イムの娘(いむのこ)   作:槙 秀人

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クラスター・ジャドウさん、誤字報告ありがとうございます。


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 今回もまた、カノン関連のお話。






01-22話:一人減らした。

 これは少し前の話。

 時期的に言うと、ルフィがゴムゴムの実を食べてから、しばらく後の事である。

 

 最近私はフアリの仕事、主に書類業務を手伝うようになっている。

 書類業務は多岐にわたる。CP0の報告書はもちろん、ほかのCP部門からの完了済の報告書もあれば、判断を仰ぐものもある。問い合わせや意見書。はたまた会計系の書類などいろいろだ。

 それらを種類ごとに分別し、判断が必要な書類にはその個所に付箋を貼っておき、あとでフアリに見てもらう。簡単な質問で済みそうなものはその場で聞いて、その回答を元に私がまとめ上げていく。

 

 報告書の中にはフォーマットが統一されておらず見にくいものもある。

 見にくいものは醜いもの。

 本当はそんなことをする必要はないのだけれど、フォーマットを統一して、見やすいように書き直している。

 

 書類の量は、1日あたり、A4サイズの用紙が積みあがって1mほど。

 報告書の(たぐい)が2/3ほどあり、それらはこれまではファイリングされるだけのものだったようだ。

 残りの1/3が判断が必要なものになる。

 ファイリングされたものは、あとで参考資料となるため、ファイルにナンバーを振って、目録のようなものを作っておくようにした。

 

 

 これまでフアリの仕事時間の大半は書類業務だったらしいけど、私が手伝うようになってその時間が半分以下に減ったとの事。喜んでくれているので手伝っている甲斐もあるというものだ。

 私としても利点がある。普通ならば知りえない事を知る事が出来るからだ。もっとも逆に知りたくもない事柄までも目にする事はあるのだが、それはそれで有用な情報ではある。

 

 そんな中、一つの書類が目に留まった。

 

「何これ?」

 

 この件って確か、『フーズ・フー』の事よね?名前が『ゾフィー』って書いてあるけど…?

 あ~、なる!!脱獄して顔を隠して名前も変えてたって事ね!!

 ってアホか!!しかもなんじゃこの内容!?

 

「あ~それ?私も目に留まったんだけど、五老星がオッケー出しちゃった後だったのよ。その子も災難よね。」

 フアリの所には、他のCPの完了案件も流れてくる。それらを整理して保管するのだ。これはCP9の案件なので司令長官が最終承認者となっており、五老星にわたって処理された後、ここに流れて来たものだ。

 

 まぁ、だからと言ってこの内容を看過する事は出来ない。おそらくフアリもそう思ったのだろう。そうでなければ私の手元にこの書類があるのはおかしい。彼女が目に留まったと言うのなら本来処理済として書庫に運ばれるべきものだからだ。

 

 CP9のメンバーが修練場に来たのは希望者のみ。ちなみにゾフィー1人だけだった。その事はフアリも知っている。だからだろうか?私にこの書類を回したのは…

 

 あの子はCP9のエースなんだろ?ロブ・ルッチと同じくらいの実力者なんだろ?

 しかも私が鍛えてやったんだぞ?

 それがなんだ?悪魔の実を強奪されたからって…

 しかもこれは何?海賊と共謀して悪魔の実を奪わせただと?

 

 なんでそんなめんどい事すんねん? 赤髪なんぞ呼ばんでもよろしいがな。

 護送メンバーを見る限り、誰にもこの子のスピードについて行けへんのやから悪魔の実のレプリカでも用意して入れ替えるなりなんなりして持ち出せるやろ?

 

 その上え売りさばけばええだけの話やんな。

 

 しかもなんやこの報告書…書き方がなっとらんわ!

 

 こいつ…、講習会ちゃんと聞いてねぇな?

 

 

 名前を見るとスパンダインとあった。

 

 

 なんじゃそら!!この書類、自己承認かい!!

 

 あいつ講習会出てたか?私は顔を見た覚えがないぞ?

 

 

 講習会参加者のチェック表と映像を突き合わせ確認すると一致していない者が1名。ヤツの副官だった。

 

《ほぅ…いい度胸じゃないの》

”…やめておいたほうが”

 

《なんで?》

”…”

 

《講習会の件だけだったら許してあげたわ。受けなおさせればいいことですもの。でもね、部下に責任を押し付けるのは許せない。しかもその報告が通りやすいように冤罪のおまけつきってあり得ないわよ!!》

”言ってる事がユナ様に似てきてますね?”

