― その頂きに流れ出る伏流の水美しく、鳴り響くのは職人気質の槌の音
「結局おれ達とは来なんだな」
「そりゃそうさ。だがいつの日かみんな揃ってエルバフへ来ると、狙撃の王と約束した。気長に待つさ…巨人の寿命は300年…」
巨人の二人はガレーラと一緒に町の復興に協力していた。
「いい仕事したな」
「そうだな…さァ職場へ戻るか!」
「駅へ帰るよ!チムニー、ゴンベ」
アクアラグナが去り、ココロさん達は駅へと帰る。
― 町の活気にリズムを合わせ、かんな木槌を打ち鳴らす …
「さて、アニキ…どうしてた?」
「わかんないわいな」
「おれ達アニキに言われた事やってただけだもんな―…」
「ギャハハハハ!!」
「飢え死にだコリャ!!」
フランキー一家のもとにアイスバーグがやってきた。
「!?アイスバーグ!!」
「な…何だよ!!何しに来やがった!!」
「ンマー、イオリさんの言った通りの状況だな…」
「「イオリさん!?」」
― アイスバーグ回想 ―
金輪継を教えてもらった時に…
「フランキーがいなくなっちゃったら、あの一家って何も出来なくなっちゃうんだろうなぁ…」
「イオリさん、なんだってそんな事を気にしてるんですか?」
「パウリ―さんだってあいつらと一緒に戦って、気のいい奴らだってことはわかったでしょ?やっぱり気になるじゃん?」
「そりゃまあ…」
「たぶん、フランキーも手配されるだろうからね。」
「この島に居られなくなる?」
「でもフランキー一家だってそうだろ?」
「どうだろうね?フランキーを筆頭にフランキー一家を手配する事はあると思うけど。そうなったらそれこそフランキーは子分どもから距離を置くんじゃない?」
「…連れて行くのか?」
「たぶんね。でも、私には決定権はないから、確実とは言えないけどね。そうだ!アイスバーグさん!!私たちがフランキーを連れていく事になったら、あいつらにフランキーとやりとりしてた仕事を回してやってくれない?」
「「!!?」」
~ ~ ~ ~ ~
「イオリさ~~~ん!!!」
「あの人、怒ると恐いけど~~~!!女神だァ~~~!!!」
― 煙吹く、鉄の列車に願いをのせて…振り返らざる―その島の名は”水の都”ウォーターセブン
「ンマー、イオリさんに言われなくても、おめェらの事は気になってたんだ。仕事ならおれが回してやる。毎日一人、ガレーラの本社に顔を出せ」
「い…!!いいのかアイスバー…いや…!!アニキ!!」
「ニューアニキ!!」
「ニューアニキ!!」
「……やめろ」
― ”偉大なる航路” とある島 ―
「スモーカー
「今の海賊が5千万だと!?…ぬるい…軍の基準はどうなってんだ……!!……まったくハリのねェ日々だぜ!こりゃぁ早々に階級上げて、また『修練場』に行かねェとな…」
「スモーカーさん!!」
「たしぎ
「手配書をご覧になりましたか?麦わら達が…」
「誰に話しかけてんだ?」
たしぎはスモーカーとは違う海兵に向かって話しかけていた。
「えっ!!あ…ごっごめんなさい!!」
「メガネをかけろ!!バカ!!」
スモーカーが手配書に目を通す。
「おい、たしぎ!!なんだって『海賊狩り』の手配書が2枚あるんだ?」
「えっ!!?あ…ごっごめんなさい!!」
たしぎがあわてて1枚をスモーカーから取り返す。どうやら自分用らしい。その手にはもう一枚の手配書があった。
「…」
「こ、この二人は…わたしが捕まえたいんです!!!」
「…それは構わねェが…『海賊狩り』はともかく、『くれない』にはあまり入れ込むなよ?」
「それは…どういう意味ですか?」
「別に…深い意味はねェよ…」
スモーカーは静かにため息を漏らす。
”たしぎはたぶん彼女に憧れ始めてるわよ?あの娘の強さ…尋常じゃないもの…。たしぎが彼女に取り込まれないよう気を付けなさい!”
