イムの娘(いむのこ)   作:槙 秀人

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07-230話:脱出準備

「お前らの知ってるくまとコイツは別人だぁ……」

 

「何言ってんだ?鳥みたいなヤツ!」

「そんなわけナッシブル!間違いなくニキュニキュの実の能力者。コイツはくまよ。返事をおし!くま!!」

 いやまぁ、ホントに別人ですけどね?本当の事は、実はドフラも知らんだろうな…。

 

「ついに改造が完了したってわけね?もったいないなぁ~…!くまの人格が残ってたほうが強かったのに…」

 しかし…昔の仲間でも気づかないか。まぁ、それくらいじゃないとバレちゃうしね?

 そういえば、イワさんはクローンが居る事も知らないんだっけ?

 

「ヴァナータ!!?」

「イオリ?」

 

「おめェが『くれない』かぁ…『参謀』と言われるだけあっていろいろと詳しそうじゃねェか、フッフッフッ」

 ドフラが指をクイッとする。

 

「……」

「おっすげえな…これが効かねぇか。なるほど厄介だなぁ…フッフッフッ」

 

「この糸は…数千…いいえ、2万本くらいはありそうね…?」

「「!!?」」

 

「無色透明超極細の糸を幾重にも編み込んでそれを対象にくっつけて、マリオネットのように操ったり、切れ味の鋭い切断糸にも作り変えたりするわけか…」

「……」

 私の言葉を聞いて黙るドフラミンゴ。私は言葉を続けた。

 

「あなたの能力は不明だったから警戒してたのよね!(ウソ)さしずめ『イトイト』の実の能力者ってところかしら?でも、凄いわね。ここまで鍛え込むのは相当苦労したんじゃない?」

 

 空島の紐の試練よりも細い糸…。しかもこっちのほうが格段に強度も高い。拡大して視ればこんな極細なのに、さらに細い6本の糸が編み込まれている…。1本に見える(・・・)この糸はその極細糸が数千本で編まれているかと思ったけれど、実はその6倍だったとは…。

 この糸に覇気を通せば更に強度を増すだろう…

 

「こりゃとんでもねぇなぁ…初見で見切られたのは初めてだぁ…」

 残念ね。実は初見じゃないんだなァ…

 

「これは普通じゃ切れないでしょうね?」

「そう言いながらその糸を簡単に斬ってるおめェは普通じゃねェってかぁ!?…なんだァその剣は?」

 黒い刃の剣を見て、ドフラミンゴの眉間にしわが寄る。

 

「これ?…これは”四代鬼徹”『海』よ!!」

 これは黒刃だけど、まだ(・・)黒刀じゃないのよね。

 

「…なんでてめェがそれ(・・)を持ってる!?『海』はワノ国からカイドウがかっぱらったって話だが…?」

「なるほど…奉納刀を盗んだのはカイドウだったわけか。」

「奉納刀!?」

 

「まぁ、いいでしょそんな事は!!って事はこの剣がどういう代物かも知ってるわよね?」

「…とんでもねェアイテムまで持ってやがるなァ…フッフッフッ」

 

 あらま、ずいぶんと余裕じゃん?…後で(・・)泣くんじゃないわよ?

 

「今はあなたと遊んでるひまは無いの!またね!!」

「けっ…食えねぇ女だぜぇ。」

 おやまあ、あっさり見逃してくれるのね?

 

 ちなみにイワさんはくまと白熱してる様子。放っておくしかないわよね。

 そして肝心のルフィは更に前を目指す。…そこに立ちはだかるは、鷹の目のミホーク。

 

 ルフィは逃げの一手を打つがミホークの射程からは逃げられない。さっきもJET技を撃とうとしたが、直感で危険を感じたからか引っ込めた。

 見聞色も発現しているからね。原作で見たあれは、未来視なのかもしれない。

 

「ミホークさん!悪いけどルフィは解放してもらうわよ!!」

「!!?」

 

「イオリ!!」

「ルフィ!あんたは先に進んで!!」

 ドフラの糸を切った剣で正面から斬りかかる。

 私は別に剣士ってわけじゃないから正々堂々じゃなくてもいいんだけど、なんとなく…

 

 当然、アッサリ黒刀・夜で受け止められた。そりゃそうだろう。私は剣技でミホークに勝てるとは思っちゃいない。

 勝負に負けるつもりはないけどね!!とりあえず2年後のゾロを測れるようにと思ってるだけよ?

