イムの娘(いむのこ)   作:槙 秀人

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この話で頂上戦争編 完結です。

どうぞ!








07-237話:エピローグ~頂上戦争~

 数年ほど前の事、政府から海軍へ”この事を念頭に置くように”との通達があった。

 

- 親の罪を子に引き継ぐのは間違ってる。 -

 

 一部の海兵幹部から、そんな事は関係ない!!悪の血筋は絶やすべき!!との声があがり、海軍内ではその文言が通達される事はなかったのだが…

 

 恐らく世間的にも同じ反応はあるだろう。ただし…それを肯定する反応も確かに同じ数だけ存在する。

 

 親を選ぶ事は出来ないというのは、誰もが納得する理由なのだから…

 

 まさか、その言葉をそのまま言われるとは思っていなかった。

 

 海軍内にも世間にも…あるいは非難を浴びる事になるかも知れないが、広く伝える必要がある…

 センゴクは、そう考えていた。

 

 

 『次は、容赦しない!!』

 

 あれは決して脅しなどでは無い。同じ事を繰り返したなら、彼女は必ず牙を剥く!!

 

 

 

 

 

 海賊達がマリンフォードから去ってからしばらく……

 

 イオリの言った通り、手錠のカギが入った箱と牢屋が大きくなった。

 

 センゴクは、箱から鍵を取り出すと3大将を解放した。3大将はセンゴクに詫びるも、センゴクは目を伏せ首を振り、『あれはしかたが無い』と呟いた。

 レベル6の猛者達は気絶したまま、3大将と海兵達によってインペルダウンへと護送された。

 

 イオリにやられてしまった事を悔しがってはいたものの、センゴクとイオリの会話を聞いていた事もあり、3大将は大人しくセンゴクの指示に従った。

 

 そしてセンゴクは、イオリの言葉をガープとおつるに伝えた。

 

「そんな事を言っておったのか…」

 エースが死んでいたなら、海軍は壊滅していた…という事らしい。

 

 3大将を一瞬で封じ込めた実力を見ては、それが無理だと言える者は居ない。

 

 

 

「あの時…。何をしたのかは分からないけど、あの娘がエースを救った事は、そのまま世界を救った事に等しいわけだ。」

 

「「!!?」」

 

「考えてもみてごらんよ!あそこでもし、くれない(あの娘)暴れていたらいったい誰が止められたんだい?それこそ、あの娘の言った通り、ここに居る全員が殺されてただろうね…」

 黒ひげに浴びせたあれは、恐らく『覇王色』…

 黒ひげの変わり果てた姿を見れば、それが白ひげをも遥かに上回るモノであるのは明らかだ。

 覇王色の強さはその者の強さに正比例する。それは即ち…

 

「海軍はほぼ壊滅。海賊に対する抑止力は無くなり、それこそ、今回想定していた白ひげを討伐した後の奴らのシマの荒れ様が、世界中のそこかしこで起こっただろうね。」

 大海賊時代が始まった頃以上に、世界は荒れたに違い無い。

 海軍という抑止力の無いままに、海賊が跋扈する世界になっていたかも知れないのだ。

 

「「…」」

 

「しかし…イオリがあれほどの力を秘めておるとは思わなんだ…」

「…」

 

「『ミニミニ』なんて能力が、こんなに恐ろしいものだとは思わなかったよ。」

 単に彼女が強いだけなら、こんな事にはなっていなかっただろう。あの能力を彼女が持っていたからこそ、海軍の作戦は全て潰されたと言っても過言ではない。一人で3大将を捕縛した事も含めてだ。

 

「あのスピードに対抗できるのは黄猿しかおらんだろうしな…」

 センゴクが言う。

 

「バカだねあんたは。その黄猿(ボルサリーノ)がやられちまったんだよ?『制御出来る』スピードじゃ勝てやしないよ!!今さら黄猿が真面目に訓練に取り組むとも思えないし…」

 おつるはそこで言葉を切った…

 たとえボルサリーノが真面目に訓練したとしてもイオリに勝てる気がしなかったからだ。

 

「…」

 ― あの娘はまだまだ強くなる ―

 …自分で言った言葉が頭の中を巡る。

 

 これは、海軍の幹部全員、修練場とやらで1から鍛えなおす必要があるかもしれないね。

 

