イムの娘(いむのこ)   作:槙 秀人

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07-213話:人間オークション

 ルフィ達が上陸した後、私はナミが分別した宝を小さくして甲板に上がった。

 

「出ねェのか、ウソップ、フランキー、みんな町へ行ったぞ。」

 サンジがフランキーとウソップに声をかける。

 

「さっき海戦でちょっとキズついたからな、船のメンテはおれの仕事!」

「おれも手伝いてェから残った。終わったら、じゃあ4人で出よう、この島、楽しそうだ!」

 

「ゴメン、私はこれから換金にいくの。ちょっと時間がかかりそうだから、今日のところは観光は無理かも知れないわ。どのみちコーティングには数日かかると思うから、観光はその時にでもしようかな?サンジも買い出しは何も今日じゃなくてもいいと思うから、3人で出かけてきたらいいんじゃない?」

 

 原作ではナミに宝の番を頼まれたサンジだけど、宝は小さくして持ち歩けるようにしてるから船に財宝を全部放置するなんて事はない。まぁ、見せ金程度は置いてあるけどね?

 なんでサンジが居るかというと、私と一緒に買い出し行くつもりだったみたい…。

 ナミやロビンと一緒に行かないなんて珍しいわね。

 

「それじゃ、おれもウソップ達と一緒に出てくるよ!!」

「一応これ!ナミにも渡しておいたけど、子電伝虫渡しとくわね。何かあったら連絡して頂戴!!」

 

「よっ」

 あ、ゾロもまだ残ってたんだ…

 

「アレアレ!?もしもし!!?ちょっとゾロ君!?てめェいたのか!」

「たった一人でどこ行くの!!?」

 サンジとウソップがその姿を認めて慌てて叫ぶ

 

「ん?散歩だが」

「「おいおいおいおいおいおい」」

 二人そろって慌ててます。まぁ分からんでもないけどさ…

 

「んやァめェろォ~~~!!!」

「やめろ、このクソ迷子野郎オ~~~!!!」

「「ここは諸島だぞ、捜しきれねェよ!!!」」

 ハモリながら、ゾロの愚行を止めようと必死になってますなぁ…

 でもまぁ、この程度の広さなら問題ないんだけどね?

 

迷子になんかなるかァ!!!こんなわかり易い島で誰が迷うんだ、一本一本樹に番号があんだろ、最悪人に聞きゃあ、ガキでも帰って来れる。」

 

「あ…おめェにそんな知恵があったとは。」

「見くびった…すまん、気をつけて、人に聞けよ。」

 

「自分を信じるな!!」

「…極めて心外だ…!ここの樹の番号さえ忘れなきゃ…”1番”だな…」

 二人共……

 ほっ…としてるけど、あなた達もまだまだ甘いわね。

 聞いても戻ってこれないって!1歩目から逆方向に進みだすんだから…

 と~っても親切な人が居て、付き添って連れて来てくれない限り戻ってこれないんだってばさ!!しかも番号間違えて覚えてくし!

 

 まぁ、問題ないから別にいいんだけどね?

 

 

 ゾロを見送った後、私は換金の為に40番GRに出かけた。

 

 

 けっこう大きな換金所が数か所あったおかげで、端数分の金を売ることができた。

 全部で136トン。

 売値はW7と同じ30億/tにした。交渉次第ではもっと高値で売れるかもしれないけど、まぁ8店舗から店主に集まってもらっての交渉だから時間がかかりすぎちゃうからね。30億と言ったら一発OKだったのでそれで済ませた。

 換金した金額は4,080億。しかし、よく現金あったわね…

 金の査定についても設備がしっかりしているらしく純度の高い金だという事がすぐに判定できたので、W7に比べるとかなりスムーズに換金できたと思う。

 

 換金が終わるのを見計らったように、サンジから連絡が入った。ケイミーが拐われたとの事…

 

「ちょっと待ってて!気配を探ってみるわ!!」

 私は集中するとケイミーの気配を探し当てた。

 

「確かにケイミーだけみんなから離れたところにいるわね…。えーと…」

 と言って、私は換金所で手に入れた諸島の地図を出して確認する。既にケイミーの気配は1番GRへと移動している。

 

「サンジ…!ケイミー(の気配)は1番GRに向かってるわ!!残念だけど今から取り返すのは無理だと思う。」

 

『1番GR?』

「人間オークション会場がある場所よ。換金所で聞いたんだけど、今日オークションが開かれるらしいわ。」

 

『何だってぇ~!!?』

「とにかく、ジタバタしても始まらない。オークション会場前に集合しましょう!!」

 

 私はみんなの居場所を確認した。

 ナミとロビンがショッピングモールにいて、そこにルフィ達が向かっている事と、ゾロはなぜか1番GRに向かっているから途中で拾えば問題ないという事をサンジに伝えた。

 そして、私自身も1番GRへと向かう…

 

 

 ~ オークション会場前 ~

 

 ナミ達が到着したのを見計らって私は会場前に現れた。

 

「お待たせ!!」

「イオリ!!」

「みんなココに向かってるわよ。とりあえず、ここの責任者と話をしましょうか!!」

 責任者を呼び出して誰が人魚を連れてきたのかを確認した。

 当然、相手は口は割らないけれど、話しをするだけで私にはわかるからね!

