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約束……………すっぽかされちゃった…!?
「それでか…逃げるようにして帰ってった」
「イヤって事か…?」
「その逆だ。面と向かって断る自信がねェのさ…だから身を隠した。」
面と向かって断れないから…?
だったら電伝虫だっていいじゃんよ!!
私、電伝虫の番号渡したんだよ?
子電伝虫ならパウリーさんもアイスバーグさんも持ってるじゃん!!
ずっと一緒にいたのよね?
夜通し船を作ってたって、休憩くらいしたでしょう?
「ねぇ、ちょっと…」
「…」
「ンマーおそらく本心は…おめェらと海へ出てェのさ…!!今まで大切に温めてきた、この”夢の船”を託す事で充分わかるだろ?フランキーはおめェらの事を心底気に入っちまったんだ。」
直接話すのも無理だっていうなら、モズとキウイに伝言頼めばいいじゃない!!
え~っ!!なんでよ!!!
ってかあいつ、そもそも約束忘れてんじゃね~の?
「ちょっとイオリ!あんた大丈夫?」
「……」
「だがあいつはずっとこの島にいなきゃならねぇって”義務”を自分に課してる。」
「義務?」
ウソップだってそうよ!!あいつには
だから『猶予は1日ちょっとだ』とまで、丁寧に教えてあげたのよ!?
フランキーからは5日待ってくれって言われてたけど、3日で出来ると"わかってた"から、その日数でわざわざウソップには伝えたんだよ?
「ねぇ、ちょっと…!!イオリってば!!!」
「………」
いや~~~…………
なんだか私……………
段々腹が立ってきちゃったな~~~
ウソップといい……、フランキーといい………。
あの男どもは、なんで連絡の一つもよこさないんだ!!?
気配を探ると、なぜだろう?
ウソップがフランキーハウスの方にいる…
あっれェ~~~~~!!?
約束をすっぽかした二人がそろって何をしてるんだろうな?
あっはは~!!なんだ、そっかそっか~!!
2人が1ヶ所にそろってるんじゃんよ!!
時間もない事だし、ちょうどいいや!!
イオリの顔には穏やかな笑顔が浮かんでいた。
「!!?」
「おれに言わせりゃすでにバカバカしい執着だ!お前らがもし…本当にあいつを連れてく気があるんなら手段を選ぶな。力づくで連れてけ。それがあいつを解放できる唯一の手段だ」
「ムリヤリ?そんなんでいいのか!?あれ?ナミ!!イオリは?」
「なんでか知らないけど、向こうの方に飛んでっちゃったわよ!!」
「何で止めねェんだよ!!」
「穏やかに微笑んでたのよ!?私が止められるわけないじゃない!!」
「「!!?」」
外に出ていたサンジ、チョッパー、ロビンとルフィが驚愕の表情を浮かべる。
一体何があった?
「ンマー!どういう事だ?向こうって事はフランキーハウスのある方だな…」
「「!!!」」
「フランキーがあぶねェ!!」
「!!?」
「マズイぞ、ルフィ!!とにかく急げ!!」
ナミがまだ積み込んでいない荷物の中からウエイバーを取り出した。
「良かった!!小さくしてなくて!!…ルフィ!!乗って!!暴走したイオリを止められる可能性があるのはアンタだけなんだからね!?」
「おい!麦わら!!暴走って!!?」
「アイスのおっさん!!話はあとだ!!と…とにかく急がねぇと!!!」
流れ弾は食らいたくないが、仲間はそれよりも大事だ!!ルフィは覚悟を決めて、ナミの後ろに乗った!!
イオリがフランキーハウスに到着したのは、ザンバイが手配書をフランキーに見せた直後だった。
まさにフランキーがパンツを取られる寸前の事である。
「フランキー!こんなところにいたのね?あ~ウソップも居るわねェ…!!」
「「!!?」」
フランキー一家の面々が驚いたように振り返り、そして全員が蛇に睨まれたカエルのように固まった。
やだなぁ…みんなして、顔を青くしちゃって…。大丈夫!あなた達には怒ってないから、安心して頂戴な!!
私が怒ってんのは、そこに並んだ2人にだよ!!
