イムの娘(いむのこ)   作:槙 秀人

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 頂上戦争編のシャボンディパートの最後です。

 どうぞ!!







07-221話:完全崩壊

「まさか、このような事態になっていようとはな…」

 声のする方に私たちが視線を向けると、そこに立っていたのはまた違うくま!!

 

「え~~~!!?また出たァ~~~~っ!!」

 ウソップが腰を抜かし、ブルックもギャアアアと叫んでいる。

 

「どうなってんだよ!!もうイヤだ~~~!何人いるんだよ、一体コイツら!!」

 ウソップに背負われていたゾロが降り、くまと対峙する…

 

(コイツ…本物だ…)

 ゾロが呼吸を荒くする。

 

 あれあれ?

 くまと対峙したら……体がなんだか震えてる?

 うわっマジか!!?なんか寒気もするじゃんよ!!?

 

「イオリ!!」

イオリちゃん…!!無理もねェ…あんな目に遭わされたんだ…」

 震えて動けない私を見て、ナミとサンジが叫んでる。

 ナミに言われたのか、サンジはナミ達から離れて、私とゾロのところへと走る…

 

 これが…トラウマってやつかしら?

 全身に…無駄に力が入ってる感じ……

 筋肉が強張り震え、体が思うように動かせない。

 

 見聞色が使える私は、見た目に惑わされる事はない。PX-1には感じなかったけど、本物はまったく違う気配がする…。

 考えてみれば当たりまえかも知れないわね…。こいつからは、大将(黄猿)と同じくらいの気配(ちから)を感じている…

 

 でも…

 

 こいつとは、頂上戦争でも対峙する事になるんだものね!こんな状態じゃ、とてもじゃないけど3大将と戦えない!!

 

 落ち着け私!この前の経験を無駄にするんじゃない!!

 

 負の感情が……

 私の中でチカラに変わるのを感じた…

 

 そうでした。恐れたっていいんだっけ…!

 負の感情を抱いたところで、何も心配する事なんて無いのよね?

 

「スゥ~…フゥ~~………」

 私は大きく深呼吸しながら、目を閉じ力を抜いた後、気合いを入れなおした。

 全身に覇気を巡らせ身体能力を強化する。

 

 よし!いける!!

 

「この状況は貴様が原因か…?やはり生きていたな…」

「おかげさまでね…!」

 

「しゃべってる場合か!!」

 ウソップが叫んでる。

 

 あら…?まさかこの位置って、原作ゾロの!!?

 

「旅行するなら、どこへ行きたい…?」

「!!?」

 

「イオリちゃん!!逃げろォー!!」

 

「しまっ…!!」

 

 ぱっ…!!

 

 まさか…一番最初に飛ばされる事になるとはね……

 はてさて…いったいどこに飛ばされたんだろう?

 

 

 くまの前に居た(・・・・)イオリ()、その場から消された…

 

 

「てめェ…!!イオリをどこへやっ…」

 

 ぱっ…!!

 

「!!!」

 

 次の瞬間、ゾロの姿も消えた

 

「え…」

 ルフィは何が起きたのかわからず、呆然と2人が消された場所を見た。

 一番そばにいたウソップはキョロキョロと辺りを見回し…

 

…?あれ??イオリ!!?ゾロ!!?…?? イオリとゾロが…消えた…!!? て…てめェ、イオリとゾロに一体何しやがったァ!! 今…たった今、目の前にいたのに!!!」

 

「ウソでしょう?イオリが一瞬で…ゾロまで…」

 ロビンが声を震わせる…

 

「イオリ~~~!!!ゾロ~~~!!」

 チョッパーが泣き叫ぶ

 

 

「イオリ~~~!!ゾロ~~~!!どこ行ったんだァ~~~!!?」

 ルフィも叫ぶ

 

「バーソロミュー・くまァ…!!“七武海”は「本部」に召集を受けているはず…!!…これだから“海賊”は信用ならねェよォ~~~…」

 くまを見て黄猿が愚痴を言う。

 

 黄猿と剣を交えていたレイリーも、ルフィ達をカバーしたいが黄猿が相手ではなかなかそうもいかない…。

 

 

「とうとう本物か…?イオリとゾロが消された…」

「間違いない…今の能力、見た事あるもの。スリラーバークで女の子が一人…、ああやって消されて二度と帰って来なかった…。あの娘、一体…どうなったんだろ…?」

「!!?」

 ナミの脳裏によぎるのは、ペローナが消されゾンビ達が大騒ぎしていた場面。

 

「くま公!!何であの野郎がここに!!」

おい!!あいつ、イオリとゾロに何したんだ!!?ハァ…ハァ…!!どこに消した!!!

