「お前はわしの孫なので!!!この島で捕らえるのはやめた!!! ー と軍にはうまく言い訳しておくので、安心して滞在しろ!」
「…」
「言い訳になってないので『逃げられた』事にしましょう」
副官のボガードさんが少し呆れながら言ってるけどねェ…
「ボガードさん、たぶん無理だと思うわよ?そのまんま報告すると思うから。こっちも気をつけておくわ!!」
「なんじゃイオリ!!わしの事を信用しとらんのか?」
「そんなまさか!信用してるわよ?だってガープはいつだってまっすぐだもんね!!」
「そうかそうか!!イオリはようわかっとるな!!そうじゃ、いつだってわしはまっすぐなんじゃ!!」
うん。だから言ったままの報告をして、怒られることを私は知ってるんだよ!!
「「…」」
「それではわしは二人の付き添いで来ただけなんでな。こいつらとはまァ…ゆっくり話せ。わし、帰る」
「うん、じゃあな」
ルフィ…ダメだよそれじゃ!
「え~っ!?もう帰っちゃうの?」
少しさみしそうな顔をするのがミソだよね?
「イオリはやさしいのう!それに比べて…」
少しウルっとした目で私を見た後、ルフィを睨むガープ。
「軽すぎるわァ―!!!」
― ボカ!!! ―
「ぶへ―!!!」
ガープの鉄拳がルフィに向かって飛んだ。
「惜しめ!!!久しぶりのじいちゃんだぞ!!イオリを見習え!バカ者が!!!」
「イオリ!おめェずりーぞ!!」
「イオリに怒鳴るんじゃないわい!!バカたれが!!」
― ゴツーン!! ―
「ギャー!!どうしろってんだよ!!おれは殴られただけじゃねェか!!」
「それでもワシは孫に愛されたいんじゃアホ!!」
「あの身勝手さ、すごく血のつながりを感じる」
「イオリの立ち回りも慣れたものね…」
「つーか、完全にあのじいさんの事、転がしてたぞ?」
そして、ガープは帰って行った…
*--*--*--*--*
しー…ん
海軍がいなくなった後の建物は静かだった…
「しかし、嵐のようなじいさんだったな…」
「ドラゴンの事は本当に驚いたわ。血筋からただ者じゃなかったのね。」
「それでふたりは?」
「表でコビー達と話してる」
「おめェはいいのか、ダチなんだろ?」
「懐かしいけどな…コビーを救ったのはあの二人だ」
「ナミもいないな。海兵の話を聞きたがってたのに…えんりょしたのかな?」
「プールへ行ったわよ?ココロさん達と。」
「プール?」
「ここの裏にあるガレーラカンパニーの社員プール」
「え~~~!ナミさん水着~??飲み物でも持ってこう!!」
「ほんじゃ、お前らもあの山越えて”偉大なる航路”へ来たのか!?」
「あ…いえ、リヴァース・マウンテンは越えてません」
「何で?」
「政府や海軍本部の軍艦は、カームベルトを抜けることが出来るらしいからね?」
「イオリさんはご存知なんですか?」
「友達から聞いた事があるのよ。その子も、理由は知らないみたいだけど…。」
「そうなんですか!!」
「えー!?カームベルトを抜けれるってずるいじゃねェか!!でも何でだ!?あそこには軍艦の何倍もあるでっけェ海王類がいるのに!!おれ達ひどい目にあったぞ!?」
「ルフィは喜んでたと思ったけど?」
「軍艦の船底には”海楼石”という石が敷きつめられてるんです。」
「それが何だ」
「なるほどね…」
「”海楼石”は海と同じエネルギーを発しているので…海中の魚達にとってその船は見えなくなるそうなんです。そういう画期的な技術の裏には必ず軍の科学者Dr.ベガバンクがいて…彼はすごいんですよ」
「そうだあいつは本当にスゲェ。麦わら、くれない!お前らの食った”悪魔の実”。その能力の伝達条件の解明や”物”に悪魔の実を食わせるっつ―新技術も近年の奴の大仕事だ!」
「ふーんなんかすげーのいんのか」
「すごい人だらけですよ!!世界は!!僕はお二人に会うまでどれだけ狭い世界で生きてきたのかを、この海で思い知りました。ルフィさん達があの日…あの島に来てくれなかったら、僕は今でもアルビダの船でへつらって雑用をしてたに違いない。」
