「申し訳ありませんっ!!!ヘッド!!今すぐにこいつら全員海へ引き込んで…」
「おれは好きでこんな人攫い稼業やってんじゃねェんだよ!!よくわかってるよなァおめェら…!!!」
○斗の拳のジャギよろしく、鉄仮面をかぶって『コー…コー…』呼吸しながらヘッドが言う。
「勿論ですヘッド!!!」
「めでてェ日だ今日は…!!殺したくて殺したくて、夢にまで見たその男が…!!!今おれの目の前にいる…!!!」
「!」
「ありがてェ…神様ってのァいるんだなァ…!!ある日突然おれを地獄のどん底へと突き落としやがったその男!!!」
「アイツこっち見て喋ってねェか?」
ウソップが焦ったように呟く後ろで、ナミもビビってる。
「…」
フランキーはどっしり構えてるけど、不思議そうな目でヘッドを見てる?
私は”ポン”とサンジの肩を叩いた。
「!?」
「その男ってのはサンジの事らしいわよ?アイツの頭の中には『サンジ』って”文字”が浮かんでるわ!!」
そう、顔じゃなくて”文字”がね…
「はぁ?おれ!?あんな奴おれ知らねェぞ!!?…たぶん…」
「…おれは今日ここで…!!!たとえ刺し違え様とも…必ずお前を殺す!!!海賊”黒足のサンジ”!!!」
「…」
「会いたがったぬらべっちゃ…」
「やべェ!!怒りでなまった……!!!」
「!!?おれを殺してェって!?あの野郎…!!」
「サンジ!!あいつ誰だ?お前何か恨まれてんじゃねェか!!」
「レストランの時代じゃない?よく思い出して!」
「 ― そんな前の話なら…まーあの時代は人に恨みを買う事ばっかやってたから」
「討たれろ自業自得だ」
「おれ達に迷惑かけんなあいつコエーぞ!」
「イオリはさっき”文字”って言ったわよね?それって彼はサンジと面識が無いってことじゃないの?」
「そうだと思うわよ?面識は無いけどサンジを恨んでて…顔を隠さなきゃならないって言ったら、あいつがどんな奴なのか、なんとなくわかる気がしない?」
「「!?」」
「すっトボケてんじゃねェ”黒足ィ”!!!ごく最近の話だ!!!」
ドドドドドドド!!!
「!!?」
無数の銛が飛んでくる。
「危ねェ伏せろ!!銛だ!!!」
「…!!?最近だと!?ますますわからねェ…」
「…待て!!この銛、様子が変だぞ」
「コイツは”サソリ”の毒の銛!!!刺されば3分であの世へ行ける!!!」
「!!?」
「なーんだ!”サソリ”の毒なら”解毒剤”があるから安心よ!ちゃんと全員分あるしね!!」
「「そういう問題かっ!!」」
え~!!せっかく手に入れといたのにィ…!!?
血清と違って副作用の心配は殆どないんだよ?
ちなみにアラバスタでロビンがルフィにあげたのと同じヤツだと思う。サソリの毒とセットで保管してあるのです。
たぶん使う機会は無いだろうけど…
「おれの怒りの程を知れェ!!!てめェら一味も皆殺しだァ~~~~~!!!」
「はい残念!!悪いけど防御させてもらうわよ!!」
と、言って取り出したのは、アラバスタ出港時に使用したヒナ部隊対策の盾。銛よりもっとデカイ鋼鉄の槍を防ぐために作ったものだから、この程度の攻撃なんてなんちゃない。銛はすべて海に落ちた。
「助かったわイオリ!!」
「イオリちゃん!アイツがおれを恨む理由ってわかるのか?」
「まぁ、ほとんど八つ当たりな気がするけど、サンジのせいっていえばそうなのかもしれないわね?一番悪いのは『炎のアタッチャン』だと思うけど…」
「誰それ?」
「意味わかんねェんだけど…」
「顔を見ればわかるんじゃないかな?みんなも知ってる顔だしね!!」
「「えっ…知ってる顔!!?」」
「おれ…あの仮面の下見た…!!」
足場の上でルフィがゾロに言う。
「本当か!?何者だよ」
「今見せる!!驚くなよ!?お前も知った顔だぞ」
「おれも!?」
ルフィがヘッドに向けて突進する。仮面を外すつもりだね…
「おおおお」
「!」
「おりゃ!!!」
「!!?」
ルフィの蹴りで鉄仮面が外れて飛ぶ…
「ああっ!!あの野郎!!」
「ウッ」
「……!!!」
ガラン…!!
「デュバル様の…鉄仮面が!!!」
ガラン…!!ガラン…
乾いた音を響かせて、鉄仮面が足場を転がる…
「いいさ、よく見ろ…!!このおれの傷ついた顔をよく見ろよ…!!!」
「ああっ!!!」
「うそ…!!!」
「え~~~~~!!?」
ウソップ、ナミ、チョッパーが…
「……!!」
サンジが一人、青ざめてる…
「ねっ!?みんな知ってる顔でしょう?」
「こいつ…!!!」
ゾロが…
「まあ」
「あらら」
「ウオオオ…泣ける」
ロビン、ブルック、フランキーが…
「今日という日を待ってたんだぬらべっちゃ…!貴様をブチ殺すと心に決めでオラは海さ出た…!!だどもおめェを探すのは…大変だったべっちゃ…!!…手配書と本人の顔が違ェがらなァ…!!」
ばんっ!!
