イムの娘(いむのこ)   作:槙 秀人

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09-254話:魚人島の冒険

「ハッ!? ここは…? 一体あの後…」

 

「ニュ~…起きたかナミ」

「えっ! ハチ!? あ! みんなは…」

「そこで寝てる。」

 ナミが向けた視線の先にはロビン、フランキー、ブルックが横たわっていた。

 

「イオリさんがお前たちをここまで運んでくれたんだ。おれは、お前たちの面倒を任された…」

 

「どういう事?…あんた魚人島に居たの? レイリーさん達が心配してたけど…」

「ニュ~…今は聞かないでくれ。他のヤツらは内陸に居るって…全員無事だって言ってたぞ」

 

「そう…まぁそれは心配してなかったけど…」

 ナミがあたりを見回す。

 

「ここは…森!? あ、空気があるんだ…」

 

「ニュ~…シャボンが張ってるからな。ここは魚人島南東に位置する『海の森』だ。」

 他の3人が起き出す…

 

「なんだぁここは…あちこちに船が…いやそれよりサニーはどこだぁ!?」

 

「ヨホホホ…麗しき人魚さん達ぃ!! 今会いに行きますよ」

 

「イオリに助けてもらったような気がしたんだけど…」

「イオリはどっか行っちゃったんだって…」

 

「ニコ・ロビン。おまえに伝えておいてくれって言われてる。”歴史の本文”って石が向こうにあるって…」

「えっ!!? ナミ!ちょっと私、行ってくるわね!!」

 ナミが驚いたように見つめる中、ロビンはダッシュでハチが示した方角へと消えていった。

 

「タコッパチじゃねぇか!」

「あぁ、タコさん お懐かしい!!」

 フランキー達ががハチに気づいて声をかける。

 

「サニー号は向こうの方に不時着させたって聞いてるぞ!」

 ハチが指差すと、

 

「そうか! よし、三人共おれはサニーのチェックをしてくるぜ。」

「ハイハイ。止めないわよ…私はどうしようかなあ…」

 

「ニュ~とりあえずサンゴが丘の表通りにでも行くか?1番人通りが多いトコだぞ。」

 

「へー楽しそうなトコね。案内してもらおうかな?」

「ヨホホホ…私は人魚の入り江という奇跡みたいな名所に行きたいんですけどー!?」

「ニュ~、楽しみは後にするもんだぞ!」

 

 

 ハチの案内で、ほどなく3人はサンゴが丘の表通りに到着する…

 

「わぁ!!魚人島にまで支店があるなんて、さすがF-RONPね!!しかも行列…って、何の行列?」

「なんでもイベントらしいぞ?ケイミーがバッパグから握手会の券をもらったとか…」

 

「握手会って…まさか!!何よ、会報にはそんな事一言も…」

 

「会報?」

「ちょっと私、行ってくる!!」

 ナミが行列の最後尾へダッシュで向かう。

 

「あっ、ナミさん私…」

 

 

 

「おっ!!そこに居るのは麦わらんとこのガイコツじゃねぇか?」

 

「!!?バッパグさん!今あなたの話をしてたところで…お久しぶりです。ヨホホホ… ところで私、人魚さんと戯れたいのですが…」

 

「よしっ!!そういう事なら、『マーメイド・カフェ』がイイぜっ!!おれは常連だから連れてってやる!! ハチも行くだろ?」

 

「ニュ~…ナミ達をここに案内したら、おれは魚人街に行くことになってるんだ。また今度さそってくれ」

 

 

 キャーキャー…

 

「やっぱり素敵ね!!オーラが違うわ!!」

「私予約しちゃった!!」

「えっ!?抽選当たったの!?いいなぁ~~~!!」

 

 騒ぐ人魚達の視線の先には『F-RONP』の店舗があった。オープン一周年のイベントでスペシャルゲストが来ていたのだ。

 

『ユナ会長の握手会の整理券配布を行っております。握手会は午後3時から行われますが整理券の無い方は入場できませんので、ご希望の方は整理券をお受取りください。』

 

 ユナは店内で接客をしていた。(ブルジョア階級の者しか彼女に近づいて来ないが…)