「あははは、そうそうアルビダの船にいたよなお前!!ホント面白かったな。だいたい船にのってる理由がよ!!」
「釣り船と間違ったんだもんね?」
「もう!!やめてくださいよ!!」
暫くの間、昔話に華が咲く…
ほんの数ヶ月前の事なのに…もう随分と昔の事のような気がする…
しばらくすると、ゾロとチョッパーが建物の外に出てきた。
「え~~~~~!?本当にもう帰んのか!?メシ食ってけよ!!メシ!!」
「僕らは敵同士…馴れ合うわけにはいきませんから」
「相変わらず真面目ね。でもまぁ、その方がコビーらしいか。」
「ルフィさん!!この”偉大なる航路”の…!!後半の海の呼び名を知ってますか?」
「…?」
「…」
「”赤い土の大陸”の向こう側に広がるその最後の海を人は…もう一つの名前でこう呼ぶんです」
「”新世界”」
「…新世界…」
初めて聞いた言葉のように、ルフィが顔を輝かせてる。
そのワード、私がこれまで何度か出してますけどね?さすが話を聞かないのがデフォな子だよ。
「次の時代を切り開く者達の集う海!!その海を制した者こそが!!”海賊王”です!!!」
「…いいのか?海兵がそんな事言って?」
ゾロが少しからかうように言う。
「いいんです、今は…。みなさん!!僕らきっとまたそこで会いましょう!!」
「…」
原作だと次に会うのは海軍本部なのよねェ…
海軍本部…頂上戦争か…
「今度は僕はあなたを捕まえる!!!もっともっと強くなって!!僕はいつか!!!海軍の…た…!!!”大将”の座についてみせます!!!」
「…」
「!ご…ごごごごめんなさいちょ…調子に乗りました。恥ずかしい、穴があったら入りたい!!あ…あなたたちに会って僕、ちょっと気が大きくなっ…!!!」
「コビー!!!おれ達と戦うんだろ?だったらそんくらいなれよ!!当然だ!!!」
「!!…!!!た…大将ですよ…?」
「今度会ったら…おれ達はもっと強ェぞ!!もっとスゲェ!!!」
「う…」
「何だ、泣き虫はなおってねェなコビー」
「みなさんに今日また会えて本当によかった…!!!」
「……」
「僕ら…!!!もっともっと強くなりますから!!!必ずまた!!!”新世界”で会いましょう!!!」
「覚悟してやがれ!!お前らァ!!!今にドギモ抜いてやるぞ!ひえっひえっひぇ!!!」
うおー!!!
気合を入れながら二人は帰っていった。
「…ルフィお前また…とんでもねェ敵を生み出したんじゃねェか?」
「コビーはやる男だ。おれは知ってんだ!!しししし!!!」
*--*--*--*--*
サンジがバーベキューをやると言って、プールの方に行ったらしい。肉と聞いてルフィーが早く早くと全員を引き連れていく。
~ ガレーラカンパニー本社裏 社員プール ~
「んナミさ~~~ん、水水肉が焼けたよ~!!!」
「は-い!!」
「んががが、いいニオイらね!!」
ココロさんがプールの中央からプールサイドへとジャンプして降り立つ。
「ばーちゃんスゴーイ!!」
「うほ―っ!!!」
「んめへへへへへ~~~~~い!!!」
「んめへへへへへ~~~~~い」
「んめへへへへへ~~い水水肉バーベQ!!!」
ルフィ、チョッパー、そしてなぜかそげキングが食っている。
「よし、どんどん食えよ!!!」
「そげキング…いつの間に!!」
「どお?ロビンちゃん、仕込みが違うだろ」
「ええ、おいしい!」
「イオリちゃんはどう?」
「おいしいわ!いつもながら味付けバッチリね!」
サンジがロビンと私、そしてナミに視線を移しながら目をハートにしてる。
「そういえばナミ、ちゃんと聞こえた?」
ナミに盗聴用電電虫の親を貸してたのよ。原作と違い子は私がポケットに入れてたのよね。
「ええ!バッチリよ!!あんたなんでも持ってるのね?」
「あれはシェルズタウンで手に入れたのよ。ゾロを仲間にした町でね!」
さすがにストレートに海軍支部を物色した時なんて言わないけどね?
