャー」

 

「!?チムニー!!!ゴンベ!!おめーらついてきてたのかい!!?」

「きてた-!!アハハハ」

「ニャーニャー!!」

 

「何てこった早く中へ入んなァ!!!吹き飛んじまうよ!!!」

「?」

 次の瞬間、車輪が線路を掴んだ

 

「来るぞっ!!」

「お!?」

「お!!おお……!!」

「!!?」

「うおああああ~~~っ!!!」

「うおっ!!」

「キャー!!」

 

 ルフィとチムニー、ゴンベが飛ばされたので念動力で回収した。

 車両の中で、ゾロとナミ、そして荷物が飛ばされたので、こちらも念動力で受け止める。

 

「バヒヒィ~ン!!!」

「ウォ!!こりゃ外にはいられねェ!!!」

 

「ハァ あ-…」

「いたたたた…」

「ものすげー加速だ…」

「んがが!!加速でなく暴走らよ」

「いやいやびびった!!」

「腰うった…」

「……!!!」

 

「あそこは特等席じゃねェな…吹っ飛ぶかと思ったぞ」

「なに言ってんのよ!!あんたは実際吹っ飛んでたでしょうがっ!!まったく…余計な体力使わせるんじゃないっての!!」

 

「ちょっと待て!この車両におかしな奴らがいるぞ」

 

「「おいそりゃ誰だ」」

「お前らだよ!!!」

「おめェもだろ!!!」

 ルル&タイルストン、パウリ-、ゾロが順に叫ぶ

 

「 - お前らの仲間を連れ去った”敵”は、アイスバーグさんの命を狙った”犯人”でもあるんだ!! どうせお前ら止めても止まらねェんなら…おれも参戦する!!あくまでもガレーラとは関係ねェ!おれの単独行動としてな…!!!」

 

「がはははパウリ-!!!おれ達はお前にくっついて来りゃあアイスバーグさんの”敵”に会えるとふんで、一緒に炭水車に隠れてたんだ!!!」

「…案の定…そういう事らしいな…この戦い、おれ達も加えて貰うぞ」

 

「さらに - その”敵”ってのは当然、フランキーのアニキを連れ去った奴らでもある……!!!」

「そうだわいな!!あたしらそいつが誰なのかもはっきりと知ってるんだわいな!!」

「やいガレーラ!!あんたたちアニキに何かあったらどう責任取るんだわいな!!!」

「黙れ!!一番辛いのはアイスバーグさんだ!!!」

 

 この喧騒の中、ルフィはKYよろしく肉にカブリついてる。ゾロは酒飲んでるし。まぁ私も飲み食いしてるから人の事言えないんだけどね?

 

「パウリ-!!おれ達にまず説明しろ!!!」

「知ってんだろ…真犯人。お前の口から言ってみな。おれ達もそうそうニブくねェ…おおかたの見当はついてる。別に…驚きゃしねェよ…」

「……!!」

 

「…まァ、急に意味なく姿を消せば察しもつくか…じゃあはっきり言う。仮面の奴らの正体は…ルッチ・カク・カリファ…それに酒場のブルーノ。 - あの4人が政府の諜報部員だったんだ… あいつらがアイスバーグさんを殺そうとした…!!!」

 

「……」

 

「…ものすっごく驚いてますけど?」

 

「想像だにしてなかったのか!!!一体誰だと思ってたんだよ!!!」

 

「裏町の『マイケル』と『ホイケル』?」

「そうそう」

「誰だよ!!!」

 

「じゃあ、ま-……!!フランキー一家とも、ガレーラの船大工とも、町じゃゴタゴタあったけど、この先はここにいる全員の”敵”は同じだ!!これから戦う中で一番強ェのは、あの”ハトの奴”だ!!あいつは必ずおれがぶっ飛ばす!!!

 

「 - そうだな。この戦いは奪られたモンをあの4人から奪い返す戦いだ。あいつらへ到達しなきゃ何も終らねェ」

 

 あ~ね~…

 CP9には、もう一人強いのがいるのよねェ~…

 たぶん、ルッチより強いのが…

 

 まぁいっか!

 もしも相手が一人増えるとしても、こっちも一人増えてるんだから!!

 ルフィがルッチを標的にしてるなら、私が闘ってもいいじゃんね?

 

 

 

 

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