これは、エニエスロビーにて、バスターコールがあった日、
3月20日、夕刻の出来事…
- とある島 -
エアドアでエニエス・ロビーから脱出したCP9…ジャブラ、ブルーノ、フクロウ、カク、クマドリ、カリファ、ルッチの計7名が瓦礫の中に座り込んだ。
ルッチは意識不明の重体…
「よよよいィっ!ルッチ~は大丈夫なのか~カリファ~!」
それまでルッチを診ていたカリファが黙り込む。
「このままだと…危ないかも知れない…」
「!そんなにかよ!?」
「こんな所でまごまごしてたら。追手に捕まるぞ…」
スパンダムによって作戦失敗の責任を押し付けられた彼らCP9は海軍に追われていた。普段ならどうとでもなる相手だが、エニエス・ロビーでの戦闘が彼らの戦闘力を削いでいた。捕まれば犯罪者同様の扱いを受ける事は明白…
今は逃げる以外の選択肢はなかった。
「まずは…何に代えても逃走ルートの確保をせんといかん…行くぞ!…ぐっ…」
カクがたまらず膝をつく……
「ほら、つかまれや。」
ジャブラがカクに肩を貸す…
「…すまんのう…」
「また、随分とボロボロな感じになってるわね?」
「「!!?」」
「なんで…あなたがなんでここに居るの?…それにどうやって…」
「まぁ、いいでしょそんな事は…。それで?ルッチは目を覚ましたの?」
「「…」」
「その様子だと、全身打撲…いえ、全身骨折って感じかしら?まぁ全部じゃないにしても、拳に覇気が篭ってたみたいだから当然と言えば当然ね…」
「いったい…何の話をしとるんじゃ…?」
戦いの最後、ルフィのジェット・ガトリングには覇気を纏った打撃がいくつも見られた。CP9はまだ誰も、覇気を修得していない。あの打撃を防ぐ手立てはなかったわけだ。そもそも限界だったのだろから、どのみち防ぎようがない…
ルッチが意識を失ったのは、覇気の籠った拳が原因だったのではないかと思う。その後も打撃を食らっていたわけだから、今の状態になったのはある意味納得だ。
「とりあえず、これを飲ませてあげたらいいわ!」
と言って、カリファに回復薬を1本渡す。全員に渡すつもりだけど、まずはルッチに飲ますべきだろう。
このまま放置したら、ホントに死んじゃうもの。それほど危うい状態だ。
「おい!カリファ!!そいつは敵だろ!?それは毒じゃねェのか!?」
「失礼な事を言うじゃない?毒なんて盛らないわよ!!そもそも、あなた達程度なら、始末するのなんてわけないんだけど?」
「なんだと!?」
「…なんのつもりじゃ?」
カクが襲い掛からんばかりの勢いのジャブラを制してイオリに問うた。
「…今のあなた達は…敵じゃないから…かな?」
「おれたちはニコ・ロビンを捕まえたんだぞ?」
「スパンダムの命令で…でしょ?あなた達が主犯だったらこんなことはしないし、そもそもあの場から逃げられるような倒し方もしないわ!仲間があなた達に勝った後、きっちりトドメをさしてたわよ!!」
「「!!?」」
「
「モーガニア?」
「本来の意味は一般市民からの略奪行為を行う典型的な海賊の事なんだけど、政府や海軍の中にもそういう
「…」
「だからスパンダムは敵!!その敵から狙われてる今のあなた達は私の敵じゃないわ。」
「えらく極端な理屈じゃのう…」
「私たちはピースメインの海賊だからね!モーガニアとの違いは獲物が海賊と自分達を襲ってくる奴ってとこかな?だから、襲ってこない限り政府(海軍含む)だって敵じゃない。もっとも、あなた達が知らないくらい廃れた定義だから海賊が悪と見なされる今では私たちが見逃されることもないんだけどね?」
「いつの話だ…!?」
「ロジャーが海賊王になる前は、まだ廃れてなかったはずだけど?まぁとにかく、少なくとも今のあなた達は私の敵じゃないわ。それより早く飲ませてあげなさい!なんなら毒味しましょうか?」