「麦わらさ―ん!!目ェ醒ましたって!?」
「おう!!フランキー一家!!こっち来て食え!!」
「うは―バーベQだァ!!!」
「大好物―っ!!!」
「おい、多いなおめーら!肉追加しろよ!!!」
「あっ!」
ルフィがかばんを渡しているのが見えた。
おいこら!それって!?何でそれを今、お前が持ってんの?
わざわざ持ってきたってか?
てめェ…最初っから、食材ドンドン追加して、気が済むまで飲み食いする気だったでしょ?
…まぁ、別にいいけど…
原作通りの財政状況だったら、絶対阻止してますけどね?
「バヒヒ~~~ン!!」
「バヒ~ン!!」
「ソドムとゴモラだ!!!」
「ハラ減ったな」
「オイも」
「バーベQ!!!」
「ウオー!!!麦わら!!起きたのか―!!?」
「ガレーラカンパニーだァ!!!」
「巨人族―!!!」
「おめェらプールで何を…ギャー!!ハレンチ娘てめェ―!!!」
「パウリーさん!ここプールですけど?」
「そうよ!おにいさん。これは水着!!」
「あっ!イオリさん!!すいません。つい…」
「ちょっと!!なんであたしじゃなく、イオリに謝ってんの!!?」
「ンマ―、いい匂いがするな」
「アイスバーグさん!!!」
「船造りは一旦中止だわいな!!」
「おォよ!!宴をケッちゃあ男がすたる!!!おれ様の席はあんだろうなァ!!!」
「だろうなァだわいな!!」
「待ってたぜアニキ~~!!!」
「さァいくぞ!!1番そげキーング!!歌いまーす!!!」
「うおーやったれー」
「よーし!!宴だァ!!!」
デカイ奴ら用の食べ物を用意するのは大変なので、オイモとカーシー、ソドムとゴモラ、そしてデストロイヤーズも普通サイズに小さくした。これはリトルガーデンでもやったこと。みんなおどろいてたけど、酒と食べ物がたらふく食えると喜んでいた。
ふと見ると、宴の喧騒から一人端の壁へと向かうロビンを発見…
これはきっとあの場面に違いない。
あまりじっと見ていると、誰かに気づかれるかもしれない。私は視線を外して意識をロビンの周辺に向けた。
~~ ロビンと青雉 ~~
「そのまま聞け…!ニコ・ロビン」
「!?」
《……!!!まさか……!》
ハァハァ…と、ロビンの息が荒くなる。
「青キジ……!!!」
「 ― なぜ、いつもの様に逃げ出さなかった?お前一人なら「CP9」からも逃げ出せた筈だ」
「………!!!」
二人は壁をはさんで、お互いに壁に背を向けていた。宴の喧騒と、宴の中心から離れている事もあって、その会話は誰にも聞こえていないだろう…
「……今までとは違うと言ったでしょう? ― 彼らを見殺しになんて…できなかった…」
「…………… ― 20年前、オハラの為に戦った巨人……ハグワール・D・サウロとおれは…親友だった」
「!!!」
ロビンは驚く。オハラの件の後で知った事だがサウロは元海軍本部の中将だった。そういえば当時、青キジもまだ中将だったはず…。
「あの日…奴の意思をくみ…、お前を島から逃がしたおれには、その後の人生を見届ける義務がある…!!! ― だが、20年たっても宿る木もなく、追われては飛び回る危険な爆弾をこれ以上放置できないとふんだ。何より…お前はもう死にたがっていると思ってた…」
「……」
「おれは今回…、オハラの全てに決着をつけるつもりでいたんだ。まさか『バスターコール』から抜け出すとまでは予測できなかったが……」
「…」
「……やっと…宿り木がみつかったのか…!?」
「………ええ」
「サウロがお前を生かした事は…正しかったのか間違いだったのか…これからお前は……その答えをみせてくれるのか?」
「…そのつもり…」
「………だったらしっかり生きて見せろ…”オハラ”はまだ…滅んじゃいねェ」
