イムの娘(いむのこ)   作:槙 秀人

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07-215話:”荒立つ島”

 ― ガシャァ…ン!! ―

 

 会場を破壊しながら吹き飛ばされたチャルロスは、最後尾の席の辺りで動かなくなった。

 会場にいる人達は、みんな驚きの表情を浮かべたままで静まり返っている。

 

「……」

 

イオリ!!おめェなんでさっき避けなかったんだよ?避けれただろ!!」

 ルフィ? 今さらなに言ってんの!?まさか天竜人を殴ったのは私のせいだとでも言うつもり!!?

 

「バーカ!私の後ろにはナミが居るの!!避けたらナミに当たっちゃうじゃない!!」

「…あ、そっか…!」

 

「そっかじゃねぇ!!」

 怒るサンジ

 そのやりとりを聞いてナミが「もう…」と、口を尖らせる。

 

「悪いお前ら…コイツ殴ったら海軍の”大将”が軍艦引っぱって来んだって……」

「知ってるって…」

 

「お前がぶっ飛ばしたせいで…斬り損ねた…」

 ゾロあんた…こいつ斬ろうとするの2度目じゃね?

 

「ハチ!…しっかりして!」

「ニュ~~~お前ら…大変な事を…!!」

「…まー、ルフィだから仕方ないわ!!」

「そうね」

 ハチを助け起こすナミ。私はナミの隣で相槌を打つ。

 

「さて…」

「 ― じゃ、やる事ァ決まって来たな」

 サンジとフランキーが掛け声をあげる。

 

「舞台裏のどっかにあると思うよ!!ケイミーの首輪のカギ!!おれ、ハチの傷診なきゃ!頼むよ!!」

 チョッパーに言われてフランキーとウソップが舞台裏に走っていく…

 

「……」

 けどなんで、毎度毎度みんな私の能力の事、忘れちゃうんだろうね?

 

「……」

「……!!」

「お前ら…!!!」

 ケイミーが驚き、ハチとパッパグは感動して涙を流す…

 

「…チャルロス!!」

「チャルロス兄さま~!!!お父上様にも殴られた事などないのに~!!!」

 本人が言ってたら、ヘルメッポとおんなじ感じだったのにな?

 

「おのれ!!!下々の身分でよくも息子に手をかけたな!!!」

 

「天竜人を怒らせたァ~~~!!!」

「キャー!!!」

「逃げろ外へ!!!」

 

 カチッカチッ!!カチッ!!

 

「!!?」

 

 銃口はナミと一緒にハチのところに居た私に向けられていた。

 なぜに!!?

 チャルロスを殴ったのはルフィなんだけど?

 

 まったく…親子そろって私に銃口むけて、しかも引き金引くなんて!!

 

「危ないから、あんた達(・・・・)の銃から弾は抜いといたから!」

 ジャラジャラと抜いた弾を掌の上で踊らせてみせると、仲間も含む会場の全員から注目された。

 

「「いつ?」」

「えっ?今さっき…」

 

「「どうやって?」」

「いや、普通にシリンダを外して…?」

 リボルバー式だからね!ちなみに2人分である。

 

「「いやいやいやいや、そうじゃなくて!!」」

「い~じゃん別に!!誰もケガせずに済んだんだから!!」

 

「なんか、こんなやりとり、W7でもしてなかった?」

 

「お…おのれ!!この世界の創造主の末裔である我々に手を出せばどうなるか」

 この期に及んでまだ言うか?

 

「もう手は出しちゃってるし、一人も二人も同じよね?」

「!!?」

 私は剃でロズワード聖の目の前に移動して言葉を返した。

 

「親子揃って私に銃口を向けて引き金を引いたんだもの。当然、覚悟はできてるわよね?

「ま…待てっ!!」

 待つわけねェだろ!!このバカが!!

 

 ― ドゴォン!!! ―

 

「ヴォゲァア!!!!」

 

 あらまあ…息子と全く同じ反応ですこと…

 

 せっかくなので、ルフィと同じ感じでぶっ飛ばさせていただきました!!

 

 ウソップが既に会場に居るんだもの、仕方ないわよね?

 でも、あれれ?

 大将と軍艦呼ぶ前に気絶させちゃった…

 ど~しましょう?

 

「きゃあああああ!!お父上様~~~~~っ!!!」

 

「ロ…ロズワード聖まで!!!」

また罪を重ねたな海賊~!!!イカレてるぞコイツら!!!」

 

「貴様!ロズワード聖に!!」

 衛兵が私に槍を向けるが…

 

 ― ガシャァン!!! ―

 

「!!!」

 サンジの蹴りで衛兵が倒される

 

「ケイミーちゃんを解放してくれ!!イオリちゃんなら首輪はすぐに外せるだろ?」

「わかったわ!!」

 サンジは忘れてなかったみたい。全員に忘れられてなかったのはちょっとうれしいかも?

 

「衛兵出あえ~~~!!!」

「海賊を捕らえろ!!!」

 

「わっ!!どんどん出てくる!!」

 

「魚なんぞ守るとは愚か者めらが!!!」

 

 ゾロとサンジが…ナミやロビン、ブルックも戦ってる。

 まぁ、こいつら程度なら全く問題無いでしょう!!

 

「おのれ…お父上様と兄さまを…下々民どもめ…『海軍大将』と『軍艦』を呼ぶアマス!!目にものを見せてやるアマス!!!

 おおっ!!シャルリア宮だっけ…?男どもが気絶したから、あなたが海軍呼ぶわけね?

 とりあえず、この後の展開が原作と同じになりそうで安心したわ!

 

 さて…。ゾロに水槽を斬らせるのはおっかないのよね!!