まったく…ヒナも余計なことを言ってくるものだ…
「海兵は海兵…海軍が『組織』である以上『大佐』で我を通すのには限界がある…悔しいが、あの時『くれない』に言われた通りだ。おれ達に必要なのは”地位”だった。が、奴のおかげで少将の地位をこんなにも早く手に入れられた。」
「……」
「エニエス・ロビーの一件で世界中の海賊達が”麦わらの一味”に一目置き始めている。」
「はい…」
「このおれの誇りにかけて、奴らを”新世界”で…叩き潰す!!!」
― ”偉大なる航路” 砂の王国 アラバスタ ―
「ニコ・ロビン……!?なぜ、ミス・オールサンデーが!」
「なぜルフィ君達の一味にいるのだ…!!?」
どよどよと麦わら一味と関わりの深い4人が新しい手配書を見て騒いでいた。
「確かに何か…引っかかる不思議な女ではあったが…」
「ビビ様のお耳に入れたら…さぞ悲しまれる事だろう」
「あ、その話、知ってるけど…何とも」
「なんとも!!?あ…あなたが一番ショックなのではと!!」
「…ふふふ、ルフィさんの頭の中は近くにいたってわからないのよ。考えるだけムダ!(ユナは全部わかってるんだろうけど…)」
「ただし、彼らのやる事は全て…信じられる。彼は海賊王になる男よ!私達とはスケールが違うの!」
「クエッ」
「…!!ウ~~~ム何と寛大!!」
「…大人になられましたな~~ビビ様…」
「ちょっと、どうして泣くの?」
― ”東の海” 海上レストラン『バラティエ』 ―
「司法の島、エニエス・ロビーといえば、巨大な『世界政府』へとつながる玄関口…。それを落としたとなれば海軍も海賊も黙っちゃいねェ。今や麦わら達の名は全世界に響き渡ったといえる。 ― この手配書もな!」
手配書をかざすゼフの肩は小刻みに震えていた。笑いをこらえているのだ。
「ぷぷっ!!」
「どわっはっはっはっはっはっは…・」
「サンジ最高―!!」
「ぎゃーっはっはっはっはっはっはっ!!」
手配書を見て、一同大ウケ。イオリの初めての手配書のほうが酷かったが、イオリの場合、写真を取らせなかったのは自らの意思であるし、似てない絵を笑われても別段気にはならなかったのだが…
サンジがここに居たら暴れまわるか、もしくは暗黒を背負って膝を抱えていた事だろう。
「ひーっ!!だっはっはっはっはっは」
「えー今ご来店のお客様にはもれなく!!うちの元副料理長の手配書をプレゼントしております」
「スゲーだろお客さん!!ホントそっくりなんだぜ!!」
「8000万ベリーの賞金首、”黒足のサンジ”でお馴染みの!海上レストラン『バラティエ』どうぞよろしく!!」
そして、そこには…
髪は栗色セミロング…
バラティエには珍しく、女性の給仕が一人居た。
― ”東の海” 『フーシャ村』(ルフィ達の故郷) ―
「宴だ―っ!!」
わ―わ―
「今日は宴だ―っ!!」
「東一番の出世頭!!3億越えの首!!」
「我らがルフィにカンパーイ!!」
「さらにもう一人!!我らがアイドル!!イオリちゃんにカンパーイ!!」
「やかましいわいお前ら!!恥を知れ!!」
「ギャー村長―!!」
「二人とも楽しそう。こんなかわいいペットまで連れて…このコ達がルフィとイオリのお友達なのね」
「お友達というツラか!!!コヤツらが!!!」
マキノの言葉に村長がさらに熱くなる。
「全世界を敵に回す様な凶悪犯が村から出たんじゃぞ!!!世界政府にケンカを売る海賊など聞いた事もないわい!!」
「ほんとね」
「だいたいガープの奴は何をしとるんじゃ!!我が孫がこんな事件を起こすまで放置するとは!!親子3代どうかしとるわい…ダダンはこれを知っとるのか…」
「「カンパーイ!!」」
ガチャーン!!とジョッキがぶつかる音がする…村人たちは満面の笑みを浮かべて飲んでいた。
「やかましい!!」
― ”東の海” 『シロップ村』(ウソップの故郷) ―
「”狙撃の王様”…本当ね!!間違いない!ウソップさんだわ!!」
手配書を見てカヤが微笑みを浮かべる。
「だろ~~~~~!!?」
「キャプテンでしょ!?この鼻!!」
「村のみんな信じないんだよ―!!そりゃ3千2百万だもんな~~~!!」
「カヤさんならわかってくれると思ったよ!!」
「みんなキャプテンの凄さを知らないんだ!!」
「キャプテンはホラを全部本当にかえる男なんだ!!」
「この仮面カッコいいな―!」
「ねんどで作ろうぜ!!」
「あれ?カヤさんどこいくの!?」