 名前がわかったので、それをサンジに伝える。

 

「確かケイミーはバックを背負ってた。捨てられてなければそいつらが持ってるはずよ!!」

 サンジがデュバルに伝え、数人の部下を引き連れて直々に向かう。

 

「だから何で返せねェんだよ!!!ケイミーちゃんは売られる筋合いがねェっつってんだろ!!!」

「筋合いがないのはお前の方だ。あまりしつこいと”法的手段”を取りますよ!営業妨害です!!」

 

「あいつら…!!」

 サンジとナミがオークションハウスの連中とモメている所へフランキーが到着した。

 

「何が営業妨害だクソ野郎!!こんな商売世の中でまかり通ってたまるか!!!」

「フン!!無法者の海賊さんに人道を説かれる筋合いもない」

「…」

 

「人の売り買いなんて世界中で『禁止』よ!!政府にいくら払ってんの?」

「人聞きの悪い事を ― しかし…そうですね。政府や軍の関係者は我々と話をしても”人身売買”という言葉が聞き取りづらいらしく、この商売の存在など全く知らない様ですねェ」

 

「…バカバカしい…完全にグルってわけか…」

「面倒くせェ!!人魚がここにいるのが確かならこうすりゃいいだろ!!!

「フランキー!!」

 フランキーがバズーカーを構えるが、ナミが止めた。

 

「ニュ~!!ダメだ!中には天竜人もいるし、この店にケイミーが所有されてるんならもう首輪もついてる筈」

「えェー!?あの爆発するやつ!?じゃ下手に連れ出せもしねェぞ!!?」

 原作通りのやりとりが行われ、パッパグが首輪の話をしてチョッパーが顔を青くする。

 

「首輪って?」

 知っているのもおかしいので私が聞くと、チョッパーが天竜人と会った時の事を教えてくれた。

 

「へぇ…」

「反応薄いなおいっ!!」

 ウソップが私にツッコむけど、だって、ねぇ…?

 

 そうそう、原作と違ってトビウオ達は直行でここに来ているので、ウソップもここに居る。でも、ルフィとゾロが来ていない。

 なぜに?

 

 あれ?…って事はロズワード聖だっけ?

 ウソップが潰すはずだったヤツ…

 どうしようかしら?

 

 サンジが暴れようとするけど、チョッパーが止めた。そしてナミが私のそばに来て言った。

 

「イオリは換金所から直接ここに来たのよね?」

 

「もしかして…、競りに参加する気?」

「さすがイオリ!話が早いわ!!行くわよ!!」

 

「おい、小娘!!どこ行くんだ」

 ナミはフランキーに小娘と呼ばれるのが嫌なようで、振り向いた。

 

「ねぇちょっと!!気になってたんだけど、何でわたしだけ(・・)小娘なワケ?イオリだって小娘じゃないの?」

 フランキーに文句を言いたい気持ちはわかるけど、なんで私を引き合いに出すかな?

 

「ん?…じゃぁ聞くが、おめェから見てイオリは小娘って感じか?」

「…違う…と思う……」

 ナミが答える。

 

「だろ?」

「むぅっ!!」

「…」

 いやいや、フランキー…?私の事をイオリって呼ぶならナミの事も小娘じゃなくナミって名前で呼んでやってよ!!面白がってるでしょ絶対…!!

 ナミも『名前で呼んでよ!!』って言えばいいのに…

 

手が出せないんなら!!ここのルールでケイミーを取り戻してやるわ!!!イオリが換金した4億で競りに参加してやるわよ!!相場ってどれくらい?」

 私、指を4本立てたけど、4億なんて言ってないわよ?

 

「ニュ~~!!そんなにあったら充分だけど、おれ、そんなに返せない…」

「なーに?ハチあんたケイミーの保護者かなんか?」

「ニュ~!!いやそういうわけじゃ」

 

「私達の友達を奪い返せるのならいくらかかろうとも構わない!!文句ないでしょ!?

「勿論だ!!金の話じゃねェよな―っ」

 ナミの言葉にチョッパーも興奮気味で返す。

 

「まぁ、そうね!」

 財布の紐はあいかわらず私が握っているので、ちゃんと答えておかないとね?もっとも、換金してきた金額は4億どころじゃないけどね!

