イオリがマリンフォードで
どうぞ!!
「危ねェ!!!”赤犬”だ!!!」
「うわァアア!!!」
赤犬のマグマの巨大コブシが押し寄せる。
「エースを解放して即退散とは、とんだ腰抜けの集まりじゃのう、白ひげ海賊団。船長が船長…それも仕方がねェか……!!”白ひげ”は所詮…先の時代の”敗北者”じゃけェ…!!!」
赤犬の言葉にエースが立ち止まる。
「!?エース!!」
「!」
「ハァ…ハァ…敗北者……?」
「?」
「取り消せよ……!!!今の言葉……!!!」
「おいよせ!エース!!!立ち止まるな!!!」
「エース!!?」
「あいつ、オヤジをバカにしやがった……」
「………」
「エース!!!」
「お前の本当の父親ロジャーに阻まれ「王」になれず終いの永遠の敗北者が”白ひげ”じゃァ。どこに間違いがある…!!オヤジオヤジとゴロツキ共に慕われて…家族まがいの茶番劇で海にのさばり」
「………やめろ………!!」
「…何十年もの間、海に君臨するも「王」にはなれず…何も得ず……!!終いにゃあ口車に乗った息子という名のバカに刺され…!!それらを守る為に死ぬ!!!実に空虚な人生じゃあありゃあせんか?」
「…!!」
「やめろ………!!オヤジは私たちに生き場所をくれたんだ!!お前にオヤジの偉大さの何がわかる!!!」
「人間は正しくなけりゃあ生きる価値なし!!!お前ら海賊に生き場所はいらん!!!”白ひげ”は敗北者として死ぬ!!!ゴミ山の大将にゃあ誂え向きじゃろうが」
「”白ひげ”はこの時代を作った大海賊だ!!!おれを救ってくれた人をバカにすんじゃねェ!!!この時代の名が”白ひげ”だァ!!!」
「やめろエース~~!!!」
エースと赤犬のコブシが激突する。
「なんじゃと!!?」
エースの炎は…白だった。
「炎が…白い!!?」
この男…ここまで成長しちょったんか!!?
本来、マグマと火では、火の方が高温になり得るが故に、上位は火になる。
が、赤犬は能力を鍛えに鍛え、マグマが蒸発する寸前までの温度を手に入れた。故に火を焼き尽くすマグマと称していたのだが、エースの能力も進化しており、ほぼ互角に渡りあっていたのである。
しかもエースはまだ若い。この先、能力を進化させ、蒼い炎を手に入れるかも知れない。
白ならば、わしと同等もしくはまだわしの方が上…しかし…
「!!!」
「エース!!!」
「大将の攻撃を防いだ!!?」
「…少々甘く見すぎとったかもしれん。まさか炎が白いとはのう…」
「エー…ス…!!………う…」
「おいルフィ君!!お前さんもう限界じゃ!!」
ルフィがひざをつく。ギア2をあんだけ多用したんだから、そりゃぁもう限界でしょうね。
ルフィがビブルカードを落とした。あれはエースのか?
「あ…エースの…ビブルカード」
「ルフィ!!」
何で今、そんなのに気をとられてるのよ!!
「”海賊王”G・ロジャー。”革命家”ドラゴン!!この二人の息子達が義兄弟とは恐れ入ったわい…!!貴様らの血筋はすでに”大罪”だ!!!誰を取り逃がそうが貴様ら兄弟だけは絶対に逃がさん!!!」
いや、だから…
世界政府の中では、『親の罪を子に引き継ぐのは間違ってる。』って事になってるんだけど?
海軍にまでは浸透してないの?まさか、海賊は対象外とか!!?
