イムの娘(いむのこ)   作:槙 秀人

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09-252話:クラーケンと海神(リヴァイアサン)

 分かっちゃいるけど念のため、私はルフィに聞いてみる事にした。

 

「ちょっとルフィ?いい事…っていうのはまさか、海獣の代わりにあいつに船を引かせようって言うんじゃないわよね?」

「さすがイオリ!!よくわかったな!!あのタコ手なづけてよ、船を引いてもらおう!」

 

「アホ言え~~~~!!! よく見ろ! いや、よく見なくても見えるだろ!! あの巨大な姿!!! いったい何百年生きてんのか知らねェが!“クラーケン”はこの世の数々の物語に登場するもはや空想上の怪物だ!!」

 ウソップが号泣しながらルフィに訴えてる。チョッパーもガタガタ震えて泣いてるよ。

 

「“骨なしの生物”…“肉なしのガイ骨”――何だか私と対極にいる様な存在…」

「どうでもいい!!」

 ウソップはブルックの言葉にも冷たく返す。

 

「ほう!なかなかウメェもんだな。」

「滅多に出会えるものじゃないから。」

 ロビンが絵を書いているのをフランキーが見て言った。

 

「スケッチて!! のん気か!!」

 こっちはチョッパーがツッコんでるし…

 

「はぁ…で、どうする気なのよ?カナヅチさん!!」

「いや、カナヅチとかいう問題じゃねぇだろ!外出たら水圧で潰されちまうんじゃねェのか!?」

 

「やるのはいいが…策はあんのか? ルフィ…」

 ゾロがルフィに声をかける。

 あいつを手なづけるのはいいんかい?ヘタすりゃこの子、あいつを一味に誘うわよ?

 

「問題はここが海の中だってことだ。」

「違う違う、問題はあの大きさだ、ルフィ…ここが陸でもヤバさは同じ!!」

 だからさぁ…ウソップは何で私の能力忘れちゃうかな?

 いや、それに関してはみんなもか?

 

「舵を切って進路南へ!!」

 

「おいナミ! まっすぐタコに向かえっ!!」

「バカ言わないでよ! あのタコが握ってる船見て! ああなりたいの!?」

 

「大丈夫よ!」

「イオリまで? 何の根拠があってそんな事言ってんのよ!!」

「まーまー、ナミさん! おれがついてるぜ!!」

 

「おっ!!サンジが平気みたいだ!!」

「今はナミがコートを着てるお陰だな!!」

 

 カリブーを見ると、顔を青くして冷や汗を流している。まぁわからんでもないけどね。

 

 ん?

 

「何でか知らないけど、またさっきの奴らが向かってくるわよ!!?」

「「!!」」

 このタイミングで来るとか、自殺行為以外のなにものでもなんですけど?

 

「兄助~~~~!」

「モォ~~~!」

 

「本当だ!!後方からさっきの船が接近!!」

 

「コリブー! 野郎共さん達よォ~~~!! 助けに来てくれちゃったのか、オイ~~~イ!」

 

「おれ達! 兄助! 助ける!」

「はえ! 助ける!」

「モ~~!」

 

「あ~あ…」

  ― シュルッ! ―

 

「ん?」

  ― ミシミシ…!! ―

 

「あ…!」

 カリブーの願い虚しく、追ってきた船はクラーケンの足に握りつぶされた。

 

「ギャー!」

「アババババ…!! ゴボボボ…」

 

 モームも一目散に逃げ出した。

 

「ぬあああああ~~~!」

「「おあああぁぁぁぁ~~~~~」」

 カリブーだけでなく弱小トリオ&ブルックまでもが悲鳴を上げる。

 

「シャボンコーティングが割れた!!サニー号よりでけェ船が一握りィ!」

「おお~~野郎共ォ~~~!!」

 

 溺れたクルー達が一人一人、空気の層(シャボン?)を付けて海上に浮きあがっていく!!それを見たゾロが一言

 

「クラゲみてェだ。」

「ウッセェ、ロロノア!!」

 カリブーが怒ってるけど…なにげに余裕出てきたのかな…?