 

「…!!お前ら…!!ありがとうなァ―!!…この恩は一生忘れねェ…!!!」

 

「そんなナミさんとイオリちゃんがおれは大好きだ―っ!!!」

「……」

「早く来い!!」

 

 

― オークション会場にて ―

 

 私たちはオークション会場の大きなドアを開けた。

 

 会場の中はわいがやと盛り上がりを見せている…

 

『さァさァ盛り上がってまいりました!!続いても”買いの一品!エントリーNo.15は絶世の美女奴隷!!ご覧ください!!この奇跡のプロポーション!!20歳の踊り子パシアです!!』

 

「頭…ありゃ確か”麦わらの一味”の…」

「!」

 

 右手には…キャプテン・キッドか…

 

「イオリちゃん、あの娘も買うわけには…」

 サンジが鼻の下を伸ばして言った途端、後ろからチョッパーの蹴りが尻に、横からナミに頭を叩かれた。

 二人とも無言だからかサンジがシュンとしてるけど、あたしゃ知らん!

 自業自得です!

 

「麦わらの船長はいねェな…どれ程のバカ野郎かお目にかかりたかったが」

 安心しなさいなキッド…!もう少ししたらその目で確認できるわよ?

 

 踊り子パシアの競りはかなりのヒートアップを見せた。80万ベリーからはじまって徐々に値を上げ、500万あたりで人が絞られ終盤には貴族風の男とマフィア風の太った男の一騎打ちとなり、最終的に720万ベリーを提示した貴族風の男が勝利した。

 ま、今回は全員助かるんだから別に問題ない。主に私の精神衛生上の話だけどね?

 ここに来なけりゃ別になんとも思わないけど、さすがに人が売られているのを見ているのは気持ちのいいものじゃない。自分の意思に関係なく出品される人は特にね…

 

 そんな事をつらつらと考えていたら背後で扉が開いた…

 

「まだやってはいるもののもう終わりの方だえ~」

 

『さてつぎはいかがでしょうかァ~~~~~!?』

「お前がノロマだからだえ!!コイツ本当にムカツクえ~~~~~っ!!!おいコレついでに売ってこい!もういらんえ!!」

「すぐに手続きを!!」

 

「わちし”人魚”が欲しいだえ~~~今回もでてないかなァ~」

「”人魚”はなかなか捕まる種族ではないらしいので、今回も…出品されますかどうか……」

 

『エントリーNo.~~~16!!!なんと海賊船の船長!!』

 

「これはチャルロス聖っ!!」

「早く席に案内するえ」

 

「また来たわ『世界貴族』…!!」

「逆らえば”海軍大将”がやって来るって奴か…」

「……」

 ナミとサンジがヒソヒソと話してるけど…

 それよりもあいつ、人魚が目当てらしいわよ?今はそっちの方を気にするべきだと思うんだけど?

 

「……」

 

「 ― やっと来たアマス、チャルロス兄さま…」

 

『この男、名をラキューバ!!繊細な計略家として知られた海賊なのです!!懸賞金は1千700万ベリー!!鍛え抜かれた肉体が自慢!!”人馬”にするもよし、”力仕事”に”サンドバック”!!用途は様々!!さて…』

「きゃーっ!!!」

「うわっ!!どうしたんだあいつ…!!」

 悲鳴と同時に会場が一気にざわつく。ステージの上の海賊の口から血が落ちる…

 

「このヤロ…!!まさか…!!!」

 

「うわ!!倒れたァ―!!」

 

「(一旦幕を引け!!)」

 

「今…どうしたの?」

「口から血を流してたからね。たぶん舌を噛んだ…」

「!?」

 ナミが聞いて来たので答えてあげた。

 

「…人に飼われて悲惨な人生を歩むより―今ここで死ぬ事を選んだんだ。場合によっちゃ利口かもな」

 サンジが私の回答に補足を入れる。

 気配から察するに、一命はとりとめたらしい。もっとも、このまま裏の牢屋に閉じ込められたなら、またやらかすだろうけどね。

 あいつも逃げ出せるんだろうか?まぁ、気にする事でもないか。

 

「人魚はまだかよ…!!」

「恐いだろうなケイミー」

「もう少しの辛抱よ。私達が買っちゃうんだから!!スリラーバークのお宝があってよかった」

「…」

 換金したのはスリラーバークのお宝だけじゃないんだけどね?そもそもあれだけだと、3億なかったし…

 

 ※注:ナミのへそくりというわけではありません。装飾品としてとっておいた方が良いと判断した物が多々あるのです。

 

 

 

 

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