海神のおかげもあってか、サニー号が海の生物に襲われることも無く進んでいた。
「あ! なんだあの光!?」
「やばいっ!! ルフィ!今すぐ急上昇を指示して頂戴!!」
ルフィがスルメに指令を出す。
「「うわっ! でっかいアンコウ!」」
間一髪、食べられる所をなんとか回避した。
途中、かわいい声の巨大なオジサン(ワダツミ)が現れたり、ブルックがゴースト船と恐れる『フライング・ダッチマン号』が現れたり、そのオジサンと一緒に噴火した海底火山から逃げたりと、すったもんだはあったものの、ウソップの新兵器?の力もあって、無事にそれらを回避する事が出来た。
そして…
「みんな、海淵に着いたわよ!!」
「「海淵!?」」
「海溝の底の事よ。そんで…あれが魚人島!!」
「ホントだ!指針があの島を指してる!! あれが!」
「「魚人島~~~~~~っ!!!!」」
「でっっけ~~~~~!!!!」
「めちゃくちゃ大きなシャボンに包まれた島…空気はありそうね。」
「そりゃそうでしょ。海賊たちはここに逗留するんだからね」
「 やった~~~!! 着いたぞ~~!! 」
「 “偉大なる航路”の名スポット!! 」
ルフィ、フランキーが…
そして、ロープに縛られたカリブーが
「オ…オオ…着~~いちゃったのねェ~~!! ケヒヒ!」
と笑った所でゾロに小突かれていた。
「人魚達の舞い踊る島!!美しい“人魚姫”!!ついに辿り着いたんだ、ガキの頃から憧れた…夢の楽園!!」
サンジはブルックと肩を組み、スリラーバーク同様踊り出す。
「マーメイDO~~♪ マーメイドゥ~~!!」
人魚を妄想したサンジが、お笑いのようなタイミングでまた鼻血をダラダラと流す。
「サンジ、おめェ…」
ウソップが可愛そうな目でサンジをみつめる。
チョッパーは涙し、鼻血を出しながら踊るサンジを見つめていた。
「ごめんな、サンジ…おれ、それ直せねぇ…」
「ドクターっ!! 魚人島の人魚達に会う事はコイツの“夢”なんだよォ!!」
「だけど会えば人魚達に引かれるぞ!?」
「そんな!!」
「構わねェ…!!」
「「サンジ!!」」
「どうせなら…人魚達をエロい目で見て引かれたい…」
「「最低か!!!」」
「「…」」
「…この光は、イオリじゃないのよね?なぜこんな深海に…!!」
「この光はこの船の材料、『宝珠アダム』と対を成す樹木、『陽樹イブ』によってもたらされているものなんだって。あとでネプチューンが説明してくれると思うわよ?まぁ、原理は解明されてないみたいだけどね。」
「「ネプチューン?」」
ロビンにナミも加わり首をかしげる。
「この国の王よ」
「えっ?王様と知り合いなの?」
「ここは、白ひげ連合のナワバリだって言ったでしょ?ネプチューン王は白ひげの友達の一人なんだってさ」
「ん? 何人か近づいてるな…」
フランキーが声を上げる。
サニー号に向かって来るのは海獣の群れ。背には魚人が乗っている…。
「何を人間なんぞに従わされてんだ、クラーケン!!!」
あらかじめ、一味のみんなにも内緒で指示をしておいたスルメはサッと、サニー号から離れた。
「誰だ、コイツら…!!!」
「わああああ!!!」
「海賊船も言わば人間の敵…お前達には選択する権利がある!!」
目の前に現れたのは動物と魚のミックスのような海獣達。キリン、ゾウ、サイ、ゴリラ、ライオンの様な顔をしている。
大きさはスルメよりは小さいけど、サニー号よりは格段にデカイ。
「海獣の群れ!!?」
「ギャ~~~~!! 終わった~~ここまで来たのにィ~~~!!!」
チョッパー、ウソップ、ブルック、ナミの4人が悲鳴を上げる。
「カッコイイな~~、海獣!! ―― 誰か乗ってるぞ!?」
「お前達…“麦わらの一味”だなァ…よく知ってるとも…かつて“アーロン一味”の野望を打ち砕いた海賊達。 ― それで済めば答えは簡単だったが…!!よりによって2年前、元“アーロン一味”幹部ハチさんを庇い…あの憎き“天竜人”をぶちのめしたとも聞いている…!!まるで我々の敬愛する「魚人島の英雄」“フィッシャー・タイガー”の様に…。 ハモハモハモ、まったく扱いに困る。 なァ、教えてくれ…!! お前達は敵なのか味方なのか。 我々『新魚人海賊団』の『傘下に下る』か!!『拒否する』か!!」
そう言うのは新魚人海賊団、戦闘員ハモンド(ハモの魚人)。左肩にはアーロン海賊団のマークが…
ナミは気づいたみたいね。