 

「ちょっと…」

「? ナミ…さん?」

 

「あんた、何やってんのよ?」

「えっ? 何って…接客ですけど?」

 

「そうじゃなくて!!」

 そういうナミの手には整理券が…

 

「…」

 

「な…何よ?」

「いえ…なんでも…」

 

「…じゃあ、せっかくだから買い物してこうかな?」

「新作コーナーはあちらですけど、ナミさんになら未発表の服も見せちゃおうかしら?」

「えっ!ほんとに!!」

 

「こちらにどうぞ!」

 ユナはナミをVIPルームへと案内する。

 

「ねぇ、ちょっと…あの人誰?」

 

「わたし、あの人知ってる!!麦わらの一味の『ナミ』さんじゃない?」

「えっ!?麦わらの一味って…『イオリ様』の所属する!?」

 

「すごい!!ユナ様とも普通に喋れちゃうなんて…やっぱり普通の海賊団と格が違うんだわ!!」

 

 

 ルフィ達は原作通り、ケイミーの家に… そして、そのまま『人魚の入り江』へと出た。

 

 サンジは夢のようだと鼻血も出さずにはしゃぎまくり。

 しかし、原作のように、王子たちが不法入国の海賊たちを探しているとの話が伝わり、現れた王子達を前に、人魚たちがルフィ達をかくまってしまう。そしてこれまた原作通りにサンジは鼻血を吹き出した。

 

 最初の鼻血の噴水だったので血液のストックは船にはあっただが、サニー号は海の森…

 その事をルフィ達は知らない。そして、チョッパーの持つパックダイアルには400mlの血液ストックしか入っていなかった。サンジの血液型を叫び、魚人達に献血を呼びかけるチョッパーとウソップ。

 しかし珍しい血液型の為、その場には該当者が居なかった。

 

 そこに現れたのは魚人島の外で襲ってきた魚人達。魚人島には人間に輸血するような物好きは居ないと叫び、輸血禁止の話をする。しかし、それを聞いていた王子達がそれは1年半前までの話だと否定。海神様とその主によって、その間違った法律は破棄された事をルフィ達に伝える。

 ウソップやチョッパーはその法律の事に驚くが、ルフィは海神様とその主という言葉のほうに驚いていた。

 

 王子たちは誤解させてしまったことを謝り、サンジとチョッパーをネプチューン軍の詰め所へと連れて行き、サンジは同じ血液型の魚人の兵士から輸血を受けたのだった。

 残されたルフィ達は、ケイミーがアルバイトに行くというので着いていく事に…

 

 そこはもちろん『マーメイドカフェ』。ケイミー達は、バッパグと合流して彼の家に行くことになった。

 

 F-RONPで買い物を済ませたナミはこの島発祥のブランド、クリミナル(ギャバリーヒルズ)へと足を伸ばす。

 

 ― 何よこの価格…F-RONPに比べて高すぎない? 確かに可愛いけど… ー

 

 あれ?…

 

 ナミはふと思った。普段来ている服はDCブランドが多い為、価格で言えばF-RONPも高めではある。けれど、有名デザイナーであるユナの手がけた服がイベント中とは言え、あの値段で良いのだろうか?と…

 

 価格の違いには企業理念が大きく影響している。

 F-RONPは今や総合企業だが、その前身は生産者と消費者による一体運営である。企業であるがゆえに利益を求めないわけにはいかないが、「毎日使うものは安く!!」

 という消費者目線の価格設定がモットーなのだ。

 現在、F-RONPは日用品から食品に至るまで、それこそ生活に関わる全ての物を提供している。贅沢品ももちろんあるが、高級品の大半は貴族階級以上の者が買い求めるもので、価格設定は上限知らずと言っていい。

 一方、それ以外のものは極力価格設定を抑えている。協業しているものがほとんどなので、破格にする事は出来ないが、価格は極力抑えるようにしている。

 それ故、ブランド品とは言っても特に量産品に関して言えば他のブランドと比べて価格は低い。比べてみるとだいたい50%~75%ほどの価格の違いが見て取れた。

 