 捕縛されたまま、呟く戦闘丸にルフィが問うた

 

「わいは世界一口の堅い男…あいつの肉球で弾かれた人間はウソか本当か三日三晩空を飛ぶというぜ」

「!」

 

「どこへってのは飛ばした本人しかわからねェ…少なくともこの島にも…すぐに会いに行ける様な場所にもいねェさ。遥か海の裏側かもな…」

「!!!」

 

 

「…!!とうとう出やがったか…本物の“七武海”!!同じ姿が3人目…!どうなってんだ!!」

 そのくまと対峙するサンジ、ウソップ、ブルック

 

「イオリとゾロをどこへやったんだァ~~~!! 何とか言いやがれ!!コンチキショー!!!」

 ウソップも腰が引けながらも怒鳴る。

 

 くまは無言のまま何も答えない。

 

「走れ!!3人とも!!とにかく全員ここから逃げろ!!!後は助かってから考えろォ!!!」

 ルフィがサンジ達に向かって叫ぶ

 

「でもイオリとゾロが…」

「だからそれを後で考えろってんだろ!!行くぞ!!」

 躊躇するナミにフランキーが声をかける

 

「行こう!!とにかく逃げるんだ!!」

 ウソップが、くまを睨むサンジを引っ張りながらブルックに声をかける。

 

「危ないですよ!!お2人共~~~!!」

 ブルックは、盾になるとばかりにくまの前に…

 

「ブルック!!」

お守りします!!命にかえても!!あ…私もう死ん…」

 

 ぱっ…!!

 

 …ブルックも消された…!

 

「ブルック~~~!!」

 ウソップもルフィも唖然…サンジは頭をかきむしり、

 

「くそ…!!何やってんだァ、おれは…!!目の前で3人も仲間を…!!行け、ウソップ!!」

 と、ウソップの背を押し、くまの前に立つ!

 

「バカいえ、一緒に行くんだよ!!」

 ウソップはサンジの服を引っ張り一緒に逃げようとする。それを見ていたルフィ、

 

「逃げろ、サンジ、逃げてくれ~~~!!!」

 

「クソ肉球野郎がァ~~~~!!」

 サンジはくまに蹴りを入れようとするが、肉球で建物のほうへはじき飛ばされてしまう!

 どうにか起き上がろうとすると、ウソップの悲鳴が…!

 

「うわァ~~!!こっち来た、助けて~~~!!必殺“火薬星”“火薬星”!!!」

 と連打するも、慌てふためく為に武装色が使えていない攻撃が効く訳もなく…!

 くまの右掌がウソップへ…!

 

「あ…」

 

 ぱっ…!!

 

 その瞬間、ウソップもいなくなってしまった…!!

 

「ウソップ~~~!!」

 サンジがくまに向かって走る!

 

「畜生!!!」

 

 ぱっ…!!

 

 その瞬間、サンジもみんなと同じ運命に…!!

 

あァっ!!!イオリ、ゾロ…ブルック、ウソップ、サンジ君…!!みんな…消されちゃった!!!」

 

 

「…何だよ、どうしたら…!!!」

 ガクリと膝をつくルフィ…

 

 レイリーと黄猿はまだ戦闘中…

 

ハァ…ハァ…向こうの事態が尋常ではないな…!何とか力を貸したいが…(とし)は取りたくないものだ、ハァ…

「『海軍大将』一人止めといて、まだ欲張られちゃあ、わっしの立つ瀬がない、いい加減にしなさいよ。」

 

 するとそこに”ぱっ”とくまが現れた!