「拒めばここで沈んで貰う!!」
「何だとォ!!?」
「イオリ…あんたは気づいてるんでしょ?」
「…私は ”ここでは” 何もする気ないから!!」
ナミが聞いてきたことには答えず、私は何もしないとだけ告げた。
「!!?…わかったわ!!」
ナミは頷いてフランキーに話しかける。
「フランキー、燃料補給して!!」
「何する気だ!!」
「ルフィがあいつらの言う事聞く訳ないでしょ!! ― とはいえここは深海1万m!! イオリはいつもの通り実践訓練のつもりで何もしないみたいだから、こっちは戦う事さえできないわ!! だから逃げる!!この船の空気全部使うつもりで“クー・ド・バースト”を撃って「魚人島」に突っ込むの!!!」
「正気か!!?」
「それしかないでしょ!!」
「確かに…それ以外、方法は無いわね…」
「フランキー、操舵頼む!おれが燃料補給を!!」
「よしきた、スーパー任せろ!!」
海獣達は少しずつサニー号に近づいてきている。
「さァ、おれ達の手下になるか!!? “麦わらのルフィ”!!」
「全開“クー・ド・バースト” 準備OKだ!!!」
「いやだね~~~!!! バ~~~カ!!」
ルフィは笑いながら答えた。
「!!?」
「拒否…!!したな…!!?」
「もっと違う言い方があるだろうに…」
ルフィって、嫌いと思った奴には憎まれ口叩くのうまいからなぁ…
しかもこの距離なら、覇王色の射程内だろうに…
ルフィも遊んでるみたいだ。
「我々「新魚人海賊団」の勧誘を…!! ―ならばお前達は“魚人の敵”、ただの“罪深き人間だ”!!」
「よく言うよ…自分たちがまるで魚人達の代表みたいに…」
私はボソっと呟いていた。こいつらのして来た所業は目を覆いたくなることばかり。フィッシャー・タイガーを敬愛するなんておこがましい!!お前らは彼の名を貶めるだけだ!!
私は叫びたくなるのを我慢して、目を閉じて溜息を吐いた。
「何でお前らの手下になんなきゃいけねェんだよォ!!」
ルフィが挑発する(本人にそのつもりはないんだろうけど…)ように、アッカンベーをして叫ぶ。チョッパーが泣きながら訴えているのも気にしてないみたいだ。
「残念だ、じゃあここを通す訳にゃいかねェ… 海獅子ィ!!」
ライオンの顔をした海獣が歩み寄る
「フランキー!! いいぞ!!」
ウソップが、エネルギールームで子電伝虫に叫ぶ
「ガルルルル!!」
海獅子が大きな口を開けてサニー号に襲い掛かかって来た。
「やんのかァ!!?」
「ギャアアア!!」
「行って!!」
ルフィが、チョッパーが、そしてナミが叫ぶ!!
「このサニー号も“獅子”さ!!いずれ決着をつけようぜ、海獅子!“クー・ド・バースト”!!!」
フランキーはニヤリとするとレバーを下げた。ガコンという音が鳴り、サニー号は飛び出した。
海獅子がガキン!とサニー号が居た場所を噛む
「はァ!!? 帆船が…!!!」
「ん? シャボンが萎まねぇ…?」
フランキーが首を傾げる。
「そりゃぁね、空気を使うんだから補充はするわよ!」
私は大きな『風貝』をフランキーに見せた。
そして、魚人島が近づく。
「備えて!! 魚人島に突っ込むわよ!!」
「突入するぞ~~~!!「
「待ってて、おれの人魚達~~~!!」
ナミ、フランキー、サンジが叫ぶ。
― ドプンッ!! ―
「ん!!? え…」
「うわあ!! コーティングが剥がれたぞ!! 巨大シャボンにもってかれた!!」
「 ― しかもシャボンは二重構造!! 普通の船ならこの空気の層で落下する!!」
「もう一発激突するぞ、しがみつけェ!!」
サニー号は二つ目のシャボンに突っ込んだ!!
― ドプッ!! ―
「海!!」
「!!?」
「うわあああ、ゴボボボバボボバ!!!」
― すごい潮の流れ…!!これじゃ溺れ…えっ、イオリ!!? ―
― 能力者が5人もいるってのに…!!って、こ…これは、イオリちゃん!!? ―
私の能力ならば全員を救出することも可能だろうけど…私たちの姿はまだハモンド達から見えている。あまりに目立った行動はホーディ達の警戒を強めるだけだ!!
私は船から放り出された者全員を無事に魚人島へ上陸させるように指示してウンディーネ達を放ち、次いで、近くにいたナミ、ロビン、フランキー、ブルックを月歩で移動しながら小さくして抱えて海中を移動した。
他のメンバーはウンディーネ達にまかせておいて問題ないだろう。
いよいよ麦わらの一味での魚人島上陸だ!!