 おつるは漠然と、そう考えていた。

 ガープやセンゴクですら、その必要があるだろうと…

 

 幹部連中を鍛えなおし、そして部下達を鍛える。

 海軍全体のレベルアップが必要だと…

 

「…まぁ、当面は放っておいてもいいだろうね。下手に刺激して、暴れられても厄介だよ。」

 まぁ、そんな心配はいらないだろうけどね…。

 

「「……」」

 

「それに…政府に提案したい事もあるんだよ。」

「「えっ!!?」」

 

 世界政府の上層部で話し合われることになる、ある提案…

 

 

 ― ピースメイン、モーガニア 定義の復活 ―

 

 

 今であれば四皇も2・2に分けることが出来るだろう。

 

<ピースメイン>

  白ひげ  赤髪

 

<モーガニア>

  カイドウ ビックマム

 

 

 麦わらの一味もピースメインに区分けされる事になるだろう。シャボンディでの凶行をどう扱うかは議論になるだろうが…

 

 うまく区分けが出来れば海軍としても戦力の分散を避けることが出来るはず。

 昔のようにピースメインとの共闘が可能になれば、それは不可能ではない。

 そうなれば、海兵の一部からも意見があがっている七武海制度の見直しも出来るかもしれない…

 

 もっとも、偉大なる航路の前半はともかく、後半である新世界でその定義を活かせるかどうか未知数ではあるが…。

 

 今回の事で赤犬の考えにも少しは変化があるだろう。行き過ぎた正義も少しは緩むかもしれない…

 

 

 

 ~ ~ ~ ~ ~

 ~ ~ ~ ~ ~

 

 

 

 戦争中…

 

 途切れた映像が一時復活して映し出された映像は、赤犬の拳がエースを貫いた映像だった。

 

 その後、映像電伝虫には何者かに(・・・・)よってぶ厚い布が被されていた。

 当然音声もきちんと流れていない。

 

 戦争終了後、復旧して映し出された映像は、白ひげ海賊団が引き上げ、黒ひげが捕縛されている様子だった。

 

 今回の戦争はインペルダウンから凶悪な囚人たちを戦力として得ようとした海賊『黒ひげ』の策略だったという事が世間に知らされた。

 

 海軍は、マリンフォードにてインペルダウンから脱走した全て(・・)の囚人と黒ひげを捕縛。

 ※実際には脱走した囚人の半数はそのまま逃走したのだが、それは伏せられた。

 

 白ひげ海賊団VS海軍の頂上戦争は痛み分けに終わったと発表された。

 

 公開処刑と報じていた『火拳』エースの生死についての発表はされる事はなく、新聞には赤犬の拳がエースを貫いた写真が大きく載った。

 それゆえ世間では、エースは死んだものと思われていたのだった。

 

 

 

 

 

 

 ― 東の海にて…

 

 頂上戦争の数日後…

 

 フーシャ村にガープが現れた…

 

 今回の戦争によりマリンフォードは多大なる被害を受けた。その為か、海軍による海賊の取り締まりが手薄になっている。

 

 東の海でもそれは例外ではないらしく、フーシャ村から見える海にも海賊の影がいつもより多くなっていた。それゆえガープが出張って来たわけなのだが、そこで原作通りダダンとガープ、マキノのやり取りが行われた…

 

「ガープさん!山から山賊が下りてきてマキノの酒場を占領してんだよ!なんとかしてくれねェか?」

「山賊…?」

 

「やめて!!ダメよ!!」

 

「おいガープゥ!!!」

「!」

「ああっあいつだ!!」

 

「どの顔下げて帰って来やがったァ~~~!!!」

「!!!」

 

 バゴォン!!

 

 こん棒で殴り掛かるダダン…

 ガープは吹き飛んだ。

 

「ガープさんっ!!」

 

「…!!フー…フー…」

 

「ガープ中将!!」

「手を出すな!知り合いじゃい…」

「!?」

 

「てめェあの戦争の現場にいて!!!……!!!ハァ…あいつらの目の前にいて…!!!……!!!なぜエースを見殺しにしたァ…!!!」

「!」

 ダダンはガープに馬乗りになって殴り掛かかった。流した涙がガープの頬に落ちる…

 

「家族より任務かよ!!おいガープ!!!何が海軍の英雄だァ!!!くたばれ!!クソジジイ!!!」

「まーまーお頭っ!!やめてくれ!!」

 

「やめてダダンさん!!!」

 

「…マキノ…」

 

「手の届く距離であの子達を救えなかったガープさんが…!!一番辛いに決まってるじゃない…!!!

