軍艦の砲撃は、ためらいの橋以外に対して開始された。
ためらいの橋の上では砲撃の音に驚いた海兵たちが右往左往している。
「おい見ろお前ら!!逃げるんじゃねェ!!ホラこの橋は軍艦も素通りだ。ワハハおれ様がいるからさ!!そうさ親父も言ってた!!『無差別の砲撃もおれだけはさけた』と!!おい見ろお前ら!!ここは安全だ!!おれが『CP9』の長官だからだ!!」
ば~か!誰もおめーの事なんて気にしてねェよ!!青キジがロビンを殺すなって、伝えてるからだっつーの!!!
軍艦の大きさは…全長400mくらいあるんじゃない?
けっこうデカいわね…1/100にしても4mにもなるじゃんよ!ちょっと重そうね…
「…何てイカレた光景だ…ん?オイ…お前…!!」
「ハァ…ハァ…」
砲撃の音が響く…。
ロビンの呼吸が荒くなる…
「おい、イオリ!!なんとかならねぇのか!?」
「トラウマよ…」
今はどうにもならないわ!それをどうにかする為に、私たちはココに来たんだから!!
「…震えが止まらない…!!」
私はそっとロビンの肩に手を置いた。
「大丈夫!何も心配する事なんてない!!約束するわ!私たちは、”バスターコール”になんて負けない!!だから安心して頂戴!
ハッとしてロビンが顔を上げる。驚いた顔のロビンに私は頷いてみせた。
気づくと、ロビンの震えはほとんど止まっていた。
「!!…ルフィだわ…」
「えっ!?」
艦隊を見ると、大きな足が1隻の軍艦を踏みつけた。おぉ…!あれが『ギア
…パワーはすごいけどスピードが半減してるわね…
「それより、ロビン?震えはおさまったみたいね?」
「えっ?…ええ!!」
「それじゃ、フランキー!!さっさと片付けましょう!!」
「おう、よしきた!!」
― ドドドォ…ン!!! ―
「!!!?」
さっき、ルフィが攻撃してた戦艦が他の戦艦からの砲撃を受けて大破した。
「ワハハハハハハハ!!おい!!見たか!?たった今あの軍艦で暴れてた麦わらが!!コッパ微塵だ!!ワハハザマァ見ろ!!お前らの船長は死んだ!!!」
「あのバカの言うことは気にしなくていいわ!!ルフィの気配は健在よ!!」
「オイオイ…海兵ごと撃ちやがった…!!」
「これが!!おれが発動した”バスターコール”の力!!これが正義だ!!カティ・フラム!!!さァ!!ニコ・ロビンをこっちへ引き渡せ!!そうすればお前の罪を消してやってもいいぞ!!だいたいなぜ、お前がその女を守ってやる必要がある!!海賊でもあるめェし!!お前は!!お前ら凡人共を日々守ってやってる世界政府よりも!!そのオハラの血を引く物騒な女を信用するってのか!!?我々に逆らえばお前もトムと同じ様に」
スパンダムの言葉にカッとなったフランキーがパンチを飛ばす。
― ドゴォン!!! ―
「死ナバス!!!」
「長官殿―っ!!!」
フランキーのパンチでスパンダムが吹き飛ばされた。
「ぼは!!も…もう顔面はれるトコないぞ…!!ぐぬ!!」
「象剣”ファンクフリード”を抜いた!!」
「アレは強ェぞ!!」
「くらえ!!!”エレファントチョッ~プ”!!!」
「パオォ!!!」
フランキーではなく、ロビンを狙ってその剣は振り下ろされた。
「えっ!」
もちろんそんなことはハナから承知してる。フランキーに任せるまでもなく私が切っ先を指で摘んで止めた。
「「えぇっ!!?」」
なによ?そんなに驚くことじゃないでしょう?
「「あァ…止めた!!」」
「どこまでも救えねェ野郎だ…」
フランキーが言う。もともと彼のセリフだけど、止めた私が言うんじゃねえの?まぁいいけど…
「ファンクフリード!!!てめェ象のクセになにそんなメスブ…あっ…!!!」
バッっと口を押さえるスパンダム。
「へーほーふ~ん…あーそうですかぁ~…」
私の顔には笑みが浮かんでいた。
「フランキー!小さくするからこいつ、ちょっと持っててくれる?」
「あ…ああ…」
フランキーの顔が青ざめている。なんでさ?私ってばこんなに穏やかに微笑んでるのに?