 

 そして…

 

「こっち来たァ~~~!!」

「!!!」

 

 サニー号に、クラーケンの足が迫る。

 

「でかすぎる~~~~!」

 

 フランキーは操舵室へと急ぎ(おそらく緊急回避の為)、ルフィとゾロが攻撃態勢を取ろうとした。

 

 その時、どこからともなく声が響いた!!

 

 ≪ 我が主の乗るその船を…攻撃する事は許さぬ!! ≫

 

「「「!!?」」」

 

 クラーケンの手はその声の主の尾?によって、あっさりと受け止められた。

 

「な、な…なんじゃぁあぁあ~~ぁ!!」

 ウソップがムンク状態で悲鳴を上げる。

 

 サニー号の背後に、クラーケンほどもある巨大な青いウミヘビが姿を現していた。後ろが透けて見えるのが、この世のものと思えない不思議な雰囲気を醸し出している。

 

 ナミもチョッパーも…ありゃりゃ?

 よく見りゃルフィとロビンを除く全員がムンク状態になってるじゃん!

 

「まさか…海神『リヴァイアサン』!!?」

 ロビンが目を見開く。知ってるのかな?

 

「我が主って、まさか!?」

 ナミがリヴァイアサンと私を交互に見る。

 

 ≪ そうだ。お前の隣にいる(むすめ)が我が主よ… ≫

 リヴァイアサンがナミに答えた

 

 ≪ この数百年…、精霊界はこの世界から隔離されていた!!我が主は『扉を開く資格を獲得』し、再び精霊界とこの世界を繋いでくれたのだ。精霊たちは皆、その事に感謝している。もっとも…我は負けねばその者を主とはしなかったがな!! ≫

 

「負けねばって…あんた、あれに勝ったの?」

「まさか!?…だってあなたは能力者…!!そうね。あなたには関係ないものね!」

 

「レイリーさんの言ってたのは、この事だったんだ…そりゃあ海の生物はあんたに気を使うでしょうよ!!」

 

 クラーケンは戦意を失ったようにおとなしくなった。

 あっけにとられ、手も緩んだのだろう。クラーケンの手の隙間から服を来たサメが抜け出した。

 よかった…原作通り。

 

「あれ!? 何かいるぞ!? サメ!?」

「相当でけェサメだ。」

「服着てねェか!? あのサメ。」

 チョッパー、ゾロ、サンジがサメを見つけて声を上げた。

 リヴァイアサンが味方と判った事で落ち着きを取り戻したらしい。

 

「何だよイオリ!あいつとは戦おうと思ったのによ!!」

 どうやってだよ?どうせ何も策なんて無いくせに…とは言わないでおく。

 

「あいつに船を引かせたいだけなら問題ないでしょ?ちなみに、クラーケンの事、なんて呼ぶつもりだったの?」

「おう!”スルメ”だ!!」

 

「うおぃ!!イカみてぇな名前じゃねぇか!これからイカの名前で生きていくタコの人生考えたれ!!」

 うん! 今日も冴えてるなぁ、ウソップのツッコミ…

 何気に嬉しかったりする。

 

「じゃあ、『スルメ』!こいつが私の船長(ボス)よ!ちゃんという事聞きなさい!!」

 私とルフィを交互に見て、コクコクと頷く『スルメ』。それを見てルフィはご満悦になった。

 

 ちなみに、リヴァイアサンは常にサニー号を守っているけど、今は見えなくなっている。

 海の生物たちには見える、というか感じるみたいだけどね?

 

「よし、スルメ!!この船を引いてけ!!」

 

 クラーケンがサニー号を包むようにして“下降流”へと入った。

 

「なんてスピードだぁ~~~」

 

「すごい…わたし、こんな流れの中に入ったらもっと大変だと思ってたけど…」

「船だけで入ってたら、大陸棚に気をつけて常に海流の真ん中を通るように操船しなきゃならなかったろうからね。気の抜けない航海になったと思うわよ?」

 

「え~~~!!?」

 チョッパーがパニクってるけど、今は大丈夫だから…

 

「そうね…ところで、リヴァイアサンは?」

「通常は見えなくなってるの。そもそも彼らの実体が存在するのは精霊界だからね。」

「ふうん…」

 

 なんか気のない返事だけど…まだなんか聞きたそうな気がするわね。

 精霊については、きっとロビンも聞きたいだろうから後で女部屋で詳しく教えてあげようかな?

