イムの娘(いむのこ)   作:槙 秀人

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05-172話:『ギア』

「バルルルルァ~~~~~~!!!」

「バヒヒヒ~~~~ン!!!」

 

「うわああああああ!!!」

 キングブルの二匹が海兵達を吹き飛ばしながら並んで走る。フランキー一家はブルの上から援護射撃を続けてる。

 

「撃ちまくれェ!!!」

「おらおらァ~~~~~!!!」

 ソドムはサンジが手綱を握り、その他のメンバーはよじ登ってくる海兵達を落とすのに必死だ。

 ゾロは大砲の弾を逸したり弾き返したりする担当。私は全体のフォーローという感じ。

 

「快調だ。コイツは心強い!!ルフィのトコまで頼むぞ!!キングブル!!」

 

「!!」

 

「何よ!イオリ!!また何かあったの?」

「たぶん、ロビンの気配を見つけたと思うんだけど…。」

 海列車から降りる時だと思うけど、ロビンは海楼石の手錠をつけられた。その時の気配の変化を確認したので、ロビンの気配をとらえる事が出来るようになった。

 

「「えっ!!?」」

「海楼石をつけられてるわ。」

「カイロウセキ!?」

 チョッパーが聞いてきた。

 

「能力者の力を無効にする石よ!あんた達が海に落ちるのと同じ効力があるらしいわ。」

 ナミが説明してくれた。

 

「海軍には手錠もあるからね。それと…」

 

「なんだ、まだなんかあんのか!?」

「CP9は4人じゃないわ!大きな気配が4つ…加わってる!!」

 正確に言えば島の近くにもう一つ、大きな気配があるけどね?ムダに不安を与える必要はないので、それは黙っておく。

 

「「!!?」」

 

「全部で8人か…」

 

「そのうちの一つが今、ルフィと対峙してる。これは例の4人のウチの一人…。一番体がでかいヤツ!確かブルーノだったっけ?」

 

「ルフィは、あいつの能力知ってんのか?」

「たぶん…知らないと思うわよ?」

 

「あいつは”空気開扉(エアドア)”って技を使うんだ。どこから現れるかわからねェ!!」

「なるほど!たぶんそれね!!一瞬でありえない距離を移動するのは…。」

 

「大丈夫かしら…」

「なんか、試したい技があるとか言ってなかったっけ?」

 ちょっとウズウズして来たわね。何をするかは知ってるけど…

 

「…しょうがないわね!いいわよ?イオリ!先に行って!!」

「えっ!?」

 

「ルフィが何をするのか見たいんでしょ?アイツは大将戦を控えてるんだから、フォローしてあげて!私じゃムリだから!!

「?……わかったわ…!じゃあ、先に行くね!!」

 

「ああ…」

 

「すぐに追いつくぞ!!」

「イオリちゃん、気をつけて!!」

 

 

 私が剃刀でルフィのもとへと辿り着いたのは、ちょうどルフィがブルーノをぶっ飛ばしたところだった。

 

「世界がどうとか政府がなんだとか!!そんなもん勝手にやってろ!!おれ達はロビンを奪い返しに来ただけだ!!!

「その通り!」

 

「「!!?」」

 私が言うと、その場に居た二人が驚いて私の方を向いた。

 

「なんだイオリ!やっと追いついたのか。あれ、ゾロ達は?」

「ルフィが何するのか見てみたくてね!私だけ先に来たのよ!!」

「そうか、よし!じゃあ見てろ!!」

 

「…(くれない)か……」

 

「安心なさい!二人で戦うつもりなんてないから!」

「あたりまえだ!!」

 

「…月歩!!」

 ルフィとブルーノの戦闘が再開した。

 

 やっぱり、ルフィは実践で伸びるタイプね!…いつのまにか剃を完璧に使いこなしてる。

 

「ダメだ」

「!?」

 

「……おれはこんなんじゃ、ダメだ…

「!?」

 

「…青キジに負けた時、おれは思ったんだ…この先の海にまたこんなに強ェ奴が現れるんなら、おれはもっと強くならなくちゃ、仲間を守れねェ…!!

「……」

 

「…おれには強くなんかなくたって一緒にいて欲しい仲間がいるから……!!おれが誰よりも強くならなきゃ、そいつらをみんな失っちまう!!!」

 

「…」

 考える事が似てるわね…。私が世界最強を目指したのは死にたくないからだったけど、際限なく強くなろうとしてるのは、どこかの漫画の主人公みたいな事(・・・・・)を考えているからだもの…。

 

 

「では…どうする?」

 

「力いっぱい戦う方法を考えた…誰も失わねェ様に……!!」

 ルフィが足をポンプのように押し込んだ。

 

 - ギュポン… -

 

 聞きなれない音がする…

 

「誰も遠くへ行かねェ様に…」

 

 - ドクン…!! -

 

 ルフィの心拍数がはね上がった…。同時にルフィの体から蒸気があがる。

 ブルーノは困惑顔だ。

 

「お前はもう…おれについて来れねェぞ…」

「何!?」

 

「おれの技はみんな…一段階進化する。『ギア(セカンド)

 

「ギア?技が進化する…?」

 

 確かにね…。ルフィの気配の強さが倍以上に跳ね上がった。

 でもルフィ…それは……

 