「剃!!」
「長官殿!!」
はい。スパンダムの背後に回り込み首根っこを抑えつけました。
「まさか…コイツが”くれない”!!?」
「CP9と同じ技だ!!!」
「おい、おめェら下がるんじゃねェ!!ぎゃァ!!!助けてェ~~!!!イタイ!!クビイタイ!!!」
「この短時間に2度目ってありえないんですけどぉ?私の話、全く聞いてなかったって事かな?」
フルフルと首を振るスパンダム。
「何?その耳は飾りなの?じゃあ無くてもいいよね?切り落とそうか?それとも引きちぎる?ああ、ファンクフリードに食べてもらっちゃおうか?なに、イヤなの?恐いの?意気地なしなの?じゃあ何で、注意した事を繰り返すの?バカなの?それとも…私をバカにしてるのかな?」
「…おい…アレ…」
「ええ…下手に刺激しない方がいいみたいよ?」
「だろうな…見りゃわかる。さっき振り向いたあいつの顔を見た瞬間、背筋が凍った…。こいつは刺激しちゃならねェってな!連中に言われた意味が瞬時に理解できた…。あいつ…やたら強ェんだろ?その上アレか…!!?」
「みんなの話だと、ルフィがこの世で一番恐いのは、本気で怒った姉…つまりイオリの事みたいよ?」
「そうか…ん?姉!!?なんだァ、あいつら姉弟だったのか!!?ところでニコ・ロビン。麦わら達はここへ来るか?」
「ええ…全員…必ず!!」
「まさかこんな日が来るとは思わなかった。あの日のおれに力があったら…エニエス・ロビー不落の神話を知る者達の…世界政府の強大さを知る者達の!!その常識を麦わら達はことごとく、くつがえし進む!!!仲間一人の為に誰一人躊躇なく世界を敵に回す!! 胸のすく思いだ…!!!」
「……」
「イオリ、頼む!!そいつはおれに譲ってくれ!!師匠の仇なんだ!!それとこの象、元にもどしてくれ!!」
「…解除!!」
師匠の仇なんて言われたら、譲らないわけにいかないじゃない!
「今日までおれはトムさんの死を忘れた事はねェ!!あの役人のバカ顔が頭をよぎる度に…!!いつか奴をひねり潰してやりてェと願ってた!!!」
フランキーがファンクフリードを引いてスパンダムへ向けて走る…
「えっ!?おい待てバカ!!やめろちょっと」
「こんな風にな!!!」
― ドゴォン!!! ―
「ほがァ~~~!!!」「バォー!!!」
ファンクフリードの巨体がスパンダムを潰した。
私はロビンの側に戻って成り行きを眺めていた。
「…いいの?」
「うん。あいつには精神的苦痛は、短時間しか効果がないみたいだから、フランキーに任せてもいいかなって思ってね…」
いや、マジであいつ、メンタル最強だと思うわ。
「おめェらのお陰で…おれは思いを遂げた!!!”ウエポンズ左”!!!」
「おあァ!!」
「ぎゃああ!!」
「おれは昔一度死んだ男!!麦わら達が生きてここを出る為ならこの命をなげうっても構わねェ!!!護送船を空け渡せ―っ!!!逃げ道はおれが作る!!!」
「何、一人で張り切ってんのよ!?」
「私もやるわ!!」
「ん!?」
「オハラとは…あの時とは違うもの……!!怖がる事なんて何もない!!私はもう…一人じゃないから!!」
ロビンが私に向かってニコリと笑う。
トラウマは簡単に消える事は無いと思うけど、少しは軽減できたのではないかと思う。少なくとも、麦わら一味の仲間が居れば、ロビンが恐れるモノは何もない!!それを確実にする為に、全員無事にここから脱出しないとね!!
「うわあ~~~~~」
「ぎゃああ~~~~!!!」
ドボボボボォ…ン
護送船の乗組員も脱出の為に乗り込んだ海兵もそろって海へと落ちてゆく…
「畜生―っ!!」
「うはははは!!!悪ィな海兵諸君!!この船はおれ達の脱出に使わせて貰う!!!さぁ護送船改め”脱出船”の大掃除完了だ!!」
「ええ」
「あとは麦わら達を待つのみ!!」
「…」
「どうしたのイオリ?」
「うん…ナミ達の気配が…消えた…!?いや、違うわ!!」
「!!?」
「真下よ!!」
「「?」」
「死ぬんじゃ~~…」
ゴボゴボ…ブクブク…
声がして、フランキーが船の縁から海面を覗くとそこに泡が…
「何だ?」
「らいよ~~~!!!!」
「ギャ~~~~~ッ!!!!」
ココロさんが飛び出して来て、フランキーが悲鳴を上げた。
~ ~ ~ ~ ~
「おい、おめェら意識を戻せ―!!おーい!!」
甲板の上に寝かされた、一味のメンバーにフランキーが声をかける。
「んぶ~~~~~っ!!!」
「ガハ!!」
「ゲフッ!!」
「エホ!!」
「奇跡としかいいようがねェ…!!何かとんでもねェ…… そりゃあもうとんでもねェ、ショックを受けたんだろ!全員仮死状態にあった為にあまり水を飲まずに済んでる」
「んがががよかったれぇ 仮死になる程のショックって一体何が」
「おめェだ」
疑問を口にするココロさんにフランキーがグーサインをしながら言った。
確かにグッジョブだと思うけど、本人わかってないみたい?
