イムの娘(いむのこ)   作:槙 秀人

19 / 385
クラスター・ジャドウさん、誤字報告ありがとうございます。


-----------------------------
 忍の分身は『カザマ』と言います。(ふたりいます。)
 カザマは風魔。別に風をあやつれるわけではありませんが…

 忍の役目は情報収集・裏取り、情報共有と記録・記憶の同期。
 いろいろです。
 あちこち飛び回っています。






01-17話:連れられてきた子

 ルフィがダダンのところにやってきた。

 

 イオリがフーシャ村で友達が出来たという事を二人に話していたので、既に、サボとエースはルフィの存在を知っている。

 エースはちょっと嫌な顔を見せたが、(ロジャーのクルー)シャンクスについても話している。

 

 ルフィがガープの孫という事で、微妙な顔をしたエースだったが、『素直な奴』『約束は守ろうとする奴』という事は理解した。

 2つ目はなんか引っかかる言い方だな?と思いながらではある。その辺りをイオリに聞くと、どうやら1つ目の『素直な奴』に起因する事らしい。要するにウソが吐けない奴なので、『取扱いには注意が必要』との事だ。

 

 だから、ルフィと初対面の時も唾を吐きかけたりはしなかった。しかし、すぐに仲良くもなれなかった。

 

 

 いつものようにエースはグレイターミナルへと向かう。ルフィが追って来たが、エースは無視していた。仲良くなってはいないがルフィはイオリの友達だ。信用できないやつでもない。なので木をぶつける事も谷底に落とすこともなく、エースはイオリの家に向かった。その足はいつもより早く、だからルフィとの距離はかなり離れていた。別に待ってやる必要もない為、イオリの家に着くころにはルフィの姿は見えなくなっていた。

 

 サボはよく、朝食を食べにイオリの家に来ている。昨日は3人で野牛を2匹狩って、一匹はイオリの家において来た。今日の昼には肉がいっぱいの弁当を用意してくれることになっている。少し気分も上がり、エースは家の前で二人を呼んだ。

 

「サボ、イオリ!グレイターミナルへ行こうぜ!!」

「遅かったなエース」

 サボが家から出て来た。イオリが出てくる頃にはルフィが追いついていた。

 

「あ、お前、イオリじゃねェか!」

 

「なんだそいつ?」

「もう追い付きやがった。」

 サボがつぶやき、エースがぼやく。

 

「あれ?なんでルフィがここにいるの?」

 ルフィを認め、私は問いかけた。

 

「昨日、ジジイがダダンのところに連れてきやがったんだよ。一緒に暮らせとよ。まったくあのジジイは…」

「こいつが、イオリの言ってたルフィか!」

 二人がルフィの事を言っている。ルフィは私の家を見てるけど?

 

 とりあえず、原作通りになっていない事を願いながら、昨日の事についてエースに聞いてみた。

 

「唾とか吐きかけてないよね?」

「するかよ!おめェの友達なんだろ?」

 3人で話をしていたけれど、ルフィが会話に加わってこない事を不思議に思った。あれ、あの子どこ行った?

 

「うめェ!これうめェ!!」

「「!!?」」

 家に入ると、テーブルの上に置かれた弁当の包みが一つほどかれ、ルフィが勝手に食べていた。鼻が利くというかなんというか…。ルフィってこんなんだっけ?

 

「何してんだおまえ!!」

 二人は弁当を食われた事に怒っているのだと思う。でもまぁ詰めたものはまだ残っているので、あと2つくらい弁当は作れると思う。けれど、私は別の事にショックを受けていた。

 

 一応ね?私の家は土足厳禁です。玄関には段差もあって何足か靴もある。スリッパもあります。床はきれいにしてました。

 勝手に家に入ったところまでは許してやろう。一応友達だしね?

 友達の家を見て喜んで、家に入ってしまった。そういう事ならまだ許容範囲だ。

 だけどさ、勝手に入って、お皿に盛っていたわけでなく、弁当箱に入れて布で包んでいたものをほどいて開けて食べるとか、土の上を歩いて来たそのまま土足で家に上がり込み、床をめちゃくちゃ汚すとか…あり得ねぇだろおめェ!!しかもあちこち歩き回りやがって!ふざけてんじゃねぇぞコラぁ!!