 そんな記事が、会報のインタビューに載っていたことを思い出し、ナミはうっとりとユナの顔を思い出していた。

 

 ― やばい私…ますますあの娘(・・・)の事、好きになっちゃうじゃん!! ―

 

 そしてしばらくして、原作通りケイミー達が合流。クリミナルの店を空にしたのだった。

 

「手加減ナシだな!!!」

 バッパグが目を剥いて驚いていた。

 

 ところで…魚人島に突入する際、サニー号にはもう一人、乗っていた海賊が居た…

 

 イオリの指示は、全員を無事に魚人島に上陸させる事…

 彼もまた、ウンディーネによって助けられていた。

 

 …ん?…おや? ここは…

 

 カリブーが薄目で辺りを伺う。

 

「ねぇ…この人、何で縛られてるのかしら?」

「誰?」

 

「さっき、麦わらの一味の方達がいたでしょ?」

「え~!!こんな人が居たなんて聞いたこと無い!!」

 

「新しい仲間かも知れないわよ?」

「とにかく、起こしてみましょうよ」

 

 ケヘへへへ…いいぞいいぞ人魚ちゃん達ぃ…縄を解いてもらっちゃえばこっちのもんだよぉ?

 

「人魚さん達ぃ…おれは新魚人海賊団って奴らに捕まったところ運よく通りかかった麦わらの一味さん達に助け~てもらっちゃったんだ!!すぐさま魚人島に突撃しちゃったもんでぇ~ 縄は解いちゃもらえなかったんだよゥ…悪ぃ~んだけど~この縄、解ぉ~いちゃってェくれねェ~か~い!?」

 

「魚人海賊団に捕まってたって…」

「…どうする?」

 結局人魚達はカリブーの縄を解いてしまう。

 

「あァ~~りがとさ~~ん!!!」

 カリブーはドロドロになりながら広がっていく…

 

「きゃあ~~~っ!!」

「逃ィ~~げるなんておよしよォ~~!!」

 

「早く水場へっ!!」

 

「NO~~~!! 手ェ~~遅れさんなのよォ~~~ウ!! ケヒヒヒ~~イ、カ~~ン謝しちゃうぜ、 人魚さん達ィ~~~!!」

「え!? 体が…沈む!!」

「沼だわ!! こんな岩場になぜ沼が!?」

 

「沼もドロ沼、脱出不可能“底なし沼”よォ~~う!! おれは能力者さ…“ヌマヌマの実”の『沼人間』ん~~!! もがく程に…沈んで行っちゃうぜェ~~い!? 声なんか出すのはおよしよォ~~!? 何コ~~ロしゃしねェ。」

 

「誰か…」

「おォよしって…!! 言ったよなァ~~!! おバカさんめェ~~~!!」

 

「イシリー!!」

「― 少ォし眠ってて貰うだけだよォ~~~!!」

「う!!」

 

「助け…」

「ケヒヒヒヒ… フフフ~ン♪ おれのォ~~体はァ~~♪ 底なしさんよォ~~♪ ウ~~ップ、“人魚”はおいくらだったかな~~。オークション相場が確か…一匹7千万… 3匹でェ~~ケヒヒヒヒィ!! 麦わら様様だ、こりゃあ!奴らのお陰で入国審査もなく“魚人島”へ上陸できたァ~~! 高級人魚狩り放題!! ここは「宝島」だァ!! ケヒヒヒィ~~!!」

 

 

 

 

 

 ≪ ドロを落としなさい… ≫

 

「えっ!!?…あれ?」

 

 ≪ 危なかったわ、あなた達… ≫

「「まさか、ウンディーネ!?」」

「もしかして…いらっしゃるのですか?大変なんです!!あんなヤツ野放しにしたら…」

 

 ≪ 大丈夫です。あれは放っておいて問題ないと主様が… ≫

「で…でも…」

 

 ≪≪ 我らが主を、お信じくださいませ… ≫≫

 

「…あの方がご存知なら…きっと大丈夫でしょ?」

「ええ…何が起こってもあの方ならきっと、なんとかしてくださるわ!!」

 

 

 

 

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