「体から蒸気を噴いて…蒸気機関のマネ事でもしているのか ― 何のハッタリだ」

 

「おれは、お前らとここで会ってよかった」

「?」

 

「ゴムゴムの……」

「…狙い撃ちする気か…避けるスキを与えるだけだ…。フン!よく狙って当ててみろ…!!『剃』

 

”JET銃”!!!(ジェット・ピストル)

「!!!?」

 

 剃で移動した瞬間、ルフィの拳がブルーノを捉えた。威力も凄まじい。

 

「……!!!」

 ブルーノは吹き飛ばされて壁に激突した。

 

「…く!!…!!?」

 キョロキョロと周りを見回すブルーノ…。どうやらルフィを見失ったらしい。

 

「!!」

 私の視線の先を見たブルーノが、ルフィの拳に弾かれる。

 

「オウ!!?ガハ…!!!」

 

「スタンプ!!!」

「!!!」

 

「”空気開扉”!!!」

「消えた……」

 ブルーノは、たまらず異空間に逃げ込んだ。

 

 あら…?異空間に入られたら、気配も感じられない?

 いや…微かになら感じ取れるか?

 

 …やっぱり、もっと鍛えないとダメね!!

 

「ドアドア…!!?」

 ルフィは虚空から現れてつかもうとするブルーノの手を難なく躱した。

 

「もともと”剃”は使えてたけど、使いこなせてなかったんだ。お前のを見てコツがわかった!!」

「なによそれ!まるで、私の教え方が悪いみたいじゃん!!」

 

「おめェのは、速すぎてよくわかんねぇんだもん。こいつのを見てコツがわかったんだ!!」

「…あっそ……」

 そういう事ね。サンジに教える時には気を付けるとしよう。

 

「…おれが…遅いというのか!?」

「「そうだよ!!」」

 剃にしたって、ルフィの方が速かったじゃんよ!!

 

「…」

 

「ゴムゴムの…」

 

「!!鉄塊、『剛』!!」

「”JETバズーカ”!!!」

「!!!!」

 ブルーノが踏ん張った。そしてルフィを睨んでいる。

 

「…ホンットに頑丈な奴だな…!ほんじゃあもっと面白ェもん見せてやるよ。見てろ…『ギア』…」

「終わってるわよ!」

「え!?」

 ドサァ… 音を立ててブルーノが倒れた。

 

「……ハァ、ハァ……!!すげえ疲れた…。やっぱまだ体がついていかねェなあ…」

「あたりまえよ!あんな無茶苦茶な事して!!」

 

「いいんだよ!!ところでお前、さっきおれの事目で追えてたよな?」

「ん?まぁそうね…」

 

「まだまだって事か…」

「ギアなんか使わずに、さっきのスピードくらい出せるようにならないとダメね。」

「ちぇ~っ!でもそうか!!まだまだ強くなれるって考えればいいんだ!!」

 ポジティブだねぇ~…

 

「そうね。あんたの家系は鍛えれば鍛えるだけ強くなれると思うから、頑張んなさい!」

「そうなのか!?」

「ガープを見てたらわかるでしょ?」

「えっ!!じいちゃん!!?」

 なんでそんなに驚くかな?あんた、ほんとにトラウマになってんじゃないの?

 本気で心配してるのよねェ~。幼少期に私が鍛えちゃったから、ガープのシゴキの強度は原作よりも高かったと思うわけ。実はそれってヤバくね?

 あっ、思い出しちゃったわよ。この後のイベント…

 

「イオリ?」

 

 頭を抱える私を見て、心配そうにルフィが覗き込む。

 

「…ごめん、ちょっとイヤなこと思い出してたわ…。今はそれどころじゃないもんね。」

「ああ、だいぶ邪魔されちまった」

 

 ルフィが大きく息を吸い込む…

 

「ロ~~~ビ~~~ン~~~!!!迎えに来たぞォ~~~!!!!ロ~~~~~ビ~~~~~ン~~~~~!!!!」

 

  ― ぐぎゅるるるるるる…!! ―

 

「…ものすごい腹の虫ね…」

「…!!…だいぶ暴れたからなァ……ハァ…ハラへった…」

 ルフィが何かに気づいたように、ポケットに手を入れる。貝を出すらしい

 

「こんな時の為の…」

「自分で持ってきたのは取っておきなさい!まだこの先必要になるかもしれないから…」

 

「ん?イオリも弁当持ってきたのか?」

「…弁当ってわけじゃないけどね。はい!!」

 私はルフィが持ってきたのと同じものを渡した。そう。大きな骨付き肉2個である!!

 

「お~~~!!べ~~~んと~~~~~!!!」

 口いっぱい肉を頬張るルフィ…

 

「…いほひはいっほひひてふへへほはっは!!(イオリが一緒にいてくれてよかった!!)」

 

「口にモノを入れたままて喋らない!って何度言ったらわかるのかな?」

「はっへほー(だってよー)」

 だから、喋んじゃねェって言ってんの!!

 

「うめェうめェ。おし!!元気復活だ!!おめェは食わなくていいのか?」

 

「私はまだ平気よ!」

「そうか!」

 

 ルフィがまた、大きく息を吸い込んだ

 

「ううおおおおォ~~~~~~!!!」

 

 

 

 

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