 

「違う…一番辛いのは…ルフィの奴さ!!!あいつがどれ程兄を慕ってたか…イオリだってそうさ…てめぇはあの子らの兄貴を見殺しにしたんだ!!」

 

「…落ち着けダダン!!そうじゃ…わしは救えんかった。…じゃが…エースは生きとる…!!」

 

「「…えっ!!?」」

 

「…あの記事の写真を見たら信じられんじゃろうが…イオリがエースを救ってくれたんじゃ…」

「「!!?」」

 

「って…じゃ、じゃあ、あの子等は…

「ああ…全員生きとる。

 

 ガープの言う通り、あの記事の写真からエースが助かるとは到底思えない。しかし、ガープはそんな見え透いた嘘を言うような人間でもない事も知っている。

 

 ともかく、エースもルフィもイオリも生きている…

 その事がダダンの怒りを鎮めた…

 

 ドスンとその場に座り込むと呆けたように天を仰ぐ…

 

「そうか…そりゃあ良かった…」

 

 怒りが鎮まり、今度は別の感情が沸き起こる…

 

「よかった…よ…よがっだよう~~~!!!

 

 安心し、エースが生きていた事、ルフィ達が悲しんでいない事…うれし涙がダダンの目から溢れ出す。

 

 オイオイと泣くダダンを部下たちがなだめていた

 

 

 

 ~ ~ ~ ~ ~

 

 

 

 ― マゼランとイオリ

 

 ~ 頂上戦争前…インペルダウンにて…

 

 

「黒ひげだけど、放って置いてくれない?」

「…ヤツはいったい何を考えている?」

 

「今回の戦争…ってこれからマリンフォードで起こる(いくさ)の事だけど、黒ひげ…ティーチが仕組んだ事よ!!信じられないかもしれないけどね?」

「…黒ひげが火拳を捕らえたという話は聞いている。確かにヤツが仕組んだと言えなくもないだろうな」

 

「そうじゃないのよ。ヤツの目的は七武海になることなんかじゃなかったの。捕まえた相手がたまたまエースだったから、やつはこの戦争を画策した。より早く…確実に自分の目的が果たせるようにね!!!」

「戦争を画策?ヤツの目的は何だ?それに…なぜ貴様がそれを知っている?」

 

「今、ここにヤツが来てるでしょ?それが目的の1つ(・・)!なぜ私が知ってるかっていうと、さっきすれ違った時にあいつの思考を読んだからよ!!」

 本当は原作知識だけどね…

 

!!?そこまでの見聞色が使えるとは!!しかし…つまり、ヤツが七武海になったのは、ここ(インペルダウン)に来るのが目的だったと?」

「正確には、レベル6から仲間を得る為…かしらね?」

「…何っ!!」

 

「私がシリュウとウルフを解放したのには理由があるの。シリュウは政府に居るのはどちらにとっても不幸だと思ったから。ウルフは政府の所業が幼児虐待のように感じたからよ!!それに放って置いたら二人とも、黒ひげに取り込まれてしまう可能性すらあったからね。」

 シリュウなんて、黒ひげの元に行く気満々だったもの…。

 

「ならば尚の事、黒ひげ(ヤツ)を止めねばならん…」

「手を出さないでって言ってるんだけど?」

 ってか、あんたが死んじゃうってばさ!

 

「…貴様らよりよほど放ってはおけん…」

「わからないかなァ…私だってアイツに戦力を与えてやるつもりなんてないわよ!その私がなんで放っておけって言ってると思う?ヤツは大した戦力を手に入れることは出来ないのよ!!レベル6に居る奴らは確かに凶悪犯揃いだけど、戦力になりそうなのはそれほど多くない。私が見た限りでは『悪政王アバロ・ピサロ』『大酒のバスコ・ショット』『若月狩りカタリーナ・デボン』の3名と、ちょっとランクが落ちるけど猛者が20名ほどくらいかしらね?そいつらは既にレベル6に居ないわ!!」

 

「まさか…貴様…!!?

