イムの娘(いむのこ)   作:槙 秀人

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07-224話:行くぞ!海軍本部

「エース……!!?」

「いないな…一歩遅かったか」

 私たちがLEVEL6に到着した時には、牢屋の中にエースの姿は見えなかった。

 

 この状況にイワさんの部下イナズマさんが悪態をつく。

 この人にはこの後あまり無茶しないでもらおうかしら?

 

 一歩遅かったと、うなだれる3人…。でもそのエースのいなくなった牢の中にはまだジンベエが残っていた。

 ジンベエはルフィの姿を見て驚きを隠せない様子…。

 

「お前さん、“麦わらのルフィ”だな!!?」

「!?…ああ…」

「今しがただ!!すぐ追え!!エースさんはリフトで連行された!!」

「…おっさん、誰…ヘブッ!!」

 私はルフィの頭をぶっ叩いた。

 

「ま~た、お前は!!」

「痛ェじゃねェか!何すんだよ!!?」

 

「!!?」

 

「忘れてるあんたが悪い。おっさんじゃなくて七武海!!『海峡のジンベエ』よ!」

「あー!魚人の七武海か!!えっ!?どうして捕まってんだ!?」

 

「そんな事はええ!!急げばまだ間に合う!!行け!!」

「そうか!!ありがとう…!!」

 無理だって…

 

「ルフィ!普通に上にあがろうとしてもダメよ!!私たちがここに向かってた事はバレてるんだから!!奴らの裏を取らなきゃ上に行けないどころか、ここで捕まるだけよ?」

 

「!!そ…そうね紅ガールの言うとおりだわ!!」

「こんな時だというのに、キミは冷静だな…」

 

「慌てた時ほど冷静にならないとね。それこそ敵の思う壺じゃない?」

 なんの事はない。私が冷静なのはここではエースを助けられないと踏んでたからだ!!

 

 助けようと思えば助けられたかもしれない。

 でもね…。それなら、エースVS黒ひげの際に、奴らを殲滅すればよかっただけの事だ…

 

 

 この先の展開が全く読めなくなるのは、正直嬉しいことじゃない。

 

 約束したけど、エースを救う事は実は必須ではない。必須ではないんだけど…

 

 イオリとして生きてきたからだろうか?伊織(・・)が生きていたら…と、どうしても思ってしまう自分が居る。

 だから、エースを救いたい!!

 

 でも、エースをただ助けるだけだと、その後の流れが大きく変わってしまう恐れがあった。

 この世界が、ワンピースというひとつの物語りの世界である以上、変え過ぎた流れは補正される危険性がある。

 だからこそ、大きな流れを変えずに、変えれるところを変えてきたつもりだ。そのためにもチカラが必要だったから、鍛えに鍛えてきたわけだ。

 まあ、私がここに居る時点で、補正自体がなくなっている可能性もあるけどね?

 

 

 頂上戦争での目的はいくつかある。その為に、LEVEL6まで来たんだから!!

 第一はもちろんエースの救出だけどね!!

 

 ジンベエが私を見てなにやら考えている様子…

 もしかして、シャンクスの娘だとか思っちゃってたりして?

 でもね…未だに不明なのですよ。

 

 

「イナズマさん!!リフトと階段の入り口を塞いでくれない?」

 

「なに言っチャブルの?」

「リフトの口が開いてるなんて、罠だと言ってるようなもんでしょ?そこから上がろうとすれば何かを落とし…」

 ルフィがリフトの鎖にしがみついて登ろうとして、すぐに飛び出してきた。見ると上から剣山のようなものが落ちてきた。

 

「リフトが使えないと階段に行けば鉄格子を下ろし、そこからガスでも流し込めば一網打尽に出来るじゃない?」

 ルフィが階段に走って行くと格子が落ちてくる。そしてガスも…

 

「「!!!」」

 

「ここはLevel6…なんなら毒ガスを流し込んで、囚人達もろとも私たちを殺す事だって有り得るわ!誰にも知られる事はないし、誰も文句を言わないだろうからね?」

 