 

 私はケイミーに近づくと、水槽の底にしゃがむように指示して刀を取り出す。

 スリラーバーク後に、ゾロから返してもらった『白刃:雲』である。

 居合で水槽の上に固定された鎖も一緒に水槽を斜めに斬る。

 

「あ」

 水が溢れてケイミーの声が聞こえた。

 

「ケイミー!!そこで待ってろ!!」

「うん!!はっちん!!みんな!!」

 

「それじゃあ、首輪外すわね?」

「?」

 

 首輪を持ってケイミーの肩に触れ、頭の大きさを1/4にする。次いで首輪を上に抜いたら縮小を解除する。

 一瞬の事だから、傍から見ると首輪が抜けたように見えるだろう。

 

「え?」

 ケイミーがビックリしてる。すると私に銃を向けてる男が一人…

 

「50億1千万ベリーで売れたんだ!!金を払わなきゃ人魚は渡さねェ!!」

 展開が違うからだろうか?原作で人魚を死守しようとする場面はディスコが私に銃を向けるという形になった。

 

「競りの相手が居なくなっちゃった上にこの状況なんだもの。競りは無効よ!払う気は無いわね。」

「ふ、ふざけるな!!」

「そうだわ!代わりにこれあげる!!!」

 と言って銃を取り上げ、ケイミーから外した首輪を外した時と逆の手順で取り付ける。

 一瞬の出来事だから何が起こったのかわからないディスコ…

 

「!!?」

 

「あっ!そうそう!!鍵穴壊しちゃったからその首輪外せないと思うわよ?」

「えぇっ!!?」

  ディスコは慌てて控室?へと逃げていった。よかったんじゃないのかな?

 シャルリア宮に撃たれなくて。

 って、銃には弾が入ってないからどのみち撃たれなかったか。

 それよか爆弾の方がヤバいかも?

 

「おっ!!ケイミーの爆弾外れたみてェだ!!軍艦と大将が来る前に逃げるぞ!!」

 

「海軍ならもう来てるぞ麦わら屋」

「何だお前…何だそのクマ」

 

「海軍ならオークションが始まる前からずっとこの会場を取り囲んでる」

「えェ!?本当か!?」

 

「この諸島に『本部』の駐屯所があるからな…。誰を捕まえたかったのかは知らねェが、まさか天竜人がぶっ飛ばされる事態になるとは思わなかったろうな」

 

「トラファルガー・ローね…あなた…!!ルフィ、海賊よ彼」

「…ふふ面白ェもん見せて貰ったよ麦わら屋一味」

「クマもか?」

 

「きゃっ!!」

 シャルリア宮が解放されたケイミーを捕まえて銃を突きつけた。

 ってか、この娘バカか?

 私がオヤジの銃の弾だけを取ると思ってるのかね?その銃も弾は空なんですけど?

 

「しまったケイミーちゃんが!!!」

 おーい!サンジもかい!!

 

「さァ”魚”!!!死ぬアマス!!!」

 

「!!?」

 

「!!!」

 ガクン…!!

 

 突然シャルリアが泡を吹いて倒れた。

 もともと、私たちがこの島で探していた人の登場です。

 

 しかし…

 

 探していなかったとはいえ、これだけ近くに居たのに私が気配を感じられないなんて…

 そりゃ、海軍も見つけられないはずよね…

 

「ホラ見ろ巨人君!会場はえらい騒ぎだ。オークションは終わりだ。金も盗んだし…。さァギャンブル場へ戻るとするか…」

 

「質の悪ィじいさんだな…金盗る為にここにいたのか」

「あわよくば私を買った者からも奪うつもりだったがなァ…考えても見ろ…こんな年寄り、私なら絶対奴隷になどいらん!!わはははは…ん?何だちょっと注目を浴びたか」

 

……!?何だあのじいさんと巨人!!」

「ありゃ商品じゃないか!!!どうやって檻から抜けて…どうやって錠を外したんだ!!?」

 

「どうする……!!」

「どうって…おれ達は捕獲は専門外だ!!錠もついてねェ巨人なんて抑えきれねェ」

 

「レ…レイリー」

え?コーティング屋か!?どっちが!?」

 ハチが驚き、チョッパーがハチの言葉に反応する。

 コーティング職人の名前は聞いてなかったのに、チョッパーはなんでわかったんだろう?

 話の流れ的に?

 

 でもなぁ…なんでみんな名前を聞いて驚かないんだろう?

 そもそもハチは”レイさん”って言わなきゃダメじゃんね?

 

おお!!?ハチじゃないか!?そうだな!!?久しぶりだ! ― 何しとるこんな所で!!その傷はどうした!!あ~いやいや言わんでいいぞ…ふむ…」

 そう言えば、レイリーさんも見聞色で思考が読めるんだっけ…

 

「……ふむふむ…」

 キョロキョロと会場を見回すレイリーさん…。ケイミーの横にいた私を見た時、少しだけ目を見開いたように見えた。

 

「…?」

 

「つまり ― 成程…まったくひどい目にあったな、ハチ…。お前達が助けてくれたのか」

「!」

 

「 ― さて…」

 

  ― ドクン ―

 

「ウッ」

「!!?」

 

 ドサドサ…

 

 会場に残る観客を含め、敵のほぼ全員が一瞬にして気を失って倒れた。

 

「え…おいおいこれってまさか…」

 

「何だこのじいさん…イオリちゃんと同じ事を!!?」

「!!」

「…」

 

「その麦わら帽子は…精悍な男によく似合う……!!」

「!」

 

「会いたかったぞ!モンキー・D・ルフィ!」

 レイリーさんはルフィに向かって言い…

 

「そして、イオリ君!君にもな!!」

「!?」

 

「…」

 振り返って私にそう告げた。

 

 

 

 

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