 ミホークの気配はシリュウよりもさらに上だ。気をつけないと!!

 

「くれないか!!フッ…赤髪から聞いて、貴様とは是非とも本気で闘ってみたいと思っていたのだ!!そちらから斬りかかって来たのだから、受けてもらうぞ!!」

「!!?」

 なんですってェ!?

 

 シャンクス!!あんたまさか…!!?

 

 やっぱりかァ!嫌な予感してたんだよ!!

 

「シャンクスからどんな風に聞いたか知らないけど、これっきりにしてもらうわよ!!赤髪とあんたの戦いみたいに長引かせるつもりなんてないからね!?」

 そもそも私は剣士じゃねーし!!

 

「貴様には、ロロノアを強くしてもらはなくてはならんからな。殺しはせんから安心しろ!!」

 そのセリフの何処が安心できんじゃコラ!!

 

「とりあえず戦場でのあんたの剣を体験させてもらうわ!!」

 ゾロの成長の目安にもなるしね?

 

「よかろう…貴様も手加減はいらんぞ!!」

 いや、出来ないって…

 

「それじゃ、いきなり行かせてもらうわよ!」

 

 飛天御剣流… 九頭竜閃!!

 

 上・下・左・右・袈裟・逆袈裟・左袈裟・左逆袈裟、そして突き!!

 

!!?…なんという速さと重さ!まさかこれほどとは…私の予想をはるかに超える。貴様の力…おそらく四皇に比肩しうる…」

 と言いながらも9撃全てをさばく所はさすが。1撃くらいはあてられるかと思ったんだけどな

 

「さすが、剣技じゃ抜けないか…。私もまだまだ鍛えないとね!!」

「…わからんな。これほど力を持った者がなぜ麦わらの下に付く?何か特別な理由でもあるのか?」

「義姉弟なんだから別に不思議はないでしょ?それにあいつは海賊王になる男!!あれ、マジだからね!!」

 

「……貴様とは一度、ゆっくりと話したいものだな…」

「そのうちに…シャンクスも交えて飲みたいわね!?」

「!!?」

 

 さすがにミホークの剣技はすさまじかった。でも、覇気は武装硬化だけで、纏ってはいない。刃こぼれをさせないだけって事かしら?

 本気と言いながら優しいこって…

 

 ただし…

 原作で氷山をブッタ斬った斬撃は私に向かって放ちやがった。

 当然避けたけどね?

 

「ちょっと楽しくなって来たけど、ルフィもあなたの射程内から抜けたようだし私も行くね!?」

「おれが貴様を逃がすと思うのか?」

 

「次のお相手に任すわ!!」

「!!?」

 

 私がヒョイと避けると、マルコの指示でシルクハットのひげのおっちゃんこと、ビスタがミホークに斬りかかっていく。

 

「お初に! 鷹の目のミホーク!」

「!花剣のビスタか!」

 

「(能力や技じゃない ― その場にいる者達を次々と自分の味方につける…。この海において、あの男…いや、あの二人はもっとも恐るべき力を持っている…!!あの二人が海賊団を形成しているのならば…)」

 

 

 

 【 刻々と迫る処刑時刻を前に――

   次々と明らかになった衝撃的な事実―

   鉄壁の大監獄「インペルダウン」でまさかの200人を越える大脱走劇と

   戦場へなだれ込むその名だたる凶悪な囚人達…

   目の前に映し出されるのはまるでこの世とは思えぬ光景―

   世界の歴史を塗りかえる程の頂上決戦!!

   世界中の人々はただ息をのみ。

   ここに託された揺れ動く未来を見守る事しかできない  】

 

 

《…さて…そろそろかな?》

 

 

 

 激しい戦いが続く中、処刑台では…

 

「元帥殿、準備が整いました。」

「湾岸の作動準備もか?」

「はい、全て。」

 

「あいつら…!!エースに何する気だ!?まだ時間じゃねェぞ!!」

 

「ただちに映像電伝虫の通信を切れ!!我々に対し世界が不信感を持っては困る。生ぬるい世間には、少々刺激が強すぎるだろう。 ― これから起きる惨劇を、何も世界へ知らしめる必要などない。」

 

「本当にエースの処刑、早める気だ!!エース~~~!!」

 エースのもとへ急ぐルフィ…!

