イムの娘(いむのこ)   作:槙 秀人

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05-182話:びっくり箱

 ルフィとガープのやり取りを聞いてると、どうやら私はルフィに巻き込まれて海に出たと思われているらしい。まぁ、この子が一人で海賊になるって言ってた時点(まだコルボ山に来る前の事)で、これは面倒見なきゃならないかなァ~…って思ってたからね。

 けど、私の意志が全く無い訳でもないんだよ?

 そもそも出会う前からルフィの冒険に同行しようと思ってたんだし…。

 

 兄弟盃を交わした時点で、3人のうちの誰かの船に乗らなきゃならなかった。

 もし、ルフィを選ばなかった場合、めちゃくちゃ原作改変しちゃってたと思う。

 サボと一緒に行ってたら、たぶん…革命軍潰してたか、あるいは革命軍の方向性を修正してただろう。

 エースと一緒に行ってたら、白ひげ海賊団を乗っ取ってたかも?その場合、ティーチは飼い殺しにしてただろうなァ…

 

 

「ルフィ!本当にお前のじいちゃんか!?」

「そうだ!絶対に手ェ出すなよ!!!殺されるぞ…!!!」

「……!!?」

 

「おれ達は昔、じいちゃんに何度も殺されかけたんだ」

 そーでしたね!!

 ルフィの言っていることは、間違いではない。普通の子供にあれやったら、本気(まじ)で死んじゃうと思う。

 ってか、何で私まで!?…って感じだったもの。

 

「おいおい人聞きの悪い事を言うな!わしがお前らを千尋の谷へ突き落としたのも夜のジャングルに放り込んだのも…風船にくくりつけてどこかの空へ飛ばしたのも…!!全てお前たちを強くする為じゃ!!!

 

「……!!!」

 いやいや…、それ虐待だから!! って、言ってもコイツ()聞かねェか…

 

「…今…ルフィの底知れねぇ生命力と強さの根源を見た気がした…!!」

 

「私も巻き添え食らってたしね…」

 女の子にも容赦なしなんだもん。

 

「それで…イオリはあんな遠い目をしてたのね…」

 そーですよ!!

 

「最終的には友人に託し、エースと共に修行をさせたが、目を離してみればこのザマだ…!わしはお前らを強い海兵にする為に鍛えてやったんじゃぞ!!!

おれは海賊になりてェって、ずっと言ってたじゃねぇかよ!!!」

「…」

 しかし…どう考えたらあれで海兵になると思うんだろう?とっても疑問だわ。

 しかも、エースはルフィの3年前に海賊になっちゃったって言うのにさ!

 

”赤髪”に毒されおってくだらん!!!

「シャ…シャンクスはおれの命の恩人だ!!悪くいうな!!!」

 

「じいちゃんに向かって”いうな”とは何事じゃ!!!」

「ギャーごめんなさいっ!!!」

 

「ダメだ…!!あのじいさんに対する闘争心はすでに折られてる!!!」

「大変だ―!!ルフィが海軍に捕まった―!!!」

「ルフィ―!!!」

 

「ぐが-っ!!」

「ぐが-っ!!」

「「え―っ!!?寝たァ―!!!」」

 二人が突然眠った事で、みんなが驚いている。

 

「何を驚く?」

 普通の事じゃん!…あれ………?違うの!?

 

「「お前は驚かねェのか~~~!!!」」

 う~ん…あまりにも見慣れた光景になってしまっているので、なんとも思わないわ……

 慣れってホントに恐いわね?

 

「…いや!!普通じゃねぇだろ!!一体どうすりゃいいんだよ!!!こんな状況初めてだ!!!」

「すぐに起きるわよ!…ほら!」

 ガープが起きた。

 

「おお…イカンイカン寝ておった!!」

 あっ、でもまだルフィは寝てるや…

 

「ぐがーっ」

ぬっ!?起きんか―!ルフィ~~~!!!

