イムの娘(いむのこ)   作:槙 秀人

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07-226話:ありがとう

 見聞色で皆の気配を探りながら剃刀で移動。インペルダウン入り口に向かって先行するルフィ達と合流を果す。

 

 その後、そこそこボロボロになったシリュウも駆け付けてきた。

 

ありゃま!けっこうやられたみたい?」

「あちらさんは体調不良、こっちは運動不足が祟ってな!時間食っちまったよ。結局追い払うのが手一杯だったな。」

 息抜きに葉巻を点け直すシリュウ。しかしこの世界って喫煙者が少ない割に葉巻率高いわよね。

 原作では頂上戦争後に赤犬も葉巻吸ってたよ~な?

 

「2人共無事だっタブルね!」

 

 私たちは無事、インペルダウンの門を抜けた。

 これでインペルダウンから脱出!……できたかの様に見えたのだが。

 

「軍艦が一隻もない?」

 まぁ、原作通りだね。

 

 見渡す限り海。しかもカームベルトだから泳ぐわけにもいかない。さすがにコレだけの人数を小さくして持っていくのも面倒だしなァ…

 それに、私にはまだやることがあるのよね!!

 

「いや、あそこに軍艦がある!」

 目が良いジンベエが艦を発見。有り難く頂戴する事になった。

 占拠しに行くメンバーはルフィにクロコ、Mr.1、なぜかバギー、そしてジンベエだ。

 

 インペルダウン入口の扉をイカダ代わりにジンベエが背負い海を泳ぐ。

 船の奪取はルフィたちに任せておけば問題なしっと…

 

 

「貴様ら…」

 

 …と、ここまで順調に進んでいたのだが、地獄の底から響く様な声が響いてきた。

 

 あ~あ、性懲りもなくマゼランが追ってきたじゃないのよ…。

 

「ボロボロなのにご苦労なこった。」

 シリュウと戦ったせいか傷だらけのマゼランだが、彼の頭上に毒々しい怪物の毒の巨兵(べノム・デーモン)・『地獄の審判』が現れる。

 

 ドロドロな感じがナウシカの巨神兵みたいに見える…

 お~!ジブリじゃん!!?

 

「チッ……アレを使いやがったか。この場所だと面倒だな。」

 アレの威力を知ってるシリュウが呟く。

 

「私がやるわ!」

 と、私は一人マゼランの前に進み出る。

 

「くれない!!…貴様が来なければこうは…」

 

「先手必勝!!」

 私は直径10cmの水玉風船を十数個、巨兵の前に放ると同時に念動力で中の水に回転を加えた。

 水が回転することで風船が変形…床に落ちる直前には縦が15cmほどになった。

 

「「!!?」」

 

 風船は普通の水玉風船で、中身は1/100に縮小した真水である…

 

「解除っ!!」

 

 縮小を解除すると風船が弾けて15mの巨大な水の竜巻が風船の個数分現れ、巨兵に激突する。

 

「むっ?こ、この程度でェ……」

「これで終わりな訳ないじゃん!連発よ!!

「ぬぉ!?」

 

 続けて水玉風船を十数個投げつけ、すぐさま縮小を解除!最初の竜巻に勢い良くぶつける。

 

 さらに…

 

まだまだいくわよ!!空気圧縮砲!!

 アクアラグナを突破する時に使った空気圧縮砲(ちょっと広め)で追い打ちをかけた!!

 水の竜巻は折り重なり、巨大な渦となって毒の巨兵ごとマゼランをも飲み込んだ!!

 

ぐうおおおおおぉぉぉぉ!! くれ…な…

 くれ…って何を?…

 

 まぁね…私の事を(なじ)ろうとしたんだろうけど?

 

 健闘むなしくインペル内に押し流され階下に消えるマゼラン。 まぁアレくらいじゃ死なんでしょう。

 

「…アレに覇気込めりゃ、能力者にゃ無敵になるんじゃねぇか?」

 呆れてるシリュウ。

 

 でもなるほど!!それはまったく思いつかなかったわ!

 今度使ってみようっと!!

 

「とてもルーキーとは思えなッシブル…ひょっとしたら四皇なみに強いんじゃないかしら…」

 イワさんが驚いてるけど…

 うん、まぁそれについては何も言わんとこ…

 

 その後ジンベエから連絡が入り、海に飛びこめと言われる。

 

 やかましいモブや3たちはスルーして顔面を超巨大化させたイワさんに皆が掴まり地獄のWINKで空を跳ぶ。

 

 皆を小さくすれば私が持って飛んでく事も可能だけど、見せ場を奪うのもなんだしね?

 ルフィと違って、私はちゃんと空気読める子ですから!!