青キジは立ち去りながら言葉を残した。ロビンは急いで壁の裏側に回る
「…ハァ 青キジ…!! ………!!」
しかし既に青キジは立ち去った後だった。
そして…宴の会場からイオリの姿が消えていた。
「おーい、ロビ~~~ン!! こっち見ろー!!」
「ロビンこっち!!」
「!?」
ロビンを見つけたルフィとナミが笑い声の絶えない宴の中心から叫んでいる。
「食ってるかー!!!肉~~~っ!!!」
「ぶーっひゃっひゃっひゃ!!!」
ルフィが鼻割り箸でそげキングとチョッパーを笑わしてる。
「サイコー!!それルフィ~~」
「私も…やってみようかしら」
「おう!!やれやれロビーン」
「や…やめてくれロビンちゃーん!!!」
*--*--*--*--*
「はい、これどうぞ!」
「!?」
自転車にまたがろうとした青キジの目の前に、バーベQの肉を差し出た。
「持って行ったらいいわ。お裾分け!」
「…しっかしお前、何度見ても『赤髪』そっくりだな。」
「それは言わないでくれる?前にも言ったけど、禁句よ禁句!!」
肉を受け取りながら青キジは私と対峙した。背が高いわねぇ…。自転車に座ってるのに、至近距離だから完全に見上げる恰好なもんで首が痛いわよ?
「そんで、お譲ちゃんはおれになんか用でもあんの?」
「お礼を言っておこうかなって…。20年前…、ロビンを助けてくれてありがとう。ってね。まぁ、私が言うのもおかしいかもしれないけど?」
「………それじゃあ、おれはお前らに謝んなきゃなんねェのかな…?」
「うん?」
「”あんなこと”言っちまったからな。まさか”こんなこと”になるとは思わないじゃない?」
「ロビンを背負いきれなくなるって話?いいわよ別に謝らなくたって。20年…彼女を見守ってきたんだから、あれくらい言っても問題無いでしょ?気にする必要ないわよ!!」
「ひとつ…訂正しておくぜ!!あの時おれは、お前たちが危険視される原因をニコ・ロビンだと言ったが…お前もそうなんだぜ?おれが海兵になってから二つ名が変わった奴は始めてだ。スモーカーのバカが言った事とはいえ、そんなもんふつうなら政府上層部が聞き入れるわけが無ェんだ!!アラバスタ後の手配書で懸賞金はそれほど上がらなかったが、全てじゃねェにしろお前さんのやったことは軍上層部の耳にも入ってる。覇気が3種とも使えるとか、六式が使えるとか…。そういう情報だってある。」
「…あら、それは初耳。今後は気をつけないとダメね?」
アラバスタの件で海軍が捉えているのは各地から合流しようとしていた反乱軍殲滅の事だろう。バロックワークスの社員達はかなりの数が捕縛されたと聞く。そこからの情報だという事くらいはわかる。
エニエス・ロビーでは結構目立っちゃったけど、念動力についてはバレてないと思うし…
まぁバレても問題ないけどね?
「一味の連中が覇気を使え始めている事にも驚いた。お前さんは指導者の素質もあるみてェだな。それに…そもそもお前の気配が読めねェってのが気に入らないのよ。」
「お褒めにあずかり嬉しいわ!この技、使えるようになるの結構苦労したんだもの!」
「その歳で、覇気の
「すぐに、ルフィの懸賞額も上がるわよ」
「…だといい…いや、それもいいとは言えねェか…」
青キジは、イオリを見ながら考えていた。
《こりゃぁおれも、鍛えなおさねぇとまずいんじゃないの?》
麦わらを氷漬けにした時のあのセリフ…あの時はハッタリかとも思ったが、どうやら本当らしい。
バスターコールを破ったのは、こいつが居たからだと言っても過言じゃねぇ…。
頭がキレるってだけでも厄介だってのに…
この一味は…マジでヤベぇ!!
「……そんじゃ、おれは帰るぜ。肉、あんがとさん。」
「うん、じゃあね!」
キコキコとペダルを漕いで、片手で肉を食べながら…青キジは帰っていった。