 

 ― ゴツーン!! ―

 

「い!?痛ェ~~~!!!」

 

 ああ……また最初っからになっちゃった…

 

「それが人に怒られる者の態度か―!!!」

 

 ― ゴツーン!! ―

 

「ギャー」

「だいたい貴様!じいちゃんに対しその言葉遣いは何じゃ―!!」

 

 ― ゴツーン!! ―

 

「ギャー」

 

 《 …もう勝手にやればいい… 》

 

 そこにいる全員が遠い目になり、同じことを思ったのだった…

 

 

 *--*--*--*--*

 

 

 あっ…窓の外のヨコヅナのとなりにウソップ発見!!

 ガープを見て驚いてるみたい。

 

「…!!……痛ェ!!!」

 積み上げたたんこぶをさすりながらルフィが言った。

 

「そもそも”赤髪”って男がどれ程の海賊なのか解っとるのか!?お前は!!」

「…!?シャンクス!?シャンクス達は元気なのか!?どこにいるんだ!?」

 

「元気も何も…!!今や星の数程おる海賊達の中で…かの”白ひげ”に並ぶ四人の大海賊の内の一人じゃ!!”偉大なる航路”の後半の海にまるで”皇帝”のように君臨する!そやつらを世に『四皇』と呼ぶ!!!」

 

「あっ!それイオリに教わったぞ!!『白ひげ』、『カイドウ』、『ビックマム』、『赤髪』!!…だよな、イオリ!!」

「…ん…ええ…」

 

「イオリ、お前…何を泣いとるんじゃ?」

「教えた事を、ルフィが……覚えてくれたのが嬉しくて……」

 

「「そこまでか!!」」

 

「…苦労しとるようじゃな…」

 えっ?ガープが哀れんでる!?マジ?

 それって凄くないですか?

 なんだか私…

 本気で自分が可哀想に思えちゃうんですけど?

 

「その四人を食い止める力として『海軍本部』そして『王下七武海』が並ぶ!!この”三大勢力”がバランスを失うと世界の平穏は崩れるというほどの巨大な力!」

 

「ふ~ん、まぁ元気ならいいや。懐かしいな―…」

 ルフィが麦わら帽子を眺めながら言う。

 

「…あの”赤髪”とつながりが…!?」

「ルフィの麦わら帽子、その人から預かってるんだって」

 この様子だと、ロビンは”赤髪”の手配書(写真)は見た事がないみたいね…。

 そもそも写真を見てたら私を見て驚いてたはずだし…

 

「ん…?」

 外が騒がしくなってきた。ああ、ゾロが来たのかな?

 

 喧騒とともに発砲の音や剣を打ち合う音が聞こえる。

 

「!?ん?何事じゃい!!」

「!?」

 

「ルフィ、ゾロが来たみたいよ?」

 

「賞金首の”海賊狩りのゾロ”ですね」

「ほう…ルフィの仲間じゃな。威勢がいいのう…どれ、お前ら…止めてみい…!!」

 

「「はいっ!!」」

 ガープに声をかけられた二人がゾロに向かう。いや、ゾロの方に行ったのは一人か…

 

「おい!!ゾロ待て!!暴れるコトねェんだ」

 

  ― ドンっ!!! ―

 

「ぶ!!?」

 真下からのケリにルフィの頭が跳ね上がる。

 

「何だ、こんにゃろ!!」

 ルフィが銃を放つ!…が、相手は『剃』で避けた。

 

「!―この技…!!」

 うしろに回り込まれたけど…

 

 ガッ!!

 

「うわっ…!!!」

 ルフィが相手のほうを向きもせずに襟元をつかんで投げ飛ばして抑えつけた。

 

 なぁんだ。やっぱりルフィは覇気(見聞色)を使いはじめてるじゃん!!

 本人は気づいてないみたいだけど…

 

 ゾロとルフィ、ほぼ同時に決着がついたようだ。

 

 

「曹長!!」

「軍曹!!!」

 

「ぶわっはっはっはっは、全く敵わんな!!」

 

「やっぱり強いや…さすがです!!」

「?」

 

「参りました……!ルフィさんゾロさん、そしてイオリさん、お久しぶりです。僕がわかりますか?」

「「?誰だ?」」

 

 ルフィもゾロもわからないみたい。無理もないか…

 見た目だけなら、私だってわからなかったと思う。

 

「強くなったわね、コビー!!」

 背もずいぶん伸びたみたいだし。

 ホントに強くなったわよ。今なら原作当初のアビルダくらい、捕まえるのはわけないんじゃないかな?