 

 イワさんの頭?は海中から出て来たジンベエザメの群れに無事着地。そのままジンベエ達の乗る軍艦に合流した。

 

 そこからが大変だったみたい(・・・)。軍艦を奪取する際に攻撃した残りの軍艦が復活した!!

 

 ルフィ達の乗る船が総攻撃を受ける。

 

「こりゃやべェ!!もう復活した!!何隻いんだよ!!艦隊が追って来る!!」

 

 ズドォン!! ドンドドォン!!

 

「おァ!くらった!!」

「中将以上の実力者はすべてマリンフォードに召集されとるが、軍艦は軍艦!!誰が乗ろうと手強いぞ!!」

 ジンベエが言う…

 

「無駄だとまだわからんか!!貴様ら海賊の為に!!『正義の門』は開かない!!」

 

 ルフィ達の目前には「正義の門」が近づく…!

 

「そうだ!!コイツがあったーー!!」

 船上は大騒ぎになっていた。特にバギーと3が…

 

「マズイガネー!!アレは開けられんガネー!!げー!!ここまで来て行き止まりだがねーっ!!」

 

 バギーがジンベエに噛みつく

 

「どうすんだ!!?サメ!!」

「突っ切る!!」

「ムリに決まってんだろ!!事態は最悪だ!てめェは何でそんな落ちついてんだよ!!」

 

「まず(ふね)を守れ~~~!!とにかく艦をーっ!!」

 ルフィが号令をかける!

 

「受けてばかりでどうする。こっちも軍艦だ、撃たねェか、役立たず共…!!」

 クロコダイルが冷静に言うのを聞いて、バギーが叫ぶ

 

「おれの提案だが、こっちからも撃つんだ、野郎共ォ~~~!!」

「 了解、キャプテン・バギー!!」

 

 クロコダイルは砲弾を砂に変え、ルフィはゴムゴムの風船で跳ね返す。

 シリュウも砲弾を細切れにしていた。

 

「囚人共め…袋のネズミになる事がわかってなぜ『正義の門』へ向う!?門の開閉はインペルダウン内部からの操作のみ。それ以外開く術は絶対にない!!撃てェ!!奴らを撃ち沈め…!?え!?

 

 目の前の「正義の門」がガコッ…!! と…

 

『正義の門』が…開いていく!!

 

「なぜ…!?どうなってるんだ!!!?なぜ門が開く!!?」

 

 ルフィ達も驚き、歓声をあげる

 

「ど…どういう事カネ!?罠か!?」

「うおおおお~~!!やったぞォ~~!!何でか知んねェけど門が開いた!!」

 

 みんなが喜ぶ中、ジンベエだけが無言で舵をとる…

 

 

 

 そしてこちらはインペルダウンの正面入口までたどりついたマゼラン。

 かなりのダメージを追い、疲労困憊ながらも脱獄艦を見つめていた。

 

「マゼラン署長…とにかく手当を…」

…バカな!!なぜ門が開く…!?」

 

 

 

 その頃…

 

 ~ インペルダウン1階動力室 ~

 

「本当に門を開いてよろしかったんでしょうか!?マゼラン署長!!」

「これでいい。おれの指示が間違った事があるか?」

 

「いえ!疑うわけでは…」

「奴らの(ふね)一隻を通したらすぐに門を閉じろ、わかったな!!」

「了解しました。」

 

 

 

 ~ 海上では ~

 

「逃がすな!!逃がしていいわけがない!!撃て!!マゼランの指示なのか!?どういうつもりだ!!?」

「こんな事をする意図がわからん!!マゼラン署長はどうした!!?」

「 ― しかし署長の意志ではない様に思います!!先程、正面入口の桟橋に姿が見えましたので…」

 

 

 

 ~ インペルダウン内部 ~

 

 マゼランが息を切らせてヘトヘトになりながら走っていた

 

「ハァ…!!動力室!!何をしてる!!誰が「正義の門」を開けろと…!!」

「えェ!!?しょ…署長!!?」

 マゼランの目の前には自分と瓜二つのマゼランが…!!

 

「あら…。」

 

 

 

 ~ ルフィ達の軍艦 ~

 

 ルフィがジンベエに問いただす。

 

ホントか!?それ!!ボンちゃんが…!!?