 

《企業も世界政府も組織なんだから同じことよ!こいつがCP0の総監になるなんて原作ワンピはどうなっとんじゃ!?》

 

 これはフアリには是非ともがんばって続けてもらわんとあかん。

 

《私はこいつを叱りつけると決めました。ついでにこれがウソだとわかっているだろうに放置した五老星も一緒にね!文句あるエイタ?》

”ありませんよ。ただ、やりすぎないようお願いしますね?やりすぎそうになったら一応いつも止めてますけど、いっちゃってるとあなた目を閉じないんですよ。だから私の言葉が届かないんですけどね?”

 

 あ、そーなんだ。一応止めようとはしてくれてたのね?

 

 ごめん。知らなかったわ。今後は気を付けるから許してね?

 

《目を閉じるように努力()します。》

 

”…”

 

 

 報告書からするとインペルダウンに収監されたのは2週間前。これはちょっとまずいんじゃないの?

 強さ的に言えば、ダズやクロコダイルより上だと思う。けれど収監された理由が冤罪だものね。心が折れてしまってないか微妙なところだ。一刻も早く救い出さないと…

 

 とにかく…急ぎましょうか!!

 

 

 ~ ~ ~ ~ ~

 

 

 その後はご想像の通りでございます。

 

 

 五老星はその微笑みに恐怖した。

 

 

 スパンダインは更迭は免れたものの、講習会をこれでもかというほど受けさせられた。

 責任を押し付けるだけでなく冤罪までも被せた事実が司法の塔内に伝わり、もともとなかった部下からの信頼はさらに地に落ち皆無となった。

 五老星は巻き添えをくらった事でスパンダインの言葉に耳を傾けようとはしなくなり、彼のCP0総監への道は絶たれたのだった。

 

 

 当たり前という事ではないが、彼の息子スパンダムについては何の処分も下らなかった。

 

 『親の罪を子に引き継ぐのは間違ってる。』

 

 という文言がCP内を巡っていた。

 

 一見するとスパンダムが騒いだ言葉に聞こえるが、実は違う。(実際に騒いでいたらしいが。)

 

 ”スパンダインの子のスパンダムについてはこの事を切り離して考えるように!”と厳命が下っていたのである。

 五老星の言葉ではあるが、もちろんこれを言ったのはカノンである。

 

 今後の布石…

 

 

 ~ ~ ~ ~ ~

 

 

 ゾフィ一は無事救出され、しばしの休養とリハビリの後CP9へと復帰した。

 

 彼は(ひそか)にカノンに忠誠を誓った。

 

 

 

 これで、カイドウの部下の飛び六胞は一人減ったわけだ。別の者が加わったとしても戦力ダウンは確実よね!!

 

 ってあれ? もしかして…

 

 ウォーターセブン編のCP9が一人増えた!?

 

 

 

 

 

 おまけ ~ 権力の間にて… ~

 

「「か、カノン様?」」

 五老星は恐怖した。その微笑みに…

 

 いつもの如く、流れるように言葉をつなぐことが出来ず、5人はただただその場に凍り付いた。

 カノンの横には連れて来られたCP9の長官スパンダインが顔を青くして佇んでいた。

 

 え…、なにこれ?

 目が…怖いんだけど!?

 カノン様の…目が…笑ってないんだけど!!?

 

五老星(おじいちゃんたち)は悪くないのよね?すべてはコイツの責任(せい)なのよね?」

 

 途端、スパンダインの頭が跳ねた。私だけの責任(せい)じゃないですよね?その目が懇願するように五老星を見つめる。が、五老星の視線は彼から外された。

 

 - !!? -

 

「これは我らが報告をうのみ(・・・)にしてしまった故の事」

「忙しいからと言って、未来ある若者の処遇を簡単に通してしまうとはなさけない。」

「さよう。われわれもまだまだ精進せねばならぬという事」

「カノン様、叱っていただき、感謝いたします。」

「今後はより一層身を引き締め、議案に対処する所存。」

「「もうしわけありませんでした!!」」

 

 別に謝ってほしかったわけじゃねぇよ!有用な奴からの報告だからってめくらサインすんなや!って話だよ!!

 しかもこれ、めくらサインしていい内容じゃねぇだろうが!!

 

「…次は無いから。」

「「!!?」」

 

「わかった?」

「「…はい。」」

 微笑みを浮かべたまま首を傾げて問いかけたら、すなおに答えてくれました。

 

 言質とったからね?ほんとに次はないからね?気をつけて業務にあたってちょうだいね?

 

 ね?五老星(おじいちゃんたち)!!

 

 

 

 (こっわ)っ!!

 

 

 

 




 この物語の中で、フーズ・フー は偽名、本名はゾフィーとしました。

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