 

「…コビー?」

 

「そうです。ぼくですよ!覚えてませんか?」

 

「コビィ~~~??コビーは友達だけど…もっとチビのコビーしか知らねェぞおれは」

 

「そのコビーです!!!泣き虫でダメダメだったコビーです」

「え~~~!!?ホントか~~~っ!!?」

 

「…あのコビー!?何で”偉大なる航路”に!!」

 ゾロも驚いてる。ルフィほどじゃないけど…

 

「まだまだ将校にはなれてないけど…!!近くにみなさんがいると聞いて!!いても立ってもいられなくて!!」

「えええええええ!!」

 ルフィ…驚きすぎじゃね?顎が外れそうなんだけど?

 

「今の僕らがあるのはみなさんのお陰ですから!!」

「フン、まァ百歩譲ってな」

 

「色々あって、今ボクたち本部でガープ中将に鍛えて貰ってるんです!!」

「そうなのか!!しかしお前、成長期にも程があるぞ!おどろいた-。お前ぜい肉だるだるだったもんなー!!」

 

「見た目じゃわかんなかったわよ。変わりすぎじゃない?私は気配でわかったけどね?」

 

「イオリよりだいぶ小さかったのに、ほとんど変わらねェじゃんか!」

 ちなみにコビーは167cm。私は170cmだ。ここでは普段、私はヒールを履いていないので、はたから見ると一味では私が一番小さかったりする。※チョッパーは除く。

 

「事件の後でお疲れなのにすいません」

「いいよ!!久しぶりに宴にしよう!!」

 

「ちょっと待てお前ら―!!!おれに気づいてねェんだろ!!!」

 

「誰だ?」

 

「おれだ―っ!!お・れ・だ―っ!!」

 

「知らねェよ誰だ。イオリ、お前こいつ知ってるか?」

 

「知ってるも何も…あんた達も会ってるわよ!!本気で忘れてるの?」

「「会ってるだァ?」」

 

「答えは…ヘルメッポだ!!モーガン大佐の息子!!ヘルメッポだァ―!!!」

「「?」」

 名前を聞いても思い出さんのかい!?

 

「お前を磔にして死刑寸前まで追いやった男だよ!!ロロノア・ゾロ―!!!ひぇっひぇっひぇっ!!」

「?」

「?」

 

「おいおいいい加減にしろよ!!!あの時の七光りのバカ息子だァ~~~!!」

「「あ…お前か」」

 

「ぅお―い!!!」

「いたいたこんなの!お前か―っ!!!」

 

「コイツらやっぱりおれァ許せねぇコビー!!」

「仕方ないよヘルメッポさん。過去も受け入れないと!イオリさんだけでも覚えててくれたんですから、それで良しとしなくちゃ!」

 

「あれか」

「あれだ」

 

「でも、よくわかったなイオリ」

 

「あんまり見た目も変わってないしね。でもさすがガープね!二人とも戦闘力が格段に上がってるわ」

「ワハハハ!!そうじゃろ!!やはりイオリは見る目があるのう!! ― さて、じゃあ…おめェら」

 

「はっ!!」

「この壁直しとけ」

 

「え―!!?そんな勝手な!」

「直すくらいならなぜ壊したんですか!!?」

 

「そうやって入った方がかっこいいじゃろ!!」

「そんな理由で壊さないでくださいよ!!」

「じゃ、我々直すんであなたも手伝って下さいよ!!」

「え―!!?いいよ」

 

 ガープが部下と一緒に壁を直してる…

 

「偉いんじゃねェのかお前のじいちゃん」

 サンジがルフィに声をかける。

 

「さァ仕事の事はよく知らねェ」

「慕われてるって事じゃないのかな?」

 

「そういえばルフィお前、親父に会ったそうじゃな」

「え?父ちゃん?父ちゃんて何だよ…おれに父ちゃんなんかいるのか?」

「…」

 

「何じゃい名乗り出やせんかったのか…ローグタウンで見送ったと言うとったぞ!」

 鼻をほじりながらガープが話す。ねぇガープ?その癖ルフィに遺伝してますけど?