「でも、あれ?おっかしいな??確か私、あなたが船を造ってくれるって言いに来た時に条件を出して、『船が完成するまでに決心を固めて、イエスかノーか聞かせてくれ。』って言ったわよね? その時、私の電伝虫の番号渡したわよ?あなた、異論を挟まなかったでしょ?って事は私の意見を受け入れたのよね?それで?なんで連絡くれなかったのかしら?しかもなんで船が完成した今、ここにいるわけ?なんで船を引き渡してくれたのがアイスバーグさんなんだろうね?是非とも納得のいく理由を聞かせてもらいたいわ!」
程なく、ナミとルフィがウェイバーに乗って到着する。
「私との約束はどうしたの?忘れたの?反故にしたの?シカトしたの?無視したの? え? 何?、面と向かって断る自信が無いから?それで黙ってここに戻ったって事?何それ…理由になってないじゃない!!まったく意味がわからないわ!!!」
フランキーへの口撃の煽りをくらって、ウソップはトラウマで沈んでいた。
「い、イオリ……もう…いいんじゃねェ…かな?」
いつの間にか遠巻きに見ているフランキー一家の中ナミの姿が見える。
そしてルフィが私の肩に手を置いていた。その手が少し震えている。なにやら必死な形相だ。
なんか、こういう事が前にもあったような?
でもでも、私がここに来てから、まだ10分しか経ってないじゃんよ!!
こいつら『約束』すっぽかしたんだよ?悪いのはこいつらじゃん!!なんで止めるの?
でも…ルフィがこんだけ必死に止めるんなら余程のことなのかしら?
あ~だめだ…落ち着け私…。
私は数回深呼吸をして最後に大きく息を吐きだした。
そうこうしてると、残りのみんなもやってきた。ガレーラも駆けつけてくる
「あれ?みんなも来たの?…どうしたのよ?」
「どうしたのよじゃないわよ!もう!!何、怒ってたのよ!!」
え~!!なんで私が怒られなきゃなんないの!!?
「いや…悪ィのはおれ達だ…約束を破っちまったんだからな。すまねェ!悪かった。この通りだ。次からゼッッッッッタイに気を付けるからよ!!今回ばかりは勘弁してくれ!!」
フランキーとウソップが平に謝ってくれた。
「それよりも、私は答えが聞きたいんだけどな?」
「…ここまで来てもらって悪ぃんだが、おれァこの島にいてェんだ。お前らにゃ感謝してるさ…したってしきれねェくらいにな…」
「だったら仲間になれ!!」
ルフィが叫ぶ。
「麦わら!!船は気に入ったかよ!!」
「…ああ!!!あんなすげェ船見た事ねェ!!」
「そりゃそうさ。このおれのスーパーな設計に加え、お前らのリクエストにも全て応えた!!おれの発明した『ソルジャードックシステム』を見たか!?」
「それはまだ!!」
「最大の目玉だ!きっと気に入るぞ!!!生け簀は!?」
「見た!!」
「釣った魚を生け簀に入れると下の部屋の大きな水槽で鑑賞できる。水族館みてェな部屋だ!!そこでみんなで食事なんかするといい!!いつでも新鮮な魚が食えるぞ!!あの船はおれにとっても、お前らにとっても最高の”夢の船”だ!!!」
「船!ありがとう!!!最高の船だ!大切にする!!!」
「ああ、お前らの旅の無事を祈ってる…」
「フランキー!私が言った事覚えてる?ルフィがあなたを仲間にするって言ったのよ?もう断っても無理だから!!」
「一緒に行ってやりてェが…おれにはここでやらなきゃならねェ事がある!!!だから船を贈ったんだ!!!そもそもおれは船大工をやめた身だ!!だからそいつはおれの造る、生涯最後の船になる!!念願だったんだ…それこそが”夢の船”だ!!!」
「待て…フランキー。あの船はまだ ― お前の言う”夢の船”には成ってねェハズだ!!」
「……!!」
「おめェが言ったんだぞ?設計図だけじゃ完成しねぇ…いくつもの海を越え、幾度もの戦いや困難を乗り切って”海の果て”へ到達した時…!!それを”夢の船”と呼ぶ。ってな…!そしておめェはこうも言ってた。『いつかおれにとって最高の船が完成したら、おれは船大工として、それに乗り込む。 ― その運命の日を見届けるために!!』と…」