 

「“冥王”レイリーだな…」

 そう言うと、レイリーになにやらボソボソと話をする。

 

「…お前の言う事を私に…信じろと…?」

「貴様の自由だ…おれも立場を危ぶめている。」

 

「おめェ一体、どういうつもりだい…くまァ。」

「政府の息のかからない事例では、我々が海軍と仲良くする義務はない…質問には答えない。」

 黄猿がくまに問うが、くまは回答を拒絶した。

 

 その時…

 

この野郎~~~~~~~!!!ギア“2”!!

 

 ― ドウッ!! ―

 

 ルフィがギアを発動 

 

 くまはフッといなくなり、今度はフランキーとナミの行く手を阻む!

 

「おわァ、こっち来たァ!!そこどきゃアがれェ!!“ストロング右”!!!」

「だめよ、フランキー!!」

 ナミが叫ぶ

 

「フランキー~~~!!」

 ルフィはフランキーを助けに行こうと走り出す…

 

「待って、ルフィ、敵の思うツボになる!!」

「ルフィ~~!!」

 ロビンとチョッパーが止めようとするも、ルフィの耳には届かない…

 

「ゴムゴムのォ!!!JET(ピストル)!!!」

 ルフィの伸びた右手はくまの左掌で弾かれて、ルフィは瓦礫の山へと飛ばされた

 

 次の瞬間、くまの右手がフランキーへ…!!

 

 ぱっ…!!

 

 

フランキ~~~~!!!ゼェ…ゼェ…!!」

 何もできないルフィ…苦しいやら情けないやらで表情が歪む…!

 

 くまが次に向かうのはナミ!

 

「ルフィ!!」

「ナミ!!!」

 

「助け…」

 

 ぱっ…!!

 

 

「!!!」

 ナミもまた…!

 

「うわァあああああ!!!」

 ルフィはくまに飛びかかるが、くまはまたその場から消え、ルフィはその勢いで再び瓦礫の山の中へ…

 

 ロビンの前に現れたくま…

 

 チョッパーは決意したようにくまに向かって飛び出す…

 

ハァ…ハァ…チョッパー、ロビン…!!!もうやめろ、お前ェ~~~!!

 

 再びくまの方へと走るルフィ…!

 

 刻蹄を打とうと、くまに突進するチョッパー…!

 

「コノヤロ~!!くらえ!刻蹄…」

 

「やめてくれ~~!」

 

 ぱっ…!!

 

 

 チョッパーが消され、クルッとロビンに向き直るくま…

 

「ロビン、逃げろ~~~~!!」

 

「ルフィ…!」

 

 ぱっ…!!

 

 

 ロビンも同じく消えてしまった…

 

 

 ルフィはくまの前で膝をつき、四つん這いになっていた…

 

「ゲホ…ウ…! ゲフッ…ハァ…ハァ…ゼェ…ゼェ…

 ルフィは両手で頭を抱え、自ら地面に打ち付ける…!

 

「…!! ゼェ…ゼェ…ハァ…ハァ…ウゥゥ……何だ、おれは…!!仲間一人も…救えない゛っ…!!

 

 目からは涙がこぼれ、情けなくて仕方がない…!

 

 

 そのルフィを、くまは黙って見つめている…

 

 

「…で…そいつも飛ばして終わりかい。ちゃんと説明はあんだろうなァ。これは大問題だよォ。」

 くまに向かって黄猿が言う。

 

 レイリーは苦悩に満ちた表情で黙っている…。

 

 そして…

 

 

 

 くまはルフィに掌を向けた…

 

残念ながら…もうおれは(・・・)おまえと……会う事はないだろう…………さらばだ。

 

 ぱっ…!!

 

 

 その場からルフィも消えた…

 

 

 

 

 

 ― “偉大なる航路”シャボンディ諸島12番GR ―

 

 

 この日、船長モンキー・D・ルフィ率いる海賊団 “麦わらの一味”は

 

 

 ― 「完全崩壊」を喫した ―

 

 

 

 

 

 

 ちなみに…

 

 残りの(・・・)イオリ達は、それらの事を見届けた後、飛ばされたイオリの元へと飛びました。

 

 

 

 

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