「さっき入口で一緒にいたのに!!ボンちゃん一人インペルダウンに残ったのか!!?おれ達このまま進むのか!!?」

「時間がない…。」

「あいつ置き去りにすんのかよ!!」

「他にも途中倒れた同志達を何百人と置き去りにしてきた!!― また戻ってマゼランと戦う気か!!?さらに犠牲者は増える!!時間も失う!!誰かが残らねばこの門は開けられんかったんじゃ!!」

 

 ルフィにそう言いながらジンベエはボンちゃんとのやり取りを思い出す…

 

『あちしが一番確実にやれる!!あちしが開けるわ、「正義の門」!!』

『お前さん、その後…どうするつもりじゃ…!!』

それ聞くのヤボじゃナイ?麦ちゃんには…通信が切れるまで黙っといてねい。オカマの別れに言葉はいらない…。』

 

 ボンちゃんはそう言い残してインペルダウンへ…

 

 ジンベエはルフィに小電伝虫を差し出した。

 

「!?」

「 ― まだ繋がっとる…!!小電伝虫の念波(ねんぱ)は短い…!!この門が閉じれば通信も切れるじゃろう…。」

 

 

 

 ~ インペルダウン1階動力室 ~

 

 マゼランはキレていた…自分の不甲斐なさに。そして目の前のオカマに…

 

「貴様…」

「そーよ、あちしよーう!!んがーっはっはっは!!またひっかかったわねーい!!」

 指令を出していたマゼランがニセ者だとわかって、部下達も騒ぎ出す。

 

「あの時、顔をメモリーしといてよかったわ!!」

 ハンニャバルに化けたボンちゃんがマゼランに『ここで何があった!』と掴まれた時、マゼランの顔を触っていた。

 

「よくも…」

 その時、小電伝虫から声が…

 

ザザー ボンちゃん!!!

 

「(麦ちゃん…!?)」

 

『おい!!聞こえてんのか!?ボンちゃん!! ザザー お前また何でこんな事すんだよ!!あん時みたいによォ!!』

 

「(ジンベエ!!通信が切れるまで言わない約束だったじゃナイのよーう!!)」

 

『一緒に脱獄するんじゃなかったのかよォ!!おれ…!!助けて貰ってばっかじゃねェか!!』

 

「(…!!)」

 

 

 

 ~ ルフィ達の軍艦 ~

 

 軍艦の上ではルフィと小電伝虫を囲んでみんなが集まっていた。

 

「そこにいるんなら返事しろよ、ボンちゃん!!」

 周りもボンちゃんが門を開ける為に残った事を聞いた。

 

「そうだったのか…あのオカマの奴…私たちの為に一人残って…」

「ボンちゃん!!」

「ボンのアニキ、返事しろよ!!」

「ボンちゃーん!!」

 Mr.3とバギーもボンちゃんの行動に涙を流して感動している模様…

 

「Mr.2…!!」

「Mr.2!! おめェって奴ァ…!!なんかゴメンな、色々ォ!!」

 

「ボンボーイ…!!」

 イワさんも…

 

 

 ルフィ達の乗った軍艦が正義の門を通過する。

 

 みんな小電伝虫に向かってボンちゃんの名前を呼び続けてるようだ。

 

 そしてルフィが言う…

 

 

 

 ~ インペルダウン1階動力室 ~

 

『ボンちゃん!!!門がもう閉まる!!…おれ達…行くよ!!ありがとう!!!

 その言葉を聞いて、ボンちゃんの目から一気に涙が溢れ出した…!!

 

『ボン兄ィ、ありがとよー!!』

『ありがとーっ!!』

 

 ボンちゃんが小電伝虫をつかむ、

 

「麦ちゃん!!」

 

『ボンちゃん!!?』

 

「必ずアニキ救って来いやァ~~~!!!」

 

 

 

 ~ ルフィ達の軍艦 ~

 

 ルフィの目からも涙があふれ出した…

 

『アンタなら ザザー かなら ザー…

「ボンちゃーん!!」

 

「門が閉まるぞー!!撃沈せよ!!」

 その瞬間、正義の門が閉まった…

 

ザー…ブツッ!

「ボンちゃーん!」

「ボン兄ィ~~~!!」

 門が閉まるのと同時に通信は切れた… 呆然とする海軍…。

 

「逃げられた…っ!!」

 

 門を抜けた軍艦では、ルフィ達が泣き叫んでいた。

 

「あいつがいなかったらおれ達よォ…!!…今頃門の向こうで海の底に沈んでた…!」

「「ボンちゃあ~~~~ん!!!」」

 

 全員が涙を流しながらボンちゃんの名を叫んでいた。

 

 

 

 ~ インペルダウン1階動力室 ~

 

 そして残ったボンちゃんは、マゼランの方へと身構えた…

 

 さて…

 

 私がどうして、私たち(・・・)と言わずにルフィ達(・・・・)と言っていたかというとですね?

 

「残す言葉はあるか!!」

 マゼランがボンちゃんに詰め寄る

 

 

バイビー!!ってな感じでどうかしら?」

 私は自身の縮小を解除しながら言い放った。

 

「「!!?」」

 

 

 

 

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