「…いいわ…なんでかしら?不思議とあなたは信じられる気がする…」
カリファが回復薬を口に含んで口移しでルッチに薬を飲ませる。
「!…なんとか脈拍が落ち着いてきた…。恐らく、命に別状は無くなったわ!!」
「マジか…」
「はい、あなた達の分!!」
と言って、同じビンを6本カリファに渡す。全員がそれを飲み、ある程度体力を回復した。
「信じられねぇ…!こ、こりゃなんてこった…!?」
「回復したみたいね?向こうに海列車の線路があるわ。そこからなら追手の目も欺けると思うわよ?一応前もってあそこら辺にいた奴らはご退場していただいといたから。1番近い島は確か、セント・ポプラって島だったかな?」
「助けてくれた事には感謝する…だが本当に何が目的じゃ?」
「さっき言った通りよ。それ以上でもそれ以下でも無いわ。それとこれ…」
「電伝虫?」
「ホットライン用の電伝虫よ?どうしようも無くなったらそれで連絡して頂戴。それじゃあね!!」
「「!!?」」
「き、消えた!?…何だったんだあいつは!!?」
「……行くぞ。」
複雑な表情をしたカクが立ち上がる。
CP9の面々は線路の上を歩いていく。ルッチはクマドリが抱えていた
そして…
原作扉絵の通り、CP9はルッチの為に資金集めを行うが…
しかし大道芸や日雇いの仕事で得られる報酬などたかが知れている。
それらは生活費と入院費で消えていった…
数日後、みんなを説得してカリファがイオリに連絡を入れる。
全員に回復薬が与えれ、さらに仙豆でルッチが復活した。
「何故…おれたちを助けた!?」
ルッチがイオリに問いかける。
「そうねェ…」
としばらく考えた後、イオリは答えた
「もったいないから…かしらね?」
「何を言っている?そもそも理由になってない!!」
「納得してもらう必要はないわね。単なる気まぐれだと思ってくれていいわ!!」
「…借りは…いずれ返す…」
「別にいいわよ。貸しだなんて思ってないし…」
「いや、絶対返す!!絶対にだ!!」
「はいはい…」
CP9は日雇いや大道芸をしばらく続け、生活に馴染んでいく。
血なまぐさい生活から少しづつ人間らしい生活へと慣れてゆく…
物足りなさを感じるものの、ゆったりとした生活に満ち足りたものも感じていた…
娯楽を楽しんでいたある日…町が騒がしくなる。海賊の襲来である!!
カリファはイオリに連絡した。(カリファはなぜかイオリに心惹かれていた…)
そして、海賊が町で暴れ…町を守るため対応するCP9。 しかし…
彼らはやり過ぎてしまう…いや…彼らにとってはやり過ぎではなかったのかもしれない。
だが…『過剰なる正義』に人々は恐怖した…
海賊を殲滅した後、行きすぎた正義が人々にどう映るのかを実感する面々…
「助けてくれてありがとう!」
一人の女の子だけが感謝の花を…
カリファが受取り、他の面々は目に涙を浮かべていた。
「物事の本質がわかる人は少ないのよ。普通は起こった事柄の結果が全て…!!あなた達が海賊を倒した事は、ここに住む人たちにとっては良かったんだろうけど、ちょっとやり過ぎたわね!!今のあなた達は政府の者だと名乗れない。そんなあなた達がここで暴れたとしたら…誰が止める事が出来ると思う?ここに住む人たちが、不安に思うのは当然だと思わない?」
「「…」」
イオリに言われ、全員が言葉を無くしていた。
力は手に入れた。しかし…肩書きがなければ、それは人々にとって恐怖に映るという事か…
「この町を出ましょう…」
「…ああ…そうだな…」
「行くあてはあるの?」
「「…故郷へ!!…」」
故郷へと移動するつもりでいたが、船はマリージョアへと進んでいた。
