イムの娘(いむのこ)   作:槙 秀人

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06-190話:ゴースト船

 ウソップがゆっくりと振り返ると、視線の先に、大きな幽霊船?が現れていた。

 

「ヨホホホ~…♪」

 

「で、出たァ~~~~~!!!」

 

「ヨホホホ~…♪」

 

「「ゴースト船~!!!」」

「「ギャアァァァァァァ…」」

 

 ロビンと私以外の全員が、声を揃えて叫んでる。

 って、ルフィ…?何でおまえまで驚いてんの!?

 

「ギャアァアァァァアァ!!!」

 ロビンは落ち着いているように見えて、顔色は優れない。コワイ事はコワイんだね?

 

 私?そりゃぁなんともないですよ。原作知識だけどこの船知ってるから!それに、これで音楽家代理がなくなるかと思うと、嬉しくなってたりする。

 

「ヨホホホ~…♪」

 

「何なの!?この歌…」

 

「『ビンクスの酒』じゃね?」

 

「「えっ!!?」」

 言うと、みんながびっくりしたように振り向いた。たまにルフィが歌ってるじゃんよ?

 

「ほんとだ!!『ビンクスの酒』だ!!」

「あんたは…何でそんなに落ち着いていられるのよ!!」

 

「別に私、オバケとか怖いと思わないもの…」

 ナミに文句を言われたけどねェ…。そもそも私は怪奇現象なんて怖いと思わないのよ?

 むこうの世界に居た時からだけど、霊やらオバケとか居てもなんとも思いませんわ…。むしろ居て当然とすら思ってるし!

 私の存在自体が怪奇現象(?)と言っても過言じゃないから、尚更だわ。

 

「ハァ…ハァ…悪霊の舟唄だ!!!聞くな!!耳を塞げ!呪われるぞ!!!」

 いやいや、呪われねーってば…

 

「え~~~!!?」

 

「ゴーストが話しかけても耳をかすな!!!応えたりしたら海へ引きずり込まれるぞ!!!悪霊は道連れを求めてる!!!」

 

「…この船に…誰が乗ってるっていうの…?」

 

「ヨーホーホーホ~…♪」

 

「フン…敵なら斬るまでだ」

「いるぞ…なにか」

 

 船の上に人影が見えた。

 

「……!!!」

 チョッパーは涙と鼻水を流しながら声にならない叫びを上げている。

 

「……ビンクスの酒を…♪ 届けに…ゆくよ…♪」

「!!?」

 アフロヘアにシルクハットをかぶったガイコツが紅茶?を飲んでる。

 

 確かに知らなかったら恐ろしい光景かもねェ~

 

 あぁ、ウソップもチョッパーと同じになってるし…

 フランキーも驚いてるみたいね?

 

「よし!!あの船に乗り込もう!!」

「「おまえ!!なに言ってんだァ!!」」

 ルフィの提案にウソップ、チョッパー、ナミのトリオがツッコミを入れる。

 

「おめェらも見ただろ?生きたガイコツがいたじゃんか!!あいつに会いに行くんだ!!」

 ルフィは満面の笑顔で言い放つ。

 

「全員で行くのもなんだから、半分くらいでいいかしら?ルフィは行くとして、他に行きたい人は?」

 私が聞くと全員が首を横に降った。ゾロやロビン、フランキーまでも行きたくないって…

 

「いいよ、おれ一人でも行くから!!」

 その状況を見てルフィが言い放つ。ちょっと不貞腐れている感じ?

 

「船長はこんなふうに言ってますけど?…みなさんはそれでよろしいので?」

 私はルフィと一緒に乗り込む事に決めている。私のこの発言はつまり、

 

『見張って無いとコイツ、何かとんでもない事するかもね?大勢に影響がなければ私はルフィのサポートに回りますけど、みなさんそれでもいいですか?』

 と、変換されている事だろう。

 こう言われてしまっては、誰も行かないという選択肢は選べないでしょうね?

 

「「…」」

 

 結局、原作通りのくじ引きで、サンジとナミが当たり(?)を引いて、ルフィと私を含めた4名で船に乗り込む事に…

 

「何で行くの!?やっぱり私帰る!!」

「くじ運だからな」

 ナミが文句を言うと、船の上からウソップがのたまった。未来のお前に言ってやりたいよ。自業自得だと!!

 

「大丈夫!!ナミさんはおれが守るぜ~~~♥」

 

「だから、おれ一人でいいって」

「ダメだ!お前がアホやっておれ達の船が呪われたらどうすんだ!」

 だから、呪われねーってば…!!

 

「そんな事より、私はこの船に乗り込んだルフィが迷子になっちゃう事の方が恐いんだけど?」

「失敬だな、お前!!」

 よくもまぁ…そんな返しが出来るわね?