 

「ローグタウン…」

「あの町にルフィ達の親父がいたのか!?」

「…?おれの父ちゃんってどんなんだ?」

 

「興味あるルフィ達のお父さん…って何、むずかしい顔してんのイオリ?」

「…」

 え~、だってさぁ…ガープの失言の方向性が読めないんだよ。

 下手に口をはさんで余計な事言われるのも嫌だしぃ…

 

「お前の父の名は『モンキー・D・ドラゴン』革命家じゃ」

「!!?」

 

「あ~あ、言っちゃった…」

 まぁ、原作通りなんだけどね…。

 

「………!!」

「え!?」

 

「……ドラゴン…え…」

 

「え…」

「えェ~~~~~~~~~~!!?」

「!?」

「ええええええええ!??」

 

「か…革命家ドラゴンに息子がいたのか!!?」

「ルフィさん達があのドラゴンの子!!?」

「じゃ…!!ドラゴンはガープ中将の子!!?」

 

「ギャーギャー」

 

「何なんだコイツらの家系は一体!!!」

「うわああああああああああぁ」

 

「ドラゴンのフルネームなんて初めて聞いた!!」

「?」

 

「おい、みんな一体何をそんなに」

「バカ!!お前ドラゴンの名前を知らねェのか!!?」

「あんた達のお父さん!!とんっっっでもない男よ!!?」

 

「あんた達?…達とはなんじゃ?」

 ナミのセリフにガープが反応した。

 

「え?だって…二人は姉弟なんでしょう?」

 

「なんじゃいイオリ!!お前、仲間にも言うとらんかったのか?」

「!!」

 

「えっ、何?どういう事?」

 

「ルフィとイオリは義兄弟!!海賊と革命軍にも義兄がおる!!」

「…」

 あ~あ、そんな事まで言っちゃいますかぁ~

 やっぱりドラゴンに聞いてたか…。

 

「…えっ?…」

「4兄弟?」

「革命軍にも、誰かいるの?」

 

「ルフィさんとイオリさんが義姉弟??」

「しかも、義兄があと二人?」

 

 原作よりもさらに混乱が大きい気がする。ドラゴンの事は驚きで、私たち義兄弟の事は混乱かな?

 一味の面々もエースの事は知ってるけど、サボの事は知らんもんね…。しかも原作通りNo2になってるし…。(エースに聞いた後、革命軍についてちょっと調べただけですぐにわかった。)

 記憶を失わない状態だから、目的も明確…。サボの活躍によって、革命軍の動きは加速してると言っていい。F-RONPが無かったらもしかして、世界政府に並ぶとまではいかないまでも、それなりの組織をつくれてたかも?

 

「………!!」

「ゲロ」

 あ~あ…ウソップの驚きも原作以上みたい…

 

「おい、ロビン」

「えっと……あなたのお父さんの事よね?…何て説明すればいいかしら…。海賊は…自分から政府や海軍を襲うことはないけど…、 今『世界政府』を直接倒そうとしている力があるの。それが”革命軍”。その頂点に立つ男がドラゴンよ!」

 

「革命軍って、何かどっかで聞いた気がする…」

「エースが、サボがそこに居るって言ってたでしょう?」

「おぉ!!そうだ!それだ!!なんだサボはおれの父ちゃんのとこにいるのか!!」

 

「気になる名前が出てきたけど…つづけるわね!今、世界中の色んな国々でその思想が広がって、王国に反乱を招き、いくつもの国が倒れてる。政府は当然怒り、その黒幕ドラゴンを”世界最悪の犯罪者”としてずっと探し回っているんだけど…。彼は素性の片鱗すら全くつかめない”謎の男”だった…のに…」

「のに??」

 

「あっ!!コレやっぱ、言っちゃマズかったかのう!!!」

 ガープが手のひらで額を叩き、失敗しちゃった?のていで、言ってのける。

 

「当ったり前じゃんよ!!」

 うっかりさんにもほどがあるっちゅうの!! まったく…!!

 

「!!?」

 

「ぶわっはっはっはっはっ、じゃ、今の全部ナシ!」

「!!?」

 

「ぇえェェ~~~~~~~っ!!??」

「えええええええええええぇぇぇぇぇぇ」

 

 

 

 

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