「…おれ達を…騙したのか?」
「いや…そもそも海賊のお前がマリージョアへ向かってどうする?」
「さっき、ゾフィーから連絡があったのよ。あなた達への容疑が晴れたってね!!」
「「はぁ?」」
イオリは事情を説明した。
ロビンを連れてためらいの橋へ行くまでの間のスパンダムの発言は、全てイオリがTDに録音していた。
それをゾフィに渡し、彼が仲間を救う為に動いていたのだ。
カノンの所に訓練に行っていたのが幸いし、そのTDをCP0の総監とカノンと五老星が揃って聞いた。
その結果、すぐさまCP9の容疑が晴れたのである。
当然、スパンダムは更迭される事になった。
そしてルッチは、司法の塔でロビンを連行する際、イオリがずっと一緒に居た事を知る。
「まさか…あの女をためらい橋まで連行する間ずっとか?」
「そうよ?」
「…気づかなかった…」
「仕方ないわよ。あの時あなた達は私の能力を知らなかったんだから…。まぁ知られてたとしてもバレない自信はあるけどね。それにバレたとしても問題なかったし…」
「…どういう意味だ?」
「あなたに勝てるからよ!」
「「!!?」」
「聞いて驚け!私はルフィよりも格段に強いのよ!!」
「「!!?」」
そして、ルッチが手合わせを行った結果…
「…」
「どうした!?おい!ルッチ!!?くれないの道力はいくつなんだ!!?」
「ルッチが4000じゃから、6000くらいが妥当なとこじゃろ…」
「…違う…」
「?」
「もっと上って事?」
「信じられん…!!我々とは…次元そのものが…まるで違う!!!
」
「何だとっ!!?」
「い…いったい、いくつなんじゃ!!?」
「…3万だ…」
「なっ!!?」
「おいおい、冗談よせよ。いくらなんでも大将と同等ってェのはねェだろ?こいつは東の海のルーキーだぞ!!?」
「冗談ではない。大将の道力は2万3000~3万程だと聞いている…これも正確な数値とは言えんだろうが、少なくとも同等程度に渡り合えるという事だ…。貴様…いったいどんな訓練をしてきたというのだ!?」
「どんなって言われてもねェ…仲間でもないのに、そんな事教えるわけないでしょ?」
「…」
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「助けた事を後悔するぞ?おれは血に飢えた獣だからな!!」
「ちがうわね。あなたはただ強いヤツと戦いたいだけよ!!ウチのゾロと似てるかな?」
「!!?」
”殺し”を楽しんでいる節は見受けられるが、それは”つまらないから”という感じを受ける。
弱いヤツ(一般人ではなく兵士)が嫌いという事もあるだろうが、強いヤツと戦う機会があるのなら、自分を鍛える事に目を向けるはずだ。
「あなたが飢えているのは、自分を高く引き上げてくれる闘いに…でしょ?違う?」
「……」
「私と
「なんだと!?」
「たとえ模擬戦でも、あなたは生死を掛けた闘いが出来るだろうって事よ!もっともそれを継続するには私自身も強くなり続けないといけないけど…元々そのつもりだしね!!」
「…貴様…どうやってそれ以上強くなるつもりだ?」
「教えないわよ!それとも仲間になる?まぁ、ルフィが『うん』と言えばだけど?」
「…」
「さっきカリファに渡したホットラインは持ってなさいな。暇な時なら相手してあげてもいいわよ?」
「海賊の手など…」
「強くなりたいんでしょう?それに訓練じゃなく海賊を倒すという名目でなら、あなたは私と闘れるんじゃないの?」
「…貴様に…何の得があるというのだ?」
「さあ?」
「…」
「「…」」
その後、たまにルッチ達と闘り合っている…
これにてW7編終了となります。
読んでいただき、
ありがとうございます!!