「…紅ガールの言うとおりね…でも、ここ以外に出口はナショナブルのにっ!!」

 すぐさまイナズマが動いた。

 

「何だ、アイツ!!地面を布みてェに切ってんぞ!!」

 切られた地面はめくりあがり、ガスの降りてくる階段を次々と塞いでいく。そして階段は塞がれ、ガスの流出が止まった。

 

「うお…!!めくった地面でガスを閉じ込めた!!やるな、アイツ!!」

 ざわめく囚人達。

 

「イナズマは“チョキチョキの実”の『ハサミ人間』。切り出した物を紙のように扱える…」

「おい、おれは上に行きてェんだよ!!カニちゃん!!階段閉じちまったらエースに追いつけねェよ!!」

 

「閉じる他、ガスを止める方法がない。意識を失っては救出もクソもない。」

 イナズマさんはこんな時でもワイングラスを手放しませんね。

 

「失ったって救出すんだよ!!エースは死刑になるんだぞ!!」

「無茶を言うな。単純だが敵の作戦勝ちだ。我々はこのLEVEL6に閉じ込められた。現状、脱出の術はない。」

「!!?」

 

「せめてもの抵抗はコレ…!!敵の情報を奪う事…!!」

 イワさんの手にはいくつもの子電伝虫が。

 

「常識で考えて…もう間に合わナブルよ。エースボーイがリフトでスムーズに海上へ連行されるのに対し、こちらには立ちはだかる敵がいる!!軍の護送は迅速、ビブルカードをごらん。真上は差してないんじゃない?」

 ルフィの手の上にある、かなり小さくなったカードは斜め上を向いている。

 

「 ― もう身柄は海軍に引き渡された頃だわね。紅ガールはこうなる事を想定していた…。違う?」

 

「言ったでしょ?私はここにルフィを救出しに来たって!!」

「それと、ここに用があるんじゃなくって?」

 

「…まぁね!」

 

イオリ!!おめェ、どうするつもりなんだ!!?」

「もちろん、海軍本部に向かうわよ?私はそのつもりでココに来たんだから!!」

 

「「!!?」」

 

「おしっ!おれも行くぞ!!海軍本部!!!

 

ヴァカおっしゃい!!!この世界の頂点の戦キャブルよ!!?“白ひげ”の実力知ってんの!?迎え撃つ海軍の「大将」・「中将」・「七武海」の実力知ってんの!?ヴァナタ達、命いくつ持ってんの!!?

 

「もし諦めたらくいが残る!!おれは行く!!

「誰も行かなくたって私は行くわ!!こんな時の為にと、ずっと鍛えてきたんだからね!!」

 私たちの決然とした言葉を聞いてイワさんが、ちょっと引きさがる。

 

《この感じ、何度も体験した事がある…!!まさに…!!ドラゴンを相手にしてる気分!!》

 

「行くも何も…!!まずこの階から抜け出せないんだぞ。」

 イナズマさんが冷静に言うけど、

 

「そんな事はないわよ?」

 と私が返した。

 

 別に原作知識からじゃないわよ?

 この人達になら私の能力をバラしてもいいと思ったからだもの!!

 もっとも、そんな考えは不要なみたいだけどね?

 

「 ― ここを抜けたきゃおれを解放しろ…!!」

「!?」

 

 背後で声が聞こえた。気配でもわかる!クロコダイルだ!!