と床に叩きつけたのは、ご存知サンジの似顔絵手配書…
「海軍や賞金稼ぎはもすかすて、本人を見がげでも素通りがもすれねェぬらなァ!!…いィや!そんだら事はねェ…!!奴らはお前を見づげる!!!」
「ヘッド…!!」
トビオウライダーズの面々はしくしくと涙を流していた。
「おいサンジどこへ!?」
サンジは月歩で船を飛び出した。
ウソップ?どこへって決まってんじゃんよ!?
「見づけでそいづらこう言うぬら…『見づげだどー!!黒足のサンジ』!!! ― そして
「知るかァ~~~~~!!!」
― バキィ!! ―
「ボベ~~~!!!」
下降しながらの蹴りはけっこう効くだろうなァ~!
普通の蹴りって所がサンジの優しいところだろうか?
「何が『知るか』だァ!!!おめェ以外に誰がこぬ責任さ取るぬらー!!!」
「うるせー!!!あの手配書に頭キてんのはおれの方なんだよ!!!」
「ヘッドー!!」
「……」
「びっくりした~~…世界って広いわ…」
ナミがため息を吐きながら言う…
「サンジの奴、奇跡の星の下に生まれてきたんじゃねェだろうか」
「いつの日かすごく面白い最後を遂げそうね」
ウソップ、ロビンが続く…
「おれァデュバルって野郎、不憫でならねェ」
フランキーは泣いてるし…
「こーいう事あんのな…」
チョッパーは目が点になってる…
「ニュ~~~あいつらそっくりじゃねェか?」
ハチは…ルフィみたいな事言ってるし、ケイミーとパッパグは言葉も無いようだ…
「ウリ二つだ」
とゾロ…
「ヨホホホ!ヨホホホホ!!ヨホホホホ!!ヨホフッゴホッヨホホ…」
「ブルックてめェ!後でハッ倒すぞ!!」
笑いながら咽るブルックにサンジが怒ってるけど、興味を失ったやつが一人いるわよ?
「じゃあサンジ、おれ達先いってるから」
「おれのせいか!?これ!!!」
ルフィのセリフにサンジがショックを受けてる
「手配書に似たくなきゃ、まず髪型とかヒゲとか簡単に変えられる場所があんだろうが!」
それを聞いたデュバル達。一瞬考え…目からウロコが落ちたような表情で、こぶしでポン!と手のひらをたたく…
まるでルフィを見てるみたい。
「あー、その手があったーって、バカなのか、お前ら根本的に!!」
「バカじゃねェぬらべっちゃ!おれ達ァなァ“黒足”ィ、おれ達ァ…!この海の片田舎で…しがねェマフィアをやってたんだよ…!村の住人達をオドし回って暮らす…それなりに幸せな人生だった…!それがどうだ…ある日突然現れたレベル違いの海兵達、背中に大きな“逃げ傷”を受け…世間にゃ二度とツラを晒せず鉄火面…!おめーのせいで、オラの人生メジャグジャだらっちゃ!!オラはおめーを地獄の果てまで追っていくべっちゃ!! それがイヤなら今ここでオラを殺せばいいぬら!」
と言ったものの、サンジに蹴飛ばされ、
「殺されるー!!!」
と焦るデュバル。
「てめェのくだらねェ言いがかりで、何でウチの女性陣まで危ねェ目に合わなきゃならねェんだ!」
「おめーが海賊として名を上げちまった原因の船!!ならばその船員もおれの恨みの対象になって当然!!おめェら全員死ぬがいい~~!!」
デュバルは毒の銛をサンジに打ち込んできた!
『編隊を組め!!』
「え?」
フランキー…もうそれいいから!!
「剃刀!!」
二人のトビウオライダーズがサンジに網をかけようと上空から襲いかかる。サンジの一歩後ろはもう海…
ちょっと足元を見た瞬間、網がサンジを捕らえた
「しまった!!」
「サンジ!!!」
「網を破れ!!海へ引きずり込む気だ!!!」
「 ― まいったぜ、鉄の網かよ…」
「苦しんで…溺れ死ね!!」
― ザッザン!! ―
「!!?」
サンジの両脇で網が斬られ、2匹のトビウオライダーズはバランスを崩して海に落ちた。
「ほんと、いつもながら見事よね…」
「そうね…ときどき彼女が一番年長者に見えちゃうわ」
「サンジっ!油断しすぎ!!月歩で上に避けられたはずよ!!ウソップ!!状況判断はどうしたの?トビウオは見えてたはずでしょ!?下手したら、仲間が死ぬトコよ!?」
「「め…面目ねぇ…」」
「ほらっ!!言ってるそばから次が来るわよ!!」
あれ?
もしかして…
サンジは海に引きずり込まれた方が幸せだった?