 話しても特に危険も無いだろうし…

 

 そして程なく、スルメに引かれたサニー号は下降流を抜けた。

 

「うう…ここが深海?おっかねェトコだなぁ…しかも寒ィなここは…!」

「そんな格好じゃね。」

 あんた、上半身ほぼハダカのままじゃん!エースじゃあるまいし…

 

「ほら、これでも着ときなさい!」

 と言って、ウソップに上着を羽織らせる。女性物だけど裸よりいいでしょ?

 

「あっ!何それ、新作!?」

「先月発表されたばかりだからね。まだ売ってないのよ?」

 目ざといナミがウソップの肩に掛けた上着を見ながら言う。

 

「あたしも欲しいな?」

「後でね!」

 ちゃんと用意してあるから安心なさい。

 

「おそらくもう7千mは潜ってる…以前(・・)の【シャーク・サブマージ号】じゃ、水圧でぺちゃんこになる深度だ。」

 ほう…って事は、今は大丈夫って事かしら?まあ、ワポメタルが手に入ったからいろいろやってる事でしょう。

 

「【魚人島】はもう近いのか!?」

「ケイミーちゃんは確か…海底1万mにあると言ってたわ…」

 チョッパーの疑問にロビンが答える。

 

「空島で言えば、『白海』って感じかな?あと3千mで目的地って事ね。」

「まだ下に行くのかよ!?」

 

「つまんねぇな…外が真っ暗で何も見えねェ…」

 ルフィがつまらなそうに言う。

 

「私暗いのダメなんですよ、何か気配を感じませんか!?」

 

「大量に強ぇ気配があるが…こうも暗いとな…」

「「ああ、確かに感じるな」」

 ゾロの言葉に、ルフィとサンジが答える。

 

「見聞色だろ?おれも使えるぜ!!けどよ…どうにもおめェらの気配が小せぇんだよな…イオリみたいに相殺ってのやってんのか?」

「「ああ、まぁな」」

 

「普段からやっておけば、見つかりづらいしね?見聞色はフランキー、チョッパー以外は使えるようになったみたいかな? 武装色はフランキー以外は覚えたみたいだし…」

 

「オメェら、修業の成果はあった様だな。おれも負けてらんねぇぜメカ!」

 

「フランキーなら合体ロボとか作れそうよね?」

「「えぇ~~~!!ホントかっ!!」」

 

「おうともよ! いずれスーパーなモノを見せてやるぜ!イオリ(おめぇ)の小説にも負けねぇようなヤツをな!!」

「それは楽しみ!」

 

「ねぇ…ここって本来、光の届かない世界よね?」

「まぁ、そうね」

 ロビンが聞いてきたので私が答える。

 

「今、みんなの姿が見えているのは、見聞色の力…ではないわよね?」

「イオリがさっき言った通り、おれはその見聞色ってのは使えねぇしな!」

 

「そう言えばそうだな。外は真っ暗なのに…」

 

「便利でしょ?精霊って!!」

「「!!?」」

 

「…光の精霊!?ここに居るの?」

「今、コーティングのドームに張り付いてるわ。とりあえず内側を照らしてるのよ。お望みなら外側も照らしましょうか?まぁ、この船にだってライトはあるんだろうけど?」

 フランキーに振ってみる。

 

「おうよ!なにを隠そう、おれにも【ライト機能】がついてる。」

 フランキーがグラサンを上げる

 

「え!?まさかその目が!?」

 とチョッパーが光る眼を期待したのだが…

 

「”フランキ~~ニップル・ライト”!」

「どこ光らせとんじゃ!」

 ウソップのツッコミが炸裂した。やっぱりフランキーの変態は変わってない。

 ってか増した感があるかも?

 

 

 - ここは“深海” 光も届かず、並の生物など生存すら許されぬ… 海の『暗黒街』-

 

 フランキーのライトによって照らし出されたのは、普段は見ることも出来ない深海魚達…

 

「「ぎゃああああ!!!」」

 初めてみる生物を目の前に、震えあがる一味のメンバー達だった…

 

 

 

 

 ~ おまけ ~

 

 《頂上戦争後の懸賞金》

 

 頂上戦争後にルフィがマリンフォードで仲間にメッセージを送ってから数ヶ月後…

 

 手配書の束が新聞に挟まっていた。

 

 

 『紅雨』   シリュウ        懸賞金7億ベリー

 

 7億って… さすがマゼランと互角なだけはあるわね。

 そう言えば、シリュウって『雨の…」が二つ名だったと思ったのに、『紅雨』に?