 

「おれならこの天井に穴を開けられる!!どうだ、麦わら…クハハハ…」

 

「あ!お前…!!ここに捕まってたのか!!クロコダイル!!」

 その牢屋の中には手錠をかけられたクロコダイルが…。

 

「もうシャバに出た所で面白みはねェと思ってたが…“白ひげ”と“海軍”が戦争を始めるって?あのジジイの首を取るチャンスが来るとはな。おれはその戦争に興味がある…!!おれの能力があれば…おれもお前もここから抜け出せる。悪い話じゃねェハズだ。互いにメリットがある。」

 

「フザけんな!!お前はビビの国をメチャメチャにした奴だ!!」

「昔の話だ、あの国にもう興味はねェ。」

 ルフィが激昂してるけど、話が進まないのでイワさんが割って入る。

 

「解放しましょう、麦わらボーイ。確かにコイツがいれば相当な戦力になる。ヴァナタ達は止まらない…『海軍本部』へ行くなら尚更よ…!!」

「えェ~~!!?イワちゃん!!あのな、コイツは!」

 

「…イワンコフ…!!」

 クロコダイルは苦虫をつぶしたような顔になった。さらに私に気づいて睨みつけてきた。

 

 あらま!もう忘れてると思ってたのに…

 

「お久しぶりだわねェ、クロコボーイ…。」

「…」

 

「何だ、知ってんのか!?」

「ちょっと昔ね…。コイツがまだルーキーと呼ばれた時代…!!大丈夫よ。万が一ヴァターシ達を裏切る様な行動に出てもヴァターシが抑え込むから…。一切信用できないけど…ン~~フフフ、ヴァターシはコイツの“弱み”を一つ握ってる…!!大人しく“力”だけ貸すのなら…黙っててあげるけど。ヒーハー!!」

 

「貴様…!!」

 歯ぎしりするクロコダイル…。

 

「何だオイ、だったらおれも解放しろォ!!」

「おれもおれも!!白ひげに恨みがある!!」

 

「黙れ、“DEATH WINK(デスウィンク)”!!」

 と囚人達を攻撃。LEVEL6にいるくらいだから、囚人達も弱くはないハズないんだけど…。

 ああ、何かの能力者なのかな?海楼石の手錠で弱ってるとか?

 

 もう一方から他の声が聞こえてきた。

 

「後生の頼みだ!!!」

 

 ルフィが振り返る。その声はジンベエ…

 

「わしも連れて行ってくれ!!必ず役に立つ!!エースさんとは…彼が白ひげ海賊団に入った時からの付き合いじゃ。弟妹がいるという話はさんざん聞かされてきた…!!わしはこの戦争に反対した事でここにいる!!エースさんを救いたいんじゃ!!頼む!!わしに死に場所をくれ!!!」

 

 ルフィとジンベエが互いに顔を見つめる。まるで何かを交信しているかのように…

 

「ウ~~~これまた大物…!!」

 

「いいぞ。」

「おい、大丈夫か?我々はコイツの危険度も人格も一切知らない!!」

 イナズマさんが警告する。

 

「いいんだ、出してやってくれ。」

「…かたじけない!!!」

 

 すると再び外野の囚人達が騒ぎ始めるが、イワさんがまたDEATH WINK!!

 イナズマさんは鍵穴にハサミになった手を差し込み、手錠を解きジンベエとクロコダイルを解放した。

 

「 ― さァて、こうなったら時間がナッサブル…!!力技でこの監獄を突破するわよォォ!!ヒーハー!!」

 

「白ひげのオヤジさんには手出しはさせんぞ、クロコダイル 」

「じゃあ、今の内に殺し合っとくか? 」

「“元”も含め「七武海」が2人…超新星も2人とは…」

 

「そんじゃ、ルフィは任せて大丈夫かしら?」

 

「ヴァナータはいったい何をやらかそうっていうの?」

「ちょこっとココに用事があるのよね!!」

 ある男の思惑を潰してやるの!それと別の戦力(・・・・)立ち上げかな?

 

「さっさと来ねぇと置いてくからな?」

「気にしないでいいわよ。私は単独で(・・・)ここに潜り込んだんだからね!」

「…」

 

「イワさんも心配しないで大丈夫よ。ルフィをよろしく頼むわね!!」

 

 

 

 




<お知らせ>

仕事の関係で、

次話投稿は、来週12日以降になる予定。


予定は未定と申しまして……

12日…

に投稿できたらいいなぁ…


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