「帰って医者の勉強つづけるわ!私も早く一人前になって…!ウソップさんが傷ついて帰ってきても、全部治してあげられる様になってなきゃ!!」
ニッコリとこぶしをグッと握りしめカヤは元気に走って帰っていく。
「後でイオリさんに連絡してみようっと!!」
「…いいな―キャプテン」
「カヤさんを不幸にしたらなぐろうぜ」
― ”東の海” 『シモツキ村』(ゾロの故郷) ―
「先生先生!!”海賊狩りのゾロ”が!!この道場にいたって本当!?」
「…ええ、本当です」
コウシロウさんが子どもたちに答える。
「(もう一枚の手配書…あれはきっとあの娘だろうな…)憧れてはダメですよ」
「え―!?何で―!!?カッコいいのに―!!」
子どもたちが一斉にガーンという顔をする。
「おれ達にも海賊教えてくれよ―!!」
「別に海賊は教えていません」
「ホントかよ―ズルすんなよ―先生―!!」
「スゲーな―、おれもこんな剣士になりてー」
「(やれやれ困った先輩だ…)」
「先生ズルすんなよ―」
「(「司法の島」の事件には驚いたけど…ゾロ君、君に迷いは無い様に思う…たとえ何者になろうと…君の剣道を大切にしていればそれでいいです…。それに…彼女が一緒なら心配する事もないでしょうね)」
― ”東の海” 『ココヤシ村』(ナミの故郷) ―
「ノジコ!島中で評判だぞあの事件!!ナミちゃんまた色っぽくなって」
「アハハ…バカね、罪人の証よアレは」
村人に声をかけられ答えるノジコ。大きな袋をもって交番へと入っていく。
「ゲンさーん、ほい、みかん!」
「何だまた持って来たのか。ちゃんと店で買うというのに!!」
「まー受け取ってよ水くさい!母さんが返ってきたら、ゲンさんはあたしとナミの父親になるんだからね!」
「…勝手な…」
「で?何してんのそこで」
「海軍本部に抗議の電伝虫をかけとるんだが一向につながらんのだ!!だいたいこんな淫らな手配書が全世界に配られてたまるか!!賞金稼ぎより求婚者が集まってしまうわ!!けしからん!!このまま繋がらないなら、今度ガープさんが来た時に文句を言ってやる!!」
「 ― でも、その写真自体は気に入ってんでしょ?そんなに引き伸ばして…」
交番の壁には手配書の写真を拡大したものがデカデカと貼られていた。
「ふふ…まあいいじゃない? ― だって、あいつらがゲンさんとの”約束”ちゃんと守ってる証拠でしょ」
「…!!まあそうだが!!…それは海賊達の問題で!!」
「…じゃ、イカツい写真の方がよかった?」
「いや、そんなのはもっとけしからん!!」
― ”偉大なる航路” 『サクラ王国』(チョッパーの故郷) ―
「ヒーッヒッヒッヒッヒッヒッ!!」
「ギャ―Dr,くれはが城から降りてくるぞ~~~~~!!!」
「ヒーッヒッヒッヒッヒッ!!」
「うわーっ!!」
「ハッピーかい!?ガキ共!!」
「今日はラバーンに乗ってきたー!!」
「危ないぞ、近づくな―!!」
「ドルトン!何だい人を呼びつけて!あたしゃ忙しいんだよ!!」
「やあ申し訳ないDr.くれは。あなたにコレをぜひ見せたくて!!」
「Dr.くれは!!国王に対して何だその口ぶり」
「何だい?若さの秘訣かい?」
「いや、聞いてねェし!!」
「だいたいドルトンお前、国王らしく城に住んだらどうだい。部屋なら貸すよ?」
「いや…私は住みなれたこの村がいい。あと食べ物は栗ごはんがいい」
言いながらドルトンが手配書の束を手渡す。
「…おやおや麦わらの小僧達だね…」
「先日の大事件での手配書が出まして…」
「チョッパー…」
「額は何かの不手際かと思いますが」
「ヒッヒッヒッヒ顔が見れたら何だっていいさね…そうかい…何よりの便りだよ…おや、イオリも写真になっちまったのかい?まぁ問題ないだろうがね。」
― ”偉大なる航路” 白土の島『バルティゴ』 ―
「”南の海”セントウレアで反乱軍が勝利しました。」
「…また一国落ちたか…」
「やりましたね!!これで先日の”北の海”の…」
「勝利を喜ぶな!!戦争だぞ!!」
「は…はぁ…すいません」
「……これは?」
「”麦わらのルフィ”です。アラバスタで実際にクロコダイルを討ち取った男。エニエス・ロビーの一件で…政府もついに隠しきれない程の大型海賊団になってきました。一味の総合賞金額10億を超えました。何でも船長は海軍のガープの…」
「…」
「あ、どちらへ」
「風に当たってくる…」
「思うままに生きろルフィ…時代は時として…あらゆる偶然と志気をおびて世界に問いかける!!我らがいずれまた、出会う日もくるだろう…」