 

「ナミ、お前『宝船』楽しみにしてただろ?」

これが『宝船』なわけないじゃない!!見たでしょ!?動くガイコツ」

「あいつが宝の番人だ!とにかくあいつを探そう!!」

 

「探すまでもないわよ」

「「なんで(だ)よ!!」」

 

「えっ!だって…」

 そこに居るんだもん!

 

「!!!」

 ルフィが登り切ろうという時に、欄干に件のガイコツが現れた

 

「「ギャアァアァ…!!!」」

 

 

「悪霊退散、悪霊退散…ルフィ安らかに眠れ~~~~~~!!!」

 3人の悲鳴と船から叫ぶウソップの声が響いた。

 ってか、ルフィまで叫ぶことないじゃないよ!!

 

 

ごきげんよう!!!ヨホホホ!!!先程はどうも失礼!!目が合ったのに挨拶も出来なくて!!!」

 無茶苦茶背の高い、紳士風の服装を纏ったガイコツが、私たちを出迎えてくれた。確か266cmだっけ?

 

 ガイコツは『ブルック』と名乗った。

 

「ビックリしました!!何十年振りでしょうか…。人とまともにお会いするのは!!ここらじゃ会う船会う船ゴースト船で、もう怖くて!!」

 

「みろ、喋ってる!!ガイコツがアフロで喋ってる!!」

「………!!」

 

「さァさァどうぞ中へ!!」

 ナミはガタガタと震えてる。サンジがナミを庇うように立っている。

 私はブルックの言葉を聞いて、少し考え込むふり(・・)をした。

 

「オヤオヤ!!そちら実に麗しきお嬢さん方!!んビューティフォー!!!」

「…えっ、いえ…そんな」

 あらまぁ、私も!?

 

「私、美人に目がないんです!!ガイコツだから目はないんですけども!!ヨホホホホ!!」

 ナミはまだ震えてる…でもまぁ大丈夫でしょ!

 

「パンツ見せて貰ってもよろしいですか?」

「見せるかっ!!!」

 

 ― バキ!! ―

 

 ナミの蹴りが、ブルックのこめかみにヒットした。

 ちょっとビックリ!すごいわね…!!あんな高いところに…

 

「ヨホホホホ、オヤオヤ手厳シィ―!!!」

 ブルックは倒れた…

 

「骨身にしみました!!ガイコツなだけに!!!」

 

「うっさい!!!」

「うははははは!!あひゃひゃひゃ」

 そのやり取りを見てルフィが大笑いしてるし…

 ナミも震えが止まったみたい?

 

「ちょっといいかしら?」

「はい?なんでしょう?」

 ちょこっと割り込ませてもらいましょう。私としてはそのためにココに来たんだし!

 

「さっき、ブルックって名乗ったわよね?もしかして『鼻歌のブルック』?

!! ヨホホホホ!驚きました…。お若いのに、よくご存知ですね?」

 

 そりゃね!私の手元にはこれまで発行された手配書が全てある。失効してても必要なものは残してある。

 手に入れた手配書は全てタブレットに記憶しているから、捨てた手配書も全て確認は可能。もちろんブルックのは失効してないから手配書もファイルに入れてある。もっともアフロ以外の見た目が変わっちゃってるけどね?

 

「やっぱりね!!って事は、楽器演奏出来るわよね?」

「はい。勿論です!!一通りの楽器は演奏できますよ!!」

 

「よし!!やった!!!」

 私はガッツポーズで叫んでいた。

 

「ちょっと、イオリ…!あんた何喜んでんの!?」

 

「お前、うんこでんのか?」

「それ以前の疑問が山程あんだろ!!!」

 

「あ、うんこは出ますよ」

答えんな!どうでもいいわ!!!まず!!お前は骨だけなのになぜ生きてて喋れるのか!!お前は一体何者なのか?なぜここにいるのか?この船で何があったのか?この海ではどんな事が起きるのか?全部応えろ!!!

 

「そんな事よりお前、おれの仲間になれ!!!

「ええ、いいですよ」

「!!?」

「うおおおおおおいっ!!!」

 

 ― スパコーン!!! ―

 

いでっ!!何すんだ!イオリ!!」

 すかさず私がルフィーの頭をぶん殴る。

 

「あんたねェ!!」

 

「そうよ!!言ってやってよイオリ!!」

 何を思ったのか、ナミが私を応援してるけど…?

 

「何よ『おれの』って!!『おれ達の』でしょ!!」

「「!!?」」

 

「い、イオリちゃん!!?」

「何言ってんの!!?」

 

 まだ、頭の中での整理がついてないので、みんなには言わないけど…

 

 この船の海賊旗のマークは、確かにルンバー海賊団のものだ…。原作と同じなので安心した…

 

 とりあえずルフィがブルックに、仲間になれって言う前に、覗いたブルックの思考から得られた情報を整理しておきましょう。

 

 

 

 

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