「…!!やりてェ事が変わったんだ!!」
「やりてェ事…!?それは違う。お前が今この島でやってる事は全て”償い”だ…!!」
「!!」
「あの日…トムさんが連行されて行った事を自分のせいだとお前はまだ悔いているんだ。 ― だが、トムさんはあの日すでにお前を許し、道を示していた…!!!」
「…」
「お前が裏町のチンピラ共をまとめ上げた事も、賞金稼ぎを名乗り『略奪者』達からこの島を守っていた事も全てはトムさんが愛したこの”水の都”を守り抜くというせめてものお前の罪滅ぼし」
「…」
「端からはとてもそうは見えねェだろうがな」
「…!!見えねェだろうよ…そんなつもりは毛頭ねェ!!!」
「大好きな船造りもやめて、自分を押し殺して生きてきた…これからもずっとそうするのか!? ― たとえ、トムさんが許してくれても、おれがお前を許してやっても…何も変わらねェんだろうな…」
「!!!」
「…!!!もういい加減に…!!!自分を許してやれよフランキー!!! … もう、てめぇの夢に…生きていいだろ…?」
「はい、これ!」
人型になったチョッパーの肩に乗ってザンバイ達から受け取った荷物を見せる。
「…なんだァこりゃ!?なんだっておめぇ…そんなところに?」
「だって、下むいたらこぼれちゃうでしょ?」
「!!?」
フランキーは目に涙を貯めていた。どうせすぐに決壊しちゃうんだろうけどね?
「旅の荷物です!!アニキ!!!」
ザンバイ達が叫ぶ。
「ザンバイ達が言ってたわよ?『おれ達がアニキの幸せを考えちゃダメかな?』ってね?命懸けでエニエス・ロビーに行った事といい、今回の事といい…。いい子分を持ったわね?」
「!!!」
「ほんとらね…」
あ、ココロさんも来てたんだ。
「どいつもこいつも」
涙腺は結界した。まぁ見物人は仲間だけだからいいっしょ?
フランキーは子分達とのやり取りを経て、仲間に加わることを決意したみたいだ。
そのやり取りが終わり、あらためてルフィがフランキーを勧誘する…
「じゃあよ、フランキー!!おれ達の船の船大工になれ!!」
「おおよ!!あれだけ立派な船に大工の一人もいねェとは船が不憫だ!仕方ねェ!!世話してやるよ!!!おめェらの船の『船大工』!!!このフランキーが請け負った!!!」
「ぃやったァ~~~!!!」
「新しい仲間だ~~~!!!」
こっちは片付いたわね…。
「さて、ウソップは?もちろん出て行った後に私が言ったことは覚えてるわよね?」
~ 一味を抜けるって事は簡単な事じゃないの。戻るときには仁義を通しなさいよ?… ~
「ああ…」
「ルフィー!!」
「イオリさ~ん!!」
「ゾロ、サンジ!!」
「パウリ―さんまで…?」
「「大変なコトになって来た!!!」」
「お前のじいさんが戻って来たぞルフィ!!!向こうの海岸で攻撃態勢でおれたちを探してる!!」
「えェ!?何で!?捕まえねェんじゃなかったのか!?」
「…だってガープが言ってたじゃない!『孫だから捕まえない』って軍に言い訳しておくって…」
「それって言い訳になってないじゃない!!」
「だから捕まえに来るんでしょ?きっと上の人に怒られたんじゃないかしら?」
「「子供かっ!!」」
ガープのコトなのになんで私がツッコまれてるんだろう?ルフィはゲラゲラ笑ってるし…
「急いで船のところに戻りましょう!!」
「持って来といたわよ!!」
「「「!!?」」」
全員が私の言葉に驚いた。フランキーハウスのある北東の海岸に新しい船が浮かんでいた。
「「いつ!!?」」
「えっ、今さっき…」
「「どうやって!!?」」
「って…ミニミニで……」
「「いやいやいや…そんなヒマなかっただろ?」」
ものすごい勢いで、本当に全員揃ってキレイにツッコんでくれてますねェ……
「いいじゃんよ!今は急いでるんだから!!」
私の能力を使えばなんてことは無い。持ってきたのはミニミニだけど別のチカラとの合わせ技である。
「と…とにかく!急いで出港準備よ!!」
バタバタと仲間達が船に乗り込み出港準備を始める。