「おまいらね?海賊王の小僧が助けに来た仲間…」
「!」
「シフトステーションであったれぇ憶えてるよ。あの時はまさか…おめぇらがこんなコトしでかすなんて考えもしなかった……!!」
「服をちゃんと着ろ!!ババーてめー」
「海賊王になるなんて笑っちまったが…案外ホントかもしれねェな…んががががが」
「ふふ」
「ゲホッ!!!ウェッホ!!!」
「……!!!ハァ」
「ぷはァ!!!な…な…ナミさんは無事か!?」
「相変わらず丈夫な奴らだな」
「よく生きてた」
「!!!」
「ギャ~~~~~現実だった!!!人魚って本当はいねェんだ!!!」
「『人魚かと思ったらジュゴンだった』って伝説は本当だったんだな」
「バカ野朗!!まだ本人が人魚だなんて言ってねェ!!!夢を諦めるな!!」
「あたしは”白魚”の人魚らよ」
「やめろ~~~~~~~~!!」
スパコーン!!
「「イテェ!!」」
「あんた達!助けてもらったのに失礼でしょ!!」
「でもよ!!足のある人魚なんて聞いた事ねェ」
「おれも意義ありだっ!!!人魚ってもっと…!!人魚ってもっとアレで…」
滝のような涙を流してデッキを叩くサンジ…そこまでか!?
「…人魚ってのは年の頃30を堺に尾ヒレが二股になって陸上生活のできる体になる神秘の種族。いつか魚人島へいけばわかる」
「そうか!100年生きた猫は尻尾が二股に割れて”妖怪化”するというぞ!!」
「ああ…”化け猫”か」
「一緒にすんじゃれぇよ!!!おめェら礼の一つも言ったらどうらい!!」
「「ココロさんどうもありがとう」」
「んがががいいんら!」
「!」
サンジがロビンに気がついた。そしてナミとチョッパーも目を覚ます。
「ゲホ!!あれ?…ここどこだ?」
「んルルルロォ~~~ビンちゃあ~~ん!!!」
「ロビン!!!」
「ロビ―ン!!!」
「!!!」
サンジがロビンに駆け寄ろうとして、ナミとチョッパーに吹き飛ばされた。
壁に激突するのはかわいそうなので、念動力で止めて甲板におろしてあげた。
「イオリが付いてるから大丈夫だと思ってったけど…心配したのよ~!!無事だったのね!!」
「ボビ~~~ン!!!」
「ええ…お陰様で…!!ありがとう」
「いいのよも~~~~~~!!」
「ばーちゃんすご~い!!人魚だったの―!?ヒレやウロコがあるから変わってるなーと思ってたら」
「気づけよ!!!孫っ!!!」
「!?あれ…おれ…体が動かねェ…!!」
「…だろうな。全部終わったら話してやるよ」
ゾロが船からためらいの橋へと登っていく…
「ゾロ!」
ウソップ(そげキング)がそれを追う。…私も見に行こうかな…
「ゾロ、いやゾロ君!!」
「おい見ろアレ…とてもさっきまでいた島だとは思えねェ」
「…!!何なんだこの攻撃は…すでに火の海じゃねェか!!」
「この攻撃はニコ・ロビンを死なせねぇ様に命令が下ってる様だ」
フランキーもやって来た。
「 ― それでこの橋は今狙われねェのか。死なせねェって事はまだ奪い返すつもりだな」
「エニエス・ロビーを完全に破壊したら次は白兵戦でニコ・ロビンを取りに来るだろう」
「もうみんなボロボロの上に軍艦にゃすげェのがいっぱい乗ってるだろ!!ルフィは今どこに!?」
「この橋の一本目の支柱の上階からまだ戦塵が立ってる。相手は当然”ハト野郎”ロブ・ルッチだ」
「近いじゃねェか。手をかせば」
「やめとけ。ハトの奴はただ
「それに、助けに行ったら、後でルフィに後で何言われるか…、わかったもんじゃないわよ?」
「そうだな…あの軍艦の群れがいつこっちを向いても逃げ道を失わねェ様におれ達はここでルフィを待つ!!それでいいんだ。”嵐”はこれからだぞ!!!」
「……!!わかった!!」
「フランキー…おめェの仲間達…」
サンジもやって来てフランキーに声をかける。
「バカ野郎、あいつら悪運だけァ強ェのよ!!大丈夫だ!うまく逃げてる!!!」
どうかしらね?巨人族がすぐに仲間になってくれたからか、被害状況は原作より少なく済んでるみたいだけど…。
でもまぁ、軍艦の砲撃を防ぐ手段はないだろうから、結果は変わんないかな?