エースとルフィが止まっていた為に、けっこうな戦力が追いついて来てる。黄猿が来たので私はそっちに対処していた。しかもかなり本気になっていた。突然光って目をくらませたり、多彩な攻撃を仕掛けてくる。見聞色があるから黄猿への対処は可能だけど、それでも周囲への意識は散漫になる。
「よう見ちょれ…」
「…おい!!待て!!」
赤犬がルフィに向かう。
「ルフィ!!!」
「
「!!!」
― ドンッ!!! ―
― カシャッ! ―
「エース!!!」
「え」
「ガフッ!!」
「!!?」
赤犬のコブシが、ルフィを庇ったエースの胸を貫いた。
― ズボッ!! ―
「………!!?」
「エースがやられたァ~~~~!!!」
「赤犬を止めろォ~~~~!!!」
「!!!」
「撃てぇ~~~!!!!」
「だめだ全然止められねェ!!」
「まだ息はありそうじゃのう…」
「やめろォ~~~!!!」
「これ以上は…!!!」
ジンベエが割って入り、赤犬のコブシを受け止める。
「ジンベエ!!!」
「ウゥ……」
「つまらん時間稼ぎはよせジンベエ!七武海だ。わしの力は充分に知っとろうが…」
「この身を削って…時間稼ぎになるなら結構!!!もとより命などくれてやるハラじゃい!!!」
他の場所ではMr3とマルコのやり取りやガープとセンゴクさんのやりとりが行われてるけど知ったこっちゃない。
それよりエースだ。
「あったまくるねぇ…!!これだけ意識を散らしてるのにわっしの攻撃に対処するなんて…。まさかとは思うけど…、本当はキミはまだ本気を出してないのかい?」
「正解!!」
「!!?」
スピードを一気に引き上げて、黄猿に蹴りを入れて吹っ飛ばす。今回は自分で飛んだのではなくモロに攻撃を食らったらしい。数分くらいは動けないだろう。
「”裏切り者”への制裁も必要な様じゃのう!!!」
「ジンベエ伏せろ!!!」
「………!!!」
「!!?」
「ビスタ隊長!!マルコ隊長!!!」
「く…!!アーうっとうしいのォ………!!覇気使いか…”火拳”はもう手遅れじゃとわからんのか!!」
「悔やみ切れん、一瞬の抜かり!!」
「何て事に…!!」
赤犬に襲いかかりながらビスタとマルコが言う…
「…!!ごめんなァ…ルフィ…」
ルフィの手にはエースの血がべっとりと…
「エース!!…急いで手当…」
「ちゃんと助けて貰えなくてよ…!!ハァ…すまなかった…!!」
「何言ってんだ、バカな事言うな!!ハァ、誰か手当てしてくれ!!エースを助けてくれェ!!」
「急げ船医!!応急処置を!!」
エースのもとに船医が近づこうとするがエースは拒絶した
「無駄だ!!…ハァ…自分の命の終わりくらいわかる…ハァ…内臓を焼かれたんだ…ゼェ…もうもたねェ…!!だから…聞けよルフィ…!!」
「…!!…何言ってんだ…エース死ぬのか?エースゥ~~~!!ウ…」
「…お前みてェな世話のやける弟がいなきゃ、おれは…生きようとも…思わなかったかもな…昔…イオリにゃ怒られたけどよ…」
エースは幼い頃のイオリに泣かれた時の事を思い出す…
「 ― そうだ、お前いつか…ダダンに会ったら…よろしく言っといてくれよ…何だか…死ぬとわかったら…あんな奴でも懐かしい…」
「…!!」
「心残りは…一つ…ある…お前の ― “夢の果て”を見れねェ事だ…」
「…」
「ルフィ…お前なら必ずやれる…!!おれの弟だ…!!」
「エース!!死ぬな!!おめェの夢はまだ叶ってねェじゃねェか!!」
「ハァ…ハァ…ありゃ間違いだ…!!」
「えっ!!?」
「…おれが本当に欲しかったものは…どうやら“名声”なんかじゃなかったんだ…おれは“生まれてきてもよかったのか”欲しいのは…その答えだった…ハァ…もう…大声も出ねェ…ルフィ、おれがこれから言う言葉を…お前、後からみんなに…伝えてくれ…」
「…!!」
「…!!オヤジ…!!みんな…ルフィ…、そして、イオリ…サボ…」
白ひげはエースとの出会いを思い出す…
≪ 出て来い、おれは“白ひげ”の首を取りに来たんだよォ!! ≫
白ひげの目からも涙がこぼれる…!
「今日までこんなどうしようもねェおれを…ハァ…ハァ…鬼の血を引くこのおれを…」
≪ エース~~、必ず助けるぞー! 諦めんじゃねェぞー!! ≫
「愛してくれて…ありがとう!!」
「!!!エース…!!」
への字だったエースの口元がにっこりと微笑みに変わる…
エースの命の灯火が、今まさに消えようとした…
その時だった!!
