イムの娘(いむのこ)   作:槙 秀人

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05-174話:反逆のゾフィー

「!!!?」

「………!!!」

 スパンダムが驚愕の表情で燃える旗を見つめている。

 

「……まさか」

 ロビンも驚いてるみたい。そりゃそうよね?

 世界政府に従わないヤツはたくさんいるだろうけど、こうやって敵対の意思をハッキリ示すヤツなんて、今まで誰もいなかっただろうから。そんなヤツ…私だって知らんもん…

 

「あいつら…やりやがった…!!」

 

「旗への攻撃の意味がわかってんのか……!!?」

 

「やりやがったァ~~~~!!!!」

 

「海賊達が…!!!『世界政府』に!!!宣戦布告しやがったァ~~~!!!!

 

正気か貴様らァ!!!全世界を敵に回して生きてられると思うなよォ!!!!」

 

「望むところだァ―っ!!!!」

 ルフィが吠えた。

 

 私もW7で言った。

 ロビンを助けることが世界政府にケンカを売ることになるというのなら『迷わずケンカを売ってやる』と…

 

「ロビン!!!」

「!!」

 

「まだお前の口から聞いてねェ」

「……!?」

 

『生きたい』と…言えェ!!!!

 ルフィが叫ぶ。この声は間違いなくロビンの心に響いたろう!!

 

 きっと…

 オハラを出てからこれまで…

 彼女に生きる希望を与えてくれた人は誰も居ないのだろう。

 彼女自身…

 生きる事を望んではいけない事だと思ってしまっていたに違いない。

 でも、それは違う!ルフィが叫んだのはそういう事だ!!

 

「…………ロビン!」

「ロビンっ!!!」

 

 ロビンの目に涙が溜まり、それが次第に溢れ出す…

 

「……生ぎたいっ!!!!…私も一緒に海へ連れてって!!!」

 

 ルフィが『にっ』っと笑った。

 

 ロビンの『心』は取り戻した。あとは、その『身』を助け出すだけだ!!

 

 

「長官…!こんな時ですまないが、おれは今日…休暇をもらう事にする!!

あぁ?何言ってんだ、おまえバカか!?敵が目の前にいるんだぞ!!」

 

権利は権利だ!じゃあ、おれは帰るぜ!!ルッチ、あとはよろしくな!!」

 

「まったく…。5年経っても相変わらず身勝手な奴だ。理由は、あれか?」

 ルッチがくれないのほうを顎でしゃくる。

 

「…まあな!」

 ルッチとジャブラには、(くれない)が自分の恩人の知人だという事だけは言ってある。その強さについては触れていないが…。

 

「ふざけんな!!おまえクビにするぞ!!」

好きにしろ!おれはお前の親父に嵌められて、一度インペルダウンに収容された。だからと言っておまえを恨むつもりはないが、おれを救ってくれた恩人の知人と事をかまえるくらいなら、クビになるほうがまだましだ!!

 

「さっさと帰れ!ただし…後で一杯おごれよ?」

「了解だ!」

 

おまえら勝手に決めんじゃねぇよ!!おれはお前らの上司だぞ!!

 スパンダムの事は軽く無視して、ゾフィーはその場を後にする。

 

 

 今回、おれが下りるのには2つ理由がある。一つは先に言った通りだが、もう一つは…

 

 この件は、相手に彼女が居る時点でこちらの負けは決定した。要するに負け戦である。しかも戦の理由がこのバカの出世の為だというのだからアホらしくてやってられん。

 ※カノン情報です。5年に渡る4人の潜入捜査の理由をゾフィーは知り、スパンダムを心底嫌いになっています。

 

 我らCP9が全員で挑んだとて、1人にすら勝てないであろうCP0のエージェント。

 それを5人相手取って軽くあしらうカノン様。

 そのカノン様が楽しそうに戦っていた相手が今、そこに居るのだ。勝てると思うほうがどうかしている。

 

 これまでの彼らの記録を見ても、彼女が戦闘に参加したという情報はほとんど無い。おそらくここでも彼女が本気を出して戦う事など無いだろう。一味が危機に陥らなければ…という前提ではあるが…。

 たとえこのバカの持つバスターコールの権限と司法の塔の全戦力を投入したとて、彼女一人を止める事すら出来ないだろう。

 むしろ彼女を怒らせてしまわないかのほうが心配である。

 まぁそれはこのバカ次第か…。

 

 そうなった時、ルッチ達が巻き添えをくわない事を願うばかりだ。

 

 となると…

 次の海賊王になるのは『麦わらのルフィ』一択ではないか?

 まぁ、それは今考える事ではないし、別にどうでもいい事だ。

 

 

 

 

 あれあれ?ゾフィーが去っていく?

 残った奴らの思考を読んでみると、どうやら休暇を取ったらしい。

 

 えっ!?マジで?

 このタイミングでそんなんアリ!?

