イムの娘(いむのこ)   作:槙 秀人

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06-201話:亡き師の言葉

「に…肉球人間!!?」

「何だその和やかさ!!!」

「悪魔の実に”癒し系”ってあんのか!?」

 

「…七武海だか慈悲深いだか知らねェが…コイツもしかして大した事ねェんじゃねェ…」

 

 ― ボッ!!! ―

 

「!!?」

 フランキーを衝撃波が貫く…。この距離で余計な事言うからよ!

 

「オォ…!!」

 衝撃波で吹き飛ばされたフランキーは瓦礫の中に…

 ダメージはくらったけど、死んじゃいない。ギャラリーはものすごく驚いてるけど…

 

「フランキー!!!」

「……!!」

 

「鉄人フランキー…お前の強度はその程度か…?」

 

「もしかして”大気”を弾いてるんじゃ…普通の大砲はフランキーには通じない筈」

 

 これは、フランキーにも六式と覇気を教えたほうがいいかも知れないわね。とりあえず後で教本渡しとこ。やるかやらないかは本人に任せましょう。

 さて、痛みも感じなく(・・・・)なって来たし、準備しますか!!

 

「”圧力砲”という…。高速で弾かれた大気は衝撃波を生み突き抜ける!!!」

 くまがシコを踏んでいる。

 

「まったなしだ…」

「!」

 くまが圧力砲を乱射…ソロが刀狼流しでそれを避けながら、くまに接近して斬撃を放つ…それを…

 

「ぐあ!!!」

 

「ゾロ!!!」

「斬撃ごと弾かれた!!!」

 まさか、あんなにプレッシャーが凄いとはね!原作よりタフさが増してダメージも少ないハズなのに…

 ゾロが息を切らせているのはそれをモロに浴びているからだ。

 ひょっとしてくまも覇王色、発現してるとか?

 

「コノ…!!!」

 

「ゾロ!後ろだ逃げろォ!!!」

 

「!!?」

 

「そこまでだ!!」

「!?」

 

「粗砕(コンカッセ)!!!」

 サンジの蹴りがくまの顔面に直撃した。

 

 - ガコォン!! -

 

 と、ものすごい金属音が響いた。

 

「うおー!!!サンジ―!!!」

「肉球でハジかれてねェぞ!!?頭蓋骨なんかバキバキだコノヤロー!!!」

 

「…いいえ…ダメージ1程度よ…」

「なんだソリャ!?ダメージ殆どねェのかよ!!?!

 

「…!!てめェ余計なマネ…!??

「……!!!おあああああ…!!!」

「!!?」

 

 サンジが私とちゃんと組み手をしてくれてれば、もっとマシになってたのにな?

 原作カリファ戦と同じなんだもん…。蹴りの強度を増す為に当てろって言ってんのに当てないから、結局スピード訓練にしかならないし…

 あの騎士道精神は立派だと思うんだけど、訓練の時くらいなんとかならんもんかね?

 

「黒脚のサンジ…お前がそうか…」

 

「サンジの蹴りでビクともしねェ!!!どういうこったコリャ…」

 

「何だ!?コイツの固さ…!!!顔は鋼造りか!!?」

 

「ひ…ひ…!!火の鳥星!!!」

「…狙撃の王様…大それた通り名だ…」

 火の鳥は跳ね返された。そりゃそうでしょ?なんで攻撃したんだウソップ?

 あ、火の鳥直撃してるし…

 

 

「さて…それじゃ、手合わせ願おうかしら?

「…(くれない)か…体調が優れないようだが?」

「そんな事、気にする余裕あるのかしら?」

 

「な…何言ってんのイオリ!?」

「イオリちゃん!?」

 

「…なるほど…!!青キジの言っていた通り、バケモノのようだな…」

 

「えっ!!?イオリが?」

 

「ならば、こちらも”本気”で行こうか!!」

 

「何っ!!?本気だと!!?」

 

 くまが放った圧力砲を武装色の掌底で横に弾く。それを見ただけでギャラリー達は驚いてるけど、そんなんじゃこの先の戦闘を見てらんないわよ? あ、どのみち見えないかも?

 

「消えた…」

「イオリも居ねぇ!!」

 

 高速での闘い…あちこちで衝撃音が響く…。

 ギャラリーから見ると、私たちは一瞬姿を現してはまた見えなくなるの繰り返しかもしれない。

 

 恐らく、くまは黄猿よりは遅いと思う。私が目で追えるスピードだ。

 くまは驚いてるようだけど?

 

「あんなところに!!」

「なんだァ?どうなってんだよこりゃぁ…!!」

「なんてスピードだよ…!まったく目で追えねェ…!!」

 

 なるべく人の居ない所に誘導して攻防をくりかえす。いろいろ私のほうが制約あるわね…

 

 くまの掌打を避けて腕を掴んで一本背負い!!