「覇王色で眠ってもらったの。捕縛して小さくした海楼石の牢屋に入れといたから、マリンフォードでセンゴクさんにでも渡しておくわ!それ以外の奴らは2、3日眠ったままだろうしね!!」

 

 

 そして…

 

 イオリのその言葉通り、レベル6の囚人たちの脱走は回避された。

 

 原作とは異なり、レベル6フロアでのバトルロワイアルは行われず、レベル4より上層フロアに比べレベル5、6の設備に損傷はほぼ皆無であった。そのおかげで、レベル6の囚人たちは元の場所へと収まった。

 

 頂上戦争後、大将達と顔を合わせて事の顛末を聞いたマゼランは、くれないに借りが出来たと悔しそうに呟いた。

 

 その顔にはなぜか笑みがこぼれていたという…

 

 

 

 

 

 ~ ~ ~ ~ ~

 

 

 

 ー パンゲア城

 

 五老星は項垂れていた。

 

「白ひげ海賊団の逃走を許すとは…」

「これでは、我々の面目が立たんではないか!!」

「今更CPを投入しても四皇には歯が立つまい」

「さよう、これでは『灯』を消す事が出来ぬ。」

「さて、どうしたものか…」

 

「心配ないわよ?指定された『灯』はちゃんと消えるから!!」

「「!!?」」

 

「カノン様?それはどういう事ですかな?」

「彼は心臓を患ってるの!安静にしてても余命1年程だったみたい。今回散々暴れたから、遅くとも数ヶ月後には消えるでしょうね!」

 

「「…」」

 

 カノンが権力の間から退出した後、フアリが呼ばれ、先のカノンの言葉の真相を問われていた。

 五老星には、カノンの発言がどこからもたらされた情報なのかわからなかったからだ。

 

 フアリはつい先日、五老星からカノンの分身の2人目が見つかったとの話を聞いた。ワノ国に行っていたCP0から刀工『イチユリ』の写真を受け取ったらしい。カノンを含めるとこれで3人目。残りの1人に心当たりはないかと問われ、答えを保留にしていたが、事ここに至っては、伝えるべきだろうと、イオリの事を五老星に伝えた。

 

「「4人目が…麦わらの一味の、『紅の参謀』イオリだと!!?」」

 

 あ~これは流石に、カノン様も怒られちゃうんじゃないかしら?

 

 

「素晴らしい!!」

「…は?」

 

「しかし、それはそれで解せん!何故だ!!?

「さよう、麦わらよりも金額が低いのには納得がいかん!!」

 おいコラ、ジジイども!!何言ってんの!!?

 

「いえ、あの…クルーの懸賞金は船長超えは無しって事になっておりまして…」

 

「「なんだと?誰がそんな事を決めたのだ!!?」」

 おめーらだよ!!

 

 そもそも懸賞金額は人気のバロメーターじゃねェよ!

 アホか!!

 

 

 しばらくすると、ユナ嬢と同じくファンクラブが作られていた。

 

 あのねェ?相手は一応海賊って事になってますけど?

 

 いや、まぁ、企業の会長ならファンクラブ作っていいって訳じゃないけどね?

 

 ちなみに、CPメンバーの何人かが会員になってやんの…

 (CP9は全員が!!?)

 

 ホント、大丈夫か世界政府!!?

 

 

 

 

 *--*--*--*--*

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「つまり…あれ(・・)見張り(・・・)という事か?」

 

 窓もなく、ドアすらない。

 ただ一脚の椅子だけが置かれた部屋

 

 そこに、二人だけが居た。

 

「はい。いつでも対処(・・)可能です。」

 

「さすがはムーの娘!あれ(・・)の事は、今後も(・・・)おまえに任せよう。」

 

「お任せください。では、失礼します。」

 

「…」

 

「あ~…2年ほど、彼らは全員(・・・・・)潜りますので!」

 

「…」

 

 

 この会話…

 

 

 五老星すら知らぬ事…

 

 

 

 

 

 

 




この『頂上戦争編』が、『原作ちょい?改変』の『?』の部分…
のハズ…

えっ!?違う!!?


今後も原作沿いで話が進む予定ですけども…、

 … ゴメン …

小説情報変えるかも…


次話投稿は、少し遅くなるかもです。




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