 

 しかも、その理由が私みたい…。恩人の知人と事を構える気はないってさ!

 もしかして、あれか?去年。呼ばれた仕合いの時か?

 そう言えば、総監ともう一人居た気がする。…あれがゾフィだったわけか。

 あらまぁ、なんて律儀な子なんでしょう!カノンはお付きに欲しいんじゃない?

 って事は…対戦カードは原作通りって事ね!

 

 実は、私が()らんとあかんかとか思ってたのよね。

 でもそうすると、いろいろ狂っちゃいそうな気がしてて、後の展開を考えて、瞬殺しようか迷ってたのよ!

 でも瞬殺しちゃうとそれはそれ。彼の評価に影響するかもしれないじゃない?

 よかったわァ~!!休暇取ってくれて!!

 そしたらあれね。事が終わった後のルッチ達に関するゴタゴタは、彼にお願いすればいいかもね?

 

 さて…

 

 私は少し下がってナミの後ろまで移動した。

 

「うおーんおめェら好きだーチキショ~~~~!!!」

 

 ― ガゴン!!! ―

 

 足元で大きな音が響き、跳ね橋が動き出した。

 

「!」

 全員の注意が逸れたところで私は自分を1/100サイズまで小さくした。

 

「跳ね橋が下りるぞ!!」

「あいつらうまくいったみてェだな」

「ム…武者ぶるいが…」

「早く下ろせ」

「悪そうな顔…!!」

 

「来るぞあいつら!」

「!」

「ぎゃあああ来んなー!!!」

 

「行くぞ!!!!」

「ロビン!!!!」

「必ず助ける!!!」

 

「ナミ、振り向かないで聞いて頂戴!」

「!!?」

 私はナミの肩に乗って話しかけた

 

「ロビンが戻る気になったから、あとは救出するだけ。私はロビンに張り付いてる事にするわ。正義の門までは絶対行かせないから安心してて!!」

 

「…一人で…大丈夫なの?」

「とりあえず、このまま(小さくなったまま)ロビンにくっついてるわ!それと…」

 私が話し終えると、コクリとナミが頷いた。

 

 さて…あとはロビンの所に行くタイミングね!

 

「ウフフ…威勢がいいわね」

「ぎゃははは政府の旗を恐れねェとは!!」

「ムダじゃ、わしらに敵いやせんわい…!!」

 

「来んなーっ!!!」

 

…おい!!”くれない”はどこに行った?

「「!!?」」

 

 - ズドオォォン!!! -

 

 跳ね橋の根本が砲撃された。

 

「!!?」

「跳ね橋が止まった!!!」

 

 

「スパンダム長官っ!!!司法の塔から避難を!!」

 建物の下から、裁判長(かな?)の声が響く。

 

邪魔しやがって…!!!何だチキショー!!誰だァ―っ!!!

 

「ハァ…ハァ…あ、よ…!!よし!!!よくやった!!!あいつらが渡ってくる前に”正義の門へ…!!!」

「来い!!!ニコ・ロビン!!!」

「あう」

「誰かカティ・フラムを連行しろ!!」

 

「ロビン!!!」

「ロビンちゃん」

 

「フン…!!取るに足らんあんな海賊……!!こっちにゃ暗殺集団CP9がいるんだ!!!兵器復活をもくろんだ学者の島の生き残り『ニコ・ロビン』とその兵器の設計図を受け継いだ『カティ・フラム』この大権力を握るチャンスをみすみす逃してたまるかァ!!!

「……」

 フランキーが立ち上がり、スパンダムの前に立つ。

 

!!?ぬおっ!!!カティ・フラム!!!ん?

 

 フランキーが紙の束をスパンダムの前にかざす。

 

「「?」」

 

それは…お前まさか…!!!古代兵器プルトンの設計図!!?

 

…本物だ!!信じるか?ルッチ…カク…お前らわかるよな?」

 パラパラとページをめくり二人にみせびらかす。

 

「!……」

「まさかとは思うたが…貴様、それを自分の体の中に隠し持っておったのか」

 

「ほ…本物か!?本物なのか!?よこせ!!!そいつをよこせ!!おれの念願の設計図!!!」

 

「ニコ・ロビン」

「?」

 

「お前が世間の噂通り兵器を悪用しようとする『悪魔』じゃねェとわかった。…何もウォーターセブンの船大工が代々受け継いできたものは”兵器の造り方”なんかじゃねェんだ!!!なぁ、スパンダ…」

 

「早くよこせ!!」

 

「トムさんやアイスバーグが命懸けで守ってきたものは、もし…!!古代兵器がお前みてェなバカの手に渡り、暴れだした時、…もう一つ兵器を生み出し、その独走を阻止してくれという”設計者の願い”だ!!!……!!ニコ・ロビンを利用できれば確かに兵器を呼び起こせる!!危険な女だ。だがこいつにはその身を守ってくれる仲間がいる!!!だからおれァ”賭け”をする」

「!?」

 

「おれが今、この状況で”設計者”の想いをくんでやれる方法があるとすりゃあ一つだ」

 

「ぐだくだ言ってねェで早く渡せ!!!それはおれのもんだ!!」

 

 ボオオッ!!!