 

「数時間後―世界に伝わる情報は、我々の“勝利”。その2文字だけでいいんだ。」

 

 

「湾頭を見ろ!!何かいるぞ!!」

 

「おれ達の仲間じゃねェ…!!海兵が氷の裏を通って回り込んで来たんだ!!何だ、あいつら!!」

 

「アレが噂に聞く ― 政府の「人間兵器」か…」

 

「シャボンディ諸島にいたくまみたいな奴ら!!」

 

「…!!く…??く…!!くまァ!!?」

 

「さァ、おめェら!!待ちくたびれたぜ、やっと出番だ!!」

 

 

 

 “開戦”より約1時間半の死闘を経た頃 ―「海軍」が大きく仕掛けようとする ―

 それをキッカケに“戦争”は急速に流れを変え ― 最終局面へと一気に雪崩込む!!!

 

 

 

「七武海のバーソロミューくま!!!何でくまが何人もいるんだよっ!!どうなってんだ!?」

 

「あそこにいるのは本物なのか!?」

 

「時々噂を聞くぞ!!Dr.ペガバンクが今「人間兵器」を開発中で色んな事件に度々実験体を送り込んでいると…!」

「なぜみんなくまの姿なんだ!?」

 

 

「オジキィ!!ちょっと計画が違う様だぜ!?わいらが出る頃にゃ海賊達は湾内に追い込める様になってると聞いていたが、ずいぶんバラけてるぞ!!」

 

 

「海軍はおれ達を湾内に追いつめて取り囲むつもりだったんだな。白ひげのオヤッっさんが周りの軍艦から討ち崩せと言ったのはこういう事か、コレを読んでたんだ!!お陰で包囲されずに済んだ!!」

 

『左右は崩れても縦に挟み撃つ事はできる!!予定通り傘下の海賊達から狙え!!“包囲枠”から外れた者達を始末せよ!!』

 

「オジキ、軍艦も壊れるがいいか?」

 

『最小限でねェ…』

 

「残念だったわね?」

「!!?」

『『!!?』』

 

 ― ドガンッ!! ―

 

「ぐぁ…て…めェ…」

 

 戦桃丸が一撃で気絶する…

 

 私は戦桃丸の手から電伝虫を奪うと黄猿とセンゴクさんに向かって言った。

 

「指揮官が一人しか居ないってのが致命的だったわね!こいつらは木偶のまま”小さく”させてもらうわ!!」

『『!!?』』

 

 私はPX全員を小さくして箱に仕舞い、さらにその箱を小さくしてパックダイアルに仕舞った。

 

「まいったねェ~…戦桃丸君も災難だったねぇ…」

「こりゃぁ、全滅は難しくなったんじゃないの?あの娘…ほんとに厄介だなぁ…」

「…」

 3大将が…

 

「くれない!!まさか…この作戦を読んでいたとでも言うのか!!?」

 センゴクさんが呟く…

 

「主力の無くなった後方の敵には構うな野郎共ォ!!!一気に広場へ攻め込むぞォーっ!!!」

 

「ウオォォ!!」

 

 これで白ひげが刺されるのは回避できるかな?

 と思ったけど刺されましたね…

 

 忠告しておいたんだけど、やっぱり言ってなかったのか…

 

 クロコが怒鳴り、マルコがいろいろ考えて不安がってるけど刺されたのは白ひげが衰えたからじゃないと思う。

 

 知ってて、ワザと刺されたんだ。まったく、大馬鹿よね。

 

 マルコがスクアードを甲板に叩きつける…

 原作と違いPXの攻撃がないので、そのままスクアードは観念したように動かない。

 ただ白ひげに愚痴を言うだけだった…

 

 そのスキに、センゴクさんが青キジに指示を出し、残っていた映像電伝虫を凍らせた。そして防御壁を作動させようとする。

 

 よし、今のうち…

 

 

「エースがロジャーの息子だってのは事実…それに最も動揺する男を振り回した…奴らの作戦がおれ達の一枚上をいったんだ…もっとも…その作戦を読んでたヤツも居たんだがよ…」

「「え!?」」

 

「実はな…数日前、ロジャーに恨みがある者が、おれを刺すかもしれねェと言われてた!!それを防ぐ方法として、先にエースがロジャーの息子だと皆に伝えておくといいともなァ…。だがそいつはこうも言ってやがった…」