 

 - ドオーン -

 

「ぐぅ!!…」

 

「イオリが押してる…?信じられないわ!相手は七武海だというのに…」

 

 しばらく見えない戦闘が続き2人が姿を現した時、ナミがそれに気づいてハッとする。

 

「どうしたナミ!?顔色わりぃぞ!?」

「イオリが…」

「ナミ、どういう…あっ…」

 ナミの視線の先を追ったロビンがイオリの足元を見た。

 ズボンの裾が黒く染まり、足元にもシミが広がるのが見える。

 

「まさか、これほどの強さとはな…世界政府はお前の事を甘く見すぎているようだ…。青キジの報告ですらなまぬるい…」

「七武海にそこまで言ってもらえるとはうれしいね…ん!あれ…??」

 

 カクン

 

 あらら?足に力が入らない…

 

 私は膝から崩れ落ち、女の子座りの恰好に…

 

 - ベチャッ -

 

 という音がして、見ると足元に血だまりが…!!?

 

 ヤベ…クラクラする……

 

 

「イオリがァ…イオリが殺ざれぢゃう!!」

「そんな……」

 ナミは涙を流しながら嘆く。ロビンも言葉を失っていた。相手が彼では、誰も彼女を助けられない…

 

 

「驚いた…!そんな状態で戦っていたとはな…」

「…」

 

「…やはり、今のお前達を消した所で何の面白みもない…!」

 パッっと私をナミ達のところに飛ばし、くまが言った。

 

 ナミとロビンが私に駆け寄るが、私はくまを睨みつけていた…

 

 ふと、亡き剣の師であるくいなの言葉が思い出された…

 

 - 女の子が世界一強くなんてなれないんだって… -

 

「くっ…」

 

 

「政府からの特命は、お前達全員の完全抹殺だが…」

 くまが両手を広げ…

 

「!」

「!?」

 

「何やってんだ?ありゃ…変な形の大気の層が見える…」

「どんどん縮むぞ」

 

「肉球で弾いて…大きな大気の塊に圧力をかけてるのよ…」

あれほどの大気が元に戻ろうとする力は…ものすごい衝撃波を生む爆弾になる…!!!

 

「…!?爆弾!?…要するに爆弾作ってんのか?」

 私が海列車で使った空気圧縮砲はこれをヒントにしたんだもの…。破壊力は知ってる…!

 

「お前達の命は…助けてやろう」

「!?」

「そのかわり”麦わらのルフィ”の首一つ、おれに差し出せ!」

「!!?」

 

「その首さえあれば政府も文句は言うまい」

 

「!!!…仲間を売れってのか…」

「……」

「さァ…麦わらをこっちへ」

 

「「断る!!!!」」

 

「残念だ ”熊の衝撃”

「!!?」

 

 …あかん…瓦礫がナミやロビンに直撃しないように防ぐのが精一杯だわ…

 

 この後、私……立てるかな?

 

 ~ ~ ~ ~ ~

 

 くまは瓦礫を片付けながら、ルフィへと近づく…

 

 そしてルフィに手を触れようとした時だった

 

「”獅子歌歌”!!!!」

 

「!!? ウ……!!」

「!!?」

 くまの左肩が露わになり、煙と火花が見えた。

 

「……!?てめェ…一体…!!」

「……」

 

「…!?フランキーみてェな改造人間か…!?」

「……」

 くまが口を開けてレーザーを放つ。ワザとゾロが避けられるようにして放った閃光が瓦礫の山を吹き飛ばす。

 

「おあ!!!」

 

 ― ズドォ…ン!!! ―

 

「…ハァ…ハァ…鉄が…溶けた…!!」

 

「改造人間…確かにそうだが、”サイボーグ”フランキーとはずいぶん違う」

「!」

 

「おれは”パシフィスタ”と呼ばれるまだ未完成の政府の”人間兵器”」

「……!?パシフィスタ…!?」

 

「開発者は政府の天才科学者Dr.ベガパンク…世界最大の頭脳を持つ男…!!!奴の科学力はすでに…これから人類が500年をかけて到達する域にいるといわれている」

 

「 ― そんな体をして…しかも”能力者”か…さらに希望をそがれた気分だ…!!さすがにもう…おれの体も言う事をきかねェ…ハァ…どうしても…!!ルフィの首を取っていくのか……!?」

 

「 ― それが最大の譲歩だ」

 

「(ちっ…仕方ねぇな…!!)」

 

 拳を握り…ゾロは、ある決意を持ってくまを見た。

 

 

 

 

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