 

 フランキーが口から火を噴いて、設計図を燃やした。

 

「!!?」

 

「あァ!!!」

 

うわああああ~~~~~~っ!!!てめェ!!!何をする―っ!!!ああ。畜生てめェ!殺してやる!!!」

 

「私達の5年間の任務を……」

「……」

 全員の注意が逸れた…! 今だ!!

 

「 剃刀っ!!!」

「……!!?」

「しぃっ!!」

 私はロビンの胸元に忍び込んだ。ビックリするロビンに静かにするよう指示をする。

 

「”抵抗勢力”を造るために残された設計図が、お前ら政府に狙われた…!!本来こんなもんは人知れずある物で、明るみに出た時点で消さなきゃならねェんだ!!! ― だがこれで”兵器”に対抗する力は失くなった!!ニコ・ロビンがこのままお前らの手に落ちれば”絶望”だ!!!そして麦わら達が勝てば!!お前らに残されるもんは何一つねェって事だ!!!おれはあいつらの勝利に賭けた!!!

 

「フザケたマネを…!!てめェも今ここで死にてェらしいな!!!」

 

アニキ―!!!フランキーのアニキー!!」

「!」

 裁判所の建物の中から、フランキー一味が声をあげる。

 

「アニキ助けに来たわいな―!!」

「麦わらさん達と一緒に来たぜ―!!!」

「ソドムもゴモラも頑張ったんだ―!!」

「アニキおれ達と帰りましょう」

「ケガはないですか―!?」

 

「て……てめェら…てめェらコノヤロー誰が助けに来いなんて…来いなんで…だドンダデヨーウ(頼んだんだよ―)!!!!」

「ア~~~ニ~~~キ~~~~~ッ!!!」

 

「バカヤローコノヤロー泣いてねェぞ……」

 

「うるせェお前らァ―っ!!!」

「「いや、鬼かっ!!!」」

 フランキー一家の感動場面にルフィが割り込み、ゾロとサンジがツッコみを入れる。しかし、ルフィは聞いちゃいない。

 

「ロビンが待ってんだ早く橋をかけろ!!!」

「あァそうだなさっさとしろてめェら!!!」

 

「「ですよね~」」

 

「そうよね!!あんたら急ぎなさいよブッ飛ばすわよ!!」

「そんな取りとめのないナミさんも好きだー!!!」

 

「麦わらァ!!!」

「!」

 

「子分達が世話んなった様だな…今度は棟梁のこのフランキー様がスーパーな大戦力となってやる!!!」

勝手にしろォ!!!おれはまだウソップの事、根にもってんだからな!!!」

「…いや、横にいるだろ…」

 

「カティ・フラム!!てめェ…よくも…おれの設計図をォ!!!」

 

 どんっ!!

 

 と背中を押されてフランキーが棟から突き落とされた

 

「!!?え」

 

「うわァーアニキー!!!」

「うおお」

「アニキが滝へ落ちる―っ!!!」

 

「うわっフランキー!!」

 

『おい!!海賊共―っ!!』

 

「え!?ココロさんっ!!?」

 

『全部聞こえてるよ何をグズグズやってんらい!!』

 

「グズグズって…でも橋が半分しか…!!!」

 

『半分かかってりゃ充分ら。あと4秒でそこへ着くよ!!!思いっきり滝へ向かって飛びな!!!」

 

「バーさんか!?どういう事だ!?」

「わかんないっ…!!!滝へ…飛べって…!!!」

 

 - ポッポ~!! -

 

「海列車の音!!?」

 

「いくぞ!!!」

「!!?うわああああああ」

 

 ルフィが腕を広げ全員を巻き込み滝へと飛び込んだ。…よかった…先にこっちに来てて…

 

 そこへロケットマンが突っ込んで来る。斜めにかかった跳ね橋をジャンブ台にして、ロケットマンが飛ぶ!

 

「うわあああああああああ」

 

「き…来やがった~~~~~!!!!来たァア―っ!!!チキショー!!来いてめェ!!」

「あっ…く…!!」

 

「さァお前達を解放するぞ『CP9』!!この司法の塔であいつらをギッタギタにしてしまえ!!!惨殺を許可する!!ルッチ!!お前はおれと来い!!何をおいてもまずおれの命を守れ!!いいな!!」

「…」

 

 そうだった!ルッチが一緒だったんだっけ…

 

「ファンクフリード!!」

「パオーン!!」

「よぉしいい子だ。」

 像が剣になった。これはあれね…Mr4と一緒にいた銃と同じようなものだね?

 

「さァ”正義の門”へ向かうぞ!!!この女を取り返せるもんなら取り返してみろ麦わらァ!!!

「…」

 

 

 

 

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