「はい、よくできました!!」
「「!!?」」
私の言葉に、周りの連中が驚いている。ルフィは私が落ち着いているのを見て少し安心したみたい?
「イオリ!!エースが!エースがァ!!!」
そんなに慌てなくても大丈夫よ!!
私はルフィが抱えるエースに顔を近づけた
「い…イオリ……!?」
「イチユリと約束したの!あなたを死なせないってね!!」
「えっ!!?」
「「「!!?」」」
「………」
「ば、バカよせ!!こんな大勢の前で、なんてことしやがんだよ!!」
エースが私を押しのけて、ルフィの背後まで逃げる。
エースってば、顔真っ赤…
イオリと距離を取るエースの行動を、誰もが普通の事だと
「「!!?」」
白ひげもルフィも、白ひげ海賊団の面々も…赤犬ですら、驚愕顔でエースを見つめている。
そりゃそうでしょうね?
貫いたはずの胸の傷が塞がってるんだもの…
私は白ひげを見てウインクした。
「エースゥ!!!」
ルフィがエースに泣きながら抱き着いた。
そしてようやくエース自身も気づたらしい…
「えっ!!?」
「「「えええええぇぇぇぇぇ!!!」」」
「エースの傷が!!」
「治ってるぅ!!?」
「おどりゃァ!何をした!!?」
赤犬が怒鳴るけど、私は首を傾げて笑って見せた。
残念!教えてあげません!!
「女とて容赦せんぞ!!」
それ、さっきも聞いた!!
「そんな事はわかってるわよ!!」
「全く、近頃の
「あ゛!?」
別におめェがどう考えようと、それはおめェの自由だけどよ?それを私に押し付けるってェのは違くねェか?
「「あっ!!」」
イオリの変化にルフィとエースが気づいてしまう。
赤犬は、その後もエースに対して行った様に、イオリに対して口撃を続けてしまう。それは己の死刑執行所へのサインに等しい行為であるとも知らず…
半分以上自分の考えでもある為に、それがまた、イオリの癇に障ってしまったらしい。
イオリのムッとした顔が無表情へと変わり、そしてその顔に笑みが浮かぶ…
「「………」」
ルフィとエースは静かに、後ずさるようにしてその場から離れて行った。
そして……………
なんでこんなことに!!?
海軍の最高戦力である大将の
映像電伝虫…切っといてよかったァ~!!!
と、センゴクさんが胸を撫でおろしていたのはココだけの話…。
後でこの事を聞いたシャンクスは、マリンフォードに行けば良かったと悔やんだという…
黄猿は思いっきり流れ弾をくらってしまった。いつもの軽い調子で割って入ろうとして、射すくめられてしまったのである。
もう誰も、そこに割り込む者は居なかった。
大将が助けられないものを他の誰が助けられますか?
クザンはその場に凍り付いた。センゴクさんもガープまでもが目を剥いた、
白ひげ海賊団の面々も、逃げる事をも忘れて目を点にしながらその光景にくぎ付けになっていた。
時折、大将たちの耳元でイオリがなにかを呟くと、その都度彼らの顔から生気が失われていく…
30分もすると、2人の大将は項垂れ、力なく肩を落とし、生気を失くしていた。
ルフィとエースが諫めなければ、あるいは2人は再起不能になっていたかも知れない…
※殺されそうになったにも関わらず、かわいそうに思ってしまったらしい。
「ガープあんた…あの娘を海兵にしようと思ってたって?」
「…ダメか?」
「いや…、ダメって事は無いだろうけど、周りが大変な事になってたかも知れないねぇ…。少なくともあの
「それでも、今より海軍は強化されたじゃろうて。」
「例の修練場の
「そうかもしれん。闘ってみん事にはわからんが…」
ガープが気配の大きさを全く測れない存在などほとんど居ない。ロックスやロジャーですら力を測る事は出来たのだ。この2人は間違いなく規格外の存在なのだろう。
「って事は…、今回の戦はあの娘が現れた時点で結果は決まってたわけだね。まったく、とんでもないのが出て来たもんだ。こっちに取り込めないなら、別の手を考えるしかなさそうだね。」
「何をするつもりじゃ?」
「考えはあるよ。でもまぁ、何をするにもまずはこの戦を片付けないとね。さて、あの娘はどう幕引きをするつもりなのか…。見せてもらおうじゃないか!!」