「…」
「ウソップ、私も行くわよ?」
タイミングを逸したのか、ウソップがシュンとしている。私は深いため息を吐き、最後通告のつもりで声をかけて背を向けた。
「ごめ゛―ん!!!!」
「「!!!?」」
「……!!!」
「意地はってごべーん!!!おれが悪がったァ―!!!!」
みんなの動きが止まる
「ひっく…ヘゥ…」
ウソップの目からはぽろぽろと涙が溢れている。
「…!!」
「ウソップ!!!」
「今更みっともねェんだけども!!!おれ…一味をやめるって言ったけど!!!アレ…!!!取り消すわげにはいかねェがなァ―!!!エック…ひっく…だ…ダメかな―!!!…頼むからよ…お前らと…一緒にいさせてくれェ!!!もう一度…!!!おれを仲間にいれてくれェ!!!!」
ボロボロと涙を流しながらウソップが懇願する。
すると…
ビュッっと船の上からルフィの手が伸びてきた。
「バガ野郎!!掴ばれ―っ!!!」
ルフィもウソップに負けないくらい泣いている。
「イ…イオリ~!!」
「プッ……ほら、ルフィの手に掴まりなさいよ!!」
私は笑いをこらえながらウソップに声をかけた。そしてウソップがルフィの手を掴み…
「バカはおめェだ!!」
ゾロがウソップに劣らずボロボロと涙を流すルフィに言った。
「アハハ…!!!カッコ悪いわねあんた達っ!」
ナミが涙を浮かべながら笑う…
「やっと…全員揃った!!!さっさと出港すんぞ!!新しい冒険だ!!いくぞ―野郎共!!!」
「お―っ!!!」
「ルフィ!!仲間はまだいるわよ!!」
「ん?」
「ウソップ!!この子も返してもらったからね?」
と、ここに来る前にガレーラに寄って、もらってきたメリー号をみんなに見せる。
全長30cmほどのミニチュアの船。1/100にして持ってきたからね!
「おぉ!!メリーだ!!もちろんメリー号も仲間だぞ!!!」
「おめェ、持ってきてくれてたのか!!」
「当たり前でしょ!!大切な仲間なんだから!!」
「さすがイオリちゃん!!」
「メリー号だ!!直ったのか-!!」
「わぁー!!ピッカピカじゃない!!」
「ふふふ…なんだかかわいいわね!!」
「どれ!!『金輪継』っての見せてみろ!!」
「ホントにおめェは、何から何まで準備がいいな…」
「まぁね。後は音楽家が見つかれば私の仕事はほとんど無くなるから、これくらいのコトはするわよ。」
「これくらいねェ…」
「そうだ!!」
「!!?どうしたのイオリ!!」
「この船の名前…もう決まってるの?」
ガープとやりあってる最中に名前を決めるなんて馬鹿げてる。今のうちに済ませておいたほうがいいだろう。
アイスバーグさんにもきちんとお礼を言えるしね?
「あっ、そうだおれもまだ聞いてねェ!!おい、フランキー!!この船、何て名前だ?」
「おめェらの船だ。おめェらで決めろ!!」
「『なんとか』ライオン号みてェな感じか?」
「”おれ達”の船なんだから、フランキーの意見も聞かせてよ。どうせ造ってる間にいくつか考えてたんでしょ?」
「おめぇはなんでもお見通しだな。そうだな…アイスバーグが言ってた候補がこれだ!『サウザンド・サニー号』!!!」
「「!!!」」
「「おおっ!!?」」
「かっこいいなそれっ!!!」
「おれが今考えてた『ダンゴ・ゴリラ・ライオン号』よりいい!!」
「しりとりかっ!!」
「おれの頭をよぎった『ライオネル親方』より…いいな」
「私の『暗黒丸』より…」
「おれの『ムッシュひまわり』より…」
「気は確かかおめーら!!!」
「千の海を超える船って…素敵ね…。”太陽”も」
「よし、アイスのおっさんのやつで行こう!!気に入った!!」
「『サウザント・サニー号』か、いい名前だ!!」
「「賛成!!」」
「名前が決まると出航の気が引き締まるもんだな!」
「よろしくな!サニー号!!」
「アイスのおっさーん!!!船の名前貰ったぞ!!!いい名前ありがとう!!」
「ンマー、いいって事よ。気に入ってくれてなによりだ」
「みんな色々ありがとう―!!!おれ達行くからよ―っ!!!」