 

「フン…ま、こんなもんか…」

 

 

 『巨大戦艦』 サンファン・ウルフ   懸賞金6億千万ベリー

 

「? けんしょうきんっつってなにつった?」

 

 ちなみにウルフの大きさは、能力を使わない状態で18m。デカデカの実は10倍くらいまで大きくなれるので、180mまで大きくなれる。

 でもあれ?ミニミニは1/100なのに、デカデカは10倍って…あ~そういえば、私のミニミニは既に覚醒してたから、もしかして元は1/10だったのかな?

 …なんかKmとか行くかと思ってたんだけど? もしかして、覚醒したら100倍まで行ける?

 

 ちなみに海都では通常はミニミニの能力で2m弱の大きさで過ごしている。

 ヒゲ生やしてるのに中身はホント、子供みたいなんだよねぇ~…

 ふむ…特に何したわけでもないんだけど? 元々の懸賞金がそういう感じって事ね…

 

 

 『紅大参謀』 イオリ         懸賞金7億2千万ベリー

 

「あらま!…”大”が付いた!?」

 まるっきりこれ、『おつるさん』じゃんね?

 

「…ずいぶんとこりゃ。少ねェんじゃねぇか?」

「「!!?」」

「これで?」

 シリュウの言葉にみんなが驚いてるけど…

 

「まぁ、ルフィがこの額だからね」

 

 『麦わら』  モンキー・D・ルフィ  懸賞金7億2千万ベリー

 

「なるほど…おめェんとこの船長と同額か…そういう事なら仕方ねぇな。懸賞金を決める時の基準には組織の並びってのもあってな…。下っ端の額を上げて組織の崩壊を図るって事以外にはなかなか船長よりも、高い額ってのは付かねぇもんだ。昔、海賊王の一味では冥王レイリーのほうが額が上になった事があったが何も波風は立たず、かえって他の海賊共がロジャーの器の大きさを評価するって結果になっちまった事もあるからな。」

「へぇ…そうなんだ」

 

「おれが7億なら、本来おめェの額は10億を軽く超える。それがこうなったのはそういうこったろうぜ」

「じゅ…10億っ!!?」

 

「驚く事じゃねぇだろ?三大将を一瞬で封じ込めるなんて真似を、他に誰が出来るってんだ?倒すだけなら他の四皇にも可能だろうが、無傷で封じ込めちまうなんてよ!四皇並みでもいいくらいだ!」

「「確かに…」」

 

 ちなみに…

 

「ほれ、おめェら。これ見てみろ!!」

 

 『姫徹』   イチユリ        懸賞金10億ベリー

 

 あれ?イチユリも手配されてやんの…

 

 なんで?

 

 確かに、三害(大看板)の誰だかと戦ったとか聞いたけど、別にどうでもいいじゃんね?

 しかもこれ、初頭手配だった気が?

 

「「「10億…」」」

 絶句したり、中にはこの世の終わりみたいな絶叫を挙げたりする奴もいる…

 

「初頭手配としちゃ、破格の金額だな。世界政府に対して何もしてねェってのにこの額とは、さすがと言うべきか。」

 

 10億って言ったら、どこぞの四皇の息子と同じじゃね?

 

「ホホホ…やはりティーチとは器が違いますねぇ。脱帽ですよ。」

 

 とホントにシルクハットを脱ぐラフィット。

 笑い方といいしゃべり方といい…なんかDBのフリーザみたいなんだけど?

 

 ※ちなみに、この時点で悪魔の実を食べているのは、ラフィットだけ。この後、数ヶ月の間に、かなりのメンバーが能力者になるのです。

 

 

 

 




クラーケンも水の上位精霊として扱われているようですが、この作品の中ではリヴァイアサンをその位置に置いています。
精霊といえば、私的にはF・F(ファイナル・ファンタジー)ですかね?
なので、オーディンを精霊神と位置付けています。
必殺技は『斬鉄剣』…

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