 

 -先に伝えた場合、その者の恨みはどこに行くんだろうね?-

 

「ってなぁ…。だったらよォ…それは親であるおれが受けなきゃならねぇだろ?」

 

「オヤジ…あんたまさかワザと!!?」

 

「スクアード…おめェ、仮にも親に刃物つき立てるとは…とんでもねェバカ息子だ!!」

「…」

 

「だが…バカな息子を――それでも愛そう…」

 そう言って白ひげは片膝をついてスクアードを抱き締めた

 

「…ウグ…!?すまねェオヤジ…おれぁ…なんてことを!!」

 

「お前がロジャーをどれ程恨んでいるか…それは痛い程知ってらァ…  ― だがスクアード、親の罪を子に晴らすなんて滑稽だ…エースがおめェに何をした…!?仲良くやんな…エースだけが特別じゃねェ…みんなおれの家族だぜ…」

 

 目に涙を浮かべるスクアード…。白ひげはセンゴクさんを見ながら呟いた…

 

「まったく…衰えてねェなァ、センゴク…!!だが、今回は相手が悪ィ…残念だったな!!」

 

 白ひげはクロコダイルをチラリと見た

 

「(“弱ェ男”か…勝手な事言いやがって…勘弁しろよ、ワニ小僧…!!おれだっておめェ…心臓一つの人間一人、悪魔だの怪物だのと言われようとも、いつまでも“最強”じゃいられねェってんだよ!!若ェ命をたった一つ未来につなげりゃ、お役御免でいいだろう!? だが…ここじゃあ死なねぇ!!)」

 

「おれと共に来る者は、命を捨てる覚悟でついて来い!!」

 

 ゴォォ…!

 

「ウオオオオオおお!!」

「行くぞォ~~~~!!」

 

「くっ…構えろォ!!暴れだすぞ!!世界最強の男がァ !!!」

 

 湾の入り口は塞がれなかったのは、逃げ道を確保したというだけの事…。白ひげ達が処刑台に向かっていく以上、防御壁は有効だろう。白ひげが船から飛び降りたことで全員の意識がそこに向かった。

 

 …さて、準備準備…

 

 

「オヤッさんに続けェ~~~!!ウォオオオオ!!」

 海賊たちが雄叫びを上げ処刑台に向かって突進していく

 

「オヤジに道を開けろォー!!」

 

「わああああ!!」

 

「スクアードの奴…!!きっと、海軍にダマされてオヤッさんを刺したんだ…!!こんな間抜けな事はねェ!!それは一体…!!どれ程辛ェ事だよ!!許さねェぞ海軍~~~っ!!」

 

 そのスクアードは船の上で頭を抱えて泣きじゃくっていた…!

 

「…!!おれは…何て事を…!!すまねェ、オヤッさん…!!すまねェ…エース!!畜生ォ…!!大好きなオヤッさんを…!!おれァ疑って…!!」

 

「スクアード!!泣く事が報いる事かよい…!!」

「!!」

 

「できれば脱出の準備を進めておいてくれないかしら?」

「!!?」

「いつの間に来たんだよい…」

 

 私はスクアードにメモと袋を渡した。

 

「これは…?」

「ちょっとめんどくさいけど、メモに書いてある通りにしてくれると助かるわ。袋の中には子電伝虫も入ってるから、準備が出来たら連絡して頂戴!」

「…」

 

「白ひげ海賊団が、ここを無事に脱出する為の策の準備。頼んだわよ?」

「別に…おれじゃなくても…」

 あーもーこいつは…!!

 

 私はビシっとスクアードを指差して言った。

 

「おまえを放っておいたら、白ひげを逃がすためとか言って自分が犠牲になろうとするつもりだろ!!だけど、冷静に考えてみなさい!!そんな事をしてもあんたらのオヤジに止められるだけでしょうが!

 

「な、なんでそれを!?だけど…そうでもしなけりゃ、おれの気が…」

「あんたの気持ちを優先するの?」

「!!?」

 

「その為に白ひげが傷を負ったら目もあてられないわよ?」

「!!な…!!?」

 

「スクアード!オヤジは”くれない”を信用してんだ…おめぇも信じてみろよい!!」

「まさか、数日前って…あれはお前の事か?わ…わかった!!くれない!おめェの指示に従う!!準備はまかせてくれ!!」

 

 

 

 

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