 

「ルフィ、ちょっとこっちへいらっしゃい!」

「「「!!?」」」

 なんで3人揃って顔を青くしてるのさ?別に私、エースとサボには怒ってないわよ?ルフィには怒ってますけど。なんかねェ?不思議と顔には笑みが浮かんじゃうのよ、どうしてかしら?

 

「「い、イオリ?」」

「悪いんだけど、二人はちょっと外で待っててくれる?ルフィと二人で話があるの。」

 後ずさるように、サボとエースが家から出ていく。ルフィは懇願するように二人を見つめた。おいていかないで!!その顔はそう語っていたが声が出ない。

 

「じゃ、ルフィはそこに正座しようか?」

「…」

 

 --*--*--*--*--*--

 

「なぁエース、イオリ…めちゃくちゃ怒ってたよな?」

「微笑んでたけどな…」

「「…」」

 二人共、寒くもないのに震えていた。あの微笑みはダメだ。あの微笑みをイオリにさせてはいけない。目が…笑ってなかった。

 それは、CP0が見る恐怖に似ていた。カノンの笑みはわざと作っているものだけど。

 

《モラハラだ!》

 

 たまたまここを訪れていた分身である忍のカザマは冷静にその光景を見てつぶやいた。

 

 これはあきまへん。後で釘をさしておかないとだめだ…でもまぁこれはルフィも悪いよ。自由奔放も節度をもってしないとね?

 

 ~ ~ ~ ~ ~

 

 ルフィは顔を青くしたまま家から出てきた。聞くとイオリは床を掃除しているらしい。

 

「なんでコイツにやらせねェんだ?」

「さあな。考えたくもねぇ。」

「だな。」

 きっと何か考えがあるに違いない。二人はそう思っていたのだがそうではない。イオリはルフィの事を良く知っているというだけの事。手伝わせたら余計に手間が増えるという事だ。

 

 実はルフィのせいでイオリは超能力を幾度も発動している。それはそれ。訓練にもなっていいかとイオリは思っているのだが、ルフィの取り扱いは、それはそれは大変なのだ。

 

 これはマキノの店でのことではあるが、イオリが手伝いを申し出ると、おれもやるぞとルフィが参戦する事も多い。けれどそれはマキノも丁重にお断りしたいほどの事だった。

 床掃除を頼もうモノなら汚れを広げて手間が増す。食器を洗ってもらおうとするとすべて割る。洗った食器をかたずけてもらおうとしても同じ。料理を運ぶことすらままならず、テーブルの上に乗る事はない。食べるか落とすかどちらかだ。その(たび)にイオリは時間を戻し、ルフィには何もさせないようにして、いつも事なきを得ていたのだった。

 

 掃除が終わり、イオリが出てきた。そしてルフィに

 

「もうすんじゃねぇぞ!」

 とドスを効かせて言うと、ルフィは素直にあやまった。イオリが許すとルフィはいつもの調子に戻った。

 まだ少し震えてはいたけれど…

 

「ひでーよ!なんでおれ一人置いてくんだよ!!」

「悪いのはおめぇだろ!」

 ルフィの言葉をサボはバッサリと切り捨てた。しかし…

 

「…」

 エースは思った。流れ弾にあたりたくなかった。それが嘘偽りない気持ちだった。けれどこいつは3つも年下。それがいきなり”あれ”を食らったんだ。たまらねえだろうなと思った。見ればまだ体が小刻みに震えている。

 こいつ…なんかかわいそうだな。

 

「ルフィだっけ? お前、来る途中ずっと言ってたよな?友達になりてェってよ?」

「えっ!?おまえ、友達になってくれんのか?」

 

「…何だって…そんなに友達になりたがるんだよ!!」

 おや、このセリフ。原作と同じ感じ?

 

「だって他に!頼りがいねぇ!!」

 村にも戻れない、山賊は嫌い。それはルフィの偽らざる気持ちだろう。

 

「お前を追いかけなかったら、おれは1人になる……!」

 1人になるのはなにより辛いというルフィ。

 

 だろうね。原作で自分で言っていたけど、ルフィは一人じゃなんにも出来ないからね。だから人を巻き込む能力が発達したのかも?

 

「つまりお前は…、おれがいれば寂しくないのか?おれがいないと困るのか?お前はおれに…生きてて欲しいのか?」

「当たり前だ!」

 エースの問いかけに何の躊躇もなく答えるルフィ。うん、これも原作通り。エースは、何だかうれしそうな表情をしている。

 何年もつるんできたサボや私でなく、昨日会ったばかりのルフィに言われたからこそ実感できたんだろう。必要とされるというのがどういうことか。

 

 そうなんだよね。慣れてしまうと嬉しいことも当たり前になっちゃって、気づかなかったり実感できなかったりするんだよ。いくら言葉で伝えても伝わらない。あのときエースに伝わったのはきっと、私が初めて泣いたからだ。でなきゃ一時的にとはいえエースを引き上げられなかったと思う。

 

 おそらく、もうエースはルフィを受け入れ始めている。私が画策した通り、間接的ではあるけれどルフィは警戒するような相手でない事を知っていた。そして今、それを理解したのだと思う。

 サボはどうかな?

 

 ルフィとサボは自己紹介しあって、あっさり友達になりました。

 原作とは違って最初からそれなりに友好的だった。サボは元々エースほど警戒心の強いタイプじゃないしね。ルフィの事は私に聞いて知ってたわけだし。

 どちらかと言うと、エースがあっさり友達になったのに驚いた。まぁね、私の時の事を思うとあれなんだけど。でもなんでだろう?気持ち的になにかあったんだろうか?

 

 ~ ~ ~ ~ ~

 

「おれ、ここ(イオリの家)に住みてぇ!!」

 

 結局今日はグレーターミナルに行くのは取りやめ、近くの山で修行を行った。ルフィの体力が無さ過ぎて行って帰ってると遅くなると考えたからだ。

 そして夕飯も終わり、エースが帰るぞとルフィを連れて行こうとしたらこの発言だ。

 それに対して怒ったのはサボとエース。

 

「「ふざけんな!なんでお前がイオリの家に住むんだよ!!」」

「だっておれ、山賊嫌いなんだ!帰りたくねェ!」

 

「ふざけんな!そんな理由でイオリの家に住まわすわけねェだろ!!イオリは女なんだぞ!!」

「?」

「…あっ…」

 私の家なんだけどな?

 

 ルフィの面倒をガープに頼まれても断わっただろうし、(そもそもの話頼まれるはずはないんだけどね?)ダダンが頼まれたのを私が引き受けるつもりもない。

 第一この子をここに置いても私にメリットはゼロ。むしろマイナスしかないので住まわせる気はもちろんないよ?

 でもさ、なんであんた達がそれについて議論してんの?しかもサボはなんか変な事いってるし。あ~、あの本読んでんだっけ。

 

「サボ、何言ってんの?もしかして、私がこの子に襲われるとか?」

「わ、わかんねぇだろ!!」

 お~い、サボ君?君はもしかして私の事を襲おうとか考えた事があるのかい?

 

「なんでおれがイオリを襲うんだ?」

 うん。この子はこういう事、鈍いっていうか、わかんないのよね?そもそも女性の裸体見てもなんにも感じないみたいだし。

 二人はどうなんだろう?

 

 とにもかくにもルフィが無事に仲間に加わったことは喜ばしいことだ。

 

 え?なに?ルフィはちゃんとダダンの所に帰ったかって?もちろん帰ったわよ

 だって私、にっこり微笑んであげたもの!

 

 

 

 ~ おまけ ~

 

 微笑みを浮かべると、

 エースやサボ、それとダダン一家は一瞬顔を青くする。

 

 不思議に思っていろいろ試してみると、それがどういう事かを理解した。

 

 イオリはその事